『輝夜姫』5つのポイントとあらすじをネタバレ考察!考えないで感じる?【無料】

更新:2021.1.31

古典『竹取物語』をベースにした近未来SF漫画。難解な設定や、背景まで美しい絵柄、そして衝撃的な展開のストーリーが魅力の本作が『輝夜姫(かぐやひめ)』です。 本作は『秘密ートップ・シークレットー』などで知られる、清水玲子の少女漫画作品。単行本は全27巻、文庫版では全14巻で完結しており、2002年には小学館漫画賞を受賞しました。このページでは、そんな本作の見所を、余すところなくご紹介。 スマホアプリからは無料で読むことができるので、ぜひご利用ください。

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『輝夜姫』をどう読む?清水玲子の名作が無料!【あらすじ】

 

岡田晶(おかだ あきら)は赤ん坊の頃、竹林に埋められて「殺された」という過去を持ち、施設などでの生活を経て岡田家の養女となった女子高生。しかし、彼女はなぜか5歳で引き取られる以前の記憶を持ちません。

母子家庭である養家での生活は、彼女にとって閉塞感を感じるものでした。岡田家の一人娘・まゆの、彼女に対する異常で理不尽な愛情と執着。母・障子(しょうこ)の絵のモデルを務める事、そして彼女から体の関係を強要される日々に苦痛を感じる晶の前に、ある日2人の少年が現れます。

由(ゆい)碧(みどり)と名乗る彼らに誘拐された晶は、奄美・神淵島(かぶちじま)でおこなわれる米軍主催の非合法なキャンプU.G.(アンダーグラウンド)に一緒に参加するよう求められるのです。

 

著者
清水 玲子
出版日

 

困惑する晶に、彼らは自分達がかつて神淵島にあった孤児院でともに育った幼馴染みだと伝え、さらにかつて自分達はその島から「かぐや姫を殺して逃げた」のだと言うのでした。

姫を殺した事によって呪われた自分達は、「16歳まで生きられない」。そう信じている由は、碧・晶を失う事を恐れており、神淵島で呪いを断ち切って新たな人生を掴むために、2人とキャンプに参加する事を望んでいたのです。
 

何が起こっても軍は一切の責任を取らないが、優勝者には多額の賞金、そして希望する国籍を貰えるという非合法な催し。神淵島での出来事を忘れている晶は、自身の過去を辿って新しい自分へと生まれ変わる事が出来るかもしれないという思いで、キャンプに参加する事を決めるのでした。

 

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著者
清水 玲子
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しかし、キャンプは米軍によって、とある目的のために仕組まれたものだったのです。かつて、神淵島で暮らしていた孤児達の生き残りが意図的に集められ、由、碧、晶を含めた11人の元孤児達と教官・マクガバン、晶を追って来たまゆ……。

輸送ヘリの事故で遭難状態となった彼らは、サバイバル生活を余儀なくされます。しかも仲間達のなかには軍のスパイが潜入しており、軍の目的を達成するために暗躍していくのです。疑心暗鬼に陥ってゆく、かつての仲間達。そして、少しずつ明かされる軍の目的……。

神淵島には、一体どんな秘密が隠されているのでしょうか。晶達の育った島で始まっていくストーリーは、やがて米軍の思惑を超える新たな展開を見せ始める事になっていくのです。

どんどん複雑に、そして壮大になっていくストーリーの本作は難解と評される事もありますが、このページでは、そういったポイントにも各項で触れていきたいと思います。

著者
清水 玲子
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ポイント1:『竹取物語』がモチーフ?神淵島などのファンタジー&ミステリー要素

ポイント1:『竹取物語』がモチーフ?神淵島などのファンタジー&ミステリー要素
出典:『輝夜姫』1巻

 

本作は、古典『竹取物語』をモチーフにした近未来SF作品です。さらに、そこに「羽衣伝説」がミックスされ、月へ帰れなかったかぐや姫の物語が示唆されていきます。

 

出典:『輝夜姫』1巻

冒頭から続く「神淵島編」ともいえる物語の第1部での展開は、「かぐや姫」伝説を下敷きにした謎と恐怖が物語を牽引していくのです。しかし、かぐや姫について明確な説明はされません。

異星人とされる彼女がなぜ地球に降り立ったのか、そして何をもって試され、彼女が天に帰れず千年以上の月日を生き続けていたのか……。

展開・回想、そして時折描かれる幻想が、その存在と彼女の辿った運命を、ぼんやりと浮かび上がらせるのみなのです。

出典:『輝夜姫』1巻

「天人伝説」を持つ奄美の孤島・神淵島。そこに、かつて存在した孤児院では、子供達は「かぐや姫の犠牲」として育てられ、16歳になったら殺されてしまう……偶然それを知った子供達は、かぐや姫を殺害して島を脱出します。

しかし、島を出て生活していた彼らも、なぜか16歳を迎えた後に事故などに遭って死んでいくのです。その事から、「かぐや姫を殺した呪い」を断ち切らなければならないと思った由は、自身にとって何より大切な碧・晶が自分より先に16になるという事に怯え、彼らとともに米軍主催のキャンプに参加するのでした。

孤児達は、なぜ16歳を迎えると死んでしまうのでしょうか?かぐや姫の呪いは本当に存在するのでしょうか?そして、神淵島で米軍が秘密裏に行動を起こした理由とは?事態はミステリー、ファンタジーを交えながら、しだいにSFチックな展開を迎えていくことになります。

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ポイント2:ドナー設定でさらに物語がドラマチックに!

「神淵島編」後半になると、神淵島の孤児院で生活していた子供達の、新たな秘密が明らかになっていきます。

彼らは秘密裏に作り出された、世界各国の要人達のドナーだったのです。生命の危機に晒される事も少なくない要人……レシピエント達の身に何かが起こった際には、その島で育てられたドナー達の体・臓器が使用されるのでした。

神淵島で育った子供達がキャンプU.G.に集められたのは、島の特殊な環境・特異な「カビ」に耐えられる体をしていたから。しかし、実はそれ以上に重要だったのは、彼らの本体・レシピエント達の顔ぶれだったのです。

著者
清水 玲子
出版日

イギリス、タイの王室の人間、アメリカ上院議員の息子、NBAのトッププレイヤー、ノーベル賞学者の息子、ロシアンマフィアのボス、巨大財閥令嬢……世界を動かす可能性のある人物達と、まったく同じDNAを持つドナー達の存在は、隠されていなければなりませんでした。

そして、もっとも本体に必要とされる期間を過ぎると、ドナー達は処分されてしまうのです。それが、かぐや姫の犠牲達が16歳までしか生きられない理由だったのでした。

禁止されているクローン技術を用いられて作られたドナー達が、世界の各地で好き勝手に生きるという事は、レシピエント達にとって都合が悪い事態。同じDNAを持つだけあって容姿は似通っています。万一彼らの存在が明るみに出て、その素性が知れれば大変な問題です。

しかし、島を逃げ出した子供達が神淵島に再び集められた事を契機に、それぞれの事情から移植を必要としていたレシピエント達は、ドナーの確保を実行に移すのでした。

米軍の思惑を飛び越え、レシピエント達からの介入により捕らえられていく神淵島の元孤児達。そして、次々に本体を生かすために切り刻まれ、殺されていく彼ら。本体の意向から移植などの措置を免れた晶は、それを知って凄まじい怒りと悲しみを感じるのでした。

出典:『輝夜姫』6巻

しかし、移植後のレシピエント達の体の中で、ドナー達の細胞は生き続けていました。彼らは皆、晶の怒りの感情に呼応するように「意識」を取り戻していくのです。移植された細胞達が、本体の体・細胞を乗っ取り、蘇ったのでした。
 

彼らはドナーだった頃の記憶をおぼろげに覚えており、自分が産み出された事情や、殺されて移植された事から、人間、自然、世界のすべてに対して増大し続ける怒りと憎しみを抱えています。そして彼らは皆、一様に晶に惹かれるのです。

晶は彼女の本体・李玉鈴(り ぎょくれい)となってドナー達の目に触れ、それを見たドナー達は彼女を求めて欲します。

晶が「かぐや姫」から姫である印をつけられた事で、かぐや姫の役割を与えられたのでしょうか?明確には語られませんが、千年前と同じように「選ばれ、試される」ためにドナー達は蘇ってきたと、ところどころで示唆されるのです。

ポイント3:地球滅亡の危機!?「終末もの」な展開に

「ドナー編」を経て、レシピエントの体を奪い蘇ったドナー達が晶の元に集結し、神淵島に残る「ホコラ」、そして、そこに安置されている「月の石」と呼ばれるものの存在が明らかにされていく事になります。

それは、彼らが世界各国の要人(レシピエント)達の体で甦った事さえ天人達に仕組まれていたのではないか、とも思えるような事実を伴っているのでした。

神淵島に存在した「かぐや姫」……彼女は、宇宙からやって来た異星人だったとされています。とある事情から「天に帰る」事が出来なくなった彼女は、1200年もの間、神淵島に生き続け、すでに変容して命を永らえるために、イケニエを喰らうようになり果てていたのです。

彼女に仕える天人達もまた異星の存在ですが、彼女と違って代替わりを経ており、神淵島に隠されてひっそりと存在していました。そして、かぐや姫と同じく月も天に帰りたがっている……その事が「月の石」を通じて示されていくのでした。

著者
清水 玲子
出版日

しかし、両者はともに「羽衣」を奪われて、地球に縛り付けられている存在。晶の中で目覚め始めた「かぐや姫」の役割に「帰りたい」という月とかぐや姫の意思がシンクロしてか、彼女は「月の石」を欲します。

そして公達らに無理難題を吹っ掛けたかぐや姫のように、「自分のために月の石を集める」事を、蘇ったドナー達に求めるのでした。さらに神淵島の管理者・所有者であり、まゆの父親でもある米国海軍の大将・柏木が登場。「月の石」と晶を巡って、事態は混迷を深めていく事になります。

月を地球から解放すれば、一体どうなるのか……。地球が月を失えば、地球の劇的な環境変化は免れません。月の引力が消え、地軸が大幅に傾き、自転が早まる事で1日の長さは劇的に短くなります。

潮汐力が消え、海は澱んでプランクトンが死滅し、海洋環境の悪化は免れません。さらに水位の上昇によって、低地にある都市は水没していく事にもなります。

そうと知っても「月の石」を欲する晶……彼女は、そして地球は、一体どうなってしまうのでしょうか。

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ポイント4:結局は、雰囲気や世界観がいい?萌え要素が本作の魅力?【考察】

難解と感じてしまうポイントが多く見られる本作。著者自ら文庫本(14巻)のあとがき対談で「一部の好きな人が読むもの」「多少でも興味がない人にとっては全然つまらないという」と述べておられますが、逐一の説明というものは、ほぼありません。

そのためか明確に答えが提示されない謎もあり「ハッキリ言ってくれないとわからないよ!」という読者の方を戸惑わせてしまう、そんな設定・展開もしばしば……。

著者
清水 玲子
出版日

ですが、本作は些細なところを読みとばしても、十分に魅力的な作品です。BL・百合要素や主従萌え(?)、逆ハーレム的展開、オカルト、SF、ファンタジー、猟奇、ホラー……自分好みの要素に注目して、その展開を追う、あくまで雰囲気とノリを楽しむ、という手もありかもしれません。

また、最終回の展開も「ハッピーエンド」と「バットエンド」の真逆の感想があり、人それぞれの感じ方を許容してくれます。自分だけの楽しみ方をして、そして自分だけの感じ方で、絵や雰囲気で語られるディティールを読み解いていくという読み方も出来るのではないでしょうか。

ポイント5:『輝夜姫』の結末はどうなる?【最終回ネタバレ注意】

地球への衝突を回避するために、突然始まった月の異常接近の原因と推測されるすべての「月の石」を搭載して、シャトルで月へ向かう事になった晶達。

しかし、仇敵ともいえる男・柏木も、この「オルフェウス計画」に同行しており、晶達は彼の思惑を図りかねていました。そして彼の魔手は、地球に残されたドナー達にも迫っており……。

晶や由に異常な執着を見せる、その真の目的とは一体何なのでしょうか?

「オルフェウス計画」の顛末、地球の行く末、ドナー達の想いの結末……。ハッピーエンド?それともバットエンド?どう感じるかは、ぜひご自身でお確かめ頂きたいと思います。

著者
清水 玲子
出版日
2005-03-05

初めて読んだ時から10年以上経っても、未だにふっと思い出しては「あれは一体どういう事だったのだろう?」「あれには何か意味があったのかな」と折々読み返したくなる本作。

何にせよ、理不尽さ不可解さも含めての面白味、いつまでも思い出す謎の後味は、『輝夜姫』独特の魅力なのではないでしょうか。

 


数々の名作を生み出している清水玲子の名作を集めた<清水玲子のおすすめ漫画ランキングベスト5!名作「かぐや姫」「秘密」など>の記事もおすすめです。気になる方はあわせてご覧ください。

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難しさも面白さもあり、一周回って喜劇なのでは?とも思えてくる、複雑な作品です。『輝夜姫』ぜひ、これを機にご一読ください。

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