ほしよりこ漫画おすすめランキングベスト5!『きょうの猫村さん』作者!

更新:2021.12.1

大人気『きょうの猫村さん』でおなじみの漫画家ほしよりこ。2015年には手塚治虫文化賞マンガ大賞を『逢沢りく』で受賞しました。空間で読ます独特の技法と世界観から生み出される作品の中からベスト5をご紹介します。

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感性とセンス!ほしよりこの世界

漫画家ほしよりこは、1974年生まれの関西在住の女性です。2003年よりインターネット上で連載された『きょうの猫村さん』が人気となり、以後数々の作品を発表しています。

えんぴつで描く作品はどれもノスタルジックな世界に包まれ、親しみを感じさせます。このような描き方の原点には、幼少時家族でテレビを見ながら、広告の裏に絵を描いていたあの頃の続きを追い続けているのかもしれないと、インタビューの中で答えています。

5位:今日は山で仕事。昼食はそばです

仕事の為、長野で合宿した体験をもとにした作品。安曇野を目指し、わさび農園に立ちよりながら森に覆われた合宿所で、山菜鍋を美味しくいただき、温泉に入ったとこから旅がはじまります。

翌日お仕事モードになるも、お昼はおいしいお蕎麦屋さんへと松本を満喫。すっかり松本が気に入った作者は、なかなか帰らず、旅は続きます。上高地を訪れ、白骨温泉に宿泊。福岡への出張帰りには岩国へ降り立ち、シロヘビにびっくり。気の赴くままに続いたその後の旅の様子を、手紙で伝えたいと考えたものが、絵日記風に描かれています。

著者
ほし よりこ
出版日
2014-07-28

旅先で出会った人々、神々しい景色やおいしい食べ物、素敵なホテル。様々な旅の思い出があたたかいタッチで描かれています。作者の人柄がそのまま絵にあらわれているのではないでしょうか。

特に松本の描写は、食事のメニュー等細かく載っているので、作者自身も知人に旅行ブックの代わりにとコピーを取って渡したとの話も。ただ、それだけではないのが『やまとそば』。情報や事実だけでなく、実際に体験して感じた作者の気持ちが、ありありと描かれています。その為、読者は作者と一緒に旅をしているような気分に浸れるのです。

旅の楽しさに溢れた本作、読んだ後きっとあなたも旅に出たくなりますよ。

4位:2歳の天才児、現る

少年チィチィは2歳にしてオセロとパズルが得意な天才児。そんなチィチィを優しく見守る兄とチィチィは仲の良い兄弟です。兄はいくら天才だとしてもまだ子どもであるチィチィが学校へ通うのは早いと反対しますが、通学を薦める母親の策略にはまってしまい、チィチィのスクールライフが幕をあけます。

ストーリーはチィチィの学校生活の様子だけでなく、兄や兄の年の離れた友達次郎など、個性的なキャラクターが数多く登場し、たわいもない会話や日常が繰り広げられていきます。

著者
ほし よりこ
出版日
2015-09-18

2歳児目線で展開される天才児チィチィの活躍や騒動が微笑ましく、ユーモアあふれる内容です。要所に笑いが盛り込まれ、時には感動を誘うほしワールド満載。

作中に2歳から3歳になるチィチィは、神童の悩みを聞いたり、学友の恋愛相談をうけたりと学校生活での経験や、様々な登場人物との出会いによって成長していきます。それは読み進めるうちに少しずつ発達していく、チィチィの言語能力にもあらわれています。本作を読んだ後、なにげない日常が大切なものだと感じるのは、チィチィの純粋な心や好奇心にふれた人々が、なぜかちょっと幸せになっているからではないでしょうか。

3位:世界と僕は豚をとおして繋がっていく!

イサオは少しだけご飯を残す癖を両親に咎められ、その度に引き合いに出される難民の子ども達の話を聞きながら、悲しい気持ちの中、残飯を豚に与えて世界のめぐまれない子供たちに届けようと思いつきます。

イサオは近くの養豚場で子豚を勝手に失敬してきますが、両親に怒られ、反対されて泣く泣く養豚場に子豚を戻しにいきました。養豚場の主人は、一人で返しにきたイサオの心意気とその理由に感心し、子豚に名前を付けるよう促します。ブーちゃんの誕生です。その日からのイサオにとってブーちゃんに残飯を持っていくこと(育てること)は人生の一部、イサオの一部となっていって。

著者
ほし よりこ
出版日
2014-03-28

子どもの頃、一度は聞かされた事があるような「もったいない。世界中にはね……」の言葉の先にスポットをあてています。生きていく上で、生き物を食べるということは切り離せません。食事という意味を考えさせられる物語です。

ブーちゃんを食料にすべきだったのか?答えがわからないままのイサオが新たな夢を模索する中で、現実に直面し受け入れていく姿は、全ては考え方ひとつなのだと素直に思わせてくれます。そして、物語にアクセントをくわえる同級生佐倉夕子のシュールな一言。

「私、何だか……酢豚が食べたくなっちゃった」
(『僕とポーク』より引用)

2位:何でもないの、本当に。でも悲しいがわからない。

主人公は、東京でカッコイイパパとカンペキなママの素敵な家族を絵にかいたような家庭の一人娘、りく。りくは、美しく、少しミステリアスでクラスメートからも特別な存在として扱われ、自分でもそれを自覚しています。

はたから見れば幸せそのもののりくですが、パパの不倫問題やママとの関係など複雑な家庭問題を抱えています。涙を自由に操れ、人生を都合よく生きているりくですが、涙を流せても悲しいという気持ちがわからず、動物をかわいいとも思えません。悲しいとは、かわいいとは、傷つくとは、どんな気持ちなのだろう……。

そんな中、母親との関係の破綻から大嫌いな関西で暮らすことになります。大嫌いな関西弁や父方のおせっかいでうるさい親戚、東京と関西の文化の違いにふれながら、りくは変わっていきます。

著者
ほし よりこ
出版日
2016-09-02

東京と関西というわかりやすい対比を通して、多くの事を感じさせる作品です。

一人っきりで生きていないのだから、個性も自分を取り巻く人たちの中での価値観に左右されるものであり、だからこそ自分を持つには、自分の気持ちを理解し、受け入れるところから始めなければいけないのだと気づかされます。人は自分をみつけるためにも他人と関わっていかなければならないのかもしれません。もう一歩先へ踏み出す勇気を与えてくれます。

1位:一家に一匹、猫村さん!

猫なのに家政婦の猫村さんは、シェフ並みの料理の腕に、掃除・洗濯・お買い物までこなすスーパー家政婦です。マッサージまでプロ並みの猫村さんは愛するぼっちゃんのいる外国へ行くため、お金を稼ごうと村田家政婦紹介所の門をたたきます。

スーパー家政婦ぶりを認められ、採用された猫村さんが派遣されたのは犬神家。由緒ある大きいお屋敷と優しい奥様を見て張り切る猫村さんですが、反抗期の娘さんや夫婦の問題、秘密の部屋など一筋縄ではいきません。

心優しい、少々おせっかいな猫村さんの犬神家でのご奉公が始まります。

著者
ほし よりこ
出版日
2008-10-01

猫村さんがいい猫すぎて、本当に自分の家に来てくれないかな?と思うこと間違いなし。ネーミングや、シャンプーハットの使い方、二足歩行などツッコミどころ満載なのに、なぜかすんなり納得してしまうのは、猫村さんの思いがしっかり見えるからかもしれません。

愛情と家政婦としての責任を持って、仕事をする猫村さん。時々垣間見る、猫らしさに癒され、いつの間にか猫村さんファンになってしまします。そして何はともあれカワイイ!!この一言につきます。

ご紹介した作品はどれも趣の違うものになっています。幅広いテーマで描かれ、ほっこりしたり、涙したり、笑ったりと感じるものも、読後感も全く違うほしよりこワールド。あなたはどこから足を踏み入れますか?

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