“1人でできた!”を増やすための絵本
『おててがでたよ』は赤ちゃんの着替えの練習を描いた絵本です。赤ちゃんの表情の変化と手足をばたばた動かす様子はリアリティがありとても可愛らしい作品です。
『はじめてのおつかい』と同じように、子どもの“1人でできること”が増えていく様子を感慨深いものを感じながら読み進めることのできるでしょう。少しずつ服の穴から出てくる体は、本物の赤ちゃんのようにぷっくりとした可愛いもので思わず撫でてあげたくなります。
読み聞かせをしてやってみるように促すもよし、子どもに読んでもらって“自分もできる!”と自信をつけてもらうもよしの作品です。成長を楽しみながら自信をつけてもらうための最初のツールとしておすすめの1冊と言えるでしょう。
子どもの好奇心を大切にした作品
『まほうのえのぐ』は林明子の代表作であり、子どもの好奇心がいかに自由で大切にしなければいけないかを訴えた作品です。
お兄ちゃんの絵の具と筆を借りて、よしみは色々な絵を描いている途中に蛇に絵の具を取られてしまい、森の奥へと入っていきます。そこでは様々な動物が絵の具を使って自由に絵を描いていました。よしみも一緒に“まほうのえのぐ”で絵を描いてお兄ちゃんを驚かせるのです。
まだ十分に絵の具の使い方を分かっていないよしみですが、お兄ちゃんが楽しそうに絵の具を使って絵を描くのがうらやましかったのでしょう。絵の具のカバンを離そうとしないときの表情は、とてもリアルに表現されています。そんなよしみの表情の変化が、とても愛おしく感じられます。
森の奥で多くの動物が同じように絵を描いていました。その様子は一見メルヘンともとれますが、動物たちの楽しそうな笑顔を見たらそんな解釈はなくなります。ただただ純粋に絵の具を使って絵を描くことを楽しんでいるのです。それを誰が止められるでしょうか。
最初から最後までほのぼのとした雰囲気が漂う作品ですが、子どもの好奇心を活かした作品といえます。やってみる、挑戦させてみると子どもは無限の想像力を働かせて物事を成し遂げようとします。それがいかに大切なことかを大人に訴えかけてくる作品です。
お風呂はみんなで入るから楽しい、気持ちいい
『おふろだいすき』ではたくさんの動物が男の子と一緒にお風呂を満喫する絵本です。
次々に登場する動物たちがみんなお風呂を満喫している様子に、とても安心感を覚えます。“お風呂は良いものだ”ということをめいっぱい表現しているからでしょう。湯船につかった笑顔はとても満足気です。
動物たちの自由な振る舞いに淡々と応える男の子の健気な様子がまた可愛らしく胸をときめかせます。お風呂が大好きだというだけあって、動物たちを洗いながら自分も体を洗うなどお風呂に入った時の動作がスムーズで、また愛おしさを覚えるでしょう。
なかなか予想外の展開の多い絵本ですが、読み聞かせをするなら深く考えずに楽しそうに読んであげるのが良い作品です。