海外のSF小説名作おすすめランキングベスト11!現代社会に訴えるもの

更新:2017.2.7

宇宙を駆け抜けたり、時空を飛び越えたり。誰もが一度は夢見た事を叶えてくれる、それがSF小説の魅力です。今回ご紹介する11作品は、思わずわくわくしてしまう心躍る物語ばかりです。 また、このなかには「flier」で無料で概要を読むこともできる作品もあります。さまざまなビジネス書、教養書を10分で読めるスマホアプリなので、時間がない方、ご自身で概要を知りたい方はまずはそちらで読んでみてはいかがでしょうか?

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11位:スチームパンク系SF小説『ねじまき少女』

ヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞など主要SF賞を受賞している作品です。近未来のバンコクを舞台に、ほとんどの動力をゼンマイとして生活しています。そのころ日本では、技術を駆使して人工的に「新人類」としてアンドロイドが作られています。

著者
パオロ・バチガルピ
出版日
2011-05-20

新人類でありながら持ち主にバンコクで捨てられたエミコ、ゼンマイ工場の管理をしているアンダースンをはじめ、複数人の視点で話は進んでいきます。

妙な熱気と湿度と立ち上る香りは、日本のSF作品ではあまり感じることができないものです。近未来ハイテク系のSFが多いなか、資源が枯渇し、ローテクに戻ってしまった世界は、逆に新鮮さがあります。足でこいで発電して動かすパソコンなんて、誰が想像するでしょうか。

一方、最新技術の塊であるエミコがぶつかるのは、やはり、人工知能の存在意義なのです。捨てられたエミコが、自由を夢見て選んだ選択に、大きな展開が生まれるのです。

この作品はSF初心者にはあまりおすすめしましません。登場人物やこの世界の独特の用語が非常に多く、物語の視点も変わり、作品自体も長いため、非常に難解です。ですが、最初に受ける困惑を無視するかのように、話はどんどん展開していき、いつのまにかストーリーにのめりこんでしまうでしょう。

バンコクを舞台にしたゼンマイ仕掛けの近未来世界を、のぞいてみたくはありませんか?

10位:ロボット三原則を巡るSFミステリー『アイ・ロボット』

ロボットが従うべき「ロボット三原則」を初めて登場させた、アイザック・アシモフによるSF連作短編集『アイ・ロボット』。1950年に刊行され、古くから多くのSF作品に影響を与えてきた名作中の名作であり、2004年に公開された映画『アイ・ロボット』の原作となる小説です。

全てのロボットは、ある3つの原則を必ず守るよう設定されています。第1に、人間に危害を加えてはならないこと。第2に、人間の命令に従わなくてはならないこと。第3に、ロボット自身、自分の身を守らなければいけないこと。

この作品では、この「ロボット三原則」にまつわる、9つの短編が収録され、ロボット心理学者スーザン・キャルヴィン博士により、ロボットと人間の歴史についても語られていきます。物語の中で一見、三原則に背くような行動をとるロボットたち。スーザン博士らが、その原因を解き明かしていくという、ミステリー要素も含まれた1冊になっています。

著者
アイザック アシモフ
出版日

あくまでも三原則に従おうとするがゆえにおきる、ロボットたちの異常行動が、ユーモアたっぷりに描かれている作品です。知的な推理が、テンポよくスリリングに展開されていき、三原則の矛盾や盲点を鮮やかに突いていく様子は圧巻。ロボットの行動理由が明らかになった時、霧が晴れるようなすっきりとした感覚を味わえることでしょう。

論理的な思考の中で原則の解釈を捻じ曲げていき、身勝手な行動をとるアンドロイドの姿は、もしかしたら人間とそっくりなのかもしれません。自分は正しいと信じながら、間違ったことをしてはいないかと、思わず考えさせられてしまいます。SFが好きな方はもちろん、謎解きミステリーに興味のある方も楽しめる読み応えたっぷりの傑作です。

9位:もしも本のない世界になったら……『華氏451度』

1953年に刊行された、レイ・ブラッドベリによる『華氏451度』は、本が禁止された世界の様子を描いたSF作品です。1966年に、『華氏451』として映画化されました。

主人公のガイ・モンターグは、見つけ出された書物を焼く役人、ファイアマンです。世界では、読書および本の所有が禁止され、発見された書物は、ファイアマンの手によって焼き尽くされてきました。紙が燃え上がる温度、それが「華氏451度」なのです。

人々はテレビやラジオでしか情報を得ることができず、徐々に考える力や記憶力が低下していきます。ぼんやりとしてしまい、なんの疑問も抱かずに表面上は平和な日々を過ごしていました。自分の仕事に誇りを持っているモンターグでしたが、ある日、1人の不思議な少女と出会ったことをきっかけに、様々な感情や疑問が湧き上がるようになって……。

著者
レイ・ブラッドベリ
出版日
2014-04-24

管理体制に支配された物語内の世界には、なんとも言えない息苦しさを感じます。1950年代に、すでにこのような物語が執筆されていたことに驚くばかり。テレビの映像やラジオの音声が常に流され、人々の思考力が衰退していくという設定には、どうしても現代の社会の様子が浮かんできてしまいます。

詩的な表現が多く、読みづらいと感じる場面もあるかもしれませんが、印象的な登場人物たちや、奥深いセリフの数々に彩られた世界観に、知らぬ間に引き込まれてしまうことでしょう。悩みに悩み抜いた主人公は、最後に何を思うのでしょうか。本が好きな方には、ぜひ読んでいただきたいこの作品。清々しい読後感が味わえる、希望に満ちた物語になっています。

8位:大ヒット映画の世界観をより濃密に体験できる傑作!『ジュラシック・パーク』

人間の手によって蘇った恐竜が、様々な惨劇を引き起こすSF小説『ジュラシック・パーク』。数多くの作品が映画化されている、ベストセラー作家マイケル・クライトンによって執筆された本作は、1993年に公開された大ヒット映画『ジュラシック・パーク』の原作としてもたいへん有名なエンターテインメント作品です。

大富豪ジョン・ハモンドが創立したインジェン社では、琥珀に閉じ込められた蚊から恐竜のDNAを採取し、それを元に、クローン恐竜を作り出すことに成功しました。インジェン社は15種類もの恐竜たちを現代に蘇らせ、コスタリカの孤島であるイスラ・ヌブラル島に、一大テーマパーク「ジュラシック・パーク」を創り出す計画を立てます。

開園を間近に控え、島には古生物学者アラン・グラントをはじめとした、数学者やシステムエンジニアなどによる視察が行われていました。突然、何者かの策略によって、パーク内のシステムが一時的にダウン。恐竜たちが逃げ出す事態に陥り、島の人間たちに恐怖が襲うことになるのです。

著者
マイクル クライトン
出版日

なんと言っても、テクノロジーをふんだんに取り入れた緻密に描き出される世界観と、スピード感溢れるスリリングなストーリー展開に魅了されてしまいます。クローン恐竜が誕生するまでの背景が、科学的・論理的に詳しく説明され、様々な学説を興味深く読むことができるでしょう。パーク内の人間関係についても詳細に綴られているので、リアリティー抜群です。

忍び寄る恐竜の影にはハラハラドキドキさせられ、発達しすぎた科学技術や、身勝手に新しい生命を創り出す人間の傲慢さに対して、警告のようなものを感じられる作品です。映画とはまた一味違った、奥深く濃密な内容になっていますから、興味のある方はぜひ一読してみてくださいね。

7位:時間旅行をする主人公の姿から目が離せない『スローターハウス5』

1969年に刊行された、カート・ヴォネガットによるSF小説『スローターハウス5』は、第二次世界大戦中に著者が体験した、ドレスデン爆撃の様子を中心に、時間軸を飛び越え、過去・現在・未来を行き来していく物語です。1972年に映画化された作品は、様々な映画賞を受賞しました。

主人公のビリー・ピルグリムは46歳。かつて第二次世界大戦を戦い、ドレスデンで捕虜となった経験があります。生きて戻ったビリーは、後に検眼医となり、結婚して子供たちにも恵まれ、ニューヨークで平和に暮らしていました。

そんなビリーがラジオ番組に出演した際、自分が「けいれん的時間旅行者」であることや、空飛ぶ円盤に誘拐され、トラルファマドール星で動物園にいれられた経験があることを話しはじめたのです。彼の人生は時間軸がばらばらに訪れ、それを自分でコントロールすることができないのでした。21歳で第二次世界大戦へ召集され、戦地にいた頃、ビリーははじめて時間のなかに解き放たれることになります。

著者
カート・ヴォネガット・ジュニア
出版日
1978-12-31

本作は、歴史上実際に起こった壮絶なドレスデン爆撃を、けして悲劇的に描いているわけではなく、静かに淡々と、いたるところにユーモアを織り交ぜながら綴られていきます。コミカルでリズムよく展開されていくので、とても読みやすいのではないでしょうか。

ですが文体がコミカルでも、突然自分の死へと突入したかと思えば、次の瞬間には子供時代に飛び、そしてまた戦場へと戻り、罪もない多くの人が死ぬ。そんな状況を、逆らうことなくただ体験していく主人公の姿には、言いようのない悲しさを感じてしまいます。「そういうものだ」というセリフが幾度となく登場し、諦めや無力感が漂う様子に、戦争というものについて、深く考えさせられる作品です。

6位:戦争が生み出すむなしさを描いた1冊『終りなき戦い』

ジョー・ホールドマンが自身のベトナム戦争従軍での体験をもとに描いた作品『終りなき戦い』は、光速を超える速さで動ける技術を発見したことを引き金に勃発する、宇宙戦争の物語です。

主人公のマンデラは宇宙戦争に従軍するも、宇宙から帰るたびに10年以上も地球の時間が進むウラシマ効果により、大切な人々を失います。しかしそのような世界で、悲しむ間も無く戦い続けなければならない、戦争という世界の無常観を表現した1冊です。

著者
ジョー・ホールドマン
出版日

作者自身が戦地に行っているからか、この作品から伝わる戦争の無常観が、リアルに思えてなりません。「戦争」と聞くと「危険」と連想しますが、どこか自分とは無関係と考えてしまいませんか?しかしこの物語の中では、戦地へ赴くことこそがあたりまえとなっています。これが現実においても当たり前になってしまえばどうなるか、そんなことを考えながらぜひ読んでほしいです。

そんな悲しい物語ですが、それだけではないのです。最後まで読み進めていくとなんと、あの人物がいるなんて……。

気になる方はぜひ読んでみてください。読んでいるだけで目に浮かぶような戦闘シーンも見どころで、戦闘物が好きな方ならぜひ読んでいただきたい1冊です。

5位:宇宙規模の復讐劇『虎よ、虎よ!』

アルフレッド・ベスターが描くSF小説の舞台は黄金の時代、24世紀。あらゆる星で活動する人間達は、ある時ジョウントと呼ばれるテレポート能力を手に入れます。そこからこの物語が始まります。

主人公のフォイルは、ばらばらに破壊された宇宙船の残骸の中で、独り救助を待っていました。そこを通りかかった宇宙船ヴォーガに救難信号を出すも、あっさりと見捨てられてしまいます。そして彼は自分を見捨てたヴォーガに復讐を誓い、ジョウントを駆使する事を決めたのでした。

著者
アルフレッド・ベスター
出版日
2008-02-22

フォイルは常に自分が何者であるかを作中で自問しています。その答えが出るのかどうかは読者の皆様にお任せするとして、彼はこのような言葉を投げかけられます。

「あなたは逃げまわってたのよ。攻撃性逃避ということを聞いたことはないの? 現実から逃避するために、それを攻撃し、それを否認し、それを破壊する……ご存じないの? あなたのやってきたことはそれなのよ」
(『虎よ、虎よ!』より引用)

この言葉はフォイルの胸に突き刺さったことでしょう。本当に追いかけていたのはヴォーガという敵だったのか、それともそう思う事で現実から逃げていただけだったのか。この問題が読者の心に常につきまとい、人間の本質を問わずにはいられなくなります。そういった意味で、この作品は単なる復讐劇だと一言で言い表す事はできないでしょう。

復讐に囚われた虎と化した彼はずっと、捕まえる事のできない自分の尾を追いかけていたのかもしれません。決して噛み千切る事ができないと、知らないままに。

4位:命の条件とは何なのか『アンドロイドは電気羊の夢を見るか? 』

フィリップ・K・ディックによるこのSF小説は、放射能に汚染された最終世界大戦後の世界が舞台の物語です。この世界には、動物を飼わない人は一種の軽蔑の眼差しを向けられるという、不思議な価値観が民衆に広がっていました。しかし実際の動物はとても高価で、手が出ない者はよくできた模造生物を飼わなくてはなりませんでした。主人公のリックも、電気羊を飼いながらも本物の動物を飼う事を諦められない一人です。

そしてこの物語で忘れてはいけないのは、アンドロイドの存在です。彼らは感情移入能力を持ち合わせていません。リックは彼らを殺す賞金稼ぎとして動き始めますが、そこでどんどん自分の信念が揺らいでいくのを感じます。そんな彼に、語り掛ける者がいました。

「どこへ行こうと、人間はまちがったことをするめぐり合わせになる。それが――おのれの本質にもとる行為をいやいやさせられるのが、人生の基本条件じゃ。生き物であるかぎり、いつかはそうせねばならん。」
(『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』より引用)

著者
フィリップ・K・ディック
出版日
1977-03-01

人間とアンドロイド、そして電気羊のような模造生物。これらにどんな違いがあるのでしょうか。命は命、それぞれの形が異なっているだけなのではないでしょうか。そういったもやもやとした疑問を抱かざるを得ません。それをあえて軽妙な語り口で私達に問い掛けてくるSF小説です。

どんな形をしていれば命を持つ条件をクリアできるのか、と考え始めると、この作品を読み進めずにはいられなくなるはずです。私達人間とアンドロイドの違いは、本当に感情移入能力の有無だけだったのか。人間は模造生物を見下していましたが、果たしてそれは正しい価値観だったのでしょうか。

3位:本当の希望のありかを示す道標『星を継ぐもの』

ジェイムズ・P・ホーガンによる本SF小説の舞台は、新しい核爆弾の登場で全世界が軍備放棄をした世界です。宇宙をまたにかける新しい時代が始まったまさにその時、月面で謎の死体が見つかる、というところから物語は幕を開けます。

主人公のハント達は、この死体をチャーリーと仮称し、その生態について研究を始める事にします。一体チャーリーは何者なのか、どうして月にいたのか。チャーリーは人間なのか。ハント達の疑問は、読者である私達と共通したものになります。

そして物語が進むうちに、チャーリーがルナリアンと呼ばれる月世界の住人であった事が判明します。月面でルナリアン達に何が起こっていたのか、なぜチャーリーは命を落とさなくてはいけなかったのか。それに迫るハント達が提示する、ルナリアンに関する情報量の豊かさ、そしてチャーリーの身元を巡る識者達のリアリティ溢れる白熱した議論。読者を待ち受ける魅力的なプロローグからの物語の流れには思わず熱中させられること間違いなしです。

著者
ジェイムズ・P・ホーガン
出版日
1980-05-23

チャーリーと仮称されたこの死体は、地球人に様々な疑問を投げかけます。そもそもルナリアンとはどういった存在だったのか、何を考えて生きていたのか。死へ向かう道すがら、それでも思考をやめなかったチャーリーは、月面で日記をつけていました。それを解読する事に成功したハント達は、その内容を食い入るように見つめます。そんなチャーリーの日記に、このような文が残されていました。

「工場や鉱山や軍隊で暮らすばかりではない、もっと意味のある生き方はきっとあるはずだ。それがどんなことか、自分にはわからない。われわれはそれ以外の生き方を知らずに過ごしたのだ。しかし、この宇宙のどこかに、温かく、色と光に満ちた世界があるならば、われわれがして来たことから、何か意味のある結果が生まれるはずなのだ。」
(『星を継ぐもの』より引用)

チャーリー達ルナリアンは戦争状態にあり、苛烈な状況に置かれていたのです。その中で書かれたこの文には、どのような思いが込められていたのでしょうか。私達には想像することしかできませんが、できればルナリアンであるチャーリーに訊いてみたいものです。

彼らが宇宙のどこかにあると希望を託した世界がもし地球なのだとしたら、その希望は間違いではなかったのだ、地球こそが希望の星なのだと私達は胸を張って言えるでしょうか。地球に生きる読者の心に訴えかけ、どこかわびしさを感じさせる海外の名作SF小説です。

2位:歪んだレンズを通して見る世界『一九八四年』

常に思想警察に観察され、人々を導く偉大な兄弟という存在への崇拝を強制されている息苦しい世界が、このSF小説の舞台。海外の名作を多く生み出してきたジョージ・オーウェルの作品です。

新聞もニュースも、偉大なる兄弟のために全て書き換えられ塗り替えられる世の中で、主人公のウィンストンは疑問を抱いてしまいます。本当に正しい事とは何なのか。真実はどこにあるのか。この世界は間違っているのではないか。自分はこのままでいいのか。彼の心をひしめくたくさんの疑問が、読者の共感を呼びます。

もちろん、そのような疑問を持つ人間を政府が許すはずがありません。ウィンストンはこのままでは自分が思想犯罪者となってしまうとわかっていました。しかし、彼はそれでもまだ諦める事をしませんでした。

著者
ジョージ・オーウェル
出版日
2009-07-18

「彼は深い眠りに陥りながら呟いた。『正気とは統計的なものじゃないんだ』この言葉の中に、彼は深い英知が潜んでいるように感じた。」
(『一九八四年』より引用)

彼はとうとう政府に捕まり、激しい拷問を受けます。それは拷問ではなく教育なのだと言われてしまいますが、これには読者もぐっと唸るしかありません。政府は狂っているのではなく、それが正しいと冷静に認識しているのです。ウィンストンが最後に何を信じる事になるのか、思想を変える事になるのか、はたまた自分の考えを貫き通す事ができたのか、このSF小説を読んでぜひ確かめてください。

どう生きる事が本当に幸せなのか、全てを縛られた世界の人々は考える事すら許されていませんでした。私達読者はきっと彼らのように束縛されてはいませんが、それを真剣に考えた事があるでしょうか。自分が信じているものが真実なのか、歪んだ世界こそが幸せをもたらすのか、どうぞ思考の迷宮に触れてみていただきたいと思います。おすすめの海外SF小説です。

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1位:その先に希望がある『夏への扉』

冷凍睡眠という技術が当たり前になり、ついには不完全ながらタイムマシンが発明された世界がこのSF小説の舞台です。主人公のダンは、そのふたつの技術を駆使して時間を旅する事になります。

ダンには可愛がっている牡猫のピートがいます。ピートは冬の雪を嫌い、家にあるたくさんの扉を開けてはどれかが雪のない夏に繋がっているのだと試している、何とも可愛らしく風変りな猫です。ダンは優秀な技術者でしたが、仲間に裏切られ自暴自棄になっていました。そして彼は無理矢理冷凍睡眠に送り込まれてしまいます。

眠っている間に発展してしまった技術に置き去りにされてしまうダンですが、彼は持ち前の頭脳を駆使してかつての仲間から奪われたものを取り返す事に成功します。そして彼は未来で過ごす事で、ある確信を得ることになります。

著者
ロバート・A. ハインライン
出版日
2010-01-30

「そして未来は、いずれにしろ過去に優る。誰がなんといおうと、世界は日に日に良くなりまさりつつあるのだ。人間精神が、その環境に順応して徐々に環境に働きかけ、両手で、器械で、かんで、科学と技術で、新しい、よりよい世界を築いてゆくのだ。」
(『夏への扉』より)

ダンが乗り込んだ不完全なタイムマシンは、過去と未来のどちらに飛ばされるのかわからない代物でした。しかしダンは時間を超える事によって希望を見出す事に成功します。全ての目的を終えた彼は、それでもまだまだ自らの技術で新しい可能性を切り拓こうとしています。その前向きな姿勢には、どこかすがすがしいものを感じさせられる事でしょう。

未来の自分を知る事ができたら、過去の自分を変える事ができたら、と誰もが一度は考えた経験があるのではないでしょうか。もし本当にそれが実現できたら、私達は過去と未来のどちらの扉に手をかけるでしょうか。希望に繋がる扉を探し続けるピートの存在は、読者にさわやかな読後感を与えてくれる事でしょう。

いかがだったでしょうか。今回ご紹介した海外の名作SF小説を通して、ぜひ心を刺激されてみてください。

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