上遠野浩平のおすすめ小説ランキングベスト5!ライトノベルの先駆者!

更新:2021.12.17

独特の世界観や個性的キャラクターで描かれる上遠野浩平の作品。西尾維新や奈須きのこも影響を受けたという彼の魅力とは!?王道・青春・SFと様々な要素を取り入れたミステリは多くのファンに支持されて続けています。

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ライトノベルの先駆者、上遠野浩平

上遠野浩平(かどのこうへい)は1968年生まれの作家です。1997年『ブギーポップは笑わない』で第4回電撃ゲーム小説大賞を受賞し、デビューしました。独特の世界観溢れる小説は多くの読者を魅了し、ライトノベルの先駆者として活躍。その後も講談社や徳間書店など多くの出版社からも作品を発表するようになり、ライトノベル以外でも活躍し、幅広い年齢層に愛されています。

詳しくは明かされていませんが、少年期には人を憎む事でその大部分を消費してしまったという上遠野浩平。大人になってからはかなり薄れていった感情ですが、そんな彼だからこそ、作品内における人物の心の機微は実に繊細かつ個性的に描かれており、それが多くの読者に共感や感動を与えています。

また彼は謎というものは、完全に解明するからではなく、まだそこに謎があると思うからこそ魅力的なのだと語っています。人が人だからこそ持っている謎……愛とは何か、大切なものは何か?夢とは、現実とは?これらの謎を取り入れた上遠野浩平の作品は人間味溢れるものばかりです。ここでは、その中でも最もおすすめできる5作品を紹介致します。

5位:命と同様の価値のものとは!?死と幸せを追求する

多くの作家が題材にし、また誰もが1度は考えるであろう「命」について。その大切さ、尊さ、儚さ……。時に脆く、時に力強く、その存在を我々に示す絶対のものです。もしそれと同じくらいの価値のものがあるとしたら、それは一体何なのでしょう。家族・友人・恋人……?上遠野浩平がこの題材に挑んだ作品を紹介しましょう。

著者
上遠野 浩平
出版日

生命と同様の価値のものを盗む怪盗ペイパーカット。彼が盗んだのはキャンディやキーホルダーといった、どこにでもあるような普通のものばかり。しかし、盗まれた者は命を落としてしまいます。

そんな彼を追うのはサーカム保険会社の調査員、伊佐俊一(いさしゅんいち)とパートナーの千条雅人(せんじょうまさと)。そして、政界に巨大な権力を持つ一家の令嬢、東澱奈緒瀬(ひがしおりなおせ)の3人です。

命を題材にした本作で最も注目すべき人物は、パートナーの千条。彼は人間ではなく、ペイパーカット追跡の為にサーカム保険会社が、独自に作り上げたロボット探偵なのです。しかし、何から何まで機械仕掛けというのではなく、ある人物の身体の脳に情報処理チップを埋め込んだものです。その経緯と、彼の持つロボットの部分と人間の部分、そしてその中で揺れる彼自身の考えもまた、この作品における魅力の一つです。

4位:特殊能力を持つ子供達、彼らが得るものとは一体!?

この作品で最も注目するべきは、登場人物(主にスクールに通う子供達)のありのままの姿を描いている所でしょう。彼らは特殊能力がある以外は到って普通の少年少女です。リーダーシップを取ろうとするがどうも上手くいかない日高迅八郎(ひだかじんぱちろう)、自信に溢れている室井梢(むろいこずえ)、大人びた優等生の御堂璃央(みどうりお)など。彼ら自身は決して特殊ではなく、ただ真っ直ぐに青春を生きています。

著者
上遠野浩平
出版日
2013-04-10

そんな彼らは通常の学校とは異なった、世界中に影響力を持つ統和機構が管理する特殊能力を持った子供達を集めたNPスクールに通っています。そこで子供達はお互いに能力を競い合い高めあうのです。統和機構の監視下にありながらも、それを知らずただ純粋に日々を送っていました。エンペロイダーがその謎の存在を示すまでは……。

無垢な青春を送る子供達の日常と、特殊能力やそれを管理する統和機構という非日常、これらが絶妙に組み合わされた、上遠野浩平が生み出すSFミステリ。シリーズ全体を通して、運命に翻弄されながらも懸命に生きて行く少年達の青春には目が離せません。

3位:病室の美しき名探偵が謎を解明する

安楽椅子探偵、という言葉をご存知でしょうか?ミステリの分野で用いられる呼称で、自分では全くと言っていいほど捜査や調査をせず、ただゆっくりと椅子に座り、事件の話を聞いただけで、あっさりと犯人を見つけてしまうという探偵です。代表的な例としては、アガサ・クリスティの作品に出てくるジェーン・マープルが上げられます。

著者
上遠野 浩平
出版日
2013-07-11

原因不明の難病により長期入院中のしずるさんは、病室で女子高生のよーちゃんが難事件を持ち込んでくるのを楽しみにしています。それは唐傘小僧に見立てられた猟奇殺人をはじめ、宇宙人や狂犬の仕業だろうと思われるような怪奇殺人ばかりですが、しずるさんは難なく解決していきます。

よーちゃんの話の中からヒントを見落とす事なく、次々に解決していく姿は正に安楽椅子探偵の名にふさわしいものです。そんな難事件に興味深々の姿をよーちゃんは、しずるさんの困った癖と表現していますが、長く退屈な入院生活を考えれば、それも仕方の無い事なのかもしれませんね。

2位:彼は知ってしまった。人類の敵と戦う宿命を

この物語の主人公、工藤兵吾(くどうひょうご)はごくごく普通の高校生。特にこれと言って変わった所も無く、普通に毎日を過ごしていました。そんな彼はある日知ってしまいます。この当たり前に過ぎる日々が、人々が、世界が作られたものである事、そして自分が人類の敵、虚空牙(こくうが)と戦う運命である事を。

著者
上遠野 浩平
出版日
2012-08-09

人類を乗せ新天地を目指して宇宙を彷徨う母船を虚空牙から守らなければ、人類は終ってしまうのです。兵吾はただのコアではなく戦闘の天才でもあるが為に、人類の運命は彼の手にあると言っても過言ではありません。彼は地上の生活を送りながらも、精神と意識を超光速機動戦闘機ナイトウォッチにコアとして装填し戦いに挑みます。

しかし人類を守る為の戦いなのに、ナイトウォッチのコアには人間が必要なのです。そんな矛盾を兵吾はこう考えます。

「何故、人間が戦わされるのか?それは信じられないからだ。機械が裏切って、自分たちに反旗を翻すかも知れないという可能性を、どうしても捨てられなかったからに違いない。」
(『ぼくらは虚空に夜を視る』より引用)

戦いを通して成長していく兵吾の姿こそ、この作品の見所の1つです。

1位:敵か味方か?そもそも何者なのか!?

平凡な学園生活に突如訪れた危機、そしてそれを知らせる奇妙な存在のブギーポップ。彼を一体どう表現すればいいでしょうか?次々起こる事件の犯人でもなく、誰かの味方でもなく、あえて表現するなら傍観者、と言いたいのですがそれも違っています。本人曰く

「僕は自動的なんだよ。危機を察知した時だけ浮かび上がってくる。だから不気味な泡(ブギーポップ)という」
(『ブギーポップは笑わない』より引用)

著者
上遠野 浩平
出版日

5年前にも危機を察知して浮かび上がったというブギーポップは、宮下藤花(みやしたとうか)の別人格として出現します。そして彼の言う通り、平和だった学園では殺人事件や行方不明者、怪しいクスリの蔓延、更には5年前の殺人鬼に魅せられた生徒まで現れてしまいます。今回の一連の事件に、5年前の殺人は関係があるのでしょうか?

果たしてこれらの真犯人とは誰なのか、そしてブギーポップはどう動き、どんな役割を果たそうとしているのでしょうか。次々に展開していくストーリーからは目が離せません!!5人の登場人物の視点で描かれる事件の謎と向き合っているうちに、自然と意識は本の世界へ入り込んでしまいます。あなたも、黒い筒のような帽子とマントに包まれたブギーポップに導かれながら上遠野浩平の世界に入ってみませんか?

いかがでしたか?ラノベ界にて「ブギーポップ以前・以後」と言われる程の革命的な作品を描いた数々、是非あなたの目で確かめてみてください。

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