ショートショートおすすめ作品5選!【海外作家編】

更新:2021.12.18

海外作品の中でも、読みやすいショートショート形式の本、厳選5作品を紹介します!すべて別方向の話となっているため、自分に合う一冊を見つけることができるでしょう。本を読む方は勿論、普段本を読まない方も気軽に読める厳選作品となっています。

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まるで童話のおもちゃ箱のようなショートショート

ビアンキさんは、イタリア中を旅するセールスマン。日曜には自宅へ戻りますが、月曜の朝になるとまた出発です。出かける前に、幼い娘が、毎晩お話を1つしてほしいと頼みました。

このショートショート作品集は、娘に電話で聞かせたいろいろな話を集めたものになっています。

著者
ジャンニ・ロダーリ
出版日
2009-04-07

幼い娘あてに語られる話のため、1つ1つが短く、分かりやすくなっています。ショートショートというより、もはや童話で、普段本を読まない方へもおすすめできる一冊です。

小さい子ども向けであるため、お菓子でできた国の話や宇宙飛行船に宇宙ひよこ、海水浴に冒険など、子どもが大好きな物や体験、憧れの事件が次から次へと出てきます。子どもが大好きな物をぎゅっと詰め込んで、一冊にまとめたら、この本になったと言っても過言ではないでしょう。読んでいくにつれ、幼いころを思い出し、その頃感じていた希望や夢、愛情や未知への期待感も味わえます。話を通じ、自分も幼いころに戻ったような感覚に陥るかもしれません。

登場するショートショート作品は、子ども視点で進んでいく物語が多いです。その分、語彙が少なく分かりやすくまとめられていますが、物語の本質を突いています。イタリアでは、昔から小学生が終わるころまでには読んでいる本とされ、人々の生活に根付いていることも納得できます。

楽しいだけの話ではなく、昔話や物語にあるような教訓を含んだ話もあり、魅力や想像力に溢れ、心にいつまでも残るショートショート本です。

紙上で開催されるドラマ劇場

アメリカは1955年から、日本では1957年から放映開始された一話完結形式の30分のミステリードラマ「ヒッチコック劇場」からの選りすぐりのショートショートとなっています。

「ヒッチコック劇場」は人気番組であり、いったんドラマが終了した後も、視聴者からの反響が多く、同年から一時間枠に拡大され再度ドラマは放送されました。

著者
ヘンリイ・スレッサー
出版日
2004-08-25

多くの物語がドラマ化された中でも、最も多く取り上げられた話が、この「うまい犯罪、しゃれた殺人」の作者であるヘンリイ・スレッサーでした。

まさに、紙の上でドラマが描かれており、エンターテイメント性に溢れた作品となっています。作品自体は古いのですが、鮮やかな切り口と話の展開は今でも衰えることなく、時間も忘れ読み進めてしまうでしょう。

この作品は、ドラマ化された短編の中からアルフレッド・ヒッチコックが選んだ17つのショートショートが収録されており、「老人のような少年」や「ペンフレンド」で描かれるように、短編作品ながらも人間の内部や感情の揺れ動きを上手く表現しています。読んだ後に、思わず唸ってしまう、そのようなウィットの富んだ作品になっています。

結末に息をのむショートショート

アメリカを舞台としたさまざまなショートショートが書かれています。

O・ヘンリーは、日本でも小中学校の教科書に記載されていることがあるため、知っている方も多いのではないでしょうか。

著者
O・ヘンリー
出版日
2007-10-11

皮肉な結末に終わることが多いのですが、一度読み始めると、作者の独特な世界観であっという間に全て読んでしまいます。

特に、「最後の一葉」はO・ヘンリーの中では著名作であり、必ず読んでほしい一作です。

貧困ながらも暖かい生活を送っている画家のジョアンナとスー。しかし、重い肺炎を患ってしまうジョアンナ。窓の外に見える蔦の葉を数え、「あの葉がすべて落ちたら、自分も死ぬ」とスーに言い出すようになります。葉は、無情にも一枚一枚と散っていき、その後、嵐の日に起こった出来事とは……。

読了後、出来の良さに思わずため息が出てしまうことでしょう。

人間の「死」について考えさせられる一冊

人間の永遠のテーマである、「死」をテーマに書き続けた短編集。

南北戦争で北軍に志願し激戦を直接経験したビアスにこそ書ける皮肉な世界観を持つ作品集です。

著者
アンブローズ ビアス
出版日
2011-03-10

衝撃の一言につきます。様々な視点から、「死」についてひたすら書かれています。ここまで死を突き詰めた短編集はなかなかありません。その鋭い視点から語られる死について、深く考えさせられる本です。

本書は、作品と作品の間にビアスと学者によってまとめられた「悪魔の辞典」の一文が挿入してあり、それもまた作品に独自の世界観を与えています。

「長寿ー死の恐怖が以上に長引くこと」「殺人ーある人間が別の品減を殺すこと。4つに分けられるー許しがたい、仕方ない、納得できる、甞めてよい。どう殺されようと殺されるものには大差ないが、分けておけば弁護士の役に立つ。」(『アウルクリーク橋の出来事』より引用)

この短文からも、ビアスがどのような視点で「死」を描いているか、分かるのではないでしょうか。深く、人間の永遠のテーマである「死」について考えさせられる一作となっています。

皮肉屋が描いた愛情の話

大江健三郎や村上春樹などが影響を受けたとされ、皮肉の効いた長編作者として有名なヴォネガットの初期作品を集めた短編集です。

春樹に影響を与えたとされているように、こちらの本は春樹の作品を思わせるような構成、雰囲気になっています。村上春樹が好きな人は、彼が影響を受けたという意味でも是非読んでいただきたい一冊です。

著者
カート,Jr. ヴォネガット
出版日

ヴォネガットはSF作家ですが、この本には珍しくSFと呼べる作品はあまり登場しません。しかし、不思議な世界観や雰囲気、想像力に満ち溢れており、SF作家だからこそ思いつくストーリーの展開となっています。ヴォネガットは「愛は消えても、親切は残る」という言葉を残しており、長編作品同様、一見皮肉な作風が見られますが、人の営みによる「愛」をとてもうまく描いている作品です。

愛ときいて、真っ先に出てくるのが本書にある「永遠への永い道」。結婚間近の女性を散歩に誘う友人の男性。散歩をする男女のやり取りを見ていくのですが、これがとても甘い。ヴォネガットが最初の奥さんにプロポーズしたときの実話であり、とてもロマンチックです。読んだ後に、結末を知りながらもう一度読むとまた違う視点から見ることのできる、何度も味わえる話となっています。

本書は、2部作で構成されています。1部、2部ともにおすすめですが、2部の方がより読みやすく、巻数にこだわらないという方は2部から読むことをおすすめします。

ヴォネガットの作品を通じて、村上春樹や大江健三郎の世界を感じるのも良いのではないでしょうか。

すべて違った作風、魅力がありながら、短編集なのでどれも読みやすく気軽に作者の世界に触れることができます。まずは、気になった作品を手に取ってみて、その中のショートショート1話だけでも読んでみることをおすすめします。自分に合った本を見つけることができますよ!

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