工藤ノリコのおすすめ絵本5選!人気「ノラネコぐんだん」の作者

更新:2021.12.19

日常をメルヘンの世界へと魔法のように変えてくれる、工藤ノリコの絵本をご紹介します。

ブックカルテ リンク

工藤ノリコとは?日常と空想を織り交ぜ、魔法の世界を描く作家

工藤ノリコとは、1970年生まれの漫画家であり、絵本作家です。

本物を追求しつつも、柔らかいタッチのイラストで、読む人を癒してくれます。特にどの絵本でも特徴的なのが食べ物のイラスト。全部食べてしまいたくなるようなリアリティです。

忙しい毎日の中で、こんな世界があったらなと、ふと優しい気持ちにさせてくれる工藤ノリコの作品をご紹介します。
 

絵本の中からパンの香りが!?愛くるしい猫たちの大騒動

初めに紹介するのは大人気「ノラネコぐんだん」シリーズから『ノラネコぐんだん パンこうじょう』です。

パンが食べたいノラネコたちが夜にワンワンちゃんのパン工場に忍び込み、見よう見まねで作ったパンが分量を間違えて大爆発。ワンワンちゃんにこっぴどく叱られ……どこか憎めないノラネコ軍団の大騒動のストーリーです。

 

著者
工藤 ノリコ
出版日
2012-11-15

この絵本では、パン屋さんで売っているサンドイッチや菓子パン、食パンが細かく描写されています。絵本の中から焼きたてのパンの香りがしてきそうなほどで、思わず手をのばしてしまいたくなるリアルさです。

ノラネコたちの、悪企みの割には意外に熱心にパンを作る姿に、応援すらしたくなってしまうでしょう。また、ノラネコたちの表情はほとんど変わらないのに、ページによって、いたずらっぽい顔に見えたり、反省していそうな顔に見えたりすることに、とても不思議な感じがします。

最後の方でワンワンちゃんに叱られる姿や素直に反省するいじらしさに、大人の心もわしづかみ。お子さんには、「悪いことをしたらちゃんと謝ろうね。謝ってくれたら、いつまでも怒っていないですぐに許してあげようね」と伝えてあげるといいかもしれません。

読み終わったあとに、一緒にパン作りをするのもいいですね。記憶に残る絵本となるでしょう。私も子どもの頃、絵本に出てくるものと同じお菓子を作って、絵本と見比べながら食べたのがとても嬉しかったことを、大人になった今でも覚えています。

食べ物に興味を持ち始めたお子さんにぴったりの絵本。ちょっとハラハラ、でも心がほっこり癒される内容です。
 

日常の光景をメルヘンに!

次に紹介する絵本は『ピヨピヨスーパーマーケット』です。

スーパーにお買い物に行ったピヨちゃんたちが、お母さんの隙をついて向かったのはお菓子売り場。ピヨちゃんたちがいろんなお菓子をカゴに入れていると、お母さんに止められてがっかり。でも、お菓子を買ってくれなかった本当の理由は……?

日常の1コマ1コマがリアルに、でも可愛らしく描かれていて、お子さんとお買い物に行くのが楽しくなるような絵本です。

 

著者
工藤 ノリコ
出版日

スーパーで売っているものや値段設定、売り場のレイアウトの細かな描写は何度読んでも発見があるでしょう。それから、ピヨちゃんたちがどこに隠れているか探し出してみてください。見つけたピヨちゃんたちの表情がたまらなく愛おしかったり、笑えたりします。描かれている食べ物のお勉強にもなるので、スーパーで絵本にでてきた食べ物の名前を実際に教えてあげるのも良いかもしれません。

欲しいお菓子を買ってあげず子どもがすねてしまったとき、ピヨちゃんのお母さんのようにお家で対応してあげれば、お子さんも納得するのではないでしょうか?さて、その方法は……絵本で見てみてください。

普段のスーパーでの光景が、工藤ノリコにかかるとこんなに愛らしくメルヘンになるのかと、感激する一冊です。
 

別れの後には素晴らしい世界が!

続いては『セミくんいよいよこんやです』を紹介します。

いよいよ今夜に何が起こるの?と思った方もいるでしょう。今夜はいよいよセミくんが羽化する日。このように書くと昆虫図鑑のように感じられるかもしれませんが、そこは工藤ワールド。可愛らしく、セミの一生が描かれています。

 

著者
工藤 ノリコ
出版日

長い間地中で暮らしてきた様子が、セミくんを取り囲むアイテムからうかがえます。例えば黒電話やレコード。今の子どもたちは存在すら知らないかもしれません。そういう細部までにこだわった小道具から、昔はね……と会話に花が咲くでしょう。

一緒に地中を共にしてきた、他の昆虫やお花たちのお別れの準備にも心が温まり、最後にやっと飛びたてたセミくんの姿にほろっときてしまいます。

イラストもストーリーもとても優しく描かれているので、夏にお子さんがセミを見たとき、恐がらずに優しく見守ってあげられる絵本になるかもしれません。

セミの一生を人間の成長に置き換えると、別れはつらいことだけじゃない!素晴らしい世界が待っていると背中を押される絵本です。
 

はじめての冒険にハラハラ ワクワク!

次に紹介するのは、「ペンギンきょうだい」シリーズの第1作目『ペンギンきょうだい れっしゃのたび』です。

ペンギンの三姉弟が初めて子どもたちだけで列車に乗っておばあちゃんの家に行くというお話。

 

著者
工藤 ノリコ
出版日

列車に乗って目的地に着くだけのシンプルなストーリーなのに、どうしてこんなに引き込まれてしまうのでしょう? それはやっぱり絵です。駅の構内の売店やほかの乗客のやりとりが忠実に、でも、よくよく見ると行ったことがない外国の駅のような不思議な風景が広がります。

3人が美味しそうにほおばるお弁当を見ると、どこか懐かしく、自分にもこういう時代があったなあとノスタルジックな気分に浸ってしまうでしょう。

そして、主人公だけでなく、他の登場人物の動きを追っていく楽しみ方もおすすめです。このページにいたおじさんがここに!とか、たまたまその場所に居合わせた人の、人となりまで想像して楽しくなる仕掛けが絵本のいたるところにあります。

トンネルを抜けて見える広い海、おばあちゃんにやっと会えた嬉しさ、そして3人だけでやり遂げた達成感! 旅のわくわく感がつまった絵本です。

ちなみに、れっしゃのたび以外に、そら、ふね、バスのたびがあり、シリーズを通して同じ持ち物が登場します。探し出しながら楽しんでくださいね。
 

食いしん坊なセンシュちゃんの知恵に脱帽!?

最後に紹介するのは、工藤ノリコ人気シリーズ「センシュちゃんとウオットちゃん」の第4弾『センシュちゃんとウオットちゃん おやつの国』です。

食いしん坊のセンシュちゃんがホットケーキにかけるはちみつをひとりで舐めてなくなってしまったので、みつばちさんにまほうのはちみつをわけてもらうと、そのはちみつにはある秘密が......?

センシュちゃんは大好物を独り占めしようと企みますが、ことごとく失敗。ウオットちゃんや周りの動物たちにいつも助けられるほのぼのしたストーリーです。

他にはサクランボを池に落としてしまっておたまじゃくしに食べられたり、みかんを雪だるまの中に隠してどこにいったか分からなくなったり……季節にまつわる食べ物やイベントがたくさん出てくる漫画風の短編が10話集められた絵本です。

 

著者
工藤 ノリコ
出版日
2015-02-18

美味しいホットケーキに、みつばちさんが届けてくれるまほうのはちみつで舌鼓......こんな世界が本当にあったらいいな、と思うストーリーばかりです。センシュちゃんが独り占めして食べようとしても、結局みんなで食べるのが一番おいしいんだということも伝わってきます。

センシュちゃんの子どもらしく時に大胆な発想と、何度失敗しても懲りない行動にはいつもクスっと笑ってしまいます。でも、センシュちゃんが自分の子どもだったらどうでしょう?

どれだけ悪さをしても、ウオットちゃんや周りの仲間たちはまったく怒らず、何事もなかったようにふるまう寛大な姿に、親として肩身が狭くなる人もいるかもしれません。ちょっと叱りすぎたかな?と自己嫌悪に陥ったとき、ぜひ読んでみてください。細かいことは気にしなくていいかと思えるかもしれません。

十五夜にはお団子、クリスマスにはケーキなど色々な食べ物が描かれ、季節と食べ物を合わせて楽しくお勉強もできます。

全56ページと絵本にしてはボリュームがありますが、短いお話ばかりです。今日はここまでと分けて読むことができるので、小さいお子さんにもおすすめの一冊です。
 

日常に追われる毎日でも、その日常が幸せの積み重ねなんだと気づかせてくれる、工藤ノリコの絵本を紹介しました。子どもへの読み聞かせやプレゼントにいかがでしょうか。

  • twitter
  • facebook
  • line
  • hatena
もっと見る もっと見る