谷川俊太郎の絵本おすすめ5選!代表作『生きる』など

更新:2017.4.15

世界中にファンをもつ谷川俊太郎作品は、深い優しさにつつまれた感動作ばかりです。新しい感性を持ち続け、広くそして長く愛されています。

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親しみやすい詩を生み出す谷川俊太郎

1931年東京生まれの詩人である谷川俊太郎は、絵本や童話の創作だけではなく、1967年の訳書『あしながおじさん』をはじめとし、翻訳でもたくさんの著書を手掛けています。詩作の他に、歌の作詞や映画の脚本家など、多方面で活躍している詩人です。

谷川俊太郎の詩の多くは、身近なテーマを用いています。その表現は、やさしい語り口調で書かれているので、子どもにもわかりやすく、とても親しみやすいです。また、音を楽しむために擬音で構成されているものなど、斬新な作品も多くあります。

翻訳作品としては、教科書などにも掲載された『スイミー』や『マザーグースのうた』などが有名です。世界中で愛されているキャラクターのスヌーピーが主人公の『ピーナッツ』も翻訳しており、谷川俊太郎の翻訳がスヌーピーの人気に一役買っているといってもいいのではないでしょうか。

ありふれた日常にこそすべてがある

教科書にもしばしば掲載されている『生きる』という詩は、谷川俊太郎の代表作として有名です。その詩に、岡本よしろうが描く、細かく丁寧な描写のなかに温かみと力強さを感じる絵が添えられている、どこか懐かしい思いを感じられる作品です。

子どもたちが過ごす一日を通して、子どもたちとその家族のある夏の日を描いています。日常によくある風景や情景のなかにこそ、「生きる」ということのすべてがあると、力強くそして優しく語りかけてくれているような感動作です。

著者
谷川 俊太郎
出版日
2017-03-01

あまりにも有名な詩なので、言葉ばかりに目がいってしまいがちです。でも、温かい絵と一緒に楽しむ絵本だからこそ、感じとれるメッセージがあると思います。子どもたちそれぞれの「生きる」は、より深いところに届くのではないでしょうか。

美しい海の中が教えてくれる自由への教訓

オランダの絵本作家レオ・レオニの作品で、教科書にも掲載されている作品です。いきなり悲しい場面に遭遇するところからはじまるこの絵本は、生き物が逆らえない自然の摂理や教訓なども教えてくれます。

小さな赤い魚の兄弟たちと、一匹だけ真っ黒な小さな魚スイミーは、広い海に楽しく暮らしていました。あるとき、大きなマグロにおそわれて、小さな魚たちは飲み込まれてしまいます。逃げられたのはたった一匹、泳ぎが得意なスイミーだけです。

ひとりになってしまったスイミーは、とても怖くてさみしくなります。そんなスイミーが海の底で見つけたのは、カラフルなクラゲ、強そうな伊勢海老、昆布とわかめのキレイな林、桃色のイソギンチャクなどです。おもしろいものやキレイなものがたくさんあることを知り、元気を取り戻してきました。

著者
レオ・レオニ
出版日
1969-04-01

そんなとき、大きい魚が怖くて岩かげにかくれて暮らす、兄弟たちそっくりな小さな赤い魚たちに出会います。そんな赤い魚たちに、スイミーはみんなで一緒に泳ぎ、大きな魚にみせる作戦を提案したのです。真っ黒なスイミーが、そのみんなの魚の目となり、無事に怖くて大きな魚を追い出します。

海の中を美しい色彩と淡いタッチで表現されているレオ・レオニの描く絵。優しさと楽しさを感じさせる谷川俊太郎の翻訳。この2つがとてもマッチしていて、海の中の生物や情景をより魅力的にし、何度も読みたくなる一冊です。

身近だけど非現実的なテーマ「死」そのもの

コピーライターとして有名な糸井重里の企画からはじまったという異色の作品です。谷川俊太郎が実体験をもとに書いた物語に、漫画家・イラストレーターとして活躍している松本大洋が絵を描いています。

「かないくん」は、谷川俊太郎のクラスメートだった実在する少年です。いろいろな世代の人へつないでいけるような、細部へのこだわりを感じます。身近でありながら、非現実的に思えてしまう「死」というものを、静かに伝えてくれる作品です。

この詩のメッセージ同様、松本大洋の絵も、静かに伝えてくれています。テーマの「死」から連想されやすい暗く重い感じではない、白色が印象的です。余計なものをすべて取り払ったような白色が、静かながら、強い説得力を感じられるのではないでしょうか。

著者
谷川俊太郎
出版日
2014-01-24

企画の発端となった糸井重里が危惧していたのは、「死」について蓋をされすぎているとうい点でした。この絵本を読むことで、ひとりひとりが「死」について静かに考えるきっかけになると思います。真っ白な裏表紙も、答えは自分自身の中にあるというメッセージなのではないでしょうか。

何度読んでも不思議で楽しい絵本

そのほとんどが、擬音で構成されているという、谷川俊太郎の遊び心いっぱいの作品になっています。画家であり絵本作家の元永定正が描く、シンプルで大胆な絵が印象的です。その遊び心いっぱいの言葉に加え、さらに想像力をかき立てられる絵が不思議で楽しくなります。

最初の1ページ目から、不思議な感覚に少し戸惑いますが、どんどん引き込まれていきます。少ない言葉とシンプルな絵なのに、ページをめくるのが楽しくなるのです。予想のできないおかしな展開に、読み進めれば進めるほど、子どもたちの想像力もふくらむと思います。

著者
谷川 俊太郎
出版日
1977-04-25

言葉で飾ったり、説明しなくても、伝わるものがあるのだと感じずにはいられない絵本です。1才の赤ちゃんでも楽しめるようなシンプルな作品になっていますが、何度読んでも引き込まれる不思議な世界観は、少し大きくなってからでも楽しめるのではないでしょうか。

ことばあそびを存分に楽しめるファンタジー

谷川俊太郎のことばあそびと、中辻悦子のモノクロ写真に色を付けた幻想的な絵が特徴の絵本です。

子どもたちがみんな帰ってしまい、誰もいなくなったよるのようちえんに、集まってくる夢の子どもたちが遊んでいます。子どもたちが知らない「よるのようちえん」には、謎につつまれた不思議な空間が存在しているようです。

タイトルを見ると、一見、子どもには怖いのではと思いますよね。でも、夢の子どもたちは、そっとさん・すっとさん・ぬっとさん・ぱっとさん・ぽっとさん、などといった愉快な名前ばかりです。そして、「すっとんとん」や「ぱしゃりんこ」など次々にでてくる愉快な言葉がとっても楽しくなります。

著者
谷川 俊太郎
出版日
1998-05-31

空がだんだん明るくなると消えてしまう愉快な夢の子どもたち。その色や形、言葉をよく見ると、ようちえんの遊具や施設と関連しているような……。読み進めながら、子どもたちと一緒に、夢のこどもたちの正体を想像するのも楽しいのではないでしょうか。

また、谷川俊太郎の息子である谷川賢作が作曲した楽曲が、楽譜付きで巻末に掲載されています。読み終わったら、親子で歌ってみたり、いろいろな楽しみ方がありそうです。

「生」や「死」などのテーマは、身近だけど伝えにくいと思います。谷川俊太郎のわかりやすい詩と遊び心で、子どもたちにも伝えられるはずです。大人になっても、いろいろな場面で思い出す作品ばかりだと思います。

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