漫画『カナン様はあくまでチョロい』は「週刊少年マガジン」で連載中のラブコメ作品です。ハイスペックなのに超ウブで、ちょっとしたことで赤面する悪魔のヒロインが可愛くて、ハチャメチャギャグにハマる読者が続出。 2026年にはTVアニメの放送が決定している本作について、原作漫画の内容を掘り下げながら魅力を紹介していきます。

人間の学校に潜入した美少女悪魔と男子高校生のラブコメ
チョロすぎるヒロインたちが可愛い一方でギャグがひたすらカオス
2026年4月にTVアニメ化が決定
漫画『カナン様はあくまでチョロい』(通称「カナチョロ」)は2022年6月から「週刊少年マガジン」で連載中のノンストップハイテンションコメディです。作者はnonco。既刊は11巻(2025年12月時点)で、最新巻の第11巻は2025年10月17日に発売されました。
人の魂を食べるためにとある学校に潜り込んだ美少女悪魔が、あまりにもチョロすぎてうっかり人間の男子学生と恋人契約を結んでしまう――といった内容ラブコメですが、ナンセンスギャグ展開やお色気も見所です。
シリーズ累計発行部数20万部を越える人気作。連載開始当初から注目を集めており、2023年1月には第2巻発売合わせて、同誌連載の学園4コマ漫画『生徒会にも穴はある!』や人気Vtuberグループ「あおぎり高校」の栗駒こまるとのコラボが実施されました。
テンポのいいギャグで読者に支持されてきた本作ですが、2025年4月にTVアニメ化が発表、2026年4月に放送開始予定となっています。
美食を求めて、人間界にやって来た高潔(たかきよ)カナンこと悪魔カナン・ゼブル。清らかな魂を好む彼女は、洗脳を駆使して若い人間が集まる多摩市立奉納学園へ潜入しました。思惑通り極上の魂の持ち主・供犠羊司(きょうぎようじ)を発見し、カナンは正体を明かして彼を「食べる」ことを宣言したのですが……。
よりによって、供犠は超ポジティブ思考で行動力のある変な少年でした。彼は年頃の男子特有の超絶思考を飛躍させ、カナンに性的な意味で「食べる」――つまり告白されたと勘違いし、あっさり惚れてしまいます。カナンに猛烈にアタックする供犠。
長命な悪魔なのに恋愛経験が皆無な上、捕食対象に言い寄られると思っていなかったカナンは、大混乱の末にうっかり供犠の告白を受け入れて恋人契約を結んでしまうのでした。
本作には個性の強いさまざまなキャラクターが登場します。なお、そのほとんどが美少女(または美女)で、男性はほぼ供犠のみです。
主人公かつメインヒロインは高潔カナン。表向きは奉納学園の風紀委員で成績優秀、スポーツ万能な女子学生ですが、本性は数千年生きている悪魔です。本名はカナン・ゼブルといって、暴食の悪魔ベルゼブブの娘。人間を下等生物と見下すものの、恋愛経験が一切ない処女なので男性に耐性がなく、異常なほどウブで供犠の一挙手一投足にあたふたします。
供犠羊司は普通の男子高校生です。とてつもなく貴重な魂の持ち主らしく、何も知らない悪魔や神の使徒に狙われることがあります(名前通り生け贄の羊ポジション)。非常識なまでにポジティブシンキング&年頃の男子らしい思考回路をしており、カナンの捕食を性的に食べる=告白と勘違いし、あり得ない勢いで好意を抱いて交際することになりました。
そんな彼らをサポートしたりからかったりするのが、カナンの幼馴染みでメイドのアミです。外見は脳天気な黒ギャルで性格も見た目通りですが、意外と思慮深いところがありつつも、結局はギャルなノリが目立ちます。大抵ツッコミ役ですが、リアクションするだけでボケを止めたりはしません。
益荒男撫子(ますらおなでこ)は、供犠とは腐れ縁の幼馴染み兼クラスメイト。初登場時は名前通り武人っぽい雰囲気の凜々しい黒髪少女でしたが、とある経緯でカナンに崇拝に似た感情を抱いてからちょっとおかしくなります。名前の読み方は「なでしこ」ではなく「なでこ」。
そしてもう1人のヒロインと言って良いのがジャンヌです。スタイル抜群の金髪碧眼美少女で、輪っかのようなアホ毛が特徴です。悪魔から供犠を守るために遣わされた神の使徒ですが、天然すぎるせいか上手く行っていません。純粋無垢なせいで逆に俗っぽい聖女。彼女がいると色々ややこしくなって、カナンがツッコミに回ります。
この他にも、カナンの妹たちや母、生徒会長の神龍寺鉄花(しんりゅうじてっか)といったおかしなキャラクターが登場します。
『カナン様はあくまでチョロい』は非常に的確なタイトルで、作品の内容と魅力が一目瞭然となっています。本作の面白さはつまるところ「カナン(ヒロイン)がチョロすぎる!」に尽きるのですが、それは手を変え品を変えチョロさを感じさせる巧みな表現があるからこそ、毎回飽きずに楽しく読めるのです。
まず外せないのが主人公にしてメインヒロイン、カナンの存在感。とんでもない美形で素晴らしいスタイル、長命な悪魔らしく蠱惑的で自己中心的――なのに規格外に超純情というギャップがたまりません。
ターゲットの供犠を陥れるために小悪魔ムーブ(正しく悪魔ですが)で強気にグイグイ攻めてみても、カナンに惚れている供犠は狼狽えるどころか大喜びし、逆にカナンの方がグイグイ押されてへにゃへにゃになるということがよくあります。恋愛観が幼児並みなせいで供犠の些細な言動にも赤面して、もはやどちらが惚れているかわからなくなるレベル。
そのチョロさがたまらなく可愛らしいのです。ちなみにカナンがメインヒロインなので突出して目立っているものの、本作には基本チョロい女性キャラしか出て来ません。
ラブコメのコメディ部分も見所です。というか『カナン様はあくまでチョロい』はジャンル的にはラブコメですが、どちらかと言えばコメディ要素過多な漫画です。わざと引っかき回すアミは別として、ほとんどの場合は天然ボケを発揮して無自覚にギャグに走る形。体を張るタイプのボケなのでなかなか激しいです。
コメディ作品はボケ役とツッコミ役が明確なことがおおいですが、本作はかなり流動的。エピソードごとにある程度傾向はありますが、キャラの立ち位置がころころと変わるので、畳みかけるようなボケと合わせてカオスさを楽しめます。
あとはとても魅力的で肉感的な美少女が多数登場するため、サービスショットが多いのも特徴です。ほとんどのケースでボケとセットになっているせいで、興奮よりお笑いの度合いの方が強いですが。
カナンがチョロすぎるので忘れがちですが、本来惚れているのは供犠の方。人間を下等生物扱いするカナンにとっては不本意な状況です。そこで彼女は風紀委員の見回りにかこつけて供犠を連れ立ち、生徒たちに尊敬される自分をアピールして、彼を躾けようとするのですが……。
供犠クン、まさかの天然たらしだったことが発覚します。行き先々でなぜか巻き起こる女生徒のトラブルを供犠はナチュラルに解決、少女漫画の導入部みたいな奇跡的なムーブを次々起こしていくのでした。
基本ギャグなので信じられない速度で女生徒が落ちていくのですが、その状況がとにかく面白くないカナン。惚れられているのは自分のはずなのにと嫉妬を炸裂させた挙げ句、自爆をかましてしまう本末転倒な展開が笑えます。供犠に可愛がられ、躾ける予定が躾けられてしまうカナンが可愛らしいです。
- 著者
- nonco
- 出版日
夏休みが目前に迫った期末試験の時期。供犠と撫子は成績優秀なカナンに頼み込んで、テスト勉強を見てもらうことになります。
供犠が頼んだのは補習を恐れたからですが、撫子の動機は別にありました。初対面で雑に扱われて以来、撫子おかしな趣味に目覚めてしまったのです。彼女はテスト勉強ではなく、カナン目当てで参加したのでした。
供犠は普通に頭が悪いので勉強会でも怒られっぱなしですが、一方の撫子は優秀なので褒められて満足……とは行きませんでした。カナンに褒められるのは嬉しい、でも何か物足りない。
こじらせた撫子はカナンに罵られる供犠が羨ましくなって、わざと間違え始めます。なりふり構わず下ネタに走り、挙げ句の果てには「私だって先輩に罵られたい」と本音を暴露。その結果、無事(?)にカナンから「変態」と言われてドン引きされますが、当の撫子本人は大満足という本作のイカレ具合の一端が垣間見えるエピソードです。
- 著者
- nonco
- 出版日
夏休みがもうすぐそこまで迫った学期末、時季外れの転校生がやってきます。シスター服の謎の少女ジャンヌ。彼女は自らを天界から遣わされた神の使徒と名乗り、悪魔に狙われている供犠を守るといきなり言い出しました。
善意100%でジャンヌ本人に悪気はないのですが、やることなすことすべてが滅茶苦茶。聖水の代わりに唾液で供犠を清めようとするわ、使徒だと証明するために下腹部に刻まれた聖痕を恥ずかしげもなく晒すわ(当然パンツ丸出し)、肝心の悪魔であるカナンを前にしてもしばらく気付かないわ……。
挙げ句の果てには、供犠に対してやたらと無自覚ラッキースケベを繰り返し、悪魔のカナンをして「淫らな行為で男をたぶらかす悪魔」呼ばわりされる始末。ド天然のジャンヌはひたすらボケ倒すキャラで、彼女の登場によってハイテンションギャグとお色気が加速していきます。
夏休みを利用して魔界へ帰省することにしたカナンと、それについて行った供犠。通常でも彼氏を実家に連れて行くのは大事ですが、カナンの場合は実家が魔界な上に大悪魔の娘とあって、普段ちゃらんぽらんなアミですら心配するレベルでした。
案の定というか予想外というか、家族からはさまざまな反応が噴出。父ベルゼブブの提案で、恋人と認めさせるためのスタンプラリーが開催されます。
母リリムの試練は肝試しと誘惑。魔界の心霊スポットに出かけて恐怖の心霊現象――と、リリムのセクシー攻撃を耐えて理性を保てたら合格というものでした。
このリリムのセクシー攻撃がくせ者。かつて魔界一と謳われただけあって、リリムはカナンを上回るとんでもない美貌とプロポーションの持ち主です。大人の女の余裕と経験から、男ならイチコロのお色気を供犠に繰り出しますが……。
供犠はあらゆるセクシー攻撃を意に介さないどころか、ラッキースケベにも動じませんでした。カナンにぞっこんでリリムが一切目に入っていなかったため、「耐える」という意識すら皆無で試練をクリアしてしまいます。
結果として1人相撲となったリリムの不憫さが際立ち、なんとなく共感性羞恥を感じる面白いエピソード。
- 著者
- nonco
- 出版日
ゼブル家のプライベートビーチにやってきたカナンたち。2人はまったく気付いていませんが、ゼブル家3女のミエルは供犠に強く嫉妬して、密かに姉カナンを取り戻す――寝取り計画を考えていました。
ところが計画はことごとく失敗で、ミエルはカナンと供犠を引き裂くどころか、2人の仲の良さを見せつけられるばかり。
悔しがるミエルですが、そこでふと自分の中に屈辱感とともに謎の興奮が芽生え始めたことに気付きます。それが何かを確かめるため、彼女はあえて仲を取り持つ屈辱的展開を演出し、自身の感情を探ろうとするのですが……。
恋人の定番カップルストロー、カナンが供犠にだけ見せる表情、そして供犠の心の広さ等々。
ミエルはそれらを通して、大切な人を失って背徳的な興奮を覚える性癖――つまり寝取られ性癖を自覚し、最大級の寝取られである恋人承認スタンプを押すことで「ある種の高み」に達してしまうのでした。シスコンが寝取るつもりで寝取られるという、倒錯的なラブ(?)コメエピソードです。
- 著者
- nonco
- 出版日
漫画『カナン様はあくまでチョロい』は2025年4月15日にTVアニメ化が発表されました。放送は2026年4月予定。アニメ制作を担当するのは『ウマ娘 プリティーダービーSeason2(同Season 3)』などで知られるスタジオKAIです。
本作はかなりカロリーの高い作画も魅力の1つですが、アニメ化に当たって多少線が少なくなっているものの、イメージは原作そのまま。最新PVではよく動くカナンたちを確認できます。
唯一の懸念点はお色気描写がどうなるか。
スタジオKAIがリメイクした2025年版『地獄先生ぬ~べ~』では、原作にあったお色気要素がすっぽり抜け落ちており、ファンの間では賛否両論が起きました。ただし『地獄先生ぬ~べ~』は主要キャラクターが小学生という設定なので、現代の価値観に合わせて変更された可能性が高く、事情が違うので同じようにお色気要素が削られるとは言い切れません。
スタジオKAIのアニメでも『風都探偵』では原作に沿ってセクシーなシーンがしばしばあったので、『カナン様はあくまでチョロい』もおそらく大丈夫でしょう。どこがとは言いませんがPVにもリリムの爆盛り、ミルチのスカスカ具合がしっかり描かれているので安心。
出演者は高潔カナン役に『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』四宮かぐやの古賀葵、供犠羊司役で『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』エグザべ・オリベの山下誠一郎をはじめとして、アミ役の河瀬茉希やジャンヌ役の鈴代紗弓ら近年活躍する声優がキャスティングされています。
アニメ『カナン様はあくまでチョロい』の放送期間は不明。通常であれば1クール12話になるでしょう。原作漫画付きのアニメの映像化範囲は単行本換算でだいたい4~5巻ですが、本作は1話1話が短いショート漫画形式なので、もっとサクサク進む可能性があります。構成段階でのエピソード取捨選択も考えると、第3のチョロイン(チョロいヒロイン)である神龍寺鉄花が登場する6~7巻辺りまで行くかも知れません。
いずれにせよ声つきのアニメーションでどんなチョロさを見られるのか、今から待ち遠しいです。
漫画『カナン様はあくまでチョロい』の作者は漫画家でイラストレーターのnonco(のんこ)。誕生日は3月24日、岡山県出身です。
2009年頃からyumiとの共同の同人サークル「ホッパーオーバーフロー」や
個人サークル「ほぱおば」名義で活動。『艦隊これくしょん』、『ウマ娘プリティーダービー』の二次創作、同人誌で注目を集めました。
2019年、妖怪たちが集う居酒屋コメディ漫画『ようかい居酒屋のんべれケ。』(全5巻)で商業デビュー。そして2022年に漫画『カナン様はあくまでチョロい』の連載を開始して現在に至ります。
- 著者
- nonco
- 出版日
noncoの作風は二次創作のころから一貫して、独特な感性による美少女キャラのカオスなやりとり。可愛い女の子が真顔でぶっ飛んだことをやったり、恥ずかしい目に遭うのが売りです。やってる内容自体は古き良きギャグ漫画ですが、それを超絶美麗作画でやってのけるところにnoncoの特色があります。
漫画『カナン様はあくまでチョロい』は密かに『ようかい居酒屋のんべれケ。』と繋がっています。ノリも近いので、『カナン様はあくまでチョロい』が気に入った方は『ようかい居酒屋のんべれケ。』も読んでみてください。
漫画『カナン様はあくまでチョロい』は現在も「週刊少年マガジン」で好評連載中。講談社の公式漫画アプリ「マガポケ」なら基本無料で読めるので、気になった方はまずそちらで読むのがおすすめです。