農業やブームがきている!と言われて、もうかなりの月日が経っているなーと感じるこの頃。それでも、新しく農業や野菜づくりに興味をもってくれるのは嬉しいものです。 今回は、私のいる農業界・・・ではなく、「ちょっと興味あるけど、野菜作るなんて」や「子供がいるから野菜づくりなんて出来ないし」と思っている方に、「農」にふれる本のご紹介ができればと思います。
- 著者
- ["エリック=カール", "もり ひさし"]
- 出版日
みなさんご存知の、世界中で何世代もわたって読まれている絵本です。
もう知らない人はいないんじゃないかと思うぐらいの知名度を誇るこの本は、色使いや絵本の仕掛けが楽しく、何回読んでもわくわくする本です。
そんな「はらぺこあおむし」を「農」という視点をちょっと入れると、実は色々と興味深いことが書かれています。
まず、冒頭のたまごが生まれるシーン。
よくよく読むと卵を「おつきさま」が見つけています。そのおつきさまの絵はまんまる。
実は農業界、特に果樹で注目を集めているのが「虫と月のリズム」に合わせた防除作業です。そう、虫は満月の日に生まれてくる確率が高く、その日に対策をすれば農薬の回数や量も減らせるのではないか? という話です。絵本であってもちゃんと自然と虫の関係が描かれています。
また、あおむしは色々な果物やお菓子を食べますが、おなかがいっぱいになるどころか、おなかを壊してしまいます。でも、葉っぱを食べると・・・
よく「虫が食べる野菜は安全だ」という話を聞きますが「人間が食べるお菓子は安全だ」という話が虫にはきかないのかな?なんてことも考えさせられる一節です。
虫にも人にも節度や適切なものがあるんだよ、ということを鮮やかな絵と一緒に感じながら読んでみてはいかがでしょう。
- 著者
- きうち かつ
- 出版日
- 1997-01-31
「おなか」という表現がとても素敵で、好きな絵本です。
絵本は見て分かるのがとても大切だと思っていますが、野菜の「おなか」の絵からその野菜を当てるのは、お子さんにとっては野菜に興味を持つキッカケになるのではないでしょうか。
最近はカット野菜が本当に多く、野菜の形を知らない子が多いなんて言われています。ましてや、畑で育っている姿なんて知らない子も多く、何を隠そう自分の妹(10歳近く離れているのでまだ学生)はブロッコリーの姿を知りませんでした(笑)
食育を! なんて気構えずに、食事以外にも野菜に興味をもつ機会が増えると嬉しいです。
- 著者
- あいはら ひろゆき
- 出版日
ボクはジャッキーのシリーズは多数出ていることを知りませんでしたが、たまたま本屋さんで見かけ、自分もやっているトマトづくりのタイトルだったこともあり、惹かれて読んだ絵本です。
この本では、ジャッキーがトマト作りを始めるのですが、トマトを心配するジャッキーがとても健気です。大雨の日には傘をもっていきたくなる気持ちもついつい感情移入してしまいます(農家はけっこう涙もろいと思う)。
自分が一番「この本いいな」と思ったのは、トマトが実って色づいていくシーン。トマトの花や実が赤くなるまでの変化を丁寧に表現しています。当初、絵としてそのシーンがないのは残念! と思っていましたが、この絵本を読んで畑のトマトがどんな状態か気になって足を運んでくれると嬉しいなと思いはじめています。
- 著者
- 盛口 満
- 出版日
- 2012-02-02
野菜の本や図鑑はあまたありますが、中でもこの本がとっても気に入っています。
トマト1つとっても様々な種類があることや、どこの国が原産地で・・・という話をきれいな絵で説明してくれるからです。よく食べている野菜が、実は日本のものではなかった! みたいな発見は大人でも純粋に喜ばしい瞬間です。
日本の食料自給率の話題が耐えない昨今ですが、日本原産の野菜だけで食卓を埋めるのもまた難しい。でも日本では海外が原産の野菜が育っている。なんでだろう???
なーんて、そんなことも分かってくると、ちょっと野菜売り場での見方が変わるかも知れない一冊です。
- 著者
- 西村 和雄
- 出版日
冒頭で言っていることと違う! なんてツッコミはなしにして頂きたいのですが、野菜づくりをしなくても面白い本です。なにを隠そう、ボクの野菜づくりの最初の教科書。でも、野菜を作る前にぜひ読んでもらいたい一冊です。
野菜を作ってみたい!自分で作った野菜で料理をしたい!と、農や食に関心をもった時に大切なこととは何でしょう?ボクは「まず知ること」かなと考えています。
野菜づくりの本やレシピ本は星の数ほどあります。本屋さんに行っても正直、よく分かりません。(なので流行の本を買ってしまう…)だから、まず知ることかな? と思うのです。
この本では、第1章が、野菜の原産地やその野菜の特性のお話。今、自分が農業に携わっているからこそ思う「あぁやる前に見ておいて欲しいよね」という話がたくさん載っています。
自分のいる環境では育たないことが分かってしまったり、土の不思議な話が載っていたりと興味が尽きません。ぜひ大人が読んで、普段の生活の中で子どもに話して欲しい内容が盛りだくさんです。
と、今回は、はじめての農という意味あいも込めて、取っ付きやすい本の紹介でした。
一見関連のない本にも、実は農業の魅力が入っているなんてこともあります。ぜひ色々な本に触れながら農や食に関心を持ってもらえると嬉しいです。