アマゾンで最大の魚と言われるピラルク。みなさんも一度はその姿を水族館などでみたことがあるのではないでしょうか?姿を変えずに現在まで存在する古代魚の仲間です。一体どんな生態を持っているのか。今回はピラルクの生態とピラルクにまつわる書籍をご紹介します。
ピラルクはアロワナ目アロワナ科ヘテロティス亜科に属する魚類です。
南米のアマゾン川を中心に生息しています。
ピラルクが属するアロワナ目は、世界の熱帯地方の淡水域に分布するグループで、これまでに4科28属218種が知られています。
過去に確認されている最大の個体は長さ3 m、重さは200 kg超えるため、世界最大級の淡水魚と言われています。
平均で15年ほどの寿命で、飼育下の個体は野生のものよりも小さくなるそうです。
肉食性で主に小魚などを捕食していますが、甲殻類、昆虫類や水面近くにいる鳥などの小動物を捕食することもあります。
大きさももちろんですが、身体の後半部分に集結している赤い鱗とヒレも特徴的な魚です。鱗の数はおよそ4000枚もあります。鱗のサイズも規格外で、直径約10センチもあるそうです。また、舌には突起のある硬い骨が通っていて、鱗も硬くザラザラしています。
アクセサリーに活用され、海外ではネックレスなどに加工されて、お土産物としても人気となっています。
名前の「ピラルク」はインディオ語の「Pira(魚)」と「Urucu(赤い色素)」が合わさった言葉で、「赤い魚」を意味します。
長い歴史のなかで進化し、変化する生き物が多いなか、約1億年間ほとんど姿が変わっていないと考えられているため、「生きた化石」と呼ばれています。
現在は、乱獲による個体数の減少で保護動物に指定されている。
ピラルクとアロワナは混同されがちですが、口の部分に注目してみると、その違いがわかりやすいです。
アロワナは下唇が突き出たような形なのに対し、ピラルクにはそのような特徴がなく、横に平たい頭部が特徴的です。
攻撃性はないのですが、その大きな体からから繰り出される尻尾の攻撃は非常に強力で、現地では漁師が船を攻撃されて落水して、頭を打たれて死んでしまうこともあったそうです。また、驚いた時に水面から飛び出すこともあります。
基本的に他の淡水魚度同様に、エラで呼吸を行いますが、ピラルクの生息する熱帯の淡水域では酸欠状態になりやすいため、うきぶくろからも肺のように空気呼吸ができる仕組みになっています。エラでの呼吸の割合は20%以下、80%以上が空気呼吸できるそうです。
なぜ酸欠状態になりやすいかということですが、乾期になって川の水量が減ると、川が分断され池となってしまう場合があります。池となった場所では酸素を作り出す植物が生息していません。そうなると、分断された池からは新しい酸素は生成されず、池に取り残された魚たちは、雨期になって新しい水が流れ込んでくるまで、その池の水に溶け込んだ酸素で生き延びなければなりません。そのため、ピラルクはうきぶくろを利用することで、水面に口を出して息継ぎをし、酸素を取り入れることができるというわけです。
ただ、この性質は人間にとっては都合が良く、水面に上がってくることから捕獲しやすく、個体数が減少してしまいました。
オスはメスの産んだ数万個もの卵を保護する役割を担い、必要に応じて卵を移動させます。
ピラルクは世界最大の淡水魚ですが、生まれたばかりの稚魚の大きさは数cmです。
魚のなかでも珍しくつがいで生まれた我が子の子育てをします。直接世話をするわけではないのですが、ピラクルの稚魚が泳いでいる下の方で見守るように泳ぎ、子を見守ります。
- 著者
- 浩之, 本村
- 出版日
淡水、海水、深海の3部に分けて80種以上の珍しい魚が掲載されています。南アメリカ、アフリカ、オセアニアで繰り広げた巨大な怪魚との死闘を臨場感あふれる写真を楽しむことができます。
コラムもあり、子供から大人まで怪魚や珍魚のことがもっと好きになれる面白い情報が満載です!怪魚の飼い方やはたまた料理法といった怪魚と人間の関わり合いに関することから、毒のある怪魚や深海魚の生活のような怪魚の生態に関することまで解説しています。
- 著者
- ["松坂實", "松坂實"]
- 出版日
アマゾンファン、熱帯魚ファン、釣ファン、そして冒険を愛するすべての人たちへ。アマゾンマン渾身の一冊。アマゾンマン、あるいはナマズ博士と呼ばれる松坂實の39年に及ぶ、アマゾン探検の総決算刊行第2弾。30万点に及ぶ未発表写真と、アマゾンへの思いがこの一冊に込められています。
- 著者
- 岡部 聡
- 出版日
「ダーウィンが来た!」「NHKスペシャル」などを手がけた、NHKの自然番組名物ディレクターが、世にも不思議な動物たちの生態を紹介しています。イルカ、ジンベエザメ、オオアリクイ、オランウータンやコバチなどの生き物の不思議な生態が紹介されています。
ちなみに日本で食べる機会はなかなかないですが、ピラルクは白身でおいしい魚といわれています。今でもアマゾン川流域ではピラルクを食材として扱っているそうです。ただし天然物は希少で保護活動が推進されているため、現地で食用とされているのは養殖物に限定されているようです。