文芸

大学生が主人公のおすすめ青春小説5選!

更新:2020.11.27 作成:2017.2.18

これからご紹介する作品は、どれも大学生を主人公に描かれた作品です。思わず共感したり、懐かしさを感じながら読んでいただきたい、おすすめの本ばかりです。

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大学生たちの団結力が生み出す奇跡『風が強く吹いている』

ブクログ大賞の文庫部門大賞を受賞した作品。箱根駅伝を舞台に、個性豊かなメンバーたちと繰り広げられる挑戦と友情を描いた物語です。

ある日、成り行きで灰二から「竹青荘」というアパートへの入居を誘われた走。住むところも無かった為に了承した走は、個性豊かな9人のメンバーたちと住むことになります。残りの1部屋が埋まり、10人になることを待ち望んでいた灰二が突然こんなことを言い出しました。

「俺たちみんなで、頂点を目指そう」(『風が強く吹いている』から引用)
著者
三浦 しをん
出版日
2009-06-27

灰二によって青竹荘のメンバーたちは箱根駅伝に出ることを半ば強引に決められるのでした。しかし走には高校時代に噂された、ある悪い評判がありました。そのせいで自分が記録会などに出ると、メンバーたちが何か言われるのではないか、そんな思いを打ち明けたときに灰二が伝えた言葉があります。

「いいか、過去や評判が走るんじゃない。いまのきみ自身が走るんだ。惑わされるな。振り向くな。もっと強くなれ。」(『風が強く吹いている』から引用)

ひたむきに前を見据えて走る若者たちの先にある展開とは……。

箱根駅伝ファンでなくとも、走ることの喜びや達成感を味わえる作品です。読み始めは素人が少し練習したくらいで走れるわけがないと物語に距離を感じることもあるかもしれません。ですが、物語が進むにつれて努力を積み重ねれば何事も絶対に出来ないことはないのだなと思わせてくれるほど、物語に引き込まれていきます。灰二を中心に団結した青竹荘のメンバーたちの苦しい練習を耐えた、必死な努力の先の結末に感動間違いなしです。

彼と出会えたことが人生の得『横道世之介』

2010年に柴田錬三郎賞を受賞、本屋大賞にノミネートされた作品です。表題にもなっている横道世之介という主人公を中心に描かれています。

大学進学のために上京してきた18歳の横道世之介は、新宿駅東口の駅前広場に降り立ちます。彼が東京に来て出会うのは、恋人となる与謝野祥子。彼女は自由奔放で世間知らずなお金持ちのお嬢様でした。世之介の実家帰省の時に、付き合ってもいないのについてきたり、海水浴に行こうといってクルーザーに乗ったりと、なんとも憎めない性格のおちゃめな彼女です。
著者
吉田 修一
出版日
2012-11-09

更に彼の周囲には個性的な登場人物がたくさんいます。大学の友人、倉持一平と阿久津唯。女性に興味がなく夜な夜な「出会いを求める公園」に通う加藤雄介。憧れであり謎多き女性、片瀬千春などが物語を彩ります。

世之介自身もお人よしで人を引き付ける魅力にあふれた青年です。作中で雄介がふと世之介のことを思い浮かべるシーンの中にこんな文があります。

「世之介と出会った人生と出会わなかった人生で何かが変わるだろうかと、ふと思う。たぶん何も変わりはない。ただ青春時代に世之介と出会わなかった人がこの世の中には大勢いるのかと思うと、なぜか自分がとても得をしたような気持ちになってくる。」(『横道世之介から引用』)

彼と出会った人たちがふと思い出す世之介との思い出。世之介と過ごした日々とはどんなものだったのでしょうか。

ごくごく普通の大学生、世之介の物語。ですが、世之介の人の好さや周りとの温かいやり取りを見ていると、どこかほっと懐かしい気持ちにさせてくれます。もしも彼が友達だったらどんなに楽しかっただろうと想像してしまうのです。

どこか抜けていて、でも頼れる存在であり、癒しの存在でもあり、この作品を読んでいると世之介がとても好きになります。こんな風に誰かに愛される、ふと思い出してもらえるような存在になりたいものですね。ぜひ世之介の人柄の良さに触れつつ楽しんでみてください。

理系男子が繰り広げる爽快青春物語。共感度抜群の大学生活『キケン』

理系男子が暴れまくる爽快で面白さ満点の作品です。とにかく熱い青春物語となっています。

新入生の元山高彦と池谷悟は機研のチラシが張られている掲示板を見ていたところに、偶然上級生の上野直也に出会います。彼は、成南電気工科大学の中にある機械制御研究部、略して「機研(キケン)」と呼ばれている部の部長でした。

火薬を作ることが趣味である部長、二つ名はユナ・ボマー上野直也。副部長は名字を一文字隠した大神宏明。魔という文字を足せば、大魔神というわけです。とりあえず話だけでもと連れてこられた新入生の彼らはその場で入部届にサインをしてしまいます。
著者
有川 浩
出版日
2013-06-26

ある日、これからの部員確保のために作戦会議をしようと、上野直也の家に呼ばれたふたり。立派な邸宅に驚くばかりでしたが、なぜか案内されたのはプレハブで出来た掘っ立て小屋。なんと彼は小さい頃にロケット花火を天井に難十発も打って、子供部屋に穴をあけたらしいのです。その時に父親が怒ってこの離れに隔離されたそうで……。

そんな部長に振り回されつつ、男だらけだからこそキケンな行為や破壊行為を楽しむ彼らが送る青春時代とは?はちゃめちゃな学生生活、笑いあり、ラストには感動ありの魅力溢れる作品です。

理系男子が繰り広げる事件は抱腹絶倒の展開です。部長のキケン行為や、無理難題に付き合わされる新入部員たち。しかし、社会人になってから機研にいた頃の楽しさを思い返すのです。作中にこんな言葉があります。

「全力無意味、全力無謀、全力本気。一体あんな時代を人生の中でどれほど過ごせるだろう?」(『キケン』から引用)

機研だったからこそ作ることができた素敵な青春の1ページ。社会人のあなたには学生だったころの懐かしさが蘇ると思います。そして現役の学生のあなたにはこれからの学生生活が楽しくなりそうな内容です。ぜひ読んでみてください。

読めば人生に彩りが加わる『反乱のボヤージュ』

首都大学弦巻キャンパスにある、弦巻寮を舞台に描かれた作品です。大切な居場所を守るために若者たちが戦います。

語り手は「僕」、坂下薫平。首都大学の廃寮問題で寮生たちが大学側と対立しているところから物語は始まります。ある日、舎監の元に生活をするのであれば寮存続を認めると大学側から提案がありました。寮生たちは渋々受け入れ、名倉という舎監と寮生活を共にすることとなります。
著者
野沢 尚
出版日

ですが、この名倉という舎監は65年前に作られた寮規則の元に、寮生たちを統制し始めます。名倉は過去のある事件により、若者を目の敵にしている人物でした。

「単に嫌っているわけではありません。強烈に嫌っています。」

「反骨というものを気取っているあなたたちを、この手で、この寮から叩き出してやります(『反乱のボヤージュ』より引用)

なぜこんなに嫌うのか。そして寮生たちは厳しい統制の元、どう居場所を守っていくのでしょうか。舎監、名倉が坂下に伝えた言葉があります。

「圧倒的な暴力にあなたは痛めつけられるかもしれない。その時、怒りや憎しみに支配されてはいけない。地面を踏みしめて立ち上がることができたら、一度目を閉じて、全てを無にしてから大きく目を見開いて、周りの世界を見つめてください。三六〇度、ぐるりと見渡すことです。虚心になった目にいろいろなものが見えてくるはずです。」(『反乱のボヤージュ』から引用)

人生で起きる理不尽さに対する、怒りや哀しみ。でもそれは時に人間を強くさせてくれるのだと教えてくれる作品です。若者たちが、寮という自分たちの居場所を守るために戦い、そして学んでいく様子は勇気をもらえます。何かに悩んでいるあなた、そして今何をしたいのか分からず過ごしているあなた、人生という大きな壁を前に座り込んでしまっているあなたにこそ読んでいただきたい物語です。

大学生活という、限られた時間で学ぶこと『青が散る』

テニスに打ち込む若者たちの人生を描いた作品です。ほろ苦い恋も交えつつ4年間の大学生活が描かれています。

主人公、椎名燎平は一浪をした末、金銭的理由もあり仕方がなく大阪の私立大学に入学することになります。そこは真新しい校舎に変わったばかりで、何もかもが1からスタートした大学でした。そんな大学で椎名は気が進まないまま、入学手続きを済ませるために事務所へ向かいます。そしてその途中で佐野夏子に出会うのです。

幼さを残しつつ、彫の深い整った顔立ちの佐野に椎名は一目惚れしてしまいます。しかし彼女に言い寄る男は数知れず。さらに彼女は田岡という男に惚れてしまいます。田岡は婚約者がいるのにも関わらず佐野を口説いていたのです。どろどろとした関係の結末はいかに。
著者
宮本 輝
出版日

そしてテニス部に所属することになった椎名。はじめの活動は1か月かけてテニスコートを作ることでした。部員の金子たちと共に、トレーニングなどに時間を費やし、時には人間関係に悩まされつつ友情を築き上げていきます。彼らのテニスに捧げた青春時代と、恋の行方にご注目です。

登場人物それぞれの悩みや葛藤。そんな中で恋にスポーツに励む青春時代の物語です。誰しも人生を生きていく中で、ふと立ち止まることはありますよね。そこで歩みを止めてしまう者もいたり、さらに高みを目指していく者もいたりと様々です。それぞれの人生があり、それぞれの価値観がある中で、虚しさを感じることもあるでしょう。そんな切なさを、淡い恋物語を交えながら描いた作品です。

いかがでしたか?ドラマにもなっている作品もあるのですでに知っている作品もあったのではないでしょうか。大学生を主人公に描かれているので世界観に入り込みやすいかと思います。ぜひ一度読んでみてください。