1928年神奈川県生まれの童話作家です。子どものころに夢中で読んでいた、アンデルセンやグリム童話に影響を受け、戦後、童話作家を志します。編集者として働きながら、同人誌を創刊するなどし、1959年に「コロボックル物語」シリーズ第一作目を自費出版しました。
「コロボックル物語」は、日本初の本格ファンタジー作品として、国内外で高く評価されることになります。そして、数々の賞も受賞し、長年にわたり多くの人々に愛されている作品です。シリーズは、長編5作・短編2作の全7作になっています。
主人公は、小学生だったある夏休みの日、近所の山で小人たちに出会います。昔からその山に住むという言い伝えがある小人たちと、主人公との交流を描いた作品です。大人になった主人公は、その出会いが忘れられず、再び、その山へ向かいます。
大人になった主人公は、小人たちのことを自分なりに調べ、アイヌ民話に登場するコロボックルではないかと推測しました。後に、小人たちも「コロボックル」の呼び名を気に入り、自称し、主人公のことは「せいたかさん」と呼ぶようになります。
いろいろあって、コロボックルたちは、人間に不信感を抱いていました。唯一信頼できる人間はせいたかさんです。せいたかさんを通して、ひっそり暮らしていたコロボックルたちの生活を脅かす問題に、一緒に立ち向っていきます。
- 著者
- 佐藤 さとる
- 出版日
- 1980-11-10
小人たちが出てくるファンタジー作品と聞いただけで、大人でもわくわく楽しい気分になりますよね。かわいいだけじゃない、芯の強いコロボックルたちの魅力的なキャラクターも見逃せません。
この物語は、2017年2月に永眠した佐藤さとるの後、物語の大ファンでもある小説家の有川浩が書き継いでいます。
主人公のかおるが、片方だけのふしぎな黄色いながぐつを見つけるところからはじまります。設定や描写は、いたって現実的で日常的ですが、わくわくどきどきするファンタジー作品です。
あるときかおるは、家のかきねの下に、片方だけの黄色いながぐつを見つけます。拾ってみると、左足のかなり小さいながぐつで、かおるには履けません。落とし主が取りに来るかもしれないので、かきねの上に乗せておきました。
次の日、かきねの上にはまだそのながぐつはありました。よく見ると、不思議なことに、昨日より少し大きくなっている気がします。ながぐつはさらに大きくなり、かおるの足が入るくらいになり、足を入れてみると、さらに不思議なことが起こったのです!
- 著者
- 佐藤 さとる
- 出版日
身近なアイテムのながぐつと、日常のありふれた風景だけに、引き込まれます。大きくなったり小さくなったりと、魔法のような不思議なことが、ファンタジーでありながら、どこかリアルさも感じられる作品になっているのではないでしょうか。
田舎の町で、ひとりで元気に暮らしている、編み物名人のおばあさんが巻き起こす、ファンタジックな騒動を描いた作品です。編み物などの細かい描写は、村上勉の絵も存分に楽しめると作品だと思います。
「編み物なんでもひきうけます」と大きな椿の木に札を下げるくらい、編み物が大好きなおばあさんです。冬には、いろいろな人に、温かいセーターなどを編んであげます。でも、春になって頼まれることもなくなり、暇になってしまいました。
あるとき目に留まった、キレイな蝶々の柄で肩掛けを編もうとしますが、なかなかうまく編めません。やっと、気に入った蝶々を編むことができ、編み進めると、なんと!その肩掛けが浮き上がります。そこで、おばあさんは思いつきました。
- 著者
- 佐藤 さとる
- 出版日
- 1973-02-28
編み物でひこうきをつくり、山の向こうの港町に住む孫のタツオに会いに行きます。満月の夜に、編み物のひこうきに乗り、空を飛んでいるおばあさんの絵が、とても印象的です。
編み物とひこうき、おばあさんとひこうき……どちらも不思議な組み合わせですよね。でも、佐藤さとるの手にかかると、そのシチュエーションはなぜか身近に感じられ、ファンタジーな世界に引き込まれると思います。
おおきなきがほしい主人公のかおるが、実際にはないおおきなきを想像して、夢を広げていく作品です。おおきなきと、そのおおきなきに作った小屋など、絵を見てるだけで、大人でもわくわくします。
家の庭は小さく、おおきなきはありません。かおるは、おおきなきを絵に描いてみることにしました。とてもとてもおおきなき、のぼるためのはしご、かおるの小屋、小屋につけるえんとつなどです。おおきなきの上の方には、りすやことりも住み、見晴らし台もあります。かおるの想像はどんどん広がるようです。
- 著者
- 佐藤 さとる
- 出版日
おおきなきと小屋というのは、子どものみならず、誰もが一度は想像したことがありますよね。自分がほしいおおきなきを、おとうさんもほしかったと知り、ふたりでおおきなきの計画を一緒に楽しむという、ほっこりとしたエンディングも魅力です。
スーパーマーケットで出会った不思議なかんづめには、宇宙人が入っていた!という、ファンタジーでSF要素もある作品です。挿絵は、イラストレーターとして活躍している岡本順が描いています。
主人公は、スーパーマーケットで、おしゃべりをする不思議なかんづめに出会います。なんと、そのかんづめの中には、地球を調査しに遠い宇宙からやってきた宇宙人が入っていたのです。
かんづめに入っている宇宙人たちの科学は、地球よりもだいぶ進んでいます。その進んだ科学でつくられた、タイムマシンやいろいろな機器が、ストーリーとともに、子どもたちの好奇心を刺激すること間違いなしです。
- 著者
- 佐藤 さとる
- 出版日
SFといっても、むずかしい哲学的なことはありません。そしてまた、身近なかんづめと、宇宙人がつながっているという、佐藤さとるらしい不思議で楽しいファンタジーワールドが広がります。読み終わった後は、かんづめを見る目が変わるかもしれませんよ。
ファンタジーでありながら、一貫して、身近なところにテーマをおく佐藤さとる作品。きっと、想像力が豊かになり、夢が広がります。