ダークなラノベおすすめランキングベスト10!

更新:2021.12.15

ラノベは明るく楽しいストーリーばかり!……というわけではありません。ちょっとダークなストーリーが魅力の作品だってあるんです。シリアスだけど、だからこそ読み始めると止まらない。そんなダークな世界を楽しめるラノベをご紹介します。

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10位:真っ黒すぎるダーク・ファンタジー『白貌の伝道師』

砂塵吹き荒れる荒野で旅をしているエルフ、ラゼィル・ラファルガーは野盗集団に襲撃されるもこれを返り討ち。向かってきた野盗全員を殺害。残された幌馬車からハーフエルフの少女・アルシアを見つけ、行動を共にします。

アルシアは人とエルフの混血故に純血のエルフからは忌み嫌われるだけでなく、恋人であった人間、アーウィン・メラネイドの裏切りにより騙されて盗賊に引き渡されたのでした。過酷な陵辱を受けた結果、アルシアは抜殻となってしまいます。

ラゼィルはアルシアの絶望を聞き入れ、彼女の故郷である谺谷のエルフと共謀して人間に復讐することを提案。アルシアの復讐、エルフの想い、そしてラゼィルの思惑とは……。光と闇、混沌が渦巻く決戦の幕が落とされます。

著者
虚淵 玄
出版日
2012-03-16

トラブルを抱えた町に凄まじい力を持つ旅人が現れ、その町の民と手助けしながら進む……、といういかにもありがちな導入部ですが、単純に進まないのが虚淵玄作品です。主人公のラゼィルはエルフ特有の美しい容貌を持ちながらも残虐にして悪辣。その行動はまさに悪逆無道な振る舞いで真っ黒すぎる、もはや清々しいぐらいのダークヒーローに仕上がっています。

作風は狂乱劇です。邪悪で鬼畜な救いがたい人物である主人公のラゼィル、失意のそこに沈む悲劇のヒロイン・アルシア、そしてアルシアを貶めた領主の御曹司や狂ったマスターなど、登場人物の涙や公海、懺悔など負の感情が渦巻いています。

正義のヒーローや良心のある行動を好む方向けではありません。しかし独特の構成や文章には、嘘や欺瞞、自己防衛などの狂気渦巻く世界のなかで慈愛精神を考えさせられる部分も。決して万人受けするような作品ではありませんがダーク・ファンタジーにどっぷりと浸かりたいときにおすすめです。

作者の虚淵玄は『Fate/Zero 』や『魔法少女まどか☆マギカ』などを手掛けていますが、そちらの作品に惹かれて本作を手にした方にはかなり衝撃を受けるかもしれません。しかし意表をついた物語にはハマってしまう底の深さがあります。

9位: 主人公は、異能力を持つ少女!『B.A.D.』

物語は、繭墨霊能探偵事務所を中心に進行していきます。この探偵事務所の所長は、14歳の美少女で、異能力の持ち主の繭墨あざか。あざかは異界と繋げたり、夢を渡り歩いたりすることができるのでした。

著者
綾里 けいし
出版日
2010-01-30


来客がないときは、日がな一日チョコレートを食べて過ごすあざか。そのせいで事務所の中は常に甘いチョコレートの香りが漂います。しかし甘い香りとは裏腹に、あざかは冷酷で傲慢でワガママです。

ある日あざかは、行方をくらませた兄あさとの痕跡を追っている最中に、瀕死の小田桐と出会います。小田桐を気まぐれで助け、助手にしたあざか、そのことを知った兄は、あざかと小田桐に執拗に悪趣味なゲームを挑むようになり……。あさとの目的とはなんなのか? あざかと小田桐は、ゲームに勝つことができるのか?

シリアスでミステリアスなストーリー展開。ドキドキしながらページをめくる手が止まらなくなる作品です。

8位: SFアクションを楽しめる!『ブラック・ブレット』

本作では、世界に突如現れた寄生生物「ガストレア」と、それを排除する民間警備会社の戦いが描かれます。

著者
神崎 紫電
出版日
2011-07-08


主人公里見蓮太郎は、幼い頃に両親を亡くし、天童家に引き取られます。連太郎はやがて、自らのルーツを知るために天童民間警備会社を立ち上げるのでした。さまざまな仕事をしていく中で、彼は「ガストレア」の謎や、自らの存在意義について知っていくことになります。寄生生物「ガストレア」とは一体なんなのか? 連太郎のルーツとは? さまざまな謎がひしめく、SFアクションストーリーをお楽しみください。

7位: ベースはグリム童話!『断章のグリム』

本作は、グリム童話をモチーフにした物語です。主人公は「普通」であることを大切にしている高校生白野蒼衣。そんな彼はある時、謎の怪現象を目撃します。このことがきっかけとなり、蒼衣は普通の生活からは程遠い、悪夢の童話が顕現する世界へと巻き込まれていき……。

著者
甲田 学人
出版日


普通の生活からかけ離れた生活を余儀なくされる中でも主人公が望むのは、「普通」であること。多くの人と出会い、多くの別れを経験しながら彼は、彼の望む「普通」を取り戻すことができるのでしょうか?

グロテスクな表現が多いので苦手と感じてしまう人も、中にはいるかもしれません。けれど、単にグロテスクなだけではありません。グリム童話が好きだという人は、その内容が散りばめられた作品なので、より面白く読むことができることでしょう。

6位:大事な選択、守りたい人がいる『ケモノガリ』

極々平凡な高校生、赤神楼樹が本作の主人公。修学旅行中に危険な組織の殺人ゲームに巻き込まれてしまいます。その異常な状況下で発現されたのは殺人の才能でした。

楼樹はその才能を自ら恐れながらも、貴島あやなを守るためにその手を血に染めていきます。退屈だけど平和だった昨日を思い出しながら苦悩する楼樹は、最後まで生き残ることができるのでしょうか、そして大切な人を守り通すことができるのでしょうか。

著者
東出 祐一郎
出版日
2009-07-17

平凡な主人公があるきっかけで、才能を開花させていく作品は数多くあると思います。例えばスポーツにおいて実は異様に足が速い、であったり、ファンタジー作品においては隠された世界を守る力があったり、またはまたはヴァーチャルゲームの世界において超天才的な才能があったりとその設定は様々ですが、本作の主人公である赤神楼樹が授かった才能は非常に辛辣です。それは殺人の才能、または生き残る才能。

過去ここまで他人を害する可能性がある主人公がいたでしょうか、しかも当初から相思相愛の貴島あやながいるにも関わらず、己の才能が彼女を不幸にすると考えて、あえて自ら離れることを決意します。

自分に殺人の才能があったらどうでしょう、しかもいきなり殺人ゲームに巻き込まれてしまったら、大切な人をその才能で守っていかなければならないとしたら……。

本作『ケモノガリ』において楼樹はククリ刀という殺傷能力の非常に高いナイフを主武器に、容赦なく血みどろの闘いを繰り広げます。自らも時にはナイフで抉られ、ライフルで狙撃され、血を流し傷つきながら闘う楼樹、そんな主人公に自分を投影していただければ非常に臨場感のある作品として楽しんでいただけると思います。

5位:日常に潜む非日常『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』

本作に関しては非常に好みが分かれるのではないかというのが正直な感想です。幼いころに誘拐されたまーちゃんこと御園まゆは、心が壊れてしまっています。その壊れた心をバラバラにしないようにみーくんはまーちゃんに常に寄り添います。

本作の語り、みーくんにしても、まーちゃん同様に誘拐事件に巻き込まれていて、その精神にはやはり異常をきたしています。表面上普通にも見えますが感情の起伏が非常に少ないなど自らを昆虫系と評するほどです。

日常の中で起こる殺人など、サスペンスホラーに傾倒している本作ですが、常に中心はみーくんとまーちゃんの壊れた心にあります。日常で生活をする異常な二人が、どのようにしてそれを乗り越えていくのか、みーくんはまーちゃんの壊れた心をつなぎ留め続けることができるのか。

著者
入間 人間
出版日

語弊はあるかもしれませんが本作において精神の健常なキャラクターはほぼ登場しません。過去のトラウマにより心の壊れている主人公とヒロイン、そして日常に潜む殺人鬼。全体を通して感じるのは日常に潜む違和感です。

みーくんにせよまーちゃんにせよ、特にまーちゃんですが、明らかに精神が崩壊しているにも関わらず、一見日常生活に溶け込み生活を送っていることにも恐怖を感じます。作中において何度も触れられている通り、まーちゃんは非常に危ういバランスで自我を保っているレベルで、むしろまーちゃんが事件を起こす可能性が一番高いのではないかと感じるほどです。

みーくんとまーちゃんの掛け合いは、ある意味バランサーのみーくんのおかげで読んでいてハラハラしながらも楽しめますが、そこに他の友達が関わってきた際などはもう見ていられません。

殺人事件を中心に描かれる本作ですが、どこか語りのみーくんに緊張感が感じられないながらも、淡々と事件を解決していきます。過去のトラウマから感情の起伏が欠しいみーくんが、まーちゃんの為にふと熱い一面を見せる場面などは読んでいる側も物語に入り込み熱くなります。

そんなみーくんはまーちゃんにある最大の「嘘」をついていました。その衝撃の嘘とは?そしてその嘘を壊れているまーちゃんはどの様に受け止めるのか、いや、受け止めることができるのか、まさか殺したりなんてことはないと信じたい……。常にギリギリを行くこのサイコバイオレンスの世界を是非皆様に読んでいただきたいと思います。

4位:光と影のコントラスト!影がやや強め『鉄球姫エミリー』

少しコミカルな印象を受ける方もいるかもしれない題名ですが、題名に反して、その実内容は非常にサディスティックといいますかバイオレンスな仕上がりになっています。

鉄球姫ことエミリーは弟王との無用な権力闘争を避けるために辺境で暮らしていました。しかしそこに暗殺者、亡霊騎士が送り込まれエミリーの従者を皆殺しに、そして影武者のジュディは拷問の末に無残にも殺されてしまいます。

冒頭のエミリー達が楽しそうに生活しているシーンから一転して虐殺、そのコントラストが作品に非常に大きいインパクトを与えています。可愛らしいカバー絵で本作を手に取る人はその内容にびっくりしてしまうかもしれませんね。

従者を皆殺しにされ、影武者も失ったエミリーは追い詰められます。亡霊騎士たちを打破するために起死回生の一手、反撃に打って出ますが……。

著者
八薙 玉造
出版日
2007-09-25

身体能力を上げる輝鉄、そしてそれを埋め込んだ大甲冑など、非常にファンタジー色の強い設定で溢れている本作ですが、羊の皮を被った狼よろしく、ファンタジーの皮を被ったバイオレンスアクションです。

物語の唯一の救いはコミカルなエミリーのキャラクターでしょうか。殺し合いが当たり前の世界観でエミリーは常に明るく、そして非常に卑猥です……。戦争や継承権争いなど本格的にダークな物語ですが、そういったキャラクターで全体のバランスをとっている印象です。

しかしそれでも拭えない影が作品全体につきまといます。逆にそれが作品の重厚なバックボーンになっているとも言えます。冒頭、楽しく何不自由なく生活するエミリー達を襲う悪夢、阿鼻叫喚の中エミリーは何を思い何を選択するのか。

ファンタジー色を強く打ち出している本作ではありますが、魔法などの特殊能力はほとんど存在せず、基本的には凄まじい身体能力での肉弾戦が繰り広げられます。大甲冑の恩恵により凄まじいい力を得ることができる作中においては老人も女性も前線にでて凄まじい力で殺しあいます。そんな血しぶきが飛ぶ戦場をエミリーは生きていくことができるのか、また再び大切な人と笑いあう、平穏な生活を手に入れることができるのか、いや、エミリーはそれを望むのか……。鉄球姫、エミリーの選択はいかに。

3位:ダークな世界観の魔法少女ラノベ『新本格魔法少女りすか』

舞台となるのは九州の佐賀県。魔法の国・長崎県とは巨大な城門で遮られており行き来するには特別な許可が必要になる、ちょっと変わった日本でのお話です。

主人公は供犠創貴(くぎ きずたか)という心に茨をもった少年で、彼が水倉りすかという転校生の少女と出会うことから物語は始まります。

りすかは長崎からやってきた魔法使いで、自らの血で魔法を発動することができる小学五年生ですが、一定の血を流すと27歳の姿になってしまいます。そんな彼女の目的は彼女の父親を探し出すこと。お互いに利用し合う二人は無事目的を果たせるのでしょうか?

魔法少女ラノベとしてはダークでハードな世界観が売りの一作です。

著者
西尾 維新
出版日
2004-07-17

りすか、という名前から連想される通り、魔法少女の自傷シーンが多い作品です。彼女の力を使うためには血を流すほかなく、そのためにいつもカッターナイフを持ち歩いているなど、小学生とは思えないような状況です。

主人公である供犠創貴もまっとうな少年像とはかけ離れており、自分以外の人間を格下として見たり、目的のためなら人の死すら厭わない残虐性を備えていたりなど、おそらくライトノベルというジャンルでなければ魔法少女モノという概念では出てこなかった設定が連なっています。魔法少女としては非常に異例な作品として期待できる作品といえるでしょう。

2位: 孤立無援の主人公はどうなるか『扉の外』

修学旅行に向かう途中、突然クラスメイトたちと見知らぬ場所に監禁された主人公千葉紀之。意識を取り戻した紀之たちの前に現れたのは、なんと人工知能で……。

著者
土橋 真二郎
出版日


人工知能は「地球で核戦争が始まってしまいました。人間という遺伝子をつなぐため、あなたたちは宇宙船で地球を脱出することになったのです」(『扉の外』より引用)と言います。人工知能は彼らを庇護する変わりに、とある条件を出します。クラスメイトすべてが条件に同意しますが、紀之は拒否。自ら進んで孤立無援を選んだ紀之は、1人でこの状況を乗り越えていけるのでしょうか? 監禁されてしまった彼らの行く末は? 先の展開が予想できない、ハラハラしてしまう物語です。

1位: 怒涛の恋愛?でもシリアス!『パニッシュメント』

どの作品にも、悪役はいるものです。しかし本作には不思議なことに、「悪人」がいません。どのキャラクターも愛すべき存在として描かれていきます。

著者
江波 光則
出版日
2011-02-18


高校生の郁の父親は、宗教団体の教祖。そんなことは知らずに接してくる、幼馴染で同級生常の磐。実は彼女の母親は、郁の父親の新興宗教にのめり込んでいたのでした。ある日同じクラスの謎多き少女七瀬が、郁の前に現れて……。

悪者として描かれそうな宗教団体すら、悪者のようには描かれない本作。善悪は自分で判断しなくてはいけません。タイトルにもなっている『パニッシュメント』は、日本語で「罪」という意味。この「パニッシュメント」は、誰の罪を指しているのか……など、ミステリー要素も盛り込まれています。もちろん身悶えしてしまうような恋愛シーンも楽しめます。恋愛とシリアスな問題を同時に考えられる作品です。

今回は少しダークなラノベをご紹介してきました。シリアスなシーンも多い作品、その分読み応えがありますよ。

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