子どもにひびく、分かりやすくて面白いストーリーが魅力!サトシンの独特な絵本は、一度読んでみると、子どもたちのみならず、大人もはまります。
サトシンは1962年生まれ、新潟県出身の絵本作家です。子どもの誕生をきっかけに、会社勤めを辞めて、専業主夫となりました。在宅でコピーライターの仕事をし、絵本作家として活動をはじめます。
サトシンの作品は、子どもたちが読んで、単純におもしろいと思える作風が魅力。教訓や教育のようなメッセージ性の強い作品も、もちろん大切ですが、大人の意図することとは関係なく、子どもたちが楽しめる絵本も大切です。
また、「おてて絵本」という親子遊びの普及活動もしています。「おてて絵本」とは、両手を本に見立て、即興で物語をつくり、語り進めていくという親子で楽しめる遊びです。子どもの想像力を引き出し、育めそうですね。
何といっても、タイトルと表紙に圧倒されます。本作のイラストを手がけているのは、元デザイナーの絵本作家、西村敏雄です。主人公が、犬の落としものであるうんこくんで、そのうんこくんが冒険をするという、奇抜なアイデアの物語になっています。
一見すると、敬遠してしまいそうな感じですが、下品なことはありません。犬が落としていったうんこくんが、道で出会うねずみやヘビ、うさぎたちに、「くさい」と疎まれながら、自分の居場所を探しに行きます。
- 著者
- サトシン
- 出版日
うんこくんは、お百姓さんに出会うことで、自分の仲間や居場所を見つけることができます。子どもたちは、うんこくんのセリフ1つ1つに反応すること間違いなしです!不思議なことに、大人でも、読み進めていくと、しゃべったり歩いたりするうんこくんがかわいく見えてきますよ。
うんこくんにまつわることば遊びも、たくさんちりばめられていて、笑いながら楽しめます。物語のもつ意味や結論など、あまり深く考えずに、親子で一緒に連呼しながら、サトシンの絵本を楽しんでみてくださいね。
本作の絵は、サトシンと人気コンビの西村敏雄が描いています。白や黒の7匹のねこの家族のなかで、1匹だけ赤い色のねこの主人公が成長していく物語。あかねこは、自分の色を気に入っていますが、家族はそうは思っていないみたいです。
真っ白いおかあさんと真っ黒いおとうさんから生まれた5匹の兄弟、しろねこ、くろねこ、とらねこ、ぶちねこ、あかねこ。1匹だけ、おかあさんともおとうさんとも似つかない赤い色なので、家族はとても気になるようです。サトシンのこの絵本から、人は見た目で判断してしまいがちだということに気づかされます。
- 著者
- サトシン
- 出版日
あかねこの色が白くなるようにミルクを飲ませたり、黒くなるように泥で遊んだり、家族みんなで試しますが、あかねこの赤い色は変わりません。しかし、あかねこは自分の赤い色を気に入っていました。自分を認めてくれる環境に行こうと、あかねこが家を出る場面からは、周りと違うところを個性だとプラスに考え、個性を尊重することを考えさせられます。
認めてもらいたくて家を出て、さみしい気持ちにはなりましたが、あかねこの赤い色をほめてくれる仲間や、ステキなあおい色のあおねこと出会い、仲良くなりました。大人にとっては、少し切ない気持ちになるところはありますが、前向きなあかねこを応援したくなるのではないでしょうか。読み終わった後、個性について子どもと一緒に考えたいサトシンの絵本です。
主人公のアリたちが、空から降ってきた巨大な白い山を、巣穴までもっていくことに挑戦するという熱い物語です。本作の絵は、線を描かずに絵具だけで仕上げる独特のタッチの絵本作家、よしながこうたくによるものです。
長老が、降ってきた白い山は伝説の「きょだいあんまん」だと教えてくれました。あんまんが伝説!と聞くと、それだけで笑えます。確かに、アリにとってあんまんは巨大ですよね。長老が伝説たる所以も語ってくれますが、その設定も、なんだかリアルで面白いです。
アリたちは、「きょだいあんまん」をまるごと運ぶという、女王の指令のためにプロジェクトチームを作ります。リーダーは勇者アリヤマ・アリロウです。「きょだいあんまん」の甘い味を想像しながら、いろいろなキャラクターのアリたちが挑戦する姿は、応援せずにはいられません。
- 著者
- ["サトシン", "よしなが こうたく"]
- 出版日
- 2011-10-01
アリたちにとっては壮大な冒険が、アリという小さな世界で繰り広げられているというところに、ワクワクさせられ、同時に物語の展開にハラハラさせられるのです。サトシンならではのことば遊びもあり、さらに結末は大爆笑です。力強いよしながこうたくの絵からも、アリたちの熱い思いが伝わってくるのではないでしょうか。
たてがみが伸びすぎて、ぼさぼさになってしまったライオンが、かえるの床屋に行き、その床屋でおきる事件を描いた絵本です。まずは、表紙のインパクトのある、ぼさぼさのライオンに、目を惹かれますよね。絵は、絵本作家おくはらゆめです。
前が見えないくらい伸びたたてがみのライオンは、かえるの床屋に行きました。スッキリさっぱりしてくださいとオーダーをした後、チョキチョキというはさみの音を聞いていたライオンは、寝てしまいます。読んでいる子どもたちは、ぼさぼさのライオンが大き過ぎて、一体どうなるんだろう?と物語に引き込まれていくでしょう。
- 著者
- サトシン
- 出版日
切りすすめていくと、かえるの床屋の鼻の中に、ライオンのたてがみの毛が入ってしまい、大きなくしゃみをしてしまいました。そのとき、たてがみを切りすぎてしまったのです!ライオンは寝ていて気が付きません。思わず、ライオンが起きないことを祈ってしまうくらい、ドキドキしてしまいます。
なんとかごまかそうとするかえるの床屋が考えた秘策とは……。果たして、何も知らずに起きたライオンのたてがみは、スッキリさっぱりできたのでしょうか。それぞれのキャラクターと、おもしろくて斬新なアイデアの結末に、必ず笑顔になるサトシン絵本です。
人気者のパンダになりすまし、自分も人気者になろうとするクマが主人公という、奇想天外な物語のサトシン絵本です。絵は、ほのぼのとした優しいタッチで定評のある、すがわらけいこが描いています。
クマは、強くてかっこいいのに人気がないのは、パンダが人気を独占してるせいだと思ってしまいます。パンダは見た目がかわいいだけ、つまり、見た目がかわいければ人気が出ると考えました。短絡的ではありますが、クマがペンキで自分の見た目をパンダにするところは、その発想がいじらしくてたまりません。
街で出会ったもう1頭のパンダと歩いていたら、ファンが集まってくるほどの人気ぶり!ファンの子どもたちが、さわったり、つねったり、かんだりしてくるのをガマンして、プレゼントをもらいました。当然ですが、開けてみたら、笹や竹、さとうきびといったパンダの好物です。
- 著者
- サトシン
- 出版日
雨が降ってきてペンキがとれてしまい、クマはもとの見た目に戻ります。すると、もう1頭のパンダも、ペンキがとれたらシロクマでした。同じことを考えていたクマとシロクマは、ありのままの自分が一番だということに気づきます。人気者のパンダにあこがれる、クマとシロクマの気持ちは、子どもも大人も共感できるのではないでしょうか。
読んであげる大人も、いろいろ考えずに、子どもたちと一緒に、純粋に、サトシンワールドを楽しんでみてください!