アニメ絶賛配信中!異色すぎるスライムラブコメ『ぷにるはかわいいスライム』の魅力とあらすじを紹介

更新:2024.12.26

『ぷにるはかわいいスライム』はWebコミック配信サイト「週刊コロコロコミック」で連載中のギャグ漫画です。 男の子が工作で作ったスライムに自我と命が芽生えて、そのまま一緒に成長したらなぜか美少女の姿で「可愛い」にこだわるように……。本作はそんなスライムがヒロインで、主人公の日常生活でさまざまなトラブルを起こしていくラブコメディとなっています。 第1話公開後すぐネット話題となった『ぷにるはかわいいスライム』。2024年10月にはTVアニメ化も果たした本作の設定や見所、魅力についておすすめエピソードを交えてご紹介していきます。

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3行でわかる作品と記事の内容

  • スライムのヒロインが巻き起こすドタバタギャグ漫画
  • ネットでも大きな話題となった「コロコロ」史上初のラブコメ
  • 2024年10月にTVアニメ化された

はちゃめちゃギャグとラブコメの融合!漫画『ぷにるはかわいいスライム』

『ぷにるはかわいいスライム』はWebコミック配信サイト「週刊コロコロコミック」で、2022年3月から連載されているギャグマンガです。既刊6巻で最新第6巻は2024年9月27日発売されました。作者はまえだくん。

小学生の男の子が工作で作ったペンギン型スライム。そのスライムになぜか命が芽生えて以来、彼らは共に育ち……7年後、男の子は中学生に、スライムは美少女になりました。スライムは色々な意味で邪険にされるものの、めげずに「可愛い」と認めさせようと手を変え品を変え姿を変え、男の子を振り回していきます。

「コロコロ」史上初(ちなみに児童向け月刊誌の連載ではないので注意)の日常ラブコメという異色の作品です。萌え系の愛らしい美少女スライム「ぷにる」の絵柄と「コロコロ」らしいハチャメチャなギャグ、少年少女のラブコメ未満な関係の絶妙な融合が読者に大ウケしています。

実は同作者が2019年に発表した読み切り漫画『かわいいぷにるはスライム』が元。本編でも回想で登場するペンギン姿のぷにるが主人公でしたが、アンケート結果が悪かったために打ち切られました。

その後、ビジュアルを変更すれば大人の読者をターゲットに出来ると気付いた作者が、読み切り漫画の数年後の物語として現在の『ぷにるはかわいいスライム』を思いついたそうです。この経緯から読み切り版は事実上の前日譚になっており、原作漫画第1巻に収録されています。

そうして公開された本作は初日から大きな話題を呼び、SNSを中心に爆発的に広まりました(いわゆるバズった状態)。たった4ヶ月で第1話が700万PVを突破し、2022年7月発売の第1巻は初版から10万部発行される異例の措置がとられたほど。さらに同年8月の「次にくるマンガ大賞2022」ではWebマンガ部門第4位に選ばれています。

そんな『ぷにるはかわいいスライム』の快進撃は止まらず、2024年10月からテレビ東京系列で放送中です。Nintendo Switchゲーム化に「ぷよぷよ!!クエスト」とのコラボ、少女漫画誌「ちゃお」公式のWebコミック配信サイト「ちゃおプラス」での同時連載……と何かと話題が尽きません。

スライムなヒロインが千変万化するラブコメ『ぷにるはかわいいスライム』のあらすじ

子供向け番組の見よう見まねの工作で、命のあるスライムを生み出してしまった河合井(かわいい)コタロー。彼はスライムを「ぷにる」と名付け、友達として成長したのですが……。

7年経ったぷにるは外見上美少女になったものの、行動自体は以前のスライムのまま。異常に可愛さにこだわるようになった彼女(?)は、中学生になって思春期真っ盛りコタローの気持ちを察することなく、昔のままの距離感でコタローに可愛いと言わせるべアプローチを繰り返していきます。が、ぷにる自身に少女の自覚はなく、ほとんどの場合でスライムの性質が裏目に出てぶち壊しになってしまいます。

キュートな絵柄なのにくせつよすぎる!漫画『ぷにるはかわいいスライム』登場人物紹介

本作の主人公はぷにるとコタローの2人(1匹と1人?)です。

ぷにるは命と知性が宿ったスライム生命体。スライムなので性別はありませんが、「可愛い」にこだわった結果、美少女の姿をとっています。ただし一人称は「ぼく」。

本来は不定形なため、材料の配合でさまざまな姿に変身が可能です。ナルシストなため、姿を変えられない人間を見下している一面も。またその性質から、人や物に近付きすぎると取り込んでしまいます。元々の姿はデフォルメされたペンギンでした。

河合井コタローは中学2年生の普通の少年。ぷにるが騒ぎを起こしがちなため、ツッコミ役なのも相まってやや冷たい態度が目立ちます。ぷにるの生みの親であり、昔は仲良しで今のぷにるには思春期らしく思うところがあるようですが、色々あって素直になれません。

雲母麻美 (きららまみ) はコタローと同じ学校の3年生で、彼には「きらら先輩」と慕われています。コタローの片思い相手。母性溢れる優しい少女ですが、小さい子を見ると思い余って暴走してしまう危うい一面があります。

南波遊助(なんぱゆうすけ)はコタローのクラスメイトの1人。金髪ポニーテールの美少年で、極めてフランクな性格なために「遊び人」と言われていますが、その実態は子供向けホビーで楽しく遊ぶのが好きな「遊び人」です。

御金賀アリス(おかねがアリス)は、世界的マスコット「キュティちゃん」の会社の跡取りで超のつく金持ちのお嬢様。クラスメイトのコタローとぷにるの関係には思うところがあると同時に、彼のセンスを高く評価しています。

そんなアリスの専属メイド、宝代(ほうだい)。時間と場所を問わず常にアリスのそばに控えており、忠誠心をこじらせて問題を起こすことがしばしば。

ルンルーン(またはルンル)は、もう1人のぷにると言える特殊なキャラクター。元は幼いころにアリスが考案したネズミのマスコットでしたが、宝代が人型ロボットに改造した上にぷにるの一部が混入した結果、自我が芽生えました。ナルシストのぷにるとは正反対でとても謙虚。

そしてコタローたちの通う中学の理科教師、真戸博士(まどひろし)。スライム研究のためにぷにるで色々実験もする駄目なマッドサイエンティストですが、しっかり教師の務めを果たして意外と面倒見もいいからか、収拾の付かない事態が起きた時にはコタローらに頼られます。のちに人工スライム生命体ジュレを開発。

ジュレはぷにるの一部を応用した粘菌コンピュータと、特殊スライム素材の融合で誕生した人工スライムです。「パーフェクトなAI」を自認しており、優秀な自分が人間と等しいことを証明するため、運命の人と思い込んだコタローと恋愛しようと奮戦します。

他にはホネちゃん、剛(ごう)やんといった『ドラえもん』を想起させるクラスメイトをはじめとして、癖の強い登場人物が多数登場します。

Kawaiiけど可愛いだけじゃない!漫画『ぷにるはかわいいスライム』の魅力

本作の人気要素はなんと言っても、ポップで可愛らしい絵柄で描かれる変幻自在のスライムぷにる。

ぷにるはキャッチーなマスコット的可愛さとフェチ要素を併せ持った凄いキャラクターです。基本の姿で充分キュートな上に時にギャル、時に今時女子(ちょっと大人なかわいいぼく)、お嬢様やメイドや果てはドラゴン……など、さまざまな形態に変身します。さながら変身特化の魔法少女といったところ。

ただ、変身方法がスライムらしく、常に持ち歩いている設定のホウ砂水と洗濯ノリ(スライムを作る材料)なのが面白いです。やってることだけ見れば魔法少女なのに、スライム要素によって「コロコロ」的なホビー漫画として成立しているのが見事。

しかもスライムなおかげで妙な物体との融合、過剰なツッコミによる変形、多少手荒く扱われても平気(欠片から再生する)……とギャグ漫画にありがちな理不尽でナンセンスな展開を無理なく両立しています。

さらに! 性別のないぷにるの無邪気な行動が物語を転がし一方、見た目だけは美少女なので距離感の近すぎる幼馴染み女子のドキドキ感も醸し出すのです。

「コロコロ」本来のターゲットである男児はもちろんのこと、可愛くてバラエティ豊かな変身は女児でも楽しめます。作者の性癖が反映されているとしか思えないぷにるのデザインは、大きなお友達にも大ウケ。一粒で2度も3度も美味しくて、多方面に刺さるのが本作の魅力です。

そして本作の魅力はぷにるだけではありません。その他の登場人物たち、特にコタローの内面の変化が1話完結ギャグの合間に描かれているのも見所。

ホビー要素あるいは人間関係を通した多様性のあるジェンダー観の描写(男でも可愛いものが好き、相容れなくても惹かれる)と、それを踏まえた成長が単なるラブコメギャグ漫画を超えた面白さを『ぷにるはかわいいスライム』に与えています。

本作が単なる日常系コメディ作品ではないのは、本編の内容からも窺えるのもポイントです。第59話では季節は巡っても年齢が変わらないという、いわゆる「サザエさん時空」が否定され、本作がいつまでも続く予定調和の物語ではないことが明確に示されます。

『ぷにるはかわいいスライム』は第1話で、「これはスライムのぷにると中学生コタローがともだちじゃなくなるまでのお話」だと掲げられています。その結末がどういった形で着地するのか、という点も本作を読む上での大きな魅力です。

漫画『ぷにるはかわいいスライム』のおすすめエピソード①:2つのまるくておおきいもの【第2話ネタバレ注意】

クラスメイトが楽しく過ごす中、1人浮かない顔のコタロー。するとそこへ、普段ちんちくりんのぷにるが、グラビアモデル並みの姿で現れます。可愛さをアピールしたいぷにるは、わざとホネちゃんと剛やんの前でコタローにべたべたくっつきますが……力加減を間違えて、融合して全身べたべたになってしまいました。

コタローはぷにるがスライムで、自在に姿を変えられると説明。ホネちゃんはすんなり状況を飲み込むと、厚かましくも巨乳アイドルになるようリクエストしてきます。材料配分をミスって胸が大きくなりすぎたぷにるへ、下心全開で触ろうとするホネちゃんたち。

普段邪険に扱うコタローもさすがに止めようとしますが、スライム特有の非常識さを発揮したぷにるは、胸部を切断しておっぱいパーツのみをプレゼントします……。

変形切断自在だから実現出来る勢いだけのナンセンス展開と、ギリギリのお色気(?)を一挙に味わえる『ぷにるはかわいいスライム』らしいエピソードです。

著者
まえだくん
出版日

漫画『ぷにるはかわいいスライム』のおすすめエピソード②:いしゅマスコットたいけつ【第9話ネタバレ注意】

好きなマスコットのキーホルダーをこっそり学校に持ち込んだために、御金賀アリスに絡まれてしまったコタロー。彼女はそのマスコットの販売会社の跡取りでした。例によって勝手についてきたぷにるが割って入ると、売り言葉に買い言葉でなぜかアリスのデザインしたキャラクター「ルンルーン」との可愛さ対決が勃発します。

ふわふわな正統派お嬢様に変身して真っ当に挑戦するぷにるに対して、アリスは校庭をレジャーランドに改造する荒技で圧倒的人気を獲得。しかし調子に乗って大型スライムプールを設置してしまったのが運の尽き。勝負を放棄して遊び始めたぷにるがプールにダイブして超巨大化、学校をまるごと飲み込む大惨事に発展してしまいます。

結局勝負はうやむやになりましたが、アリスはホビー会社の跡取りのプライドもあってか、生きるホビーそのものと言えるぷにるに嫉妬。彼女が自分のルンルーンもぷにるのように喋って喋動き回る人型になるのを望んだことから、また別の騒動に発展していくのでした。

基本的に1話完結のドタバタで終わる話が多い中、生命観や対人関係にスポットを当てて、ゆるっと続く本作のテーマ(?)がほのめかされた最初期のエピソード。SFで扱うような小難しい要素を小学生にもわかるギャグに潜ませ、なんとなく読み取らせるのが面白いです。

著者
まえだくん
出版日

漫画『ぷにるはかわいいスライム』のおすすめエピソード③:ともだち【第53話ネタバレ注意】(第7巻収録予定)

コタローがまた幼児園児だったころ。恥ずかしがり屋の彼は誰かと一緒にいるより、「ぺーちゃん」と名付けたペンギンのぬいぐるみを可愛がって、1人遊びするのを好んでいました。コタローにとっての友達とは、同じ幼稚園の子供たちではなくぺーちゃんだったのです。

男の子なのに女の子みたいなことをしている――。まだ分別の付かない幼心にも、コタローは周囲のさまざまな形の圧で、そのことを薄々感じ取っていました。

特にあからさまだったのは同じ組の早乙女どおる。芸能活動をしているどおるは非常にワガママな上に口が達者で、気の弱いコタローを集中的に狙って、彼から可愛いものを取り上げていました。

先入観にとらわれた大人は察してくれない。子供も理解してくれない。でも、子供のことがなんでもわかるサンタクロースなら……。ある年のクリスマス、コタローは必死に涙のにじむ絵を描いて願いました。いつも笑い合って、ずっと一緒に遊んで、ケンカしても仲直り出来る可愛いペンギン姿の友達を。

しかし、クリスマス会に来たサンタクロースも、枕元にプレゼントを届けてくれたサンタクロースも、彼の願いを叶えてはくれませんでした。

いつしかコタローは「可愛いものが好き」という気持ちとともに、それらの出来事を心の奥に押し込めてしまいました。そしてすべてを忘れたころ、彼は偶然見ていた子供番組に影響されて、ある「スライム」を作るのでした――。

前日譚『かわいいぷにるはスライム』のさらに前日譚に当たるコタローの原体験。現在のコタローが頑なになっている理由、ぷにるの言動がなぜああなっているのかが窺える重要なエピソードです。

どおるは悪役ポジションで描かれますが、言動の端々から「ママが言っていたから」と価値観が固定されていることが匂わされており、名前も「お人形」だと考えると彼女は彼女で闇を感じる構造となっています。この話をはじめとして、たまにあるシリアスなストーリーから、本作が単なる子供向けギャグ漫画ではないのがよくわかります。

アニメ『ぷにるはかわいいスライム』はどうだった?

『ぷにるはかわいいスライム』は2023年12月にTVアニメ化が発表され、2024年10月から放送がスタートしています。地上波はテレビ東京系列、サブスクサービスではAmazon Prime VideoやABEMAプレミアムなどで配信中です。

TVアニメの制作を担当するのは東宝の子会社TOHO animation STUDIO。まだ出来て間もないスタジオですが、2023年のアニメ『薬屋のひとりごと』(2025年1月予定の第2期も担当)が高く評価されており、クオリティは折り紙付き。

ファン的に気になるのは、TVアニメでぷにるの可愛さやスライム感を表現出来ているかどうか。結論から言うと、原作漫画そのままのイメージのキャラクターが生き生きと動いているように感じます。

特にぷにるは可愛い瞬間はバッチリ可愛くて、ギャグシーンではプルプル震えるカラフルなスライムにちゃんとなっています。オーバーアクションや飛び散る破片、ちょっとした仕草(疑問を持つシーンでアホ毛のように?マークが出てくる)にスライム感が表現されていて、物凄く細かいです。

また変幻自在な特性に合わせて、ぷにる役の篠原侑が変身形態によって別人みたいな演技を見せるのは必見。原作漫画ではわからなかった点としては、南波遊助の一人称が「オ↑レ↓」という変なイントネーションになっているのも凄いです。南波役の声優・榎木淳弥によると、作者本人のオーダーで「ぼく」から変えて間もない少年を表現しているとか。

TVアニメは原作準拠で作りつつ、要所要所でアニメならではのアップグレードを施しているのがとても好印象です。

一方で放送時間帯が深夜とはいえ、地上波だとコンプライアンスの問題があるためか、「おっぱい揉ませて」などの露骨な台詞がやんわりした表現に差し替えられています。作品の印象を損ねる変更ではありませんが、完全に同じではないので注意してください。

TVアニメ『ぷにるはかわいいスライム』は1クール全12話。アニメ化の範囲は第4巻の中盤までです。各エピソードにつき、原作漫画の2~3話分が映像化されています。一部順番の入れ替えや読み切り版を反映されていて、全体的な構成としては見やすさとわかりやすさが優先されているようです。

人気的に『ぷにるはかわいいスライム』はTVアニメ第2期が作られてもおかしくありませんが、原作のストックがないためしばらく実現しない可能性が高いです。原作漫画は第6巻(第7巻はおそらく2025年の年明け)までしか出ておらず、第4巻の内容までアニメ化された今期のペースでは1クール保ちません。

OVAでの順次リリースや単発アニメ映画化も考えられますが、あるとしてもしばらく先でしょう。TVアニメ『ぷにるはかわいいスライム』の最終回の続きが気になる方は、原作漫画を第4巻から読むのがおすすめです。

作者まえだくんについて

『ぷにるはかわいいスライム』作者の名前はまえだくんです。東京都出身、199年2月3日生まれの33歳。

2011年に『おしり星人』が「小学館新人コミック大賞」児童部門の佳作を受賞、同年「別冊コロコロコミック」12月号に読み切りとして掲載されて商業デビューしました。以降、オリジナルやタイアップで『ヒャッハーだよ♪ふなっしー』、「ポケモン」の4コマ漫画といった児童向け漫画を手がけています。

オリジナル作品は主にギャグ漫画。伝統的な「コロコロ」のおバカでしょうもないボケとツッコミ、ナンセンスギャグの流れを汲みながら、今風のほんのりとしたお色気とストーリー性を両立している器用な作家です。

「まえ駄くん」名義でも活動しており、同人サークル「まえ駄研究所」を主催しています。Webおよび同人サークルはやや青年向け。

著者
まえだくん
出版日

現在まえだくんは『ぷにるはかわいいスライム』を週刊連載するかたわら、月刊誌「コロコロイチバン!」および「週刊コロコロコミック」で『太鼓の達人 4コマ祭でドドンがドン!』を連載中です。

いずれも短めな内容ながら、平行して連載し続けるのは本人の力量あってこそ。『ぷにるはかわいいスライム』はまだまだ続きそうですが、別な作品でも面白いものを発表してくれるでしょう。


漫画『ぷにるはかわいいスライム』は現在もWebコミック配信サイト「週刊コロコロコミック」で連載中です。ユーザー登録すれば基本無料で読めるため、この記事やアニメで気になった方はまずそちらからどうぞ!

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