科捜研で働く、真野礼二。彼を突き動かしているのは、ある悲しい過去だったのでした……。 異色の経歴を持つ作者が描く本格警察漫画『トレース科捜研方位研究員の追想』。科学を武器に真実を突き明かしていく科学捜査官を描いた、科捜研が舞台のサスペンス作品です。2019年1月からは関ジャニ∞の錦戸亮主演で、月9ドラマにもなって話題となりました。今回は、既刊分すべての魅力をご紹介します。 本作はスマホアプリで無料で読むこともできるので、そちらからもどうぞ!
事件の証拠品や遺留品を鑑定し、真実を解き明かす警察の組織・科学捜査研究所。通称・科捜研を舞台にした本格警察漫画が『トレース 科捜研法医研究員の追想』です。
作者・古賀慶は、元科学捜査官という異色の経歴を持っている人物。だからこそ科学捜査に関する描写はとても緻密で、思わず「 へえ!」と思ってしまうこともたくさん描かれています。
事件を追うだけではなく、主人公の過去に絡んだストーリーもあり、謎が謎を呼ぶ展開に期待が高まる作品です。
主人公は、真野礼二。科捜研にて、法医研究員として働いています。知識・鑑定技術ともに群を抜いており、周りからの評価も高い人物です。しかし協調性がないため、周囲からはやや浮いています。
一見クールな彼ですが、実は胸の奥底には強い思いを抱えていました。それは、彼の陰惨な過去が関係していて……。
そんな彼の後輩が、沢口ノンナ。自分の大学の卒業生である法医科科長の勧めで科捜研に入った彼女ですが、自分のような普通の人間がこのような場所にいてもいいのか戸惑うことになります。それでも周りから影響を受け、そして事件の被害者の思いを背負い、彼女は成長を遂げていくことになるのです。
そして、ベテラン刑事の虎丸良平も重要な人物。客観的事実を重視する礼二とは対照的に、刑事のカンを元に動く人物です。仕事第一な性格が災いして、妻子に逃げられてしまいました。最初は礼二と対立してばかりでしたが、しだいに彼を認めるようになっていきます。
科学捜査研究所――通称・科捜研。そこに勤める沢口ノンナは、押収したタバコを1つ1つ鑑定するという地味な作業に辟易していました。
あるテレビ番組のヒーローに憧れて科捜研に入った彼女にとって、地味な鑑定は思い描いていたものと違っていたのです。
そんな彼女の前に現れたのは、出向から戻ってきた「科捜研のエース」と呼ばれる真野礼二でした。
- 著者
- 古賀慶
- 出版日
- 2016-07-20
科捜研の略称で有名な、科学捜査研究所。その仕事は事件の証拠品や遺留品を鑑定し、真実を突き止めることです。
そんな科捜研に、主任として勤めているのが真野礼二。本作の主人公です。彼は研究員としては有能ですが、ノンナの腕時計が1分23秒ずれているのを目ざとく見つけて気にするなど、融通の利かない男でした。
研究員としてはまだ新人のノンナは、エースである彼とコンビを組んで仕事をすることになります。本巻に収録されているのは、強盗殺人事件や息子が父親を殺した事件、強姦事件のエピソード。
1話に当たる強盗事件は、科捜研がどんな仕事をしているか、礼二やノンナがどんなキャラクターかを紹介する内容となっています。ですのでトリックやミステリーを楽しむより、考えられるあらゆる状況を想定し鑑定する礼二の、何が何でも真実を突き止めようとするキャラクター性を楽しむことができるでしょう。
また、彼がどうしてそこまで真実を追求することにこだわるのか、その背景にある過去についても描かれています。発生する事件の真相究明、そして礼二の抱える過去。これからの展開が気になる大きなストーリーも描かれている、注目の第1巻です。
ベテラン刑事の虎丸に連れられ、とある公園にやってくる礼二。そこは、かつて彼が家族とともに暮らしていた家のあった場所でした。
23年前――まだ小学生だった彼が家に帰って目にした光景。それは、家族全員が惨殺されているという凄惨な光景だったのでした。
- 著者
- 古賀慶
- 出版日
- 2017-02-20
前巻で登場した刑事・虎丸は、40代のベテラン刑事です。正義感にあふれる頼もしい男なのですが、実は礼二とは因縁浅からぬ関係でした。
23年前、まだ小学生だった礼二が帰宅して見たものは、家族全員が惨殺されている光景……。その時、彼の通報を受けて真っ先にやって来たのが、当時20歳で交番勤務だった虎丸だったのです。
しかし、その事件は、長男、つまり礼二の兄・義一が遺書を残して自殺していたことから、彼が家族を殺して自殺したものとして処理されていました。
そんな結末に、礼二も虎丸も違和感を覚えていたのです。事件後、礼二は世間の好奇な目を避けるために名前を変えていたため、前巻の時点では、虎丸は彼がかつての生き残りの少年とはわかっていませんでした。しかし、どうやら本巻でそのことに気が付いたようです。
しかも、虎丸はその事件に関して何かを掴んでいるようなことも匂わせており、今後の展開が気になるところ。
また、3話にわたるバラバラ殺人事件など、読みごたえのあるエピソードが収録されている本巻。終盤では、23年前の礼二の事件に関して、隠された陰謀、さらに礼二自身も何か掴んでいるような様子が描かれているのですが、この時点ではまだ何もわかりません。
個々の事件の話も面白いですが、これから礼二が何をしようとしているのかが気になる第2巻です。
「先生」と呼ばれる人物と連絡を取った礼二は、そこから23年前の真実の一端を掴むことになりました。先生は、礼二の殺された姉・仁美のかつての担任教師。
23年前、先生の元を訪れた仁美は、ある衝撃の事実を告げて……。
- 著者
- 古賀慶
- 出版日
- 2017-09-20
前巻までは、23年前の事件に関してあまりにも情報がありませんでしたが、本巻ではそれが一気に進展。家族を殺して自殺したとされている礼二の兄・義一と、殺された姉・仁美に関する真実の一部が明かされます。
義一は、学校でいじめられていました。そのいじめをしていたのが壇浩輝、佐保優作、新妻大介という3人の男。この3人の名前はこれから重要になってくるので、ぜひチェックしておいてください。
そして、彼らはさらに悪どい事に、義一を殺すと仁美を脅して、強姦していたのです。これまで23年前の事件に関しては情報がほとんど描写されていなかったこともあり、かなり衝撃的な展開が続きます。しかし、ここからさらに事件は急展開。先が気になってしょうがありません。
また、前巻で虎丸は礼二に、この事件には深く関わらないほうがいいと忠告していましたが、その意味が少しわかるのも本巻です。
23年前の事件には一体何が隠されているのか、礼二がどのように動いていくのか、その時に科捜研のメンバーがどうするのか……これからも目が離せません。
礼二の兄・義一をいじめていた3人の男。姉である仁美の、かつての担任教師の協力を得ることに成功した礼二。
しかし、そんな最中、いじめていた3人の男の1人、新妻大介が殺されてしまいます。さらにもう1人、壇浩輝はなんと刑事部長になっていて……!?
- 著者
- 古賀慶
- 出版日
- 2018-03-20
前巻では23年前の事件に関しての新事実や急展開がありましたが、本巻ではそれを受けて、さらなる展開が描かれます。義一をいじめていた3人の男の1人である壇浩輝は、なんと刑事部長になっていたのです。
しかも、彼の父親は法務大臣であり、事件当日は警視総監だったといいます。これはもう、事件の裏に壇親子の影があると考えるのは自然なような気がしてきますね。
礼二もそう考えて、行動を慎重にしようとします。しかし、壇は礼二の正体をちゃんと知っていました。ある日突然、事件の真相を探っている礼二の元へ彼がやってきて、自ら証拠を提供するような行動を取るのです。
この時の彼の行動がものすごく印象的なので、ここはぜひ実際に手に取って確認してみてください。
また、23年前の事件絡みのエピソードの他、電車での痴漢事件や、徘徊していた老人が交通事故死した事件などのエピソードが収録されています。どんどん展開されていく23年前の事件、さらに科捜研の面白さが詰め込まれた話と2つの筋が進められていくので、最後まで飽きる暇もありません。
読み始めたら、つい夢中になってしまうこと間違いなし。ぜひ時間のある時に一気読みしてみてください。
礼二からすべてを奪った張本人である可能性が高い、壇浩輝。しかし、彼は過去に因縁のある人物だと思われていることを知りながら、堂々とその姿を表して自分の血液を差し出すのでした。
混乱する礼二ですが、真実を暴くために冷静に頭を働かせ、DNA鑑定をおこないます。
- 著者
- 古賀慶
- 出版日
- 2018-09-20
ついに、黒幕と思しき人物のDNAを採取しますが、礼二の姉のお腹のなかにいた胎児と壇のものは一致しませんでした。手助けをしていた仁美の元担任教師も、頭を抱えます。
しかし、礼二は諦めません。仁美がレイプされたであろう日に容疑者3人がいたことは確実で、彼らのDNAを持っていることに希望を見出すのでした。
そんななか、上司の海塚が彼を呼び出し、ある貴重な資料を手渡すのですが……。
徐々に事件の真相に近づいていく展開ですが、血液を渡した壇の不気味な笑いから、まだまだ解決までの道のりは長そうなことが窺えます。
また、その後に事件をきっかけに、ノンナが礼二に興味を持つなどの注目展開も必見。今後、彼の心が見られるきっかけになりそうなので、要注目ですね。
ついに、過去の事件に繋がるかもしれない重要な人物・志堂優太と会うことになった礼二。彼は、礼二の家族が殺害された事件を担当していた刑事の息子でした。
そんななか、その優太が重要参考人となる殺人事件が発生し……!?
- 著者
- 古賀慶
- 出版日
- 2019-01-19
被害者は、益山英彰。実は、彼には7年前に両親を殺害されたという過去がありました。そして、その犯人は父親の不倫相手だったのです。優太は、そんな彼に取材をするライターとして、被害者と接点を持ったのでした。
被害者遺族が殺人に合った、今回の事件。さらに重要参考人が礼二の過去の事件に関係していたりと、かなり複雑なものとなっています。そんななか、益山の両親を殺害した人物の妹である佐藤文乃の存在も浮上してきて……。
ここから事件の真相は、意外な方向へと向かっていきます。それぞれの思惑、そして守りたかったものとは?思わず胸が苦しくなるような真実は必見です。
そんな本巻の1番の見所は、なんといっても優太の口から礼二の過去の事件に関する、ある事実が語られる場面でしょう。この事件の担当をしていた、優太の父親。彼はなんと、捜査をやめろ、と命令されたのでした。その指示を出した人物とは……。
本巻には、注目人物も登場します。科捜研法医科副主任・野川正臣です。一見効率重視の冷たい人物に見えますが、彼の活躍、そして冷静な判断もあって事件は解決へと向かいます。礼二とのコンビネーションも必見です。
またラストには、若い頃の虎丸も登場。彼が事件にどのように関わっていたのかも、徐々に明らかになっていきそうな予感です。果たして、事件の真相はどのようなものなのでしょうか。次巻の展開からも、目が離せません。
虎丸良平が明かす「練馬一家殺人事件」の更なる闇。大きな壁にぶつかることとなった礼二は……?
- 著者
- 古賀慶
- 出版日
- 2019-06-20
第7巻の見どころは、虎丸が明かす10年前の真実です。
虎丸家の晩餐に招かれた礼二。その帰り道、礼二は虎丸に向かい、こう告げます。
「10年ほど前 ある男が練馬一家殺人事件を調べるため担当刑事牛濱勇の元を訪れた その男は虎丸良平」(『トレース 科捜研法医研究員の追想』第7巻より)
そして虎丸は、10年前に自身が事件を捜査をした際に起きた出来事を礼二に語り始めます。
強制的に終了させられた事件の捜査、破棄された事件資料。それらをの指示をしていたのは……?
牛濱の元を訪ねた虎丸は、「練馬一家殺人事件」の深い闇を目の当たりにしました。
「この事件には関わるなと… 分かりやすい警告だった」(『トレース 科捜研法医研究員の追憶』第7巻より)
次第に明らかにされていく24年前の「練馬一家殺人事件」の謎。そして闇。これらに対し、礼二や虎丸はどのような行動を起こすのでしょうか?
いかがでしたか?自らも科捜研勤務の経験がある作者の描く『トレース 科捜研法医研究員の追想』は、警察もののなかでも特に本格的。科捜研が舞台ということで、ミステリーやサスペンス好きの方はもちろんですが、科学好きの方も面白く読むことができるかもしれませんね。
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明かに罪があるのにもかかわらず、現行の法では厳罰化が望めないという事例が往々にしてあります。そんな相手を恨み、不幸な目に遭って欲しいとつい思ってしまう事もあるでしょう。『ブルータル 殺人警察官の告白』の主人公は、過激な私刑を執行している警察官です。彼は悪人でしょうか?それともヒーロー? 「トレース 科捜研法医研究員の追想」のスピンオフである本作、ネタバレを交えつつご紹介いたします。 読んでみたい!という方は、スマホアプリで無料で読めるのでぜひチェックしてみてください。