全く恋愛感情のない二人がいきなり結婚生活をスタートさせる特殊な設定。他人から夫婦へと少しずつ変化していく過程を登場人物と一緒に読者も楽しめるのが醍醐味です。 設定やキャラクター、テーマによって距離の縮まり方や展開が大きく違うので、自分が読んでみたい作品を探してみてください。
名家の娘であるにも関わらず、妾腹(しょふく)の子であることによって使用人のようにこき使われている主人公の八重(やえ)。
整った容姿を持っている八重に嫉妬している姉から、暴力や監禁などのひどいイジメを受けていました。
八重は「こんな生活がずっと続くのだ」と思っていたところ、頼久(よりひさ)という男性と偶然出会ったことにより運命が変わっていきます。
頼久は超有名な名家の嫡男で、八重が見惚れてしまうほどのイケメン。そんな彼はなぜか八重を気に入り婚約を申し込みます。
結婚後は使用人のような生活から抜け出せることに感謝し、まるで王子のように頼久を慕う八重ですが、頼久は八重に関心をほとんど持っていない様子。
実は頼久には、「器量のよくない女性が好きで美人は苦手」、「他に愛人がいる」といった噂があったのです。
頼久に振り向いてくれなくても、八重が健気に尽くそうとする姿がたまらなく切なくなってしまいますが、少しずつ頼久は八重に関心を持つようになっていく様子をみると、読んでいる側も少しずつ心が暖かくなっていくでしょう。
八重と頼久の関係が深まっていくごとに、頼久の謎もだんだんと解き明かされていくサスペンスのような要素も楽しむことができる作品です。
- 著者
- ["中 てい", "壱崎 煉"]
- 出版日
主人公の桐島は会社をリストラされたことによって彼女とも別れて、次の就職も上手くいかずに困っていました。
そんなある日、友人とお酒を飲みながら就職できないことを愚痴っていると、桐島のもとに綺麗な女性が現れます。
その女性は石村という名前で、「今、仕事をしていないのなら、私のところで働かない?」と桐島に持ちかけます。
ひどく酔っ払っていた桐島は提案を受け入れ、契約書にサイン。その翌日指定された場所を訪れますが、なんとそこは石村の自宅なのでした。
石村は自分の家の掃除や洗濯、食事の用意をさせる世話係として桐島を雇おうとしていたのです。
さらに、桐島が記入した契約書は実は婚姻届けで、石村と夫婦になってしまいました。
専業主夫として生きることになった桐島と、クセのある石村との奇妙な生活がスタート。
さらに石村が桐島と結婚したのには他にも理由があり...。
この作品は桐島と石村との関係が進展していくところも魅力ですが、仮の夫婦から「本当の夫婦」として成長していくところにも注目です。
愛情のない結婚をしたものの、共に生活をしていく上でお互いに意見を言い合いながら、夫婦としての関係を深めていきます。
これからパートナーとの同棲や結婚を考えている人は、『ラララ!』を読んでおくとこれから始まる生活のヒントになるかもしれません。
また、予想もつかない事件や暗いテーマに立ち向かっていく展開もあります。それらを乗り越えながら暖かい家庭を作っていく姿を見ると、思わず応援したくなります。
- 著者
- 金田一 蓮十郎
- 出版日
- 2013-10-25
『婚姻届に判を押しただけですが』は2021年にドラマ化された人気作品。
アラサーの明葉(あきは)は仕事が生きがいの明るい女性。明葉は取引先の百瀬(ももせ)と出会うのですが、百瀬からいきなり求婚されてしまいます。
百瀬はなぜか既婚者の肩書きを欲しがっており、様々な女性に求婚をしている変わった男性。
明葉は一度断りますが、百瀬に多額の借金をしてしまったため、結婚を承諾。
明葉が百瀬に借金を返すまで、一時的な夫婦として生活していきます。
お互いのメリットのために結婚したカップルの行方はどうなるのか。そして百瀬が既婚者にこだわる理由は一体なんなのか。
二人のゴールがとても気になる作品です。
婚姻届に判を押しただけですがの魅力は「夫婦とは何なのか?」を考えさせられる作品です。
夫婦の間には様々な問題が発生します。特にいきなり他人から夫婦になった明葉と百瀬には大きなトラブルの連続です。
それでも、お互いの距離が近づいたときに感じる「キュン」とした感覚は、安心感のようなものを覚えます。
また、離婚前提のカップルではあるものの少しずつ好意を持ち始めていき、「もし本当にお互い好きになったらどうなるのだろうという」葛藤が描かれているところも、他の作品にはない面白さがあります。
- 著者
- 有生青春
- 出版日
こちらも2023年にアニメ化と映画化が決定している注目作品です。
舞台は「異能」という特殊能力を持った人がいる世界。主人公の美世(みよ)は歴史のある異能の名家に生まれたものの、異能を使うことができません。
そのため継母と異能を受け継いだ異母妹から、使用人のようないじめを受けて辛い日々を送っていました。
実母は美世が子供の時になくなっており、父親もいじめを黙認している状態であるため、幼い頃から一人でいじめに耐えて生活していました。
妹の結婚に伴い、美世も久堂家という権力も資産力もある名家に嫁ぐことになります。
しかし、当主の清霞(きよか)は冷酷無慈悲な人で、多くの婚約者が三日も立たずに逃げ出してしまうという噂がありました。
美世の場合は逃げ出したとしても実家に帰ることのできる状況ではないため、生き延びるために清霞との生活を始めていきます。
この作品の魅力は、二人の距離が少しずつ近づいていく様子が丁寧に描かれているところです。
清霞は美世が名家の女性にも関わらず、使用人のような振る舞いをしていることに対して、他の女性とは違う魅力に気づき始めます。
一方の美世は命じられたことをこなし理不尽に耐えるばかりの人生から、人のために行動することに喜びを感じるようになり、清霞に対して好意を抱くようになっていきます。
決して派手な展開ではありませんが、お互いに小さな気遣いや素朴な思いやりによって、二人の関係が深くなっていくのをゆっくり味わうことのできる作品です。
- 著者
- ["顎木 あくみ", "高坂 りと", "月岡月穂"]
- 出版日
捨て子で名も親も知らない主人公の少女は、川で溺れていた貴族の女性を助けます。
その女性は鳳城家(ほうじょうけ)の蘭という人で、名門の天堂家に嫁ぐ予定だったのですが、結婚が嫌で逃げ出したらしいのです。
天堂家は後継や相続問題で揉めており、多くの人が死んでいるとの噂が立っていて、嫁げば殺されると思った蘭は脱走したのでした。
蘭と主人公の見た目が似ていたことから、主人公が代わりに天堂家へ嫁ぐこととなりました。どうやら主人公にも目的があるようなのですが...。
替え玉生活がはじまって早々、蘭の婚約相手である雅人(まさと)に正体がバレてしまうのですが、主人公が身につけていた体術や薬法、蘇生法など様々な技に目をつけ、そのまま結婚することになったのです。
蘭として生活することになった主人公と雅人が、問題だらけの天堂家で生き抜いていきます。
最初の主人公と雅人は夫婦というよりも相棒のような関係で、天堂家の中で起こるトラブルに立ち向かっていきます。
そして問題を解決していく中で、二人のどんどん関係が深まっていくところが見どころです。
また、主人公が蘭を助けた理由や、雅人が天堂家の中で達成したい目標など、謎が多く残っているサスペンス要素があり、次の展開が気になる作品でもあります。
アクションやキュン要素、そしてサスペンスなどいろんな面白みを味わえます。
- 著者
- 斎藤けん
- 出版日
- 2015-08-05
愛情が全くない状態で結婚し、特殊な環境の中で少しずつ距離を縮めていくような設定だからこそ、味わうことのできるストーリーがあります。
ベタな恋愛作品に飽きてきた人や、これから結婚を考えている人であれば楽しく読むことのできるジャンルなので、ぜひ試してみてください。