人気No.1恋愛小説家・有川浩(有川ひろ)の書籍をランキング形式でおすすめ!新作も

更新:2021.12.12

有川浩の作品はあらゆる世代からの人気が高く、映像化したものも数えきれないほど。本好き読者による2011年の好きな作家ランキング女性編では、堂々の1位を獲得している作家。そんな有川浩の人気作品をご紹介します。

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電撃文庫からデビューをはたした作家、有川浩とは?

有川浩は、1972年生まれで高知県出身の小説家です。園田女子大学卒業。

2003年、『塩の街 wish on my precious』が電撃ゲーム小説大賞を受賞しました。文庫版で出版されましたが、後に『塩の街』というタイトルで大幅に加筆し、ハードカバー化されます。デビュー作以後の作品もハードカバーでの出版が続いており、ライトノベルを中心としたレーベルである電撃文庫出身の作家としては異例のことでした。

著者
["有川 浩", "昭次"]
出版日

2006年、「図書館戦争」シリーズが大ヒット。以降も大ヒット作を連発し、『阪急電車』『県庁おもてなし課』『フリーター、家を買う。』『植物図鑑』など数多くの作品が映像化されています。映画やドラマから興味を持った方も読みやすい作家だといえます。

自衛隊の要素が特色ですが、恋愛要素の強い作品も多く、胸キュン必至の有川ワールド。文芸誌「ダ・ヴィンチ」では、有川作品の好きなカップルランキングという企画が開催されたほどです。恋愛小説などの一般文芸作品が広く認知されていますが、本人は「大人向けライトノベル作家」を自称しているそうです。

2019年に「有川ひろ」とひらがなでのペンネームに改名しています。

ここからはランキング形式で有川浩の作品を30作品紹介していきます!ランキングの順位は、ECサイトの売上や検索数などから導き出したオリジナルとなっています。

1位:猫の語りが最高の魅力!『旅猫リポート』

あらまし

猫のナナと飼い主・サトルが旅する物語です。野良猫だったナナを飼い始めて5年の月日が経った頃、サトルはある理由で手放さなければならないことに。昔の友人たちを頼りに、新しい飼い主を探す旅に出るのでした。

吉川英治文学新人賞、ブクログ大賞(小説部門)を受賞し、山本周五郎賞候補作などにも選ばれた人気作品です。後に絵本も出版され、2018年には福士蒼汰主演で映画化されました。

著者
有川 浩
出版日
2012-11-15

ここが見所

作中では、ナナが語る場面がたくさん登場します。動物好きの方には必見の作品です。ナナは人間の言葉がわかるので、当然、サトルの心情も全て把握している賢い猫。彼が新しい飼い主候補のもとを訪れると、その相手にわざとなつかないふりをします。

また、人間の行動にツッコミを入れたりすることもあり、達者な口調で、少しひねくれた感じもナナの魅力です。一方、物語の展開が進むにつれて、サトルへの愛情を素直に語ります。強がっているように見えて、実はサトルのことが大好きなのです。猫であるナナの心情も細かく描かれていて、飼い主、ペットの両方の視点から物語が楽しめます。最後には感動の結末が待っていますよ。

もっと詳しいストーリーを知りたい方には、こちらの記事をご覧ください。

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2位:ローカル線を舞台にした心温まる短編集『阪急電車』

あらまし

京阪神を通る私鉄、阪急電車の今津線が舞台となった作品です。今津線は決して大きくはないローカル線。それぞれの駅が舞台となった短編全16話で構成されています。偶然乗り合わせた人との出会い、初めて降りた駅で見つけたもの。読めば電車に乗りたくなってしまうようなハートフルストーリーばかりです。

著者
有川 浩
出版日
2010-08-05

ここが見所

多方面でメディアミックスされているだけあり、性別・年代問わず楽しめる本作。登場人物も多数なので、きっと自分に近いキャラクターも見つけることができるでしょう。有川作品の中では恋愛要素が少なめな作品でもあるので、ベタ甘なものはちょっと……という人にもおすすめできます。一話一話が短編のなかでも短い方なので、まさに電車の中でちょっと読むのにぴったりな作品です。

『阪急電車』は2011年に『阪急電車 片道15分の奇跡』のタイトルで映画化。中谷美紀、戸田恵梨香、有村架純、芦田愛菜といった女優らによってそれぞれの短編が優しい映像になりました。それぞれどんな役の演じたのか知りたい方はこちらの記事もおすすめです。

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3位:植物に詳しい草食男子との恋愛?『植物図鑑』

あらまし

映画化された際のサブタイトルは「運命の恋、ひろいました」。

主人公のさやかはある日、アパートの前で行き倒れている男の子を見つけます。「お嬢さん、よかったら俺を拾ってくれませんか」の一文をご存知の方も多いことでしょう。そして始まった2人の同居生活。さやかが拾った男の子・樹は植物に詳しく、料理上手です。道端に生えている野草を狩ってきてはさやかに食べさせ、新しい世界を教えてくれます。

著者
有川 浩
出版日
2013-01-11

ここが見所

これぞ有川浩ワールド!と言いたくなるような、有川ラブコメを代表する一作といえるでしょう。うまくいったと思ったら障害が現れるといった2人の関係性にじりじりするストーリー展開はもちろんのこと、作品に登場する野草を使った料理も非常に魅力的です。読み終わってから道を歩けば、ついつい道端に目を向けてしまうこと間違いなし。全ての世代におすすめする「道草恋愛小説」です。

4位:有川浩のデビュー作!自衛隊三部作『塩の街』

あらまし

舞台は、突然落下してきた巨大塩化ナトリウムの結晶による「塩害」により、崩壊寸前となっている東京。治安は悪化を極め、無秩序となった世界の中で元自衛隊員の秋庭と女子高生の真奈が出会いました。この2人を中心として、終末世界を生きる人々や、必死になって世界を救おうとする自衛隊員たちの奮闘が描かれています。

著者
有川 浩
出版日
2010-01-23

ここが見所

自衛隊三部作と呼ばれる内の一つで、デビュー作でもある本作品。不器用な秋庭と健気な真奈の素直になりきれない関係や、2人の絆が世界を救うストーリー展開には有川浩の息吹を感じます。

同じように自衛隊のテーマを扱った作品のなかでも、特にミリタリー色が強い作品です。有川浩の他のミリタリーものに興味があった方には、ぜひ手に取ってもらいたいと思います。

自衛隊要素のある小説が好きな方にはこちらの記事もおすすめです。

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また『塩の街』のような恋愛ファンタジー小説をもっと知りたい方は、こちらの記事もおすすめです。

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5位:有川浩が描く海上自衛隊員の戦いと恋愛『海の底』

あらまし

有川浩の自衛隊三部作『塩の街』『空の中』に続く三作目ですが、三作とも独立していて話は繋がっていないので、どの作品から読んでも大丈夫です。

春の桜まつりの最中に巨大なザリガニに似た甲殻類の群れが大量に襲い掛かかり、その巨大ザリガニ(3日後にサガミ・レガリスと命名)は人を襲い、噛み殺していきます。人が襲われている様子はかなりリアルで惨忍ですが、なぜか一緒に事件に巻き込まれていく感覚に陥ってしまうのです。

海上自衛隊員である夏木大和三尉と冬原春臣三尉が乗務する潜水艦「きりしお」に、桜まつりにきていた13人の子供たちがサガミ・レガリスから逃げきてから無事に親もとへ帰るまでの六日間。サガミ・レガリスとの戦いに、海上自衛隊、警視庁、自衛隊それぞれのお役所事情がからみ合いながら話は進んでいきます。

著者
有川 浩
出版日
2009-04-25

ここが見所

有川浩特有のジレジレの恋愛も本作の魅力のひとつ。夏木と高校三年生で「きりしお」に避難してきた森生望は、お互いに恋心を持つのですが、異常事態であることと、艦長の死もあり、夏木は気持ちを抑え込んでしまいます。冬原にも、望に恋をしていた中学3年生の遠藤圭介にも、小学6「年生の望の弟の翔にも2人の気持ちはバレバレで、とても微笑ましい印象を受けるでしょう。

特に翔が望の気持ちを夏木に言ってしまってからの2人には、どうしてもにやけてしまいます。冬原の「意識しあっている中学生みたい」とはうまく例えてくれたとしか言いようがなく、かわいらしい2人の姿に注目です。

最後まで名前を呼べずに「森生姉」と呼び続け、別れのシーンで「お前らが来なかったら艦長は死なずに済んだって。そんなふうに思われたのが最初なんて嫌だろ。どうせなら幸せに出会って幸せに始まった方がいいだろ」と望が告白しようとした所を遮った夏木。

それに対して望は「私のことは忘れてください」と言い、2人は別れ……。

後に「横須賀甲殻類襲来事件」と名付けられるサガミ・レガリスとの戦いと同時に恋愛小説としても楽しめる小説です。

『海の底』のようなパニック小説に分類できる作品を他にも読んでみたい方は、こちらの記事もおすすめです。

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6位:人気作家・有川浩の代表作『図書館戦争』

あらまし

図書弾圧に対抗する、図書隊に入隊した少女の成長と恋を描くSF小説です。シリーズは全6巻から構成され、このシリーズで、有川浩は一躍ブレイクし人気作家となりました。2013年に、岡田准一・榮倉奈々主演で映画化もされ、大ヒットした作品です。

著者
有川 浩
出版日
2011-04-23

ここが見所

舞台となるのは2019年の日本。「メディア良化法」の制定により、メディア良化委員会による図書狩りが行われていました。それに対抗した図書館は、図書隊を作り図書館を守るべく激しい抵抗を続けています。

主人公・笠原郁は、高校生の頃に出会った図書隊員に憧れ、自分も図書隊を志します。晴れて図書隊に入隊した郁でしたが、指導教官である堂上篤がかなりの鬼教官なのです。

シリーズ通して、図書隊に入隊した郁が成長していく姿や、良化特務機関との激しい戦い、そして郁の恋の行方が描かれます。図書館で戦争が勃発する、という斬新な設定を、違和感を感じさせることなく読ませ、そこに「ベタ甘」と称されるラブストーリーが重なり、魅力たっぷりのシリーズになっています。

「図書館戦争」シリーズについてももっと知りたい方は、こちらの記事がおすすめです。

小説「図書館戦争」シリーズの魅力を全巻ネタバレ紹介!

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アニメ、実写映画、コミカライズと様々な媒体で人気を博する有川浩の「図書館戦争」シリーズ。 今回はその原作となった小説の魅力をあらすじからたっぷりとご紹介します。

ここからはランキングとは別に「図書館戦争」シリーズを紹介していきます。

【「図書館戦争」シリーズ】甘酸っぱい小牧の恋模様にキュンとくる『図書館内乱』

あらまし

郁のピンチと小牧の恋模様に注目の「図書館戦争」シリーズ第2弾です。図書館隊員として働く郁のもとに、両親から職場を訪問するという知らせが届きます。実は、両親には戦闘をともなう防衛員であることを隠している郁。両親にバレないように、必死に誤魔化しますが……。

著者
有川 浩
出版日
2011-04-23

ここが見所

郁の両親との行く末も気になりますが、小牧の恋にも目が離せません。聴覚障害を抱える少女・毬江は、小牧に片思いしていました。2人のじれったい関係は、まるで少女漫画を読んでいるかのようにキュンとします。小牧のピンチをきっかけに彼らの仲はさらに深まり、恋の進展が見られますよ。郁と小牧のエピソードのどちらにもハラハラさせられます。

【「図書館戦争」シリーズ】図書館に関わる事件が勃発⁉『図書館危機』

あらまし

郁は自分の好きな人が堂上であることに気づき、頭の中はごちゃごちゃに混乱していました。そんな中、昇格試験の時期が近づいてきます。隊員たちは合格できるのでしょうか?

さらに、ある俳優のインタビューによって発生した図書館を巻き込む大事件や、「自由」という絵画作品を取り巻く問題が発生。特殊部隊が出動し、解決へと導きます。

著者
有川 浩
出版日
2011-05-25

ここが見所

郁と堂上の恋模様や起こる事件の結末のほか、稲嶺司令の退任も注目すべき点です。隊員たちに見守られながら、去っていく姿には胸が熱くなります。退任しなければならない理由は、実は本作の一連の事件と関わっています。気になる方はぜひチェックしてみてください。

【「図書館戦争」シリーズ】図書隊に史上最大の危機が迫る!『図書館革命』

あらまし

難事件に立ち向かう姿がカッコいい、急展開で迫力のあるシリーズ完結編です。

稲嶺司令が去り、組織が新しくなりました。郁と堂上の関係も進展し、デートする最中緊急の連絡が入ります。未明に国際テロ組織により、原発が襲撃されたというのです。この手口は、作家・当麻が手掛けた小説の内容と類似するものでした。当麻は良化隊から追われる身になってしまい、特殊部隊は保護してかくまうことに。

著者
有川 浩
出版日
2011-06-23

ここが見所

テロが関わるという、シリーズ最大規模の難事件。図書隊が必死に当麻を守る中、堂上が銃撃を受け、命の危険にさらされます。無事に乗り切ることができるのか、郁と堂上の幸せな時間はまた訪れるのか、最後まで目が離せない展開です。

【「図書館戦争」シリーズ】郁と堂上の恋模様に目が離せない『別冊図書館戦争』

あらまし

郁と堂上の恋模様を描くスピンオフ編です。2人は交際を始めますが、郁は恋愛経験がなさすぎるために、失敗ばかりしてしまいます。そんな郁にも、彼氏ができたらずっと叶えたかった小さな夢があったのです。その願い事を知った堂上は、驚く行動に出ます。

著者
有川 浩
出版日
2011-07-23

ここが見所

本編を読み終えた後にはピッタリの1冊。図書隊の活躍ももちろんありますが、これまでにないぐらい、恋愛エピソードが盛りだくさん。郁のじれったい行動や堂上の対応には、読む側も恥ずかしくなってしまうほど。郁と堂上のカップル推しな方には必見ですよ。ぜひ、最後まで2人の恋模様を見守ってください。

【「図書館戦争」シリーズ】柴崎と手塚の関係に進展は……?『別冊 図書館戦争2』

あらまし

『別冊 図書館戦争』に続く、番外編第2弾。本作ではサブキャラたちのエピソードが中心です。図書隊副隊長の緒方が想う相手、柴崎と手塚の馴れ初めが明らかに。本編では明かされなかった出来事が描かれているので、最後まで飽きずに読むことができます。

著者
有川 浩
出版日
2011-08-25

ここが見所

本編で、いい感じの雰囲気を醸し出していた柴崎と手塚の2人。郁が女子寮を出た後に、柴崎はストーカー被害に遭っていました。心配する手塚は仲間たちと、犯人を捕まえる作戦を立てます。そして、この事件をきっかけに、柴崎と手塚の関係は感動の急展開を迎えるのです。「図書館戦争」シリーズを読み尽くしていた方には、嬉しい1冊です。

それではランキング本編に戻りましょう。

7位:恋愛って難しい『レインツリーの国』

あらまし

図書館戦争シリーズの中で、重要なアイテムとして登場する架空の小説『レインツリーの国』。作中作にとどまり、実在はしない作品でしたが、こんな素敵な小説なら読んでみたいという読者の声に答え、作者が形にした小説です。

著者
有川 浩
出版日
2009-06-27

ここが見所

好きなライトノベルを介してネット上で知り合った、伸とひとみ。実際に会ってみようということになりデートをするのですが、その中でひとみは、何度か不可解な行動を取ります。首を傾げていた伸に後から知らされたのは、彼女は聴覚障がい者だったということでした。

後ろ向きな考えのひとみと、粘り強く彼女と関わり続けようとする伸。2人のやり取りはメールの文面が中心です。言葉を正確に伝えることの難しさ、相手を思いやるが故に起こるすれ違い。これらは健常者と障がい者である2人に特有な問題ではありません。人間が関わり合っていくことは難しいものだと実感しつつ、恋愛がしたくなる物語です。有川作品をいくつも読んだという人にこそ読んで欲しい、特に考えさせられることが多い一作だと思います。

本作は2015年に玉森裕太主演で映画化。関西人の役柄をテンションを上げて演じました。こちらの記事で実写化作品の魅力を紹介しています。

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8位:有川浩のベタ甘短編集『クジラの彼』

あらまし

6話の短編小説から成り立つ本作は、あとがきで有川浩自身が書いていますが、まさに「活字でベタ甘」の小説。スムーズにそれぞれの話の中に入り込めるので、とても読みやすいです。長編小説の番外編もありますが、読んだことがなくても充分楽しめます。でも印象的なストーリーを2つご紹介します。

著者
有川 浩
出版日
2010-06-23

ここが見所

「クジラの彼」は『海の底』の番外編になり、合コンで知り合った海上自衛官で潜水艦乗りの冬原春臣と、中峯聡子の連絡の取れない遠距離恋愛「けっこうきついバージョン」が描かれます。なかなか連絡も取れない2人のラブラブなお話です。なんだかんだで甘いだけのお話ですが、脇役のキャラクターも最高です。

「ファイターパイロットの君」は『空の中』の番外編です。MHJ技術者の春名高己とパイロットの光稀夫婦が娘に「初めてチューしたところ」を教える話です。初々しすぎる二人のデート場面は、読んでいて恥ずかしくなってしまいます。

全編通していえることは、肩ひじ張らずにキュンキュンしてしまう激甘ラブストーリーというところでしょうか。文章そのものもすごく読みやすいので、有川浩作品の長編を読む前に読んでみるのもいいでしょうし、すでに『海の中』『空の中』を読んだ人には、番外編を読んでそれぞれのカップルのその後を読んでほしい作品です。

『クジラの彼』のようにキュンとできる小説をもっと読んでみたい方は、こちらの記事もおすすめです。

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9位:航空自衛隊が舞台のSFヒューマンドラマ『空の中』

あらまし

200X年、国際輸送機開発プロジェクトによって開発された日本初の超音速ビジネスジェット機「スワローテイル」は、試験運転で四国沖上空を飛行中、高度2万メートルを超えたところで突如爆発してしまいます。その翌月、航空自衛隊岐阜基地より飛び立った自衛官の武田光稀とその上官の斉木敏郎は演習空域の四国沖上空を飛行中、高度2万メートルに差し掛かったあたりで一瞬の異変を察知した光稀は咄嗟に方向転換して助かり、斉木の飛行機は爆発してしまうのでした。

高知県仁淀川の近くに住む高校生の斉木瞬は、河原で大きなクラゲのような半透明の謎の生物を発見し、幼なじみの天野佳江とともにその生物を持ち帰り「フェイク」と名付け育てることにします。その頃、スワローテイル開発チームに所属している春名高巳は、機体の爆発の原因を調査するため岐阜の光稀を訪れ、光稀とともに事故現場を飛行した春名は、そこで巨大な謎の生物と遭遇するのでした。

著者
有川 浩
出版日
2008-06-25

ここが見所

春名は謎の生物と交信できる人物として生物から見た世界を表現し、瞬は謎の生物のために父である斉木敏郎を失った人間として、人間の世界を表現しています。そこに最初の事故でパイロットの父を失った少女が登場することにより、人間同士の感情が複雑にからみ合い、さらなる悲劇が展開していくのです。

人間の様々なエゴは単一の巨大生物との対比によりその醜さが一層際立ち、人間であるというだけで地球を我が物として振舞う我々人類の思い上がりを教えてくれます。『空の中』はSF小説としても楽しめると同時に、壮大なヒューマンドラマとしての感動も与えてくれる作品です。

10位:働く全ての人にエールを送る『空飛ぶ広報室』

あらまし

夢を絶たれたパイロットが、新たな道へと突き進む長編小説です。

自衛官で戦闘機のパイロットだった空井大祐。不慮の事故により、ブルーインパルスに乗る夢も叶わずに辞めなければなりませんでした。すっかりと希望をなくしていた空井の配属先は、防衛省航空自衛隊航空幕僚監部広報室。仲間たちとともに過ごす中で、仕事への熱意を取り戻し、立ち上がっていく物語です。

2013年に新垣結衣主演でドラマ化が実現しました。原作の主人公・空井大祐役は綾野剛。原作小説を読む上で、テレビドラマとは主人公が違う点にも注目したいところです。

著者
有川 浩
出版日

ここが見所

知らざる自衛官たちの姿が描き出されており、彼らの職務をまっとうする姿勢に胸が熱くなります。災害時や緊急事態には欠かせない存在で、その裏では想像以上の過酷さがありました。マスメディアとの関係性や今まで取り上げられてこなかった様子もたくさん見られます。

また、広報室の活躍で自衛隊の一面を知られるとともに、主人公の突き進む様子を見届けられるのも魅力。読めば、自分の仕事への姿勢や今後の方向性など、あらためて考え、見直すきっかけになるかもしれません。特に、大人には共感できる登場人物の心情描写もあり、働く人たちに向けられた1冊です。

綾野剛は役に生きる個性派俳優。原作ものの出演映画、テレビドラマを一挙紹介!

綾野剛は役に生きる個性派俳優。原作ものの出演映画、テレビドラマを一挙紹介!

どんな役柄にもチャレンジし、進化し続ける俳優・綾野剛。徹底した役作りに類まれなる感性の持ち主として、常に注目を浴びている俳優のひとりです。数々の作品に俳優として出演するまでには、実は意外な経歴も。 そんな彼が出演してきた映画やテレビドラマの中で、原作を実写化した作品を中心に紹介。綾野剛が演じた役柄と作品について紹介します。

11位:実在する高知県庁観光部おもてなし課が舞台『県庁おもてなし課』

あらまし

おもてなし課所属の入庁3年目25歳の掛水史貴と、外部からおもてなし課へ配属となった明神多紀の2人がメインとなり、高知県に県外からの観光客を呼び込み、「おもてなし」する心で県の観光を盛り立てようという話です。

観光特使になってもらった作家の吉門喬介と、血のつながらない元親子で元観光部職員の清遠和政とその娘の佐和も絡み合う、胸キュンストーリーでもあります。おもてなし課のメンバーが「多紀ちゃん」と呼ぶ中で、ただひとり「明神さん」と呼ぶ掛水。お互い好意を持っているのが吉門にはバレバレなのに、モダモダしている二人のかわいらしいラブストーリー要素満載。最後に掛水は「多紀ちゃん」と呼ぶことができるのかという点に注目しながら読み進めると、二人の感情の揺れがよくわかります。

一方、血のつながらない元兄と妹の喬介と佐和。お互いが好きな気持ちが通じるまでの長い時間があったからこその急なプロポーズの「あんたの娘を俺にくれ」と和政に告げる喬介の男前なセリフにグッとくる人も多いのでは?

著者
有川 浩
出版日
2013-04-05

ここが見所

有川作品独特の、胸キュンだけど男性キャラの好きな女性に強気になれないじれったさ、恋愛に対するどんくささにじれて読むのもいいでしょう。また、作中出てくる高知県内のアウトドアやネイチャリングスポットも素晴らしいものがあります。「高遠係」となった掛水と多紀が県内を引きずり回されていくうちに自然やグルメを取材するだけでなく、新しい魅力を発見していき、おもてなし課として成長して行く姿。

グダグダなスタートをした高知県庁おもてなし課が、1人の小説家により成長していく話だけではなく、二組のカップルの恋愛小説としても楽しめます。

『県庁おもてなし課』は2013年に映画化。錦戸亮、堀北真希らによって演じられました。堀北真希の演じた役柄についてはこちらの記事で紹介しています。

堀北真希の14年間総覧!実写化出演した映画、テレビドラマの魅力を原作ともに紹介

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2017年の引退まで、数々の映画・テレビドラマに出演した女優・堀北真希。初期はあどけない女子高生から、成人後は妖艶な悪女まで、幅広い役柄で演技力を発揮し多くの人を魅了しました。 この記事では、堀北真希が出演した作品と役柄について、原作の見所とともに紹介していきます。

12位:読書感想文にもおすすめ!新米職員の奮闘が綴られた『明日の子供たち』

あらまし

児童養護施設で働く職員と子どもたちの日々を描いた長編小説。元営業マンの三田村は児童養護施設の職員として転職します。未経験から失敗も多々あり仕事に苦戦する三田村ですが、個性豊かな職場の仲間たちと、様々な問題を抱える施設の子どもたちに向き合っていきます。

真摯に仕事に取り組む職員やたくましくなる子どもたちの心情描写にも注目すると、物語に深く入り込めますよ。

著者
有川 浩
出版日

ここが見所

児童の社会問題は深刻な印象ですが、読後感はあまり重くありません。保護された子どもの実態や三田村をはじめとする職員の苦悩が描かれている一方で、職員の成長や前向きな進展があります。さらに、有川浩らしく、甘酸っぱい恋模様が盛り込まれていて、ラブコメのようなシーンも。自衛隊も登場するため、有川浩の自衛隊三部作が好きな方にもおすすめです。

本作は、自分とは違う環境にいる人々の様子がわかるという点で発見もあり、とても学びの多い1冊だといえます。児童養護施設の裏側を知りたい方はもちろん、学生の読書感想文のために手に取るのもおすすめです。

13位:残酷な運命と向き合う夫婦に感動する!『ストーリー・セラー』

あらまし

女性作家とその夫の運命を描いた、感動の人生物語です。

「彼女」は会社勤めをしながら小説を書いており、ある日、その小説を「彼」が見つけてしまいます。やがて2人は結婚し、「彼女」は作家デビューへ。しかし、周囲の冷ややかな目であったり、誹謗中傷の被害に遭って傷つきます。さらに、「彼女」から不治の病が発覚し、生きるのもままならない状態に。小説家の道を断念するか、複雑な人生の選択に迫られます。

著者
有川 浩
出版日
2010-08-20

ここが見所

本作にはsideAとsideBの2つの物語があります。sideAはあらましで紹介した通り、「彼女」が病気になり、sideBは「彼」が病を患うパターン。どちらも愛する人が苦しみ、やがては別れが訪れます。悲しい展開が待ち受けていますが、その分、パートナーと人生を歩む困難さ、支え合うことの大切さなど、普段の忙しい毎日では考えない深い思いに気づかされます。

また登場人物が少ないので、夫婦の心情描写やセリフをじっくりと読むことができる点も心に響くでしょう。『ストーリー・セラー』を読めばパートナーの有難さを再確認でき、良好な関係を築けるきっかけになるかもしれません。愛する人がいる、すべての方に読んでみてほしい1冊です。

本作のように大人向けの泣ける要素が小説を他にも読みたい方には、こちらの記事もおすすめです。

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14位:有川浩ワールド全開の自衛隊ラブコメ『ラブコメ今昔』

あらまし

著者の短編が読んでみたい、という方にはぜひこちらをおすすめしたいと思います。よく知られた自衛隊三部作や図書館戦争の影に隠れたミリタリー物。自衛隊の人々にまつわる、十人十色な恋愛模様を扱った短編集です。それぞれの作品の登場人物がリンクし合っていて、読み進めるほどにおもしろくなる一作です。

著者
有川 浩
出版日
2012-06-22

ここが見所

読んでいるとにやにやしてしまうようなお話が多数。しかしそんななかでも、自衛隊として日々国を守る人々の仕事環境や本音など、なかなか知れない世界を垣間見ることもできます。恋人がいても家族がいても、有事の際には仕事を最優先。覚悟を持って職務をまっとうする自衛隊員やその周りの人々の生きざまに心を奪われます。

他のジャンルでも短編小説も読んでみたいという方は、こちらの記事もおすすめです。

短編小説おすすめ5選!今すぐ読んでほしいものだけを厳選!【ジャンル別】

短編小説おすすめ5選!今すぐ読んでほしいものだけを厳選!【ジャンル別】

気軽に本を読み始めたい時や、長編小説はちょっと……という方に、手に取りやすい短編集をジャンル別にご紹介します。一つの物語が数十ページ程度ですので、気軽にその作者の世界をいくつも味わうことが出来るのでおすすめです。

15位:家族の再生が心温まる!ドラマ化で話題の書籍『フリーター、家を買う。』

あらまし

主人公の成長と家族の再生を描いた小説です。2010年には、二宮和也主演でドラマ化されました。

ずっと堕落した生活を送っていたフリーター・武誠治は、ある日、母のうつ病に気づきます。誠治はどうにかしなければと働き始め、さらに、うつ病の原因である住まいの環境を改善するために、引っ越し資金を貯めることを決意します。

著者
有川 浩
出版日
2012-08-02

ここが見所

主人公の社会復帰はもちろん、家族で生きていくことの大切さや難しさの両方が物語の中に表れています。

誠治の母のうつ病は、誠治の父だけではなく、ずっと家に居た誠治でさえも気づかずに進行していました。家族の存在が当たり前となったゆえに、お互い見向きもせずに生活していたのです。誠治の父も少しずつ日ごろの態度を改め、家族に協力していこうとしていきます。他にもたくさん改善すべき問題があり、家族がぶち当たる問題は現実味を帯びていて共感できます。

また、誠治や彼の家族全員が前を向く姿には、読む側も勇気づけられます。家族物語が気になる方はもちろん、ダメダメな主人公が這い上がっていく展開が好きな方にもおすすめ。テレビドラマをご覧になった方も、ぜひ一度チェックしてみてください。

『フリーター、家を買う。』のように家族がテーマの心温まる小説を読みたい方は、こちらの記事で紹介しています。

心温まる家族小説おすすめ5選!

心温まる家族小説おすすめ5選!

近いようで遠く、遠いようで近いのが家族。今回はそんな家族について考えてみるきっかけになるおすすめの小説5冊をご紹介します。

16位:スカッとしたい方におすすめ!おじさんたちの活劇シリーズ「三匹のおっさん」

あらまし

還暦を迎えた3人の個性溢れるおじさんたちの活劇シリーズ。彼らが地域の安全を守るため、町で起こるさまざまな事件を解決していきます。2014年にドラマ化され、北大路欣也、泉谷しげる、志賀廣太郎の名演で話題となりました。小説の続編『三匹のおっさん ふたたび』だけではなく、テレビドラマも続編が制作され、舞台も上演されるなど、注目を集めたシリーズです。

著者
有川 浩
出版日
2012-03-09

ここが見所

一般的に物語の主人公は若者が多い印象が見受けられますが、『三匹のおっさん』では人生の半分以上を生きたおじさんたちが活躍します。彼らの行動にワクワクし、読後は爽快感を味わえる点が、本作の見所です。

ゲーセンに再就職し、剣道をこよなく愛するキヨ、柔道が武器の元居酒屋亭主・シゲ、無類の機械好きで工場経営をするノリ。この3人が自警団「三匹のおっさん」を結成し、ヒーローのように町の闇を滅多切りにしていきます。困っている人を助ける彼らの活躍ぶりは、若者以上にイキイキとしていて、とにかくカッコいいのです。読んでスカッとしたい方におすすめの1冊。ぜひ、はつらつとした「三匹のおっさん」から元気を分けてもらってくださいね。

17位:ただひたすら遊んだ日々を回顧できる青春小説『キケン』

あらまし

「キケン」というサークルに所属する、男子たちの日々を紡いだ青春小説。

成南電気工科大学には、「機械制御研究部」(通称:キケン)というサークルがあります。新入生の元山、池谷は、キケンの部長・上野や副部長・大神による歓迎に押されて、入部することに。キケンは、爆破実験などの数々のハチャメチャな行為をおこなうことで有名なサークルです。入部した元山たちは、入部当初は驚きの連続でしたが、スリルある毎日を目一杯楽しむようになります。

著者
有川 浩
出版日
2013-06-26

ここが見所

読後感が気持ちいい作品です。甘酸っぱい青春というよりかは、男子だけの少し暑苦しい学生時代を描き出しています。実際に、男性が読むと共感できたり、懐かしい記憶が蘇るのではないでしょうか?

キケンがおこなう、道を踏み外してしまうと犯罪になる遊びにハラハラさせられ、思いっきりサークルを楽しむ姿にスカッとできます。学生にはナンバーワンと言っていいほどの人気グルメであるラーメンが登場する点も、大学生らしいエピソードです。定番の青春小説は読み飽きたという方や女性が挑戦してみると、意外性があっていいかもしれません。

『キケン』の他にも、大学生が主人公の青春小説を読んでみたい方はこちらの記事をご覧ください。

大学生が主人公のおすすめ青春小説5選!

大学生が主人公のおすすめ青春小説5選!

これからご紹介する作品は、どれも大学生を主人公に描かれた作品です。思わず共感したり、懐かしさを感じながら読んでいただきたい、おすすめの本ばかりです。

18位:有川浩が演劇の世界へ誘う!『シアター!』

あらまし

ある劇団の再建と復活に向けて、団員たちの奮闘が綴られるストーリー。小劇団「シアターフラッグ」は経営困難に陥っていました。主人公で団員の巧は、劇団再建のために兄・司から300万円を借金します。しかし、条件は借金全額を2年間で返済すること。劇団のピンチを救うため、巧たちはあれこれ手を尽くします。

後に本作に関連し、舞台作品『もう1つのシアター!』を上演することになりました。有川浩が脚本を手掛け、モデルとなった「Theatre劇団子」が主催しています。さらに、続編小説『シアター! 2』も刊行されていますよ。

著者
有川 浩
出版日
2009-12-16

ここが見所

有川浩の強みである、イキイキとした登場人物たちの描き方に惹かれてしまいます。ちょっぴり弱虫な主人公の巧、弟とは反対に冷静で真面目な司、熱血団員の黒川やシアターフラッグの大物女優・千歳。それぞれのキャラクターが際立っていて、飽きることがありません。

しかも、有川浩の劇団への取材であったり、千歳のモデルである声優・沢城みゆきの存在からもわかる通り、現実味を帯びたストーリーです。世の中の劇団の現状や、演劇の世界を理解できる小説でもあります。これを機に、劇団について知ることも大切かもしれません。

19位:子ども服屋に起きる奇跡の物語『キャロリング』

あらまし

子ども服屋とある家族がくり広げる心温まる小説です。

子ども服を扱う「エンジェル・メーカー」は、クリスマスに倒産することが決まりました。学童保育も担っていて、そこで預かっていた航平は母親と2人暮らし。最後の仕事として、従業員の大和と柊子は、父親に会いたいという航平の願いを叶えようと協力します。しかし、父親の住む場所・横浜で事件に巻き込まれてしまい……。

後に『キャロリング~クリスマスの奇跡~』としてドラマ化されました。俳優の三浦貴大が大和役として主演を務め、柊子役に優香、航平役に鈴木福と、豪華キャストが勢揃いしています。

著者
有川 浩
出版日

ここが見所

スリルある展開はもちろん、心温まるエピソードも盛り込まれているので、読むとグイグイと引き込まれてしまいます。航平の願いは叶うのか、ドキドキしながら読み進めることができます。「キャロリング」の意味とは、クリスマスに有志の人々が集まり、近隣の家を訪ねて讃美歌を歌う活動のこと。タイトルのイメージとのギャップが感じられ、印象深い作品になること間違いなしです。

航平の父親に会いに向かった先ではとんでもない事件に巻き込まれてしまう大和と柊子ですが、事件の後には2人にも奇跡が起きます。クリスマスらしい小説を読んでみたい方、ほっこりした結末が好きな方におすすめです。

20位:沖縄の魅力に惹かれる!感動が止まらない『アンマーとぼくら』

あらまし

沖縄を舞台とした、泣けると話題の小説。実は、この作品は沖縄出身のアーティスト・かりゆし58のヒット曲「アンマー」と繋がっています。沖縄の言葉で、お母さんという意味を持つ「アンマー」。有川浩はこの楽曲から着想を得て、母親への愛情が詰まった本作を生み出しました。

主人公のリョウは休暇中に沖縄に帰郷し、「おかあさん」と島内を巡ります。彼の母親は2人いて、最初の母親を病気で亡くし、父親も他界しています。3日間の旅の中で、リョウは家族との思い出にじっくりと浸るのでした。

著者
有川 浩
出版日
2016-07-20

ここが見所

リョウは故郷・沖縄で過ごした時間を回顧します。幼い頃の母親との思い出、嫌っていた父親との記憶、様々な感情が入り混じりながらも、家族への想いが感じられるストーリーです。リョウたちのエピソードには涙が止められないぐらい感動します。物語の幕開けからは考えられない、意外な結末も見所の1つです。

また、沖縄の雄大な土地や豊かな自然が、鮮明に思い浮かび上がってくる感覚にも魅了されます。舞台が沖縄であるからこそ、包み込まれるような優しい読後感を得られるのかもしれません。感動する物語を読みたい方、自然を感じたい方はぜひ手に取ってみてください。かりゆし58ファンの方にとっても、感慨深い小説でしょう。

『アンマーとぼくら』のように、沖縄が舞台となっている小説を他にも読んでみたい方はこちらの記事がおすすめです。

沖縄が舞台の小説おすすめ6選!直木賞受賞作や『テンペスト』など名作ぞろい

沖縄が舞台の小説おすすめ6選!直木賞受賞作や『テンペスト』など名作ぞろい

第二次世界大戦が終わってから25年以上が経ち、日本に返還された沖縄。戦争の悲惨な歴史が多く残る場所として知られている一方で、自然豊かな情景と住民たちのおおらかな人柄が観光客にも人気です。この記事では、そんな沖縄やかつての琉球王国を舞台にしたおすすめ小説を紹介していきます。

ここからは、ランキングとは別に有川浩による児童文学やエッセイ、そして最新作を紹介していきます。

【「コロボックル」シリーズ】有川浩がコロボックル物語を受け継ぐ『コロボックル絵物語』

あらまし

小人たちの物語に心が温まるファンタジー作品です。主人公のノリコが姉の言葉をきっかけに、「コロボックル」シリーズ第1弾の『誰も知らない小さな国』を読み、夢中になりました。そして、大人になったノリコは、また次世代へとその物語を繋ぐのです。

「コロボックル」シリーズは、戦後から読み継がれている児童文学の名作です。物語の作者・佐藤さとるからバトンをもらい、有川浩が続編を手掛けることになりました。誰しもが読んだことのある『誰も知らない小さな国』が作中に登場する点も注目です。

著者
["有川 浩", "村上 勉"]
出版日

ここが見所

これから新しい「コロボックル」シリーズが始まるんだという、ワクワク感を味わえます。本作は、大人のノリコが幼い頃大好きだった『誰も知らない小さな国』を、子どものサトルへと伝える展開があります。これは同時に、佐藤さとるがずっと描いてきた名作を有川浩に託すという継承の流れを示しているのです。有川浩による「コロボックル」シリーズの誕生編だといえます。

子どもたちもカラフルな絵を楽しみながら読めますが、むしろ大人の方におすすめです。コロボックルたちのほっこりとした物語は変わらず、子ども時代を懐かしむことができちゃいます。

「コロボックル物語」シリーズについてもっと詳しく知りたい方には、こちらの記事がおすすめです。

「コロボックル物語」シリーズの魅力。あらすじ、絵本、有川浩の続編も紹介!

「コロボックル物語」シリーズの魅力。あらすじ、絵本、有川浩の続編も紹介!

身長3センチ、体重はたったの1グラムほどの小さなひと「コロボックル」。彼らが活躍する「コロボックル物語」シリーズは、日本で初めてのファンタジー小説だといわれています。近年では、人気小説家の有川浩が続編を発表したことでも話題になりました。この記事では、それぞれの作品のあらすじや魅力をご紹介していきます。

【「コロボックル」シリーズ】コロボックルたちにほっこりできるファンタジー『だれもが知ってる小さな国』

あらまし

子どもと小人がくり広げるかわいい世界観が魅力の児童書です。「コロボックル」シリーズの『コロボックル絵物語』に続き、有川浩が手掛けました。はち屋の子ども・ヒコは、はちみつを売るために日本中を回っています。その最中にコロボックルを見つけ、辿り着いた北海道でヒメという少女と出会います。ヒコは数々の体験を通して、成長していくのでした。

著者
["有川 浩", "村上 勉"]
出版日
2015-10-28

ここが見所

『だれもが知ってる小さな国』は、シリーズ第1弾『だれも知らない小さな国』から繋がっていることを予感させる展開も魅力の1つ。「コロボックル」シリーズの佐藤さとるへの尊敬の念が表れています。

また、作者の有川浩の「コロボックル」への愛が随所に読み取ることができます。コロボックルや北海道でヒメという女の子と出会い、人生が変わる主人公のヒコ。ぬくもりのあるやり取りであったり、不思議な体験が読者を癒してくれます。「コロボックル」シリーズが大好きな方も、初めての方も心温まる読後感を味わえるでしょう。有川浩らしい描き方も、また一段とコロボックルたちを魅力的にしていますよ。

【エッセイ】有川浩をもっと好きになれる!『倒れるときは前のめり』(有川ひろ名義)

あらまし

有川浩の意外な一面を見られる初エッセイ集です。彼女は数々のメディア化作品を生み、恋愛小説も多くの支持を集める売れっ子作家。日常生活はもちろん、故郷や仕事の裏側など、なかなか明かさないエピソードが詰まっています。

さらに、「ゆず、香る」と「彼の本棚」の小説2編も収録されているボリュームたっぷりの書籍です。後に、エッセイ集第2弾となる、『倒れるときは前のめり ふたたび』も刊行されました。

著者
有川 浩
出版日

ここが見所

本作は、有川浩の人生がわかるだけではなく、日々のエピソードに共感できる点が多くの読者を魅了しています。彼女の生活する上での些細なこだわりや気になることに、思わず納得できちゃいます。また、大人気作家が普段どのような作品に触れるのか、気になる方もいるはず。有川浩がおすすめする映画や書籍も紹介されています。

他にも、地元・高知への愛であったり、各作品の背景なども語られています。このエッセイを読めば、親近感溢れるたくさんのエピソードに惹かれ、有川浩の小説への理解が深まることでしょう。彼女のパーソナリティを知られる絶好のチャンスですよ。

【2021年最新作】主人公の成長と熱意が魅力の『イマジン?』(有川ひろ名義)

あらまし

映像制作の仕事に再挑戦し、夢に向かって走る男性の物語です。

主人公の良井良介は27歳のフリーターでした。ひょんなことからバイト先の先輩から誘われ、ドラマ撮影現場で働くことに。映像専門学校で学び、制作会社への就職は決まっていたものの、会社の倒産で夢は閉ざされてしまいました。一度は、映像制作に携わることに断念した良井でしたが、現場のパワーに突き動かされ、映像の仕事と向き合うようになります。

著者
有川 ひろ
出版日

ここが見所

夢に向かって突き進む主人公と、制作に関わる全ての人からの熱意に心動かされます。有川浩の名作の1つである『空飛ぶ広報室』のような展開で、爽やかな読後感が魅力の1冊です。自分のやりたいことや実現したいことを再認識し、ぼやっとしていた日々から抜け出した主人公の成長が伝わってきます。

また、有川浩ファンにとっては嬉しいサプライズが。物語中に良井が関わる映像作品には、有川浩が過去に執筆した小説をモデルにしているものがあります。その作品を連想させるタイトルや登場人物名、コンテンツなど、ぜひ、見つけてみてくださいね。映像制作の現場を覗いてみたいという方にもおすすめです。

【2021年最新作】『旅猫リポート』のサイドストーリーも『みとりねこ』(有川ひろ名義)

あらまし

表題作「みとりねこ」、大人気作『旅猫リポート』の外伝2編などを含む、猫にちなんだ小説集。2021年の有川浩最新作で、様々な人々と猫の出会いや生活が描かれています。ちょっぴり笑えるものから、心温まるものまでバリエーション豊かな物語が詰まっていますよ。さらに、初版限定特典として、徒花スクモによる描き下ろし漫画も封入されています。

著者
有川 ひろ
出版日

見所

やはり、見所はロングセラーを誇る『旅猫リポート』の外伝が収録されている点。後に絵本にもなり、映画化された『旅猫リポート』は、主人公のサトルが飼い猫・ナナとともに、新しい飼い主を探す旅の物語です。本作の『みとりねこ』では、「ハチジカン」と「こぼれたび」の2編で、サトルが幼い頃に飼っていた猫・ハチとの物語や大学時代の恩師を訪れたときのことが語られています。

サトルは社交的で、友人も多く、いつも明るい人物。この2編を通してサトルの意外な一面であったり、第3者から見たサトルの人物像もよくわかります。『旅猫リポート』を読んだことがある方には、待ち望んでいた小説であること間違いなしです。他にも、多種多様な猫のストーリーが読めるので、猫好きのすべての方におすすめできます。


有川浩の小説や作品を紹介しました。読んだことがなくても、タイトルは聞いたことがあるという作品も多かったのではないでしょうか。興味を持っていただけたら、ぜひぜひ手に取ってみてください。

こちらの記事でも有川浩について紹介しています。

有川浩作品の魅力に迫るおすすめ9選!笑って泣ける!

有川浩作品の魅力に迫るおすすめ9選!笑って泣ける!

2016年には『植物図鑑』が映画化されるなど映画化やテレビドラマ化も多数されている作家有川浩。今回はそんな有川の執筆した作品の中でおすすめの作品を紹介していきたいと思います。

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