ふと、悍ましくて恐ろしいものをのぞき込んで見たくなる時はありませんか?スプラッタホラー漫画は一度読んだら忘れられないような怖くて引き込まれる魅力があります。今回はそんなホラー漫画をランキング形式で紹介します。
本書は衣食住の「住」にスポットライトを当てたオムニバス形式の短編集です。見るからに可愛く甘い香りが漂ってきそうな少女チックな絵柄ですね。しかし、その砂糖菓子のようなビジュアルに油断して噛り付くと、ものすごいエグみに驚くことでしょう。
- 著者
- 財賀 アカネ
- 出版日
- 2010-03-17
1話目では、アパートに引っ越してきた主人公と可愛い彼女が登場します。そして、ちょっと不気味な管理人に肉料理の差し入れをもらう主人公。でも実はその肉は……。
この作品に登場する女子は、ビジュアルは勿論身に着けている洋服や小物がとってもキュートです。しかし、さっきまで可愛く笑っていたあの子が、次のページをめくった瞬間手足がトンでもないことに……。スイーツのように可愛らしい絵柄に、遠慮ないスプラッタ。可愛さも欲しいけれど、グロさも捨てがたい!という方に、いかがでしょう。
初っ端から、主人公である赤ずきんがいきなり身売りをしているところからお話が始まります。しかし彼女、ただのか弱い赤ずきんではありません。狼さんに文字通り「食べられる」ことを願い、男が狼でなければ用無しとばかりに銃で殺してしまいます。なぜ赤ずきんは狼さんに食べられたいと願うのか?
- 著者
- 玉置 勉強
- 出版日
- 2004-06-24
青い果実のような未熟な肉体で、男に貪られ蕩けた表情を浮かべる様は女性が見てもおかしな気分になるかもしれません。「狼さんに食べられたい」などと完全にイってしまってる目で宣ってみたり、自ら腸を引きずりだしてみたりと、もう赤ずきんのキャラクターが濃厚すぎます。そんな彼女は暴走し続けます。「赤ずきん」の放尿シーンが拝めるのは、『東京赤ずきん』だけ!
岡本倫による『エルフェンリート』。「週刊ヤングジャンプ」2002年〜2005年にかけて連載されていました。全12巻で完結しています。また2004年にはアニメ化もされ、こちらは海外での評価が非常に高く数々の賞を受賞しました。
ヒロインは頭の横に猫耳のような2本の角を持ち、ベクターという特殊な殺傷能力を持つ女性型ミュータント・ディクロニウスのルーシー。彼女たちディクロニウスは人類を脅かす可能性を持つ存在と危惧され、国家最高機密のものとして離島の研究所に隔離されていました。
ある日、事故により、ルーシーは研究所からの脱出できるチャンスを得ます。しかし海に飛び込む寸前に頭を撃たれ、そのまま海に投げ出されてしまうのです。そして大学進学のため鎌倉にやってきたコウタとそのいとこユカが、浜に打ち上げられたルーシーを発見します。
しかし彼女は頭部への銃撃によって記憶を失い、人格は分裂。「にゅう」としか話せません。コウタは、無邪気で屈託なく笑う彼女を殺人鬼とも知らず、「にゅう」と名付けて家に連れて帰ります。そしてそれは、悲しくも壮絶な物語の始まりだったのです……。
- 著者
- 岡本 倫
- 出版日
- 2002-10-18
一見萌え系漫画と思わせつつ、その内容は過激でグロテスクな殺戮シーンと救いようのない悲劇の連続。ルーシー達ディクロニウスは内なる声DNAに従い、殺傷能力ベクターを発動させます。容赦ない殺戮シーンと残虐極まりないリアルなスプラッタ―描写は、海外からも高く評価され、ハリウッド映画化の話も出たほどです。
また、血飛沫と肉体破壊にまみれたバイオレンスで救いのない鬱々とした展開と同時に描かれる、それぞれに魅力的なキャラたちのほのぼのとした日常の対比は、物語の重さをより際立たせています。お色気シーンやハーレム展開など青年漫画らしいエンターテイメント要素を盛り込みながらも、偏見や差別、孤独、いじめ、児童虐待など、現代社会に通じる重いテーマにも斬り込んでいくのです。
一例として、ルーシーの話をご紹介しましょう。親に捨てられ、施設で育ったルーシー。彼女は頭に角があることで、施設の子どもたちからは凄惨ないじめに遭い、大人からも気味悪がられていました。可愛がっていた犬を目の前で殺されたことをきっかけに、ディクロニウスとして覚醒し、施設の人間を皆殺しにして逃走。そして迫害を恐れ、角を帽子で隠し、常に周囲に怯えて孤独に生きていたのです。
そんなルーシーに対し、ただひとり頭の角をほめ、人間として、友達として優しく接してくれた人物こそ、コウタでした。幼い頃のふたりの交流は、本作の核となる一番の見どころ。それは残酷な運命を背負わされた孤独な少女にとって束の間の救いだったのです。
やがて幼いルーシーはコウタに惹かれていきます。しかし思いが強すぎたあまり、ユカと親し気なコウタに対し嫉妬し、一時の感情に付け込んだDNAに唆され、コウタの父親と妹を含む大勢の人間を惨殺。コウタは目の前で家族を殺されたショックのあまり、当時の記憶をなくしてしまいました。
ルーシーは、自分が人類を滅ぼす殺人鬼であることや、家族を殺した罪の意識から、愛しい人との再会を果たしても恋模様をただ見届けるしかできないのでした……。救いのない絶望とやるせなさの中でも強く生きるルーシーの生き様を、ぜひその目で確かめてほしいと思います。
その生い立ちから人間を憎み、不器用で自罰的なルーシーと、すべての記憶を失い幼児化した素直で純真無垢なにゅう。物語が進むにつれて解き明かされる、正反対の人格の関係性に潜む悲しさには、ただ胸が締め付けられることでしょう。理不尽な差別による迫害、取り返しのつかない罪、ありとあらゆる不条理と抗うことのできない残酷な運命……。人間と社会、そして心をも分解し、この世界に生きる読者に問いを投げかける、泣けるスプラッタ―漫画の傑作です。
この作品はかの有名な「津山事件」がモチーフ。その事件はある青年が一晩のうちに大量虐殺を行ったという凄惨なものです。その事件に作者が独自の解釈を交えつつ、犯人「睦男」を主人公とし、彼が肺病が発覚してからの転落が描かれています。
- 著者
- 池辺 かつみ
- 出版日
- 2012-12-20
そこそこ幸福な人生を歩んでいたはずの青年が、なぜ狂人に変わっていくのか。いや、もしかしたら最初から……。睦男のモノローグは全編カタカナで語られ、非常に淡々としています。しかし読み進めていくうちに、読者は睦男に少しずつ違和感と不安を持つことでしょう。
冒頭で彼が会話をしていた村人は実はとうの昔に亡くなっていたり、睾丸が片方潰されても尚、異常なまでの女への淫欲をむき出しにしたりと、睦男の狂気が明るみになっていきます。今まで喜んで足を開いていた女たちからは汚物を見る目で嫌われ、男たちからも逆さづりにされリンチをされたりと凄惨を極めます。
しかし最も恐ろしいのは彼の欲望の強さ。睦男に同情の念を抱く前に、彼の凄まじい怨念と凶暴なまでの性への欲望に鳥肌が立つことでしょう。
魔法少女の物語の主人公というと、みんなの人気者でハッピーオーラをまとった女の子、というのがスタンダード。しかし本書はその真逆を行きます。主人公である彩は学校で激しいイジメを受け、家でも兄から苛烈な虐待をされる毎日。
- 著者
- 佐藤健太郎
- 出版日
少しずつ限界は近づいていき、死ぬことで救いを見出そうとしていた時、ひょんなことから「魔法の力」を手に入れます。使い方は簡単。ただ、消したい相手に向けて引き金を引くだけ。最初は信じていなかった彩ですが、ある事件をきっかけに魔法の力を使ってしまったことから、彼女の運命が大きく回りだします。
本作の見どころは、魔法少女になったからと言って、彩がいきなり豹変してどこぞの殺人鬼のようにクレイジーになったりしないところです。魔法のステッキを手に入れても、私欲の為に使うことはなく、学校でも家でも相変わらず虐げられ続ける毎日。
しかし魔法のステッキを使ってからは、「世界が終わる」とされるテンペストが起こることが発覚したり、魔法少女を狩る敵が登場したりと息つく暇もありません。もちろんお約束のように、個性的で魅力的な仲間が増えていく様子も楽しめます。残酷さと過酷さに拍車がかかる世界で、気弱で優しい性質は変わらないまま、どう彼女が立ち向かっていくのか、見ものです。
「ドッグフードの刑」、「母の痛みを知りましょうの刑」、「針千本のーますの刑」。カエル男と呼ばれる殺人鬼によって、まるで子供がふざけているかのようなタイトルがつけられた連続殺人事件が起きます。
- 著者
- 巴 亮介
- 出版日
- 2013-11-06
そしてかつて起こった猟奇殺人事件から、被害者たちにはあるひとつのつながりが明らかに。主人公である刑事はカエル男を少しずつ追い詰めていきます。しかしそんな中、最愛の家族が人質となり……。
殺人現場および拷問シーンはしばらく生ものや肉類が食べられなくなりそうな程強烈です。グロが苦手な方がうっかり手に取って読んでしまった日には、トラウマになること必須。
更にストーリーは要所要所に謎がちりばめられ、先の展開が気になりページをめくる手が止まらなくなます。結末が気になる方は、トラウマが残ることを覚悟した上で、今すぐ本書を手に取ってみましょう。
以上となります。今回紹介した作品は、どれを取ってもあなたの心に何らかの爪痕を残してくれること間違いなしです。悍ましいのに、怖いのに、また手に取って読まずにはいられない……。そんな抗えない魔力を持った作品たちに、ぜひ魅了されてください。