2021年夏より放送中のドラマも好調な『痴情の接吻』。原作漫画は最終回を迎えたばかりです。連載中、アンケートでもダントツの人気を誇っていましたが、原作の人気同様に、ドラマも回を重ねるごとに話題に。そんな『痴情の接吻』の原作漫画をネタバレ紹介しながら、ドラマの詳細やロケ地情報などもお届けします。
恋愛よりも本が大事な女性が、自分のことを好きすぎる元同級生からの愛を一心に受け変化していく様を描いた漫画『痴情の接吻』。2019年1月から女性向け漫画雑誌「プチコミック」で連載が開始され、2021年9月号にて最終回を迎えました。現在コミックス第7巻まで発売中です。原作は、同誌で主に活躍している如月ひいろ。自身の原作で初となるドラマ化も実現しました。
両親とともに暮らしていた図書館司書の柏木和華。その両親の海外移住が決まり、慌てて自分の部屋を探すことに。しかし、和華には、なかなか物件が決まらない理由がありました。それは大量の蔵書のため。収納できる物件が彼女の予算では、なかなか出会えなかったのです。
そんな時、10年振りに目の前に現れた高校時代の同級生・上条忍。ドイツから日本に帰ってきた彼も住むところを探しており、成り行きで同居することになるのですが……。
漫画『痴情の接吻』を原作に、2021年7月よりテレビドラマも始まりました。単独主演初となるA.B.C-Zの橋本良亮が、和華への一途な愛を貫く上条忍を演じることに。また、多くの作品で活躍する中村ゆりかが、本にしか興味を持てない柏木和華を演じています。
原作同様の美しいセクシーシーンも話題の本ドラマは、配信サイト「TVer」にて早くも上位を獲得。今後の放送もますます期待できます。和華と上条の再会の場所でもあり和華の職場ともなっている図書館は、千葉県流山市にある「森の図書館」との情報も。この図書館で、上条と和華の再会シーンも撮影されています。
和華と上条を繋ぐ大事なものが谷崎潤一郎の『痴人の愛』。高校時代の和華と上条のいわくつきの出来事の時も、大人になってからの再会もこの本がきっかけです。作品タイトル『痴情の接吻』もこの『痴人の愛』からきているのでしょう。
1人の女性にとりつかれたように愛する男性とその愛を最初は拒みつつも徐々に受け入れていく女性。究極の愛の物語に憧れる女性はもちろんのこと、そんな女性の気持ちを理解したい男性にもぜひ読んでほしい作品です。ただ、かなりオトナな男女のシーンも出てくるので、読む場所にはご注意ください!
『痴情の接吻』に登場する人物を相関図とともに紹介します。
とにかく本が大好きで相当数の蔵書を持つ。学生の頃からの夢である司書となり図書館に勤務。彼氏がいたこともあるが、仕事も充実していることもあり、特に恋愛に興味はない。両親の海外移住を機に、蔵書を収納できる物件を探している。
ドラマキャスト:中村ゆりか
和華の高校時代のイケメン同級生。和華に偏愛中。両親の転勤で各地を転々とし、和華の高校にも転校してきた。また両親の転勤で家族揃ってドイツへ。10年振りに日本に戻ってくる。何をやらせてもそつなくこなすことができ、料理の腕前はプロ並み。
ドラマキャスト:橋本良亮(A.B.C-Z)
和華と上条の高校代の同級生。上条とは異なるタイプのイケメン。和華とは仕事の関係で再会する。美人で自分には全く気のない和華に高校時代から好意を持つことに。上条と和華が付き合っていると知ってからも気持ちは抑えられず、現在も片思い中。
ドラマキャスト:井上祐貴
上条の10歳下の弟。高校時代の上条にそっくり。両親の代わりに上条が面倒をみてきた。上条が日本に来てからもドイツに住んでいる。日本の大学を受ける予定。
父がドイツ人、母親が日本人のハーフ。上条と薫の幼なじみ。薫とはドイツで同じ学校に通っている。薫が来日する際に一緒についてきた。
和華が務める図書館の同僚の女性。図書館イベントの朗読会の際には、官能小説の朗読を担当していた。
ドラマキャスト:真凛
和華の図書館の同僚の女性。図書館イベントのきもだめしのときに、和華に幽霊が見えることを指摘。自身も見えているらしいが、これまで明かしてこなかった。
ドラマキャスト:佐野あやめ
退職後のセカンドライフにと両親そろってマレーシアに移住。和華の前でも、呆れるほど仲がよい夫婦。
ドラマキャスト お父さん:池田鉄洋
ドラマキャスト お母さん:高島礼子
図書館司書の柏木和華は、何よりも本が大好き。恋愛はしばらくご無沙汰でしたが、仕事も充実しており特に興味もなく日々を過ごしていました。突然、両親の海外移住が決まり、大量の蔵書が収納できる物件を探すことに。そんな時、高校時代の同級生・上条忍と再会します。仕事の都合で10年振りにドイツから帰国した上条。和華には上条との忘れられないいわくつきの思い出があったのでした。
成り行きで同居することになる和華と上条。同居スタートから、上条のいきなりの告白とキスにとまどう和華は、上条に振り回されっぱなしの生活に。何でもそつなくこなす上条の気遣いのある行動に、何かが変わっていく予感がする和華なのでした。
パーフェクト男子・上条忍の唯一の弱点が和華。和華のこととなると、喜怒哀楽が素直に出てくるところが忍の1番の魅力なのかもしれません。そんな彼の一途な愛に、恋愛に全く興味のなかった和華がどう対応していくのか。今後の気になる展開に、ドキドキさせられそうですね。
- 著者
- 如月 ひいろ
- 出版日
成り行きで同居することになった和華と高校時代の同級生・上条。同居開始からの上条の告白によって、とまどう和華でした。ただの同居人のはずが、徐々に距離を縮めていく2人。
そんななか迎える上条の誕生日。いつもお世話になっているお礼にとご飯を作ってお祝いしようと張り切る和華。なかなか帰らない上条が気になって、感情が乱されていきます。もう恋なんてしないと思っていた和華が、思いがけない行動に。ただの同居人でない生活が始まる2人なのでした。
最初は上条を拒んでいた和華ですが、徐々に彼の存在が大きなものに。時に優しく、時に甘く和華を包みこむような彼に惹かれていたのでした。無事、付き合うことになった2人には、どんな未来が待っているか。ますます楽しみになっていきますね。
- 著者
- 如月 ひいろ
- 出版日
和華の突然の告白で、付き合うことになった和華と上条。そして、ようやく結ばれる2人。上条の和華への思いは変わらず、心地よく和華が過ごせるように気遣ってくれます。順調な2人の恋に、突然、ライバルが出現します。
そのライバルとは、和華と上条の高校時代の同級生・鈴木岳。岳もまた、高校時代から和華のことが気になっていたひとりだったのです。岳のことは下の名前で呼び、自分のことは名字で呼ぶ和華に不満な上条。そんな上条が愛おしくなる和華はなんとか努力をしますが……。なかなか「忍」と呼べない和華に、上条はある提案をするのでした。
上条を「忍」と呼べない和華、岳のことに嫉妬する上条。どちらもなんだか可愛らしく、微笑ましくも。和華の口から思わずもれ出た「忍」という名前。このシーンは、少女漫画の醍醐味!といったドラマチックな展開に。ぜひ作中でチェックしてみてください。
- 著者
- 如月 ひいろ
- 出版日
相変わらず、忍の情愛を受け取る毎日を送る和華。そんなある時、図書館のイベントで、和華が官能小説の朗読をすることに。
和華の朗読の練習に付き合うと言い出す忍。なかなか読めない和華に、忍は2人の思い出の本『痴人の愛』を読んで聞かせます。忍にとってこの物語は、強く共感できるもの。そんな忍の朗読に、快感を覚える和華なのでした。
第4巻ではほかにも、忍が和華に強く惹かれるようになった高校時代のエピソードも。忍にとって、和華が唯一無二の存在であることもなんだか頷けます。和華の人としての魅力も垣間見られるお話です。
また、岳の和華への気持ちもどんどん募っていきます。そのことに気付いている忍の絶妙な防御は見事です。今後も岳の動向が気になりますね。忍の防御を突破し、岳が行動に移すときは来るのでしょうか。
- 著者
- 如月 ひいろ
- 出版日
ドイツに住んでいる忍の10歳年下の弟・薫が日本にやって来ます。初めて会う和華でしたが、高校時代の忍にあまりにそっくりすぎて、つい興奮してしまいます。薫は日本の大学の下見に来たといいますが、実は本当の目的は別にありました。
薫が無事ドイツに帰った後、和華と忍は1泊2日の京都旅行に。文学作品に多く登場する平安神宮や京都ならではのグルメを堪能する2人。そして、この上ないスペシャルな演出も待っていました。
全て和華を喜ばせるためだけに用意された旅行。本さえあればいいと思っていた和華が、忍と付き合ううちに、自分の中に忍の存在が大きくなることに気付いていくエピソードは必読です。
和華以外の忍の弱点も登場。ふだん完璧でクールな忍のレアなシーンを見ることもできます。また、岳の和華への思いもますますエスカレートしていき……。こちらもあわせてチェックしてみてください。
- 著者
- 如月 ひいろ
- 出版日
和華の勤める図書館で納涼イベントが開催されることになりました。そのひとつが「きもだめし」。実は、幽霊の怖い和華はビクビクし通しです。ボランティアとして参加してくれている忍と一緒に見回りすることになりますが……。夏イベントはこのほか、和華と忍の浴衣姿が堪能できる夏祭りなどがあります。
そんなある日突然、忍の様子がおかしくなります。和華にはさっぱり理由がわかりません。実は、岳の一言が忍に影響していたのです。
一方、岳もめげずに和華の喜ぶ計画を立てます。そして、ついに思い切った行動に出ることに。その日、いつもと様子のおかしい和華に忍が声をかけるも、本当のことが言えず、忍に秘密を持ってしまう和華なのでした。
とうとう岳が行動に出た第6巻。今後の岳と和華の関係が気になりますね。また、和華の両親がどうやら帰国する模様。「忍ちゃん」が意味することとは一体。
- 著者
- 如月 ひいろ
- 出版日
和華の両親の突然の一時帰国。和華にも知らせず、両親揃ってマンションにやってきます。同居人の「忍ちゃん」に挨拶しようとしたところ、忍が顔を出し大騒ぎに。和華の同居人はてっきり女の子だと思い込んでいたのです。忍が男で、しかも付き合っている相手だと知り、和華の両親の反応は。
また、もうすぐ和華の誕生日。忍が何やら計画を立てているようです。しかし、誕生日当日、図書館の館長から残業を頼まれてしまう和華。断り切れず、慌てて家に帰ろうとする和華でしたが、忍が迎えにきていました。果たして、忍が計画した誕生日祝いのサプライズとは。
忍は10年、ドイツにいました。日本とドイツでは誕生日のお祝いの仕方も異なるようです。どんな祝い方をするのか気になりますよね。詳しくは作中にて、確認してみてください。
7巻には、新キャラのアンナも登場。薫についてきたアンナですが、忍にベッタリ。実のところ彼女の本命は別にいるようなのですが……。本にしか興味を持てなかった和華は忍と付き合うことで、アンナの本心にも気付くことができるようになりました。そんな和華の変化が大きくわかる第7巻です。
- 著者
- 如月 ひいろ
- 出版日
ドイツにいる忍の母の具合が悪くなり、急遽ドイツへ戻る忍。一方その滞在が延び、不安になる和華。
そんな和華と偶然会った岳は、突然の雨に降られた和華を自分の家に誘います。自分の不安を岳に打ち明けてしまう和華に、思わず岳もまた気持ちがこみ上げてくるのでした。
忍からなかなか連絡がないなか、彼の部屋で寂しさを紛らわしているとようやく連絡が。会いたいのは自分だけではないことを知り、少し安心する和華。岳にもはっきり自分の本当の気持ち伝えます。そんななか、クリスマス・イヴの夜、忍が突然の帰国。その夜は、互いに激しく求めあう和華と忍なのでした。
最後の物語では、2人の思い出の場所へ向かうことに。果たしてそこで待っていたものとは。感動のラストは、ぜひ直接確かめてください。また、エピローグには、その後の2人のことが語られています。こちらも合わせておすすめです。
大人気漫画『痴情の接吻』を原作としたテレビドラマが、2021年7月より始まりました。そんな何かと話題の『痴情の接吻』ですが、ここでは、原作漫画とテレビドラマの違いについて解説していきます。
原作漫画の季節は冬から始まります。バレンタイン、猫の日(忍の誕生日)などを経て季節は春に。図書館の人たちと一緒のお花見も。初夏には、2人きりの京都旅行。続く、蛍鑑賞イベントへの参加、図書館のきもだめしイベント、夏祭りが描かれていきます。そして、迎える秋には、またまた図書館のお月見イベントを開催。最後に迎えるは冬。2人の付き合った1年間を追っていく物語となっています。
ドラマでは、2021年夏からの放送ということもあり、たとえば、忍の誕生日もカニの日に変更になっていました。7月~9月放送ということもあり、原作の中での夏エピソードが登場する可能性も高いですね。こうした違いはあるものの、原作の大事な要素はそのままに、うまくまとめています。
原作漫画でも多少登場するコメディ要素。だいたいが和華の部分ですが、ドラマではそれが顕著になっています。和華の妄想シーンなど、実写ならではのこだわりも。特に、主演の橋本がダンスを披露するなどファンサービスも満載です。和華に関していえば、おちゃめなコメディ部分はもちろんのこと、セクシー部分も中村ゆりかがメリハリをもって巧みに演じています。
また、和華の同僚の吉川と松浦も、原作よりさらにコメディタッチで描かれることに。この2人の掛け合いが、コミカルかつテンポよく演出されています。こうすることで、和華と忍の甘いラブシーンがより引き立つのでしょう。
本さえあればいいと思っている和華ですが、彼氏がいたこともあります。その時のトラウマが、より恋愛から遠ざけているという部分をドラマではより強調しています。和華の元カレを登場させることで効果的に。この元カレには和華の本への愛情などが伝わることもなく、彼女がよかれと思って作った料理も全否定され傷つくことに。
忍の登場により、全てを肯定されたことで和華自身も救われたことが強くわかる演出に。ドラマは短い回数の中に、原作の大事な部分を表現しなければいけないので、元カレを出すことで和華の気持ちをわかりやすく表現したのでしょう。
テレビドラマのキャストには、薫とアンナのキャスト発表はありませんでした。よって、この2人の登場は、まずないとみていいでしょう。その代わり、原作漫画のキャラクターよりも手厚くなっているのが、岳の恩師・戸石教授です。この役を芸人のマツモトクラブが演じています。一人コントを得意とする彼の演技もあいまって、きっとドラマならではの楽しい演出を見ることができますね。
漫画『痴情の接吻』とテレビドラマ『痴情の接吻』の違いを解説してきました。放送中ということもあり、今後の放送では、まだまだ出てくるかもしれません。
とはいえ、忍役の橋本や和華役の中村は今回のキャスティングにピッタリで、原作再現力の高いドラマであることは確かです。原作漫画を読みながら、テレビドラマも楽しめることでしょう。
『痴情の接吻』は、女性向け漫画雑誌「プチコミック」にて連載していましたが、2021年9月号をもって最終回を迎えました。コミックス最終第8巻は、2021年9月10日に発売を予定しています。
また、「プチコミック」10月号と11月号では『痴情の接吻』番外編の掲載もあります。最終回のエピローグが気になる展開だったので、その続きを読めたらいいですね。
小学館eコミックストアでは、『痴情の接吻』既刊第7巻全巻の無料試し読みもあります。
- 著者
- 谷崎 潤一郎
- 出版日
- 1947-11-12
『痴情の接吻』は、「プチコミック」でもアンケート1位を獲得してきました。それだけ、満足度の高い作品だということでしょう。それもそのはず、和華のように愛されることは女性の憧れだからです。ぜひ原作漫画で、ひたすらに愛され続ける和華と愛し貫く忍の情熱的な愛の物語を堪能してください。