ラノベ作品には、やはりヒロインが欠かせません。どんなヒロインが登場するかによって、その物語の面白さが変わってくるのです。そんな物語のキーパーソンとも言えるヒロインですが、今回は、ツンデレヒロインが登場するラノベをご紹介します。
この小説のヒロインは主人公の妹です。スポーツ万能、容姿端麗、モデル業をやっていて、ファッション業界との繋がりも深いという、いわゆるリア充な妹・高坂桐乃。しかし、桐乃には誰にも言えない秘密を抱えていたのです。それは「オタク」趣味。「妹もの」と呼ばれるゲームに夢中で、モデル業で得た報酬の大半をこの趣味につぎ込んでいました。
世間一般では自分の趣味は理解されないものだということをわかっている桐乃は、それを誰にもバレないようにしていたのです。ところがある日、一枚のDVDケースから兄である高坂京介にその趣味が知られてしまいます。
- 著者
- 伏見 つかさ
- 出版日
- 2008-08-10
京介は幼いころの桐乃にとって憧れのヒーロー。お節介ながらも人のために尽くす兄が桐乃は大好きでした。けれど、その世話好きな性格をある事件をきっかけに封印してしまった京介に、桐乃は幻滅してしまいます。ヒーローの座から転落してしまった京介に、冷たくあたるようになった桐乃。それ以来、兄妹の関係は険悪なものとなっていきます。
そんな関係が、桐乃の趣味の発覚をきっかけに少しずつ変化していきます。趣味や友人、学校生活などこれまで交わることのなかった兄と妹。ぎこちなく交わるようになった、ふたりの本音が徐々に垣間見えるようになります。そしてどんどんとそんな想いが溢れていき、クリスマスに京介は桐乃にあることを伝えるのです。
兄と妹である京介と桐乃。ふたりの気持ちがどうであれ、その関係は変わることがありません。血縁という最大の壁が、寄り添いたいと願うふたりの前に立ちはだかります。
「やっぱり私は、好きなものを捨てられない。部活も友達も、家族も、趣味も、全部があって、はじめて私だから」(『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』より引用)
桐乃のこのように断言できる強さを、見習いたいと思う人も多いのではないでしょうか。オタクだからということや、血縁という切れない関係性など、様々な障害を経て決断する桐乃と京介の姿に胸が打たれる作品です。
三雲岳斗による学園アクションファンタジーです。数々の魅力的なヒロインたちの血を吸うことで強くなる主人公。世界最強の吸血鬼である彼が、敵をバッタバッタと倒していく痛快な作品となっています。
魔族と人間が共存する世界。世界最強の吸血鬼になりたてほやほやの主人公「暁古城」と、その監視、抹殺のために送り込まれた見習いの剣巫「姫柊雪菜」は、「絃神島」(いとがみじま)と呼ばれる人工島で出会います。剣巫というのは文字通り剣で戦うこともできる巫女さんといった感じで、雪菜のキャラクターもそれに合った勝ち気な性格。
- 著者
- 三雲 岳斗
- 出版日
- 2011-05-10
このように始まる本作の最大の見どころは、アニメ版でも力を注ぎ込まれているといわれる古城による吸血シーンでしょう。古城は世界最強の吸血鬼の力を受け継いだとはいえ普通の高校生、人の血を吸うなんてことはやったことがありません。しかし敵と戦うには吸血鬼の能力を発揮しなければならず、それには吸血行為を行わないとならないわけです。魅力的なヒロインたちの血を吸うことで力を発揮する古城ですが、この吸血シーンの描写が素晴らしく色っぽい!絵がなくとも想像力を掻き立たせてくれる素晴らしい文章ですよ。
本作の吸血鬼にとって吸血欲というものは、本来性欲によって起こるものであり、血を吸うという行為は、とどのつまりは人にとってのエロい行為にあたるわけです。当然古城にとってはそういった行為も未体験の領域ですので、彼の嬉し恥ずかしい感覚が伝わってくるような、手に汗握るシーンでもあるのです。
魅力的なヒロインたちとの吸血行為により、力を発揮する主人公の無双っぷりも爽快ですが、他の吸血鬼作品とはちょっと違う魅力的なポイントがもう一つ。古典的な吸血鬼を扱う作品は、残酷で悲哀に満ちた暗いイメージのものが多いのですが、この作品は、あえてそれに反した描き方がなされています。
本作に登場するツンデレ系ヒロインは、人間を信じられないという稲葉姫子。ある日、彼女と同じ文化研究部の仲間が魂の入れ替わりを経験します。最初は信じることのできなかった姫子でしたが、やがてこの現象は謎の敵「ふうせんかずら」の実験だと判明。彼女は「ふうせんかずら」の起こす現象に立ち向かっていけるのでしょうか? 先の展開が気になる物語です。
- 著者
- 庵田 定夏
- 出版日
- 2010-01-30
一見目新しさのない、男女の体が入れ替わってしまうというストーリー。多くの作品で、それは2人だけの秘密であり、他の人とも入れ替わることもありません。しかし本作では入れ替わる人間が決まっているわけでもありませんし、巻き起こる不思議な現象は入れ替わりだけではないのです。これらが読者を飽きさせない所以でしょう。
不思議な現象を体験しながらも、それを仲間と乗り越えていく中で、互いの友情や愛情を再確認し、絆を深めていく彼らの青春をぜひ楽しんでみてくださいね。
恋愛小説というよりは、どちらかと言うと青春ストーリーに近い物語です。主人公は有名な音楽評論家を父に持つ桧川直巳。ときどき父親から評論の原稿を任せられることもあり、評論家としての実力はなかなかのものである直巳は、あるとき、海辺のごみ置き場で謎めいた少女・蛯沢真冬と出会います。
真冬は大指揮者を父に持つ天才ピアニスト。しかし、彼女が弾くのはなぜかギター。それも超速弾きをするのです。
- 著者
- 杉井 光
- 出版日
そんな真冬と直巳は、使用する空き教室の権利を巡ってギター対決をすることになります。他人を寄せ付けない雰囲気を出していた真冬ですが、直巳とのギター対決がきっかけに、少しずつ他人を受け入れるようになります。
本作品はふたりの努力、そしてその過程を経て少しずつ仲を深めていく様子が見所。ふたりは先輩である神楽坂響子に引き込まれる形でバンド活動を始めるようになります。バンドをするようになってから少しずつ変化していくそれぞれの感情。1つのことに夢中になっていくその姿。眩しいほどに輝かしい努力をする汗。「うまくなりたい」。ただそれだけのために、真っ直ぐになれる彼らの姿に思わず息を飲んでしまいます。
直巳と、真冬と幼馴染の恋の行方、そして真冬が言った「六月になったら、わたしは消えるから」(『さよならピアノソナタ』から引用)の真意とは?恋と青春と悩みと、少しの謎の絡まった目が離せない青春ストーリーです。
ルックスと始業式での遅刻が原因で不良に見られ、友達ができない羽瀬川小鷹。実は見た目に反して勉強も料理も得意な好青年です。
そんな小鷹はある日、1人で楽しそうにしゃべっている同級生の三日月夜空を見かけます。もしや幽霊が見えるタイプ?と思いきや、夜空は友達がいないために、自分が作り出したエア友達としゃべっていたのでした。
僕は友達が少ない (MF文庫J)
そんな残念な夜空は、友達を作るための部活「隣人部」を創部し、小鷹を巻き込みます。こんな不思議な部活で友達ができるのかと思っていた小鷹ですが、やがて「隣人部」にはさまざまな「残念」要素を持った美少女たちが入部してきます。頑張っても友達ができない「隣人部」の部員たち。
彼らは友だちが出来た時の練習として、みんなでプールに行ったり、遊園地に行ったりと楽しく過ごします。うまく活動していたように見えた「隣人部」ですが、小鷹との関係を巡って、少しずつ亀裂が入ってくるのです。
本作品は不器用で臆病、だけどまっすぐな部員たちの心の交流が丁寧に描かれています。小鷹は変化を恐れるためか、鈍感なふりをして周囲の好意に気づかないふりをします。そのことを「隣人部」の理科に指摘されるのです。
「自分は好かれてなどいないのだと、自分の心にさえ嘘をつく」(『僕は友達が少ない』からの引用)
その言葉を機に、小鷹は変わろうと決意します。だけど、小鷹にとって大切な居場所となっていた「隣人部」。やはり大事であればあるほど、想いに応えると関係が変わってしまうのではないかという恐れが増します。そんな部活のために、小鷹が選んだ選択とは……?
残念な人たちが残念なりに、一生懸命友だちを作ろうとする、ちょっと残念な物語。「友だちとは何か」ということを考えさせられる小説でもあります。
小さくて黙っていれば、可愛い女の子・逢坂大河。だけど大河は、木刀を持ち歩くかなり凶暴な女の子。そのせいで「手乗りタイガー」なんてあだ名まで付けられてしまう始末。けれど、本当の大河は泣き虫でドジっ子なのです。
そんなドジを踏んだことが原因で、ヤンキーと間違われがちな高須竜児と知り合います。互いに好きな人にうまくアプローチできないふたり。そんな共通点を見つけ、ふたりは共同戦線と称してお互いの恋愛をサポートすべく毎日一緒に行動するようになります。
- 著者
- 竹宮 ゆゆこ
- 出版日
- 2006-03-25
この作品は面映く、じれったいふたりのすれちがいにキュンキュンします。ともに過ごすうちに、協力者ではなく、かけがえのない人と想い合うようになるふたり。けれど、今までの関係性を壊すことを恐れ、素直に想いを伝えることができません。
そんなとき、大河は自分が竜児に依存していることに気付きます。このままではダメだと、自立するために竜児から離れようとしますが、そんな大河に竜児は「自分が18になったら俺の嫁になれ」と告白をしてきます。自分がほしいものは、すべて壊れてしまう。そんな風に思っている大河。
果たして大河は「自分がほしいと思っている」竜児の手を取ることができるのでしょうか。普段は暴れん坊な主人公大河が、時折見せる竜児へのとろけるような笑顔にも胸きゅんしてしまう作品です。
科学技術が集まった学園都市。ヒロインはそこで暮らす成績も優秀で超能力も上位に入る美少女・御坂美琴。語学も得意な美琴ですが、学園都市で生まれ育ったせいか、非科学的なものを信じないという典型的な科学脳をしています。そんな美琴は、ある日不良に絡まれてしまったことがきっかけで、上条当麻と出会います。
当麻は根っからの不幸体質な少年です。そのあまりの不幸さゆえに、生まれ育った迷信や魔術を信じる魔術サイドでは大人たちから陰湿ないじめや、生命の危機にあうこともあり、それを危惧した父親に学園都市へと送り込まれます。
とある魔術の禁書目録 (電撃文庫)
本作品は登場人物のキャラクターとその恋愛模様が見所!当麻は料理スキルは高いものの、勉強はまったく苦手。けれど、その持ち前の不幸さから突然のアクシデントには滅法強いのです。
典型的な落ちこぼれでもある当麻。しかし美琴はその落ちこぼれの当麻になぜか勝つことができません。そのことが悔しくて美琴は当麻を敵視します。けれど、次第に当麻に心惹かれていく美琴。さまざまな事件に巻き込まれながら、当麻への思いを深めていきます。
最初は落ちこぼれで下に見ていた当麻に惹かれていく美琴の様子は胸キュン必至!それまでパーフェクトガールとして描かれていた彼女の表情が徐々に崩れていく様子はまさにツンデレヒロインの醍醐味を味わえるものです。
果たして美琴の想いは当麻に伝わるのか?恋愛要素だけではなく、激しい戦闘シーンや科学と魔術が交差する世界観も魅力な作品です。
いかがでしたか。今回はツンデレヒロインが魅力的なラノベをご紹介してきました。一口にツンデレといっても、様々なタイプがあります。けれど、どのタイプもツンツンしている姿とデレってしている甘さのギャップにドキッとさせられること間違いなしです。