中学生におすすめの名作歴史小説6選!

更新:2017.1.8 作成:2017.1.8

歴史は苦手。覚えることばかりでつまらない。そんな中学生にこそ読んでもらいたい歴史小説を6冊おすすめします。授業では教わらなかった歴史の裏側、有名な人物の素顔を垣間みれますよ。

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絶体絶命のピンチを生き抜くサバイバル術

難破した船がたどり着いたのは、大量のアホウドリが生息する火山島でした。水も火も食べ物もない極限状態を救ったのは一体何だったのでしょうか。

時代:江戸時代の終わり頃
舞台:南海の無人島
主要人物:長平(船乗りの船頭)

 

著者
吉村 昭
出版日
1980-11-27


主人公の長平は土佐藩(現在の高知県)の船頭です。飢饉に見舞われた土佐藩へお救い米を乗せた船を出すも、大シケに遭って遭難してしまいます。長平を含めた4人を乗せた船はしばらく海上を漂流し無人島へ漂着しますが、そこは鳥島と呼ばれるアホウドリが群生する島でした。

鳥島は火山島だったので、水がありません。道具らしいものもなく、火がおこせません。アホウドリは食料になりますが、渡り鳥なのでいずれいなくなってしまいます。衛生状態もひどく、主人公と一緒に遭難した仲間はみな亡くなっていきました。

絶望的な状況下に追い込まれる主人公ですが、生きて故郷に帰るんだという強い意志と希望に支えられ、たった一人になってもしぶとく生き残るのです。

そして主人公がサバイバルのために工夫をこらした生活を送っていると、自分と同じように鳥島へ漂着してきた人たちと出会います。主人公は彼らと仲間になり、お互いのノウハウを交換しながら果敢に脱出を試みるのです。

ボロボロになりながらも希望を捨てずに脱出に挑む主人公の姿に、どんなに辛い苦しい状況でも諦めずに必死に考えて動けば可能性をつかみ取れる、と力強く励まされます。

東北人の忍耐強さ、苦境を乗り越える心意気

歴史は常に勝者のもの。しかし、敗者側からみた歴史を紐解かないと見えない景色があります。教科書だけでは勉強できない、大きな権力に立ち向かった男たちの生きざまとは。

時代:平安時代初期(7世紀)
舞台:東北地方
主要人物:阿弖流為(アテルイ)、坂上田村麻呂

 

著者
高橋 克彦
出版日
2002-10-16


主人公のアテルイは蝦夷(えみし)の若きリーダーです。蝦夷とは、もともと東北地方に住んでいた人たちや、大化の改新後の大和朝廷に従わないために北方へ追われた人たちのことを指します。

本編は東大寺の大仏を建立中だった当時の朝廷が、陸奥(青森県)で黄金が採れると知るや、ついでに蝦夷を降伏させる戦を仕掛けるところから始まります。

前半は、大軍率いる朝廷軍を鮮やかに追い返す、少数精鋭のアテルイ軍の活躍がみどころです。アテルイの幼馴染の軍師がいくつもの策を練り、爽快に連戦連勝を重ねていきます。

後半に入ると登場するもう一人の主役が、坂上田村麻呂です。彼はアテルイたちを侮ることなく、慎重に軍略を練っていきます。長期戦になる戦で分解していくアテルイ軍、何度となく挑んでくる田村麻呂率いる朝廷軍。苦しい立場に立たされたアテルイは、あるひとつの決断を下します。

当時の朝廷に従わなかったばかりに一方的な侮辱を受け、人として扱われてこなかったアテルイたちの蝦夷一族が、決死の覚悟で戦う姿を最期まで見届けてください。

ミッション・インポッシブル?貧乏藩の財政改革をせよ!

主人公の上杉鷹山(うえすぎ ようざん)は、不可能とも思われた米沢藩の財政改革を成し遂げた名藩主です。いつも民と同じ目線で生涯を送った彼の素顔を、藤沢周平の絶筆でお楽しみください。

時代:江戸時代 中期
舞台:米沢藩(現在の山形県)
主要人物:上杉治憲(後の鷹山)、竹俣当綱

 

著者
藤沢 周平
出版日


関ヶ原の戦いに敗れた米沢藩は、藩が使えるお金を今までの6分の1に減らされてしまいました。それなのに、家臣の数を減らさなかったので財政の赤字は膨れ上がります。加えて大きな飢饉が起こり、にっちもさっちもいかない緊急事態に追い込まれました。

そんな折、17歳の鷹山が藩の世継ぎとして養子に入ります。彼がまず着手したことは、自分の家の家計を5分の1程度に減らすこと。食事は一汁一菜、木綿の着物で毎日を過ごしました。すぐにできる小さなことをコツコツと積み上げて、藩の借金返済に充てていきます。

それだけではもちろん返済額に足りないので鷹山は数々の財政改革を行いますが、その一つが農業改革でした。本書はその農業改革に取り組む部分をメインに描いています。

農業改革では、鷹山と共に改革にあたった重臣の竹俣当綱が、領内に100万本の漆の木を植えて、その実によって豊かな藩にしていこうという計画を打ち出しました。それはとても夢のある構想で、厳しい財政改革の途中、心折れそうになった鷹山はこの計画を思い出して何度も奮い立ちます。

その後、鷹山と当綱は数々の改革を進めていきますが、なかなかどれもうまくいきません。しかし止まってしまっては藩に未来がないので、検討を重ねてまた改革を続けていきます。失敗を重ねても打開策を打ち出し、幾度も挑んでいく強いリーダーの背中を描いた小説です。

英雄ひしめく幕末を飄々と生き抜いた男、勝海舟

多くの方が、かつて歴史の授業で習ったであろう勝海舟という人物。名前は知っていても、彼の人生や、溢れる魅力を知る方は多くないかもしれません。本書では、そんな勝海舟の魅力的な生涯が綴られます。

時代:幕末
舞台:江戸(本所深川近辺など)
主要人物:勝海舟

 

著者
子母沢 寛
出版日
1968-12-03


勝海舟は、貧しいながらも幕府直属の家来の家に生まれ、やや破天荒な父と愛情溢れる母のもとで育ちました。

海舟が青年になる頃、黒船が浦賀に来航します。それに対して幕府は、鎖国を解くべきかなどの意見を広く募集しました。当時ヨーロッパなどの学問を学んでいた海舟は、勇んで意見書を提出します。それが幕府に評価され、咸臨丸の艦長としてサンフランシスコへの留学が認められました。

留学から帰国した後は、幕府の海軍を統括する役職に就き、神戸に海軍の塾を作ります。その塾の塾頭は坂本龍馬です。海舟は龍馬らと一緒に、今までと違う新しい海軍を作ろうと奔走しますが、反対勢力の抵抗にあって罷免されてしまいます。

ところが、京都で端を発した国内の内戦が江戸まで飛び火しそうになったとき、困った幕府は海舟を呼び戻しました。そして海舟は、内戦を起こしていた薩摩藩(今の鹿児島県)の西郷隆盛との会談で江戸に攻め入らないでほしいと交渉します。江戸で戦争になっても誰も得をしないばかりか、内戦で首都が疲弊したタイミングに外国に攻め込まれて侵略されてしまうと考えたからです。その代わり、将軍の身柄を備前藩(今の岡山県)に預け、江戸城は明け渡し、武器も引き渡す約束をしました。

幕府に翻弄されながらも自分自身を貫き、困難な交渉も胆力を持って最後まで渡り合った勝海舟。その波乱に満ちた生涯を、歴史小説の巨人とも言われる子母澤寛の筆で余すところなく味わい尽くせます。

人生のほとんどが戦争

世界史上類をみない大国、モンゴル帝国を作り上げたチンギス・ハーン。彼の強大な征服欲の源はいったい何だったのでしょうか。反町隆史が主人公を演じた映画の原作です。

時代:12~13世紀(日本だと鎌倉時代)
舞台:モンゴル帝国
主要人物:成吉思汗(チンギス・ハーン)

 

著者
井上 靖
出版日
1954-06-29


主人公は、モンゴル帝国を一代で築き上げたチンギス・ハーン。この作品は彼の出生の秘密について疑問を投げかけるところから始まります。

彼の父はモンゴル人の主権者です。母は他民族に略奪された後、さらに父に略奪されてきた女性でした。戦いの後には略奪が起こるのが日常の時代、母も度重なる略奪の中で出産したため、チンギス・ハーンは自分がモンゴル人なのか他民族の子なのか分かりません。

そして彼は幼くして父を亡くし、権力争いに巻き込まれながら成長していきます。争いの中で不利な立場にいた少年時代のチンギス・ハーンは、「上天より命ありて生まれたる蒼き狼ありき。その妻なる惨白き牝鹿ありき」というモンゴルに伝わる伝説の一文に強く惹かれました。

その伝説を知って、彼は自分がモンゴル人で狼の末裔だと信じるようになります。そうでありたいとも強く願います。それならば一日も早く狼となって、敵を倒し征服しようという想いを持って大人になっていきました。そして、戦いと略奪を繰り返す生涯を送ることになるのです。

常に走り続けていなくては存在意義が証明されない、生きるためには誰よりも強くあらねばならない孤高のプライドを抱え、モンゴルの大草原をダイナミックに駆け抜けるチンギス・ハーンの一代記です。

愛され続ける坂本龍馬の生涯とは?

日本史上有数の人気者である、坂本竜馬。彼は多くのことを成し遂げ、現代を生きる私たちにも影響を与えています。その人生を歴史小説の名手である司馬遼太郎が、生き生きと描き出しました。

時代:幕末
舞台:全国
主要人物:坂本龍馬

 

著者
司馬 遼太郎
出版日
1998-09-10


土佐藩(今の高知県)に生まれた坂本竜馬は、幼い頃から手のかかる子どもでしたが、剣才には人一倍恵まれていました。大人になった竜馬が、江戸遊学の間に様々な人と出会い、刺激を受けて土佐へ戻ってきます。彼は遊学を通して、今までの幕府の体制に疑問を持ち、天皇中心の国にすべく脱藩し、江戸へと向かいます。その途中、竜馬は勝海舟や西郷隆盛、大久保利通らと会い、薩長同盟と大政奉還という偉業を成し遂げるのでした……。

坂本龍馬をテーマにした時代小説の草分けでもある本作、竜馬の長所が全編にわたって書き尽くされているのが魅力です。現代の読者がイメージする竜馬のイメージは、本作によって作り出されたともいわれています。

竜馬の魅力というときりがありませんが、作中で描かれている一部分を紹介するなら、人の立場で物事を考えられる点が挙げられます。なにより人に対して優しさがある人物であると、作中で描かれています。さらに、竜馬はほめ上手で聞き上手、自分の分をわきまえつつも熱く夢を語る人物でもありました。

そんな魅力たくさんの竜馬。彼は日本を分断するような内乱に終止符を打ち、その使命を全うした途端に命が尽きてしまいます。彼の死は未だに謎に包まれたままです。ただ、竜馬が生きた足跡は各地に残り、それをもとに書かれた本書は、数多くの読者の心に竜馬の姿をとどめ続けています。