読書感想文の書き方が分かる!親御さんにもおすすめの本5選!

更新:2021.12.18

自分はかつて作文が苦手だったので子供に作文をどう教えたら良いか分からない……そんな親御さんは少なくないかも知れません。今回は子供だけでなく親御さんにもおすすめの読書感想文の書き方に関する本を5冊集めました。

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書き方1:読書感想文を書き始める前に、いい感想文と悪い感想文って?

いい感想文にはパターンがあるのですが、悪い感想文にもパターンがあります。

一番よくある悪い例が、本の内容を要約しただけのパターン。これは「感想文」ではなく「紹介文」になってしまうのでやめましょう。

あるいは自分の「感想」しか書かれていないパターン。もちろん自分の感想を伝えることは必要なのですが、「面白かった」「よかった」「すごいなと思った」などが繰り返されているだけでは、幼稚な印象を与えてしまいます。

では、「いい感想文」とは一体どんな文章なのでしょうか?

それは「本の内容」と「自分の体験や考え」が結びつけられており、「本を通して自分が得たこと」が書かれているのが、いい感想文ということになります。

書き方2:読書感想文を書く本の選び方

読書感想文は、本を選ぶところから始まっています。そもそも自分が興味を持てない本を選んでしまったら、書いていくのもつまらないですよね。できるだけ自分が面白そうと感じる本を選ぶのが一番です。

「書きやすい本」という観点で見れば、主人公の心情や考えが書かれている「一人称」で進む本は、「それに共感する」「ここは違うと思う」というところから書くことができるため、何から書き始めればいいかわからなくなってしまう人にはおすすめです。

書き方3:読みながら、読書メモを取る

本を読む時は、横にマーカーや付箋を準備しましょう!

読み終えてから一気に書き出そうとすると大変なので、読みながらその場で線を引いたりメモを取ったりしていきます。印象に残った場面、面白いと感じた場面、感動した場面……。共感したところだけでなく「ここは自分と違う」と思ったところにも印を付け、自分の考えも書いておきましょう。この書くための準備をしておくことで、付箋を見たり並べ替えたりしながら構成を考えることができるので、あとの作業が楽になります。

そして読後の感想も大事ですが、その本を手に取った理由や読む前の印象やも簡単に書き留めておけば、「書き出し」を考える時に役に立つはずです。

書き方4:構成を考えて書く

読書メモを書きながら本を読み終えたら、いきなり書き始めるのではなく、メモを見て構成を考えましょう。

一般的によく書かれる項目をご紹介します。

・なぜこの本を選んだのか
誰かに薦められて、あるいは自分の関心のある事柄だった、など。

・印象に残った場面(簡潔なあらすじ)
なぜその場面が印象に残ったのか考えてみましょう。必須ではありませんが、ここで簡潔にあらすじをまとめてもいいでしょう。

・自分の体験や考え
本の内容と、自分の体験や考えあるいは家族の体験などを結びつけることで、立体感のある感想文になります。

・この本を読んで得られたもの
頭の中で考えたことだけでなく、この本を読んで自分が行動してみて得られた体験を書いてもいいですね。

これらの項目や書いていく順番は、人それぞれ違って構いません。映画でも、いきなり結末から始まるものもあれば、時系列に沿って撮られたものもありますよね。「自分が伝えたいことを効果的に伝えるためには、どんな内容をどの順番で書くのがいいのか」を考えてみましょう。

書き方5:題名の付け方のコツ

大まかな構成を考えたら、題名を考えましょう。

読書感想文の題名は、本に付ける帯のようなものです。書店に並ぶほとんどの本には帯が付けられていますよね。あの帯は、まだ本を読んでいない人にも関心を抱かせるためのものです。

一番よくあるのは「○○を読んで」というタイトル。もちろんこれでもいいのですが、もっと惹きつけられる題名を付けるにはどうしたらよいでしょうか?

例えばミヒャエル・エンデの『モモ』についての読書感想文を書くとします。大切なのは、この作文を通して何を伝えたいかということです。読書メモを見直して作文の軸となるキーワードを抜き出し、あなたなりの『モモ』の切り口を考えてみましょう。

(例)
・『モモ』を読んで
→定番の題名ですね。
・『モモ』が教えてくれた「自由」
→『モモ』を通して「自由」について書くということがわかります。
・「時間どろぼう」が時間以外にも盗んだもの
→「何を盗んだのだろう」と読み手に想像させますね。
・『モモ』は私の哲学書だ
→このあとになぜ『モモ』が哲学書なのかという自論が展開されていくことが予想されます。

最初は仮のタイトルを付けておき、書き終えてからじっくり再考するのもおすすめです。

書き方6:読書感想文の書き出しのコツ

興味を持って読み進めてもらうためには、書き出しが重要です。自分が本を手に取ったきっかけから時系列に書いていくのはオーソドックスな展開の仕方。印象に残ったセリフや場面から始めて、いきなり読み手を本の中に招いてしまうという手もあります。あるいは冒頭で疑問を提示すれば、読み手は「なぜだろう」と考えて答えを知りたいという欲求を抱きながら読み進めてくれるでしょう。

(例)
・本を選んだ理由やきっかけ
・印象に残ったセリフや場面
・読み手への疑問の投げかけ

書き方7:読書感想文の結びのコツ

書き出しと同様に大事なのが結びの部分です。疑問を提示した場合はそれに対する自分の答え、本を選んだ理由から始めた場合は読後の変化や今後の抱負を書いていくのがいいでしょう。

読書感想文に正解はありません。無理に結論を出そうとする必要はなく、読む前と後で自分の中に何か変化したことはないか考えてみましょう。

(例)
・本を読んで変化した自分の考えや心境
・今後の抱負や目標
・疑問に対する自分の答え

書き方8:見直し

書き終えたあとは、自分の文章を最初から読み直してみましょう。「ですます調」と「である調」が混在していないか、「てにをは」が正しく使えているか、漢字が間違っていないか、スムーズに文章が流れているかなどをチェックします。自分の伝えたいことがきちんと他の人にも同じように伝わるかどうか、本を読んだことのない親御さんなどに一度読んでもらうのもおすすめです。

読書感想文の書き方をもっと詳しく知りたい方におすすめの参考書籍

読書感想文の書き方についてもっと詳しく知りたいという方に、おすすめの参考書籍を5冊選書しました。

これを読めば作文が好きになる

「何でも良いので自分の言葉で書きましょう」——作文の時間にこんな事を言われて鉛筆が動かなくなってしまった思い出のある人はいませんか?小学生の中には作文に対する苦手意識を持ったまま克服する方法が分からないでいる子も多いのです。この本はそんな小学生を「3つの型と5つのつぼ」で作文好きに導いてくれる作文の教科書です。

著者
岩下 修
出版日
2013-07-18

作者は岩下修。立命館小学校のカリスマ国語教師です。独自の作文メソッドを編み出して小学生に向けた指導を行っており、作文に苦手意識を持つ多くの小学生の意識を変えてきました。本書は実際の子供の作文を使って可愛らしいイラストと共にそのメソッドを徹底解説しています。

3つの型とは「説明的文章風」「物語風」「小論文風」。5つのつぼは「字数を決める」「段落を4つに分ける」「型を決める」「題名は最後に決める」「知覚語をつける」の5つ。この3つの型と5つのつぼを駆使すれば誰もが個性的で素敵な文章を書くことが出来るのです。本書には作者がこのメソッドを元に発明したオリジナル作文用紙が付いており、これに沿って文章を書くことで作文メソッドを攻略出来る仕組みになっています。

「頭の中で考えがまとまったから作文が書けるのではありません。書くことによって、考えが再構成され、思考力が高まるのです。」(『スラスラ書ける作文マジック:作文の神様が教える』より引用)

このようにシンプルで分かりやすい文章が大きめの文字で書かれているのも特長です。小学生高学年であれば一人で読んで理解することが出来るでしょう。作文が苦手な小学生、その親御さん、はたまた作文の指導に悪戦苦闘している教師の方々にもおすすめしたい一冊です。

楽しみながらスラスラ読める!

小学生向けに作文の書き方が分かりやすくまとめられた一冊です。読書感想文の書き方だけでなく「作文の書き方」という広い視点をベースに書かれているので、日記文や説明文など幅広い作文に対応することが出来ます。

著者
貝田 桃子
出版日

本書では「読書感想文って何?」というところから始まり、読書感想文の本の選び方、本を読みながら付箋を貼っていくというテクニックまで易しく丁寧に記されています。漢字には振り仮名が振ってあり、漫画やイラストも掲載されているので低学年の子は所々ひとりで楽しむこともできますし、高学年の子なら自力で読み進めることが出来るでしょう。

各項目を開くと「私が誕生日のプレゼントにほしい物はくまのぬいぐるみがほしいです」(『ちびまる子ちゃんの作文教室』より引用)といった悪い例がはじめに挙げられており、下にどの様に直したら良いのかという良い例が載っています。悪い例も作文が苦手な子がやりがちな間違いを集めているので参考になること間違いなしです。学校の作文の授業に付いていけない子もこの本なら自分のペースで読書感想文の書き方を学ぶことが出来るでしょう。

様々な小学生の作文に応用できる大満足の1冊です。小学生の目線で基礎から徹底的に解説してあるので大人が読んでも子供の視点を知ることが出来て楽しめると思います。
 

中高生に捧げる読書感想文のハウツー本!

この本の作者は齋藤孝。ビジネスやコミュニケーションにまつわる書籍を多数手掛けテレビにも出演しているので知っている人も多いかも知れません。本書はそんな作者が読書感想文の書き方のコツを分かりやすくまとめた一冊です。

著者
齋藤 孝
出版日
2012-06-22

第1章から第5章までで形成されており、第1章と第2章は読書感想文の基本的な書き方、後半部分は読書感想文コンクール入賞作品を例として「さらに素晴らしい読書感想文の書き方」について書かれています。「読書感想文に正解はなく、みんな違っていて良い」という読書感想文を書く上での心構えから「どうしたら文章にメリハリがつくのか」という応用レベルまで実に広い範囲をカバーした指南書。中高生向けに語りかけるような文体で書かれていますが、大人が読んでも参考になる知識がたくさん詰まっています。

特に素晴らしいのが「読書感想文を書くときは、その本を読んでものの見方が変わった、世界観が変わった、などの気づきを見つけて言葉にしよう」というアドバイス。もちろん読書感想文を書く際にも役に立つヒントですが、この視点を持って本を読むというのは大人の読書への心構えにもなり得るものだと思います。大人になると「読むこと」に集中しがちですが「書くこと」を想定して読んでみると、いつもと違った読書の本質を掴むことが出来るかも知れません。

読書感想文の技術を向上させたい中高生にも、読書観を変えたい大人にもおすすめです。「書く力」と「読む力」の両面からアプローチが出来る頼もしい一冊になるでしょう。
 

親御さんの不安や悩みを一気に解決!

「作文は何の為に書くの?」と子どもに聞かれて困ってしまった、子どもが作文に書いている言葉が幼すぎて心配、など子どもの作文にまつわる悩みを持つ親御さんは多いのでないでしょうか。本書はそんな悩める親御さんが子どもの「書く力」を伸ばす為に出来ることをまとめたヒント集です。

著者
["高濱正伸", "竹谷和"]
出版日
2016-08-03

子どもの年齢を4歳から9歳までの幼少期である「赤いハコ」と10歳から18歳までの思春期である「青いハコ」に分けて年齢に応じた家庭での声の掛け方などが記されています。「正しい観察」が出来ていれば褒めて良い、「お利口さん作文」は褒めてはいけない、など親御さんたちが接し方を迷ってしまうような場面についても明確な指導をしてくれるので正に親御さんたちの読書感想文の手引きになること間違いなしです。

読書感想文の書き方本としてだけでなく「自分が感じたことを自分の言葉で表現できる」子どもを育てる教育本のような要素も多く含まれています。「書くことだけが書く力を伸ばすわけじゃない」という作者の言葉が示すように「物事に興味を持ってきちんと観察する力」の大切さを伝えてくれる1冊です。

作者の落ち着いた穏やかな語り口からは、子どもへの愛が溢れんばかりに伝わってきます。作者の説得力のあるアドバイスを読めば、これからは子どもにもっと寄り添っていこう、と優しい気持ちになれることでしょう。子どもの表現力のために何が出来るのかを分かりやすく教えてくれる良書です。

短いのに読み応えたっぷりの1冊!

この本を読めば子供の読書感想文に悩むお父さんも、30分で子供にどうしたら読書感想文が書けるのかを説明することが出来ます。文字は書けるし頭が悪いわけじゃない。それでも作文が苦手で読書感想文の宿題でどうしても真っ白い原稿用紙をなんとか黒い文字で埋めなければいけない!という子供達を救う1冊なのです。

著者
赤木かん子
出版日
2009-09-01

作者である赤木かん子は読書感想文をこんな風に説明しています。

「文字通りの定義は、“読書(読んだ本)”の“感想”を書いた“文”です。そして、たいていのひとが勘違いしているのはここ!感想文は“感想”を書くものであって、“感動”を書くものではありません!(中略)ではなにが目的か、というと、自分の考えを“筋の通った、論理的な日本語の文章で書けるようになること”それが目的です。」(『お父さんが教える読書感想文の書きかた』より引用)

まずは目的をしっかり確認することができるのは、子供の「なんで?」に答えられるので、お父さんにとっても嬉しいポイントだと思います。本書では原稿用紙にとある簡単な工夫をするノウハウが披露されています。誰にでもできるので子供に作文が書ける達成感を与えることが出来るでしょう。

読書感想文の書きかただけでなく本を紹介する「ブックトーク」にも触れられていて文章を書く上級テクニックも知ることが出来ます。薄い本であっという間に読めてしまうのに、読んだ後には知らなかった知識やテクニックがぎっしり。読書感想文がどうしても書けない子供だけでなく、読書感想文に苦手意識を持ったまま大人になってしまった人にもおすすめしたい1冊です。文章での自己表現の楽しさをぜひこの本で体感してみてください。
 

いかがでしたでしょうか?今回は多くの人を悩ませる読書感想文の書き方に関する本をご紹介しました。読書感想文の時間を楽しい時間に変える魔法のような本ばかりです。ぜひ手にとってお試しください。

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