舞台は謎の多い島、階段島。その島で悲観主義の少年、七草と理想主義の少女、真辺由宇が再会し、物語が動き出します。真辺は七草やその友人を巻き込み、島の謎を解き明かそうとします。突き止めた島の真相とは……。
- 著者
- 河野 裕
- 出版日
- 2014-08-28
真辺は理想主義者であるため、周囲の人物に正論(自分の理想)を振りかざします。その正論は周囲を傷つけ、周囲との関係は悪くなる一方でした。そして、その関係悪化は、自覚症状のないまま真辺を傷つけていました。普段の理想を振りかざす強い姿と時折見せる弱い姿に心を打たれます。
『いなくなれ、群青』を含めた階段島シリーズは、階段島の謎やそこで起きる事件を突き止めていきます。テーマは「心を穿つ青春ミステリ」です。登場人物はどこか欠陥のある性格をしていて、譲れないものを持っています。島の謎を追うたびにその信条を揺さぶり、彼らに様々なものを突きつけていくのです。
展開される青春ストーリーに「自分は周囲に流され何かを失くしてないか」と考えさせられる作品となっています。もちろんミステリが好きな方にもおすすめ!七草と真辺の関係も必見です!!
主人公・佐藤伸吾は、アイドルビジネスのために政府が運営している二宮学園を舞台にプロデューサーとして活動しています。金にならないアイドルなんか必要ないという考えから、パートナー契約を結んだ相手でも、中途半端になるようならその時点で契約を打ち切りにしてしまう徹底ぶり。
- 著者
- 平山 ひろてる
- 出版日
- 2014-01-18
冷徹なその振る舞いから、「鬼の佐藤」と呼ばれていましたが、彼は気にする様子などありません。そんな彼の前に現れた新入生・西宮有紗。彼女はアイドル候補生としては上の下くらいの容姿と能力。ただ、可能性だけが無限大にみえていました。何よりも彼女は恐ろしいほどに純粋で、天然で、包容力にあふれており、佐藤は彼女をパートナーとして迎え入れ……。
この物語は、何と言っても有紗のピュアなキャラクターが魅力的。彼女は、ひたすらに純粋無垢。佐藤を無条件に信じて、鬼と言われる彼の噂を知っているのに、恐れる様子もありません。それどころか、私なんかを選んでくれた、と、佐藤の無茶ぶりに持ち前の明るさと天然な性格、そして誰よりもひたむきな努力で答えていきます。
自分が怖くないのか、と問う佐藤にも、信念を貫くその姿はかっこいいとまで答える彼女。彼女は自分を傷つけるのは構わないのだと言い切ります。それで皆が幸せならそれでいいのだと。どんな悪意に満ちた言葉にも、自分を卑下したくなる瞬間にも、彼女はまっすぐに受け止め、努力を怠りません。笑みを絶やしません。
読んでいて清々しくなるくらい、純粋で優しく愛らしいアイドル有紗。きっと多くの人が理想とするであろう王道のアイドルが、この物語にはいます。
ニライカナイとは沖縄の伝承の1つで、魂のある場所、神々の住む国という意味です。それは理想郷であり、天国のような場所でもあると言われています。主人公のタクローはある日、羽田空港でリカという少女に出会います。彼女はポスターの中にいるアイドルと同じ顔をしていました。そう、タクローの目の前にいる彼女は人気アイドルのリカだったのです。
- 著者
- 葉山 透
- 出版日
- 2005-12-10
リカは、タクローに何だかんだと因縁を付けてきたかと思うと、タクローを巻き込んで沖縄の那覇へと飛んでしまいます。リカに巻き込まれたまま、タクローは那覇から石垣島、そして波照間島へと旅をすることに。連れだって旅をするふたりですが、それぞれ秘密を秘めたまま共に行動しているのでした。
わがままなアイドルに振り回されながらも、だんだんとお互いに心惹かれていくストーリーは、読み進めていくうちにどこか背中がむず痒くなってしまうような甘酸っぱいラブロマンス。沖縄の島を舞台に旅をして行くふたりの物語は、青春とラブロマンスとロードムービーを合わせたような雰囲気です。
美しい描写で描かれる沖縄の風景の中を旅するふたりの少年少女の物語は、読み終わった時に沖縄に行きたくなること間違いなしの物語です。本を読み終わった時、ふと窓の外を見て空が晴れていたら、思わず旅に出て行きたくなるかもしれません。作中に出てくるお店や名物の中には沖縄に実在するものもあるそうなので、夏休みにこの本をお供に旅行をするなんて言うのも楽しいかもしれないですね。
物語は、孤児院育ちで守銭奴のレオと侯爵令嬢のレーナが入れ替わるところから始まります。レーナは事情により貴族社会から追われていましたが、15歳になるため貴族が通う学院に召集されてしまいます。学園に通いたくないレーナは逃れるために入れ替わる魔法を使ったのでした。巻き込まれたレオに対してお金を対価にある提案を持ち掛けます。
「あなたが学院ライフを、私が下町少年生活をエンジョイするのってどうかしら。」
(『無欲の聖女』より引用)
- 著者
- 中村 颯希
- 出版日
- 2016-07-30
侯爵令嬢となったレオは、貴族とは違う振る舞いから高潔であると囃し立てられます。一方、下町少年となったレーナは、今まで身に着けた知識が通じず四苦八苦!2人の生活はいかに……!?
この作品の見所は2人の異なる価値観、生活感です。孤児院育ちでお金を第1に考えるレオと容姿、才能、お金が豊かなレーナ。入れ替わった後、周囲とのギャップが激しく、勘違いや苦労している様は笑いを誘います。
また2人の成長も見所です!貴族階級によって引き起こされる問題にぶつかり、2人は共に成長していきます。レーナの事情も明らかになっていきます。
異世界作品に多いバトル要素は少ないです。ヒューマンドラマが好きな方におすすめの一冊です。
「俺、大きくなったら迎えに行くから!だから、だからその時は結婚しよう!」
(『精霊幻想記』より引用)
天川春人は若くして生涯を終え、幼馴染との約束を守ることができませんでした。
地球とは異なった世界で、孤児の少年、リオは前世である「天川春人」の記憶を思い出します。重複する記憶に混乱する中、王女拉致事件に巻き込まれてしまいました。王女を救出したリオは、褒美として貴族の子供が通う王立学院に通うことになり……。
- 著者
- 北山結莉
- 出版日
- 2015-09-30
『精霊幻想記』の魅力は主人公リオの絶望、戸惑い、無気力感の心理描写にとても共感しやすいところです。リオに対する裏切り、騙しやリオの暗い過去に胸が締め付けられます。それでも前に向かって進むリオから目が離せません!
メインヒロインは4巻から登場するのですが、一途なリオとヒロインの恋愛も見所。他の作品ではあまり見ない面白い展開なので、リオの恋愛を是非読んでみてください!
主人公、相楽黒彦は目覚めると地球とは異なる場所に立っていました。そこは「聖なる大樹」を信仰し、「術式(魔法のようなもの)」を使うことができる異世界でした。黒彦は偶然、今まで誰も読めなかった「禁呪」の呪文を読み上げてしまい、騎士を育成する学園に入学させられます。
- 著者
- 篠崎芳
- 出版日
- 2014-10-23
唯一の禁呪使いである黒彦は、その強い能力を使って、戦いに身を投じていきます。物語が進むにつれ、解明される禁呪の性質と真相。黒彦の運命は……。
この作品は熱いバトル展開が見所です。黒彦は強い敵を惹きつけてしまい、敵との因縁が生まれていきます。弱い敵にはスカッと、強い相手には白熱したバトルを味わえます。
ヒロインはキュリエ・ヴェルステインとセシリー・アークライトの2人です。キュリエはクールで突き放したような発言をよくしますが、実は不器用なだけで相手のことをよく考えています。セシリーは才色兼備で人当たりの良い性格です。ただ黒彦に対しては、腹黒い面を垣間見せることも……。このダブルヒロインのギャップはたまりません!
引きこもりと空手家、どちらが強いでしょうか。ゲームでは前者、スポーツなら後者が勝つかもしれません。普通なら比べることのできない強さを競わせることがこの作品のテーマです!!
舞台となるミカホシ学園の生徒は各々の個性を具現化した異能力が使えます。この作品における個性とは特技、夢、性格などを指していて、強さはその個性に懸ける情熱で決まります。
- 著者
- 裕時 悠示
- 出版日
- 2010-04-15
この学園の特徴的なシステムはランキング制度です。生徒はランキング上位を目指し、自分より上の順位の生徒を狙います。当然勝者、ランキング上位者には特典があります。
主人公連動レンヤは、幼馴染でランキング1位の沙良瑞貴が意識不明になったと聞き、ミカホシ学園に転校してきます。レンヤは過去、瑞貴に勝ったことがあり、そのことを聞きつけたランキング上位者が戦おうとレンヤを追いかけます。とある事情によりレンヤは戦わないと決めていて……。中でも付き纏っているのが舞波すまる。レンヤはどうなってしまうのでしょうか!?
やはりこの作品の魅力は個性を武器に戦うランキング制度です。よく理解できない能力もあるため、普通のバトルとは想像の斜め上を行きます。また、ランキングの上位になるほど個性が強いということなので、レンヤの周りは変わった人ばかり。一味違う会話にも必見です!
ヒロインは、バトルマニアの瑞貴と強さを欲しているすまるです。瑞貴は意識不明であるため、すまるがメインヒロインといった印象。すまるは、本心が自分のほっぺに書かれるという変わったタイプのツンデレです。ツンデレ好きの方は見てはいかがでしょうか。
本作から始まった「物語」シリーズは、実は、ファンの間で1つの論争が起こりました。それは「物語」シリーズは「ラノベなのか否か?」という論争です。これは、出版されているレーベルが、ラノベ専用レーベルでないため起こった論争でもありますが、結論は、ファン各々の心の中にあると言うべきでしょうね。
作品の内容自体は、主人公である男子高校生の阿良々木暦が語り部となり、彼が遭遇する怪異を軸に物語が展開する伝奇モノとなっています。ヒロインには、吸血鬼や幽霊なども登場しており、作中で暦が吸血鬼の眷属となったりもしますし、その能力のおかげで解決する事件も珍しくありません。
- 著者
- 西尾 維新
- 出版日
- 2006-11-01
この作品に関しても、多くの魅力的なヒロインが登場する一方で、メインヒロイン一本道型の作品の1つです。ただし、暦は女性にデレデレするタイプで、各ヒロインともかなりイチャイチャするため、他のメインヒロイン一本道型作品と比べると、王道ハーレム系とも言えるでしょう。
この作品の特徴としては、主要登場人物の女性キャラには、たいがいメイン回があることです。このため、気に入ったヒロインが出来た場合は、地道に作品を読んでいると、お気に入りヒロインのメイン回に遭遇して、思わずうれしい気持ちになったりもします。また、基本的には暦が主体となり活躍して怪異を解決するといった展開が多いため、主人公の活躍する姿が見たいタイプの読者も十分満足出来る作品です。
犬村小六が描く本作の舞台は、ふたつの大陸と海だけの世界。西の大陸を「神聖レヴァーム皇国」、東の大陸を「帝政天ツ上」というふたつの国家が支配し、戦争に明け暮れていました。
主人公の狩野シャルルは、レヴァーム皇国に傭兵として雇われた腕利きの飛空士の青年ですが、敵を撃ち殺すことを嫌い、ただ空を飛ぶことを好む穏やかな性格でした。しかしある日のこと、彼にとんでもない命令が下されることになるのです。
「美姫を守って単機敵中翔破、1万2千キロ。やれるかね?」(『とある飛空士への追憶』より引用)
それは、レヴァーム皇国の次期皇妃であるファナ・デル・モラルを、敵国の真っ只中にある自治領から、海を越えた1万2千キロ先にある本国まで送り届けろという命令でした。友軍も協力者の助けもなく、貸し与えられた複座式水上偵察機「サンタ・クルス」を駆って自分ひとりで敵中突破するという、無謀極まりないものです。
- 著者
- 犬村 小六
- 出版日
- 2008-02-20
本作の見所は、なんといっても空を舞台にした冒険と戦いです。幾度となく立ち塞がってくる帝政天ツ上の戦闘機部隊に対し、シャルルとエレナの頼みの綱はたいした武装もない偵察機一機のみ。その偵察機を武器にしたふたりの立ち回りは、読んでいるだけでハラハラドキドキさせてくれるほどの緊張感を与えてくれます。
そして、1万2千キロの航路を無事翔破し、本国に辿り着いたふたりを待っているのは、切ないけれど心が温まるラストです。それまでの空の冒険がどのようなものか、是非とも手にとって確かめてみてください。
アニメ版も含め、おすすめ作品として紹介する読者も多い、竹宮ゆゆこによる青春ラブコメの傑作。ちっちゃくてかわいいけど凶暴な少女と、目つきは悪いけど家庭的で料理上手な少年が出会い、周囲の人間を巻き込みつつ複雑な恋愛模様を展開していく青春群像劇です。
- 著者
- 竹宮 ゆゆこ
- 出版日
- 2006-03-25
本作における重要人物は以下の4人です。このメンバーが好いたり好かれたりしてドタバタ込みで青春劇を彩っていきます。
1人目は、目つきの悪さからヤンキー高須と呼ばれ誤解されている主人公、高須竜児。2人目は、学校内でも有名な「手乗りタイガー」の異名を持つ凶暴な少女、逢坂大河。3人目は、竜児の想い人で大河の親友、櫛枝実乃梨。そして4人目は、大河の想い人であり竜児の親友、北村祐作。
そんな四角関係ともいえる複雑な恋模様が展開されていくことになる本作。実は物語中盤で、この中に重要人物がもう1人加わりますが、それは読んでからのお楽しみということにしましょう。
一押しの見どころ部分は、なんといっても登場人物たちの内面の描写。現実的な恋愛を描いていると高評価を得る本作では、特に女性の内面が上手に描き出されます。女性の本音の部分が綺麗ごと抜きで文章にしてあり、作中では女性同士がケンカをするシーンがよく登場するのです。そんな本音で語り合うシーンが目白押しの本作品では、登場人物の内面が感じ取りやすく、感情移入しやすい話となっています。
リアルな恋愛をたくさんの登場人物とともに描く本作は、2度、3度と読み返しても楽しめるほど緻密な心理描写が施してあります。ぜひ何度も読み返しながら、登場人物たち全ての恋心を読み取ってみてくださいね。
いかがでしたでしょうか。特に表紙の美少女(ヒロイン)を紹介してみました。最近はハーレム物が多く、苦手な方もおられると思います。そんな方にもおすすめできる作品です。本記事を読んでいただき、手に取っていただければ幸いです。