アーノルド・ローベルのおすすめ絵本!『ふたりはともだち』の作者

更新:2021.11.3

世界中で愛されている名作絵本『ふたりはともだち』。愛らしいがまくんとかえるくんのシリーズは、全4冊出版されています。アーノルド・ローベルの作品の魅力とは?読んだことがないという人も、まずは、『ふたりはともだち』から手に取ってみてください!

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がまくんとかえるくんシリーズの作者、アーノルド・ローベルとは

アーノルド・ローベルは、1933年アメリカのロサンゼルス生まれの絵本作家です。高校を卒業後、ニューヨークに移り、多くの有名アーティストを輩出しているプラット・インスティテュートに入学。卒業後、学校で出会った妻アニタと結婚し、ブックリンに家を構え、広告代理店で働きながら、絵本の制作を続けます。

1970年に出版した『ふたりはともだち』が、アメリカで出版された優れた子供向け絵本に与えられるコルデット賞にノミネートされ、人気絵本作家となりました。絵本の主人公、がまくんとかえるくんのキャラクターは、グッズ販売化され、現在でも、世界中で愛されています。

ローベルの絵本は、ほとんどが動物たちを主人公にしたもの。クスッと笑わすセンスあるストーリーで、動物たちのふとした何気ない一日を描いたものばかりです。イラストはペン画で描かれ、印刷の際に色をのせるというスタイル。20世紀初頭に流行した、木版印刷に手書きで色をのせる挿絵の仕上がりにも似ていて、現代のカラフルな絵本とは、一味違う温かみと、風情を感じさせるのが特徴です。

アーノルド・ローベルの代表作。がまくんとかえるくんのとぼけた日常生活

おっちょこちょいのがまくんと、しっかりもののかえるくん。親友二人の何気ない日常を、はるがきた/おはなし/なくしたボタン/すいえい/おてがみ、という5つのストーリーで描いた短編集です。表紙の絵の、茶色のカエルが、がまくん、緑色のカエルが、かえるくんです。

ふたりの関係性を、うまく表現しているのが2編目のおはなし。具合が悪くて寝込むかえるくんに、おはなしをしてあげようとするがまくん。うまいおはなしを考えようと悩むがまくんですが、頑張り方が、かなりエキセントリック……。良いおはなしを考えようと、頭を壁にガンガンぶつけて、具合が悪くなってしまいます。

がまくんを、ベットに寝かせて優しく介抱するかえるくん。本末転倒の話のはずなのに、読んだ後には、そこはかとない幸福感に包まれます。愛すべきおとぼけ二人組の、ほのぼのとした日常生活に、ほっこりとさせられる一冊です。

著者
アーノルド・ローベル
出版日
1972-11-10

がまくんとかえるくんは、親友同士。時には、ケンカをしながらも、仲良く過ごしています。この二人のように、他人と優しい繋がりを持ち、日常生活を過ごしていけたら、毎日どんなに楽しいでしょうか。

物語の主人公は、友人同士ですが、夫婦、親子、仕事のパートナーなどの関係性に置き換えても、同じようなことが言えるはず。相手を傷つけない優しさや、思いやりの心の大切さを教えてくれた、がまくんとかえるくんに感謝です。自宅の本棚には、一冊置いておきたい名作絵本ですね。
 

感受性豊かに過ごすふくろうくんは、心の大富豪!

一般的に、ふくろうという動物は、賢い博士のような頼れる動物という印象。ところが、アーノルド・ローベルの絵本『ふくろうくん』の主人公は、そんなイメージを一新してしまうことでしょう。

純粋無垢な心を持つふくろうくんの生活を、おきゃくさま/こんもりおやま/なみだのおちゃ/うえとした/おつきさま、という5編の短編で描いた絵本です。

暖炉の前のゆったりとした椅子に腰かけ、紅茶をたしなむふくろうくんは、パジャマの上にガウンを着用し、とってもダンディ。ところが、見た目と裏腹に、ふくろうくんの頭の中は、子どもと同じくらい純粋無垢。その純粋さゆえに、極度のおとぼけぶりを発揮します。
 

著者
アーノルド・ローベル
出版日
1976-11-20

ふくろうくんが、ベッドに入ると、毛布の下に、こんもりとしたものが二つあるのを発見!何かと思い、毛布を取ると自分の足がそこにあるだけ。寒くなったので、もう一度毛布を掛けると……「あのこんもりども、戻ってきた!と、ふくろうは叫びました。」(『ふくろうくん こんもりおやま』より引用)。

お茶目なふくろうくんですが、よくよく考えると、子ども時代に誰もが同じような体験をしているのではないでしょうか?大人になって忘れてしまったことの多さと、その大切さに、改めて気づかされる作品です。

森の中で一人暮らしをしているふくろうくん。孤独ともいえる生活を、楽しく満喫しているのは、生活に詩的要素をたくさん盛り込んでいるから。短くなって使えなくなった鉛筆のために、おんおん泣き、その涙をためて沸かしたお湯でお茶をいれる。うらやましいほど清らかな心で、感受性豊かに毎日を過ごす、ふくろうくんの心の豊さに脱帽です。
 

お父さんに読み聞かせてもらいたいベッドサイドストーリー

ねすみの父さんには、7匹の子どもねずみがいます。眠れない子どもたちに、1人1話ずつ、おはなしをしてあげるのが『とうさんおはなしして』のストーリーです。ねがいごとのいど/くもとこども/のっぽくんちびくん/ねずみとかぜ/だいりょこう/ズボンつり/おふろ、という合計7編のベッドサイドストーリーが収録されています。

ねずみの父さんのおはなしは、少しだけブラックユーモアを配合したユニークなストーリー。子どもたちには、大人気のジャンルです。楽しいイラストが、毎ページごとに描かれているので、子どもが一人で読んでも、もちろん楽しめる作品。

普段は忙しいお父さんの、週末だけの読み聞かせにするなど、父と子のスペシャルな1冊にすると、より楽しい時が過ごせると思います。
 

著者
アーノルド・ローベル
出版日
1973-03-31

子ども時代を思い返すと、寝る前に本を読んでもらうのは、幸せな時間でした。面白いおはなしを聴きたいのは、もちろんですが、温かい布団に入り、心も体も安心している状態で、家族とのふれ合いの時間を持てることが、嬉しいですよね。

寝る前に、子どもにおはなしをせがまれたら、何を話そう?と悩むこともあると思います。そんな時のために、アーノルド・ローベルのような、物語のプロフェッショナルが存在するのです。

ローベルのおはなしは、日常生活の何気ない幸せや喜びを物語にしています。ものすごい冒険や出来事が起こらなくても、お花や木々に、こんにちは!と挨拶するだけで、子どもたちにとっては、立派なファンタジー物語です。7つのストーリーのいくつかを暗記しておいて、自分の子どもを主人公にしたアレンジ版を語って聞かせても、喜ぶと思います。
 

絵画のように素敵な絵に芸術的センスが開花する、アーノルド・ローベルの絵本

絵本『いろいろへんないろのはじまり』を読むと、作者アーノルド・ローベルは、シンプルな事柄を、ユーモアを交えて詩的に表現することに長けた天才なんだな、と感じるはず。ユニークな物語を創作してきたストーリーテラーとしての才能と、ほのぼのとした魅力的な絵の素晴らしさを、両方ぎゅっと詰め込んだ絵本。

絵本とはこういうものだ!と、断言しても構わないほど、絵本としての魅力にあふれた一冊です。

世界に黒と白の色しかなかった時代を人々は、灰色のときと呼んでいました。灰色だけの世界では、天気が良いのか悪いのかさえ分からず、人々は困ってしまいます。そんな時、魔法使いが、色を作ってみようとします。
 

著者
アーノルド・ローベル
出版日
1975-03-20

魔法使いが色を作るというストーリーに、アーノルド・ローベルのセンスの良さを感じます。実際に、絵の具で色を作る行為は、確かにマジックのようでもあり、魔法で色を作るという感覚も、納得というもの。

ある時、魔法使いが、青を作り出し、世界は、青色一色の世界になります。はじめは喜んだ人々も、青い色だけの単色の世界に、だんだん憂鬱になっていき、不安感を抱き始めます。次に、魔法使いが、黄色を作り、黄色一色の世界になると、眩しくて頭が痛くなり、赤色一色の世界になると、人々は、怒りっぽくなってしまうのです。色が感情に与える影響については、色彩心理学の分野で研究されており、否定できない現象です。そんな、色と感情が結びつくという不思議な感覚を、実感できる作品でもあります。

最後に、魔法使いは、色を混ぜて、いろいろな色を作ります。全部の色を的確に塗り、リンゴは赤く、草の葉は緑という世界が出来上がります。カラフルな色が存在する世界を描いた絵の美しさに、子どもも、大人も驚くはず。そして気がつくのです。その、驚くべき美しさを持つ世界とは……今、私たちが住む、この世界そのものだということに!
 

アーノルド・ローベルが描いた20の寓話。人間社会で生き抜くための教訓とは?

1980年に出版された『ローベルおじさんのどうぶつものがたり』は、アーノルド・ローベルの集大成とも言うべき作品。見開きの片側にイラスト、もう一方に文章というスタイルで、20編の動物の物語が描かれています。

fables(寓話)という原作のタイトルの通り、恋のダチョウ、ラクダのバレリーナ、年よりのかわいそうな犬など、イソップ物語のような教訓を含んだ寓話が、1ページごとに展開されていきます。

まず、この絵本のスタイルが素晴らしい!1ページずつめくるごとに、どんな物語が待っているのだろう?とワクワクします。ずらりと並んだ物語のラインナップは、アーノルド・ローベルの機知に飛んだ発想で考えられたものばかり。小さな子ども達には、少し難しい物語もありますが、100%理解できなかったとしても、面白い絵を見るだけでも、十分な価値があるでしょう。アーノルド・ローベルは、この作品で、コルデット賞を受賞しています。

著者
アーノルド・ローベル
出版日
1981-05-24

どの物語も3分ほどで読み終えてしまうので、20話もあるのか!と、気おくれしなくても大丈夫です。子どもと一緒に読む時は、全部一度に読まなくても、1編ずつ読み進めても楽しいと思います。

大人が読むときには、16話目のペリカンとツルのような辛辣な教訓のストーリーで、シニカルな風刺の面白さを堪能できるはず。

さらに、4話目のエビとカニのように、読後に勇気を与えてくれるような1編もあるので、自分にピッタリの物語を探し、愛読書として手元に置いておくと、人生の心強い味方になってくれる一冊です。

名作を描く絵本作家は、子どもと同じ目線で物事を観察し、子どもと同じ発想力で、物事を分析する能力に長けています。さらに、皮肉とユーモアが絶妙なバランスで配合されているのが、アーノルド・ローベルの絵本の魅力ですね。

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