お腹についているガチャを回して戦う「ガチャマン」。 ガチャの中には様々な能力が入っいます。しかしどんな能力が出るのかは運次第。 さらに、ガチャを回すには「ありがとうコイン」を集めなければなりません。 斬新な設定に振り回されて、思うように戦うことができない主人公に思わず笑ってしまう作 品。もちろん、ヒーローならではのカッコいいシーンも見どころです!
ある日,主人公の九地廻人(くじ かいと)は気が付くと学校の屋上に立っており、お腹に「ありがとう」と書かれたガチャガチャのレバーが付いていることに気が付きます。
さらに全ての記憶が失くなっており、手がかりは学生証に書いてある自分の名前と、ガチャの説明書だけ。
説明書にはガチャの中身について書かれており、どうやらガチャを回すと失った記憶や才能、攻撃や回復といった様々な能力が手に入るようです。
さらに、ガチャを回すには「ありがとうコイン」というコインを集める必要があるとのこと。人から感謝される行いをすると、「ありがとうコイン」を集めることができるのです。
廻人は「ありがとうコイン」を集めてガチャを回し、なんとか記憶を取り戻そうと奮闘するのですが、他にもガチャが付いている「ガチャマン」が現れて、戦いが始まります。
クスッと笑えるギャグ要素もありながら、廻人がガチャの中身で困った人を助けるカッコいいシーンも魅力的な作品です。
- 著者
- ["焼き芋ハンサム 斎藤", "村上 ペコ"]
- 出版日
『ガチャマン』の面白さはなんといっても謎の多い設定に振り回される、廻人の様子が面白いことです。
実際にどんな設定なのか、一部ネタバレをしながら紹介していきます。
廻人はヤンキーが集うことで有名な槍杉(やりすぎ)高校に通っており、その高校で番長として君臨しています。
圧倒的な喧嘩の強さと凶暴性から、多くの人から恐れられています。
一方でヤンキー達からは憧れの存在として崇められているのです。
そのため、廻人が教室にはいるとヤンキーが全員深々とおじきをしたり、専用の社長イスが用意されてあったりと、まさに「やりすぎ」とも感じられるほどの扱いを受けるのです。
ヤンキー達からの特別待遇に驚く廻人のリアクションが、クスッと笑ってしまうほど面白いです。
さらに、廻人は他校の生徒から喧嘩を売られたり、同じ学校のヤンキーから番長の座を狙われたりなど、次々とトラブルが発生していきます。
想像の斜め上いく展開がテンポ良く繰り広げられるので、最後まで笑いが止まらないでしょう。
ガチャを回すには「ありがとうコイン」を集めなければなりません。
誰かが廻人に対して「ありがとう」という気持ちを持った時に、コインを手に入れることができます。
廻人は「ありがとう」を集めるために困っている人を助けたり、様々な親切な行いをするのですが、怖がられているため中々コインを手に入れることができません。
「ありがとうコイン」は相手が廻人に対して本当に感謝の気持ちを持った時に、手に入れることができるのです。
「ありがとう」と言ってもらえた瞬間に、廻人の口からコインが出てくる描写に毎回笑ってしまいます。
廻人は「ありがとうコイン」集めるために親切な行いをするのですが、怖がられて逃げられてしまいます。
店員さんから「ありがとうございました!」と言ってもらうために、廻人がコンビニへ何度も出入りする小ボケも個人的にはツボでした笑
一方で廻人は「ありがとう」から遠い人間だったこともわかってきます。記憶を失う前の廻人は一体どんな人間だったのか気になりますね。
ガチャの説明書には、「お腹に付いているガチャを他の人にみられると死んでしまう」ということが記載されています。
廻人はガチャを見られないようになんとか隠して生活していますが、ふとした瞬間に誰かに見られそうになったり、なぜか廻人の裸体を見ようとしてくる学校の先生がいたりなど、バレそうになる危機が何度も訪れます。
その度に貴重な「ありがとうコイン」を使って、危機を回避していく場面も面白いです。
このように自分と意志とは全く関係なく、謎の設定や周りの人たちによって廻人が振り回され続けるドタバタの連続に笑いが止まりません。
その他にも、作中に散りばめられている小ボケやギャグによって、クスッと笑ってしまうのが『ガチャマン』の魅力です。
ガチャの中身は説明書によると、ガチャを回すと「才能、回復、攻撃などのさまざまな能力が手に入ります」記載とされています。
さらにソシャゲのガチャのように、出てくる能力はC、B、A、SSRという形でランク分けされているようです。
例えば、Cランクだと「生え際1ミリ前進」「鼻くそ消滅」「いいニオイになる」など、どうでもいいガチャもあれば、SSRだと「超キック」という爆発と共に建物の壁を破壊してしまうほどの能力もあるのです。
ガチャの中身によって、予想のしない展開になっていくのが『ガチャマン』の面白いところとなっています。
特に大事な戦いで廻人がカッコ良くガチャを回すのですが、Cランクのガチャが出てしまいあっという間にピンチになると言った、力が抜ける展開に笑ってしまいます。
逆に、大勢の敵に囲まれている時にCランクガチャ「怖い顔」というハズレガチャを引いてしまうのですが、敵がそれに驚いて逃げていくといったラッキーな展開も。
このようにガチャの中身によって予想のつかない展開に転がっていくので、読んでいる側も思わずツッコミを入れてしまいたくなるような面白さがたまりません。
『ガチャマン』では廻人が人を救うために、ガチャの能力を使う熱いシーンがあるのも魅力です。
廻人と同じくガチャマンとなった湖水渦秦(こすい うずまさ)は、ガチャの能力を使って逆らった人たちに暴力を加えていき、学校を支配していました。
湖水は廻人のクラスメートである橋里(はしり)に対して、自分の命令に従わなかった腹いせとして、ガチャで攻撃を加えてしまいます。
それを知った廻人は湖水に戦いを挑みます。
コインの手持ちが少ない廻人に対して、どんどんガチャを回して攻撃を繰り出す湖水。
実はガチャマンによって、廻人は「ありがとうコイン」、湖水は「やめてコイン」のようにガチャを回すコインに違いがあります。
湖水は様々な人に暴力を振るい、「やめて」と言わせることで多くのコインを手に入れていたのです。
廻人は自分の「ありがとうコイン」を使って反撃しますが、全て使い切りピンチに追い込まれてしまいました。
一方で、「やめてコイン」を集めるために多くの人を傷つけてきた湖水の姿をみて、『俺のガチャが「やめてガチャ」じゃなくてよかった』と感じるようになりました。
そして、自分が「ありがとうガチャ」だったからこそ、周りに優しくして仲良くなれたことを実感します。
「ありがとう」ガチャによって周りに優しく接することができ、多くの友達ができたことを自ら感謝すると、なんと「ありがとうコイン」が出てきたのです。
そのコインでガチャを回すと「SSRの超パンチ」という超レアガチャが出現し、湖水を倒すことに成功。
廻人は友人を救うことができました。
ピンチに追い込まれながらもヒーローとして人を助けるかっこいいシーンは、作品の面白さを引き立ててくれます。
廻人や湖水の他にもガチャマンがたくさんいるようです。そして、湖水と同じように他の人を傷つけながらコインを集める人もたくさん出てくるかもしれません。
廻人は次々と現れる悪質なガチャマンを止めることができるのでしょうか。
また、作品では「なぜ廻人がガチャマンになってしまったのか」「そもそもなぜガチャマンが存在しているのか」といった説明がまだありません。
どうやらソシャゲのようにガチャマンを運営している組織があるようですが、その目的は不明のまま。
ガチャマンの本当の目的がどのようなものなのか気になりますね。
廻人は記憶を全て取り戻すことができるのか、そして記憶を取り戻した先にどんな結末が待っているのでしょうか。ゴールが気になる作品です。
今後の展開として、実際のソシャゲのように何かしらのイベントが発生したり、アプデによってガチャが強化されたりするような、独特な展開が待っているかもしれませんね。
今後のストーリー展開にも注目です。
『ガチャマン』は斬新な設定に振り回される廻人の姿が面白くて笑えてしまう作品です。
また、テンポもいいのでサクサク読める爽快感と、ヒーローならではの熱い展開によって、最後まで飽きずに読むことができます。
たくさんの謎もこれから明かされていくはずなので、ストーリーの面白さも加速することでしょう。
笑ってスッキリしたい時に読んで欲しい作品です。