自己啓発アレルギーだった僕が選ぶ自己啓発本 BEST10【平井拓郎】

自己啓発アレルギーだった僕が選ぶ自己啓発本 BEST10【平井拓郎】

更新:2021.12.19

僕は長らく「自己啓発アレルギー」でした。この文章を読んで頂いている方の中にも、同じ病の方がいらっしゃると思います。うっとおしいですよね、自己啓発って。そんな僕でも、あるタイミングから、それらの本を素直に手に取ることができるようになりました。

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僕の「自己啓発本」が嫌いな理由は「バイト先の先輩による、聞きかじった自己啓発の押し売り」でした。
押し付けがうっとおしすぎて、毎日気が狂いそうでした。そして、僕は次第に先輩と自己啓発本が嫌いになっていきました。自己啓発本を否定すれば、その先輩を否定できると勘違いしていました。

そして、数年の月日が経ちました。
自己啓発アレルギーを抱えたまま僕はある日、大好きな先輩と出会いました。

道に行き詰まっていたときに、その方が松下幸之助の『道を開く』を薦めてくれました。
ページをめくるごとに、伝説の経営者から勇気をもらっているような感覚に陥りました。

そして、「啓発書に罪は無い」と肌で感じるようになりました。その固定観念はただもったいないだけだと、気付きました。
そもそも自己啓発本、それ自体には何の罪もありません。自己啓発は使う人次第です。

「自分が良くなるために読むか」、「他人を正すために読むか」を間違えなければ、素晴らしい一冊もあります。それこそ、自己啓発の命題である「人生を変える一冊」との出会いだってあります。

近年では本田、長谷部、長友選手らが有名ですが、トップアスリート達も自らのパフォーマンスを最高のものにするために、多くの啓発書に触れていることをインタビューで語っています。僕も読書が持つ破壊力を信じています。「たかが本」とは思っていません。

そこで今回は元・自己啓発ヘイト野郎である僕でも抵抗なく読めて、かつ効果があった『自己啓発本ランキング BEST10』をご紹介します。

10位 Think Simple

著者
ケン・シーガル
出版日
2012-05-23
「iMac」を命名したアップルの伝説的ディレクターが「シンプル」という哲学を紐解いた一冊。「神」とか「リーダー」とか「人生を変える」とか「いかにも啓発っぽいタイトル」ではないので、手に取りやすいと思います。
意思決定の仕方や、社内でのコミュニケーションの取り方なども書かれているため、万能な啓発書という印象です。アップルファンとして、10位にランクイン。

9位 反応しない練習 あらゆる悩みが消えて行くブッダの超・合理的な「考え方」

著者
草薙龍瞬
出版日
2015-07-31
僧侶の方が書いた一冊。
宗教の匂いにアレルギーがピクっとしそうですが、全然危なくありません。草薙龍瞬さんというお坊さんなのですが、宗派には属していないとのこと。僧侶のインディーズみたいな感じなのでしょうか。

内容としてはネット社会に生きる僕たちにとって、強く生きるヒントが散りばめられている一冊です。
そして、お釈迦様こと、ブッダは人類の歴史的に見ても、超クールなタフガイだということです。
読みやすさと面白さと、ちゃんと「啓発」があります。9位です。

8位 あなたの話はなぜ「通じない」のか

著者
山田 ズーニー
出版日
「自分の考えを伝える」ことは本当に難しいと思います。
世の中では「コミュ障」なる言葉が多く使われるようになりましたが、基本的に「コミュニケーション能力」は後天的に身につけるものです。その力を数時間で取得するなら、間違いなくこの一冊です。

本書は「いかに人と繋がるか」を丁寧にきっちりと紐解いた一冊なのですが、書かれていることが愛情たっぷりで、著者の「人間が好き」という気持ちが、随所にあふれています。僕もこの一冊で、人への伝達が少しはマシになった気がします。「自分をすぐにマシにしてくれた」という即効性から8位です。

7位 嫌われる勇気

著者
岸見 一郎 古賀 史健
出版日
2013-12-13
近年の自己啓発本のなかでは、最強の超ヒット作でしょう。
僕は前々からの古賀さんフリークだったので、本書のヒットがとても嬉しかったです。ついに今年はドラマ化されました。
自己啓発本のドラマ化って前例がないんじゃないでしょうか。

アドラー心理学をもとに、「自分と他人を良い意味で切り離して考えるための方法をまとめた書」です。
着地点は「他者を仲間だと見なし、そこに『自分の居場所がある』と感じられる」というところであり、僕はスルスルと読むことができました。

「『あの人』の期待を満たすために生きてはいけない」や「その選択によってもたらされる結末を最終的に引き受けるのは誰か」など、鋭い言葉ばかりです。
この本のヒットは、メディア戦略ではない印象でした。「本当にいいもの」だったから売れたのではないでしょうか。啓発アレルギーの方への最初の一冊としても、最高の一冊として7位です。

6位 マネジメント【エッセンシャル版】-基本と原則

著者
ピーター・F・ドラッカー
出版日
2001-12-14
「もしドラ」で日本中に知られることになったドラッカーですが、原書である「マネジメントーー課題、責任、実践」を読むのはなかなか大変です。特にアレルギーのある僕にはハードルが高かったです。そんな人に向けて、エッセンスを一冊にまとめた入門編が本書になります。世界的な自己啓発の名著の本質がサクっとさらえるという点で6位です。

5位 親は100%間違っている あなたの価値観を破壊する33のルール

著者
長倉 顕太
出版日
2016-02-09
タイトルがかなりキツイんですが、内容はとても面白いです。
基本的に「既成の価値観を破壊していく」ということが本質なので、タイトルほど読みづらさは感じません。
「多くの人が歪んだ価値観で生き、自分の人生を生きれずに苦しんでいる」というシビアな内容なのですが、文字のデカさも相まってスルスル読めました。 こういうパンキッシュなタイトルの本は、啓発本に抵抗がある人も手に取りやすいと感じています。5位です。

4位 結局、「すぐやる人」がすべてを手に入れる

著者
藤由 達藏
出版日
2015-07-01
啓発っぽさが強めのタイトルですが、説教臭くなく、簡単に読めます。
自己啓発本は「読んで、終わり」ではなくて、「読んで、行動する」で初めて価値が出てくると思いますが、その「行動」という一番のネックを刺激してくれる一冊です。
「すぐやることの大切さ」は分かっているのに、行動を先送りしてしまうことがあると思います。

そこで、この本は「10秒動くだけでいい」というユニークな方法を提示しています。「10秒」という一瞬の時間を動けば、後は慣性の法則で「行動」ができるというものです。

「たった『10秒』で、新しい自分は手に入る!」復唱すると啓発野郎っぽいです。効果が高いので4位です。

3位 気持ちの整理―不思議なくらい前向きになる94のヒント

著者
斎藤 茂太
出版日
またすごいタイトルなんですが、実際に高い効果がありました。
医学博士が書いた本というだけあって、的確で優しいヒントが数多く並んでいます。「プラス思考の押しつけ」ではなく、そのときの心の状態を大切にしつつ進んでいくという考え方が基盤になっています。たしか新幹線のホームの売店で買ったのですが、たまに読み返す一冊になっています。いかにも「The 自己啓発!」みたいな分厚い本を触るとじんましんが出てしまう方にとっても、楽に読めると思います。なんだかんだ自分に影響力がある本だなぁと改めて思ったので、3位です。

2位 神さまとのおしゃべり ーあなたの常識は、誰かの非常識ー

著者
さとう みつろう
出版日
2014-09-28
「神」「宇宙」「引き寄せ」などのスパイシーなワードがふんだんに出てきます……。
自己啓発アレルギーの方にとっては、眉をしかめたくなる言葉の羅列でしょう。僕自身、これらの言葉を先輩に押し付けられ、ずいぶんと苦しんだ記憶があります。そんな僕のような、自己啓発に潔癖な人でも具体的に腑に落ちるように書かれているのが凄まじい一冊です。取っ付きにくいスピリチュアルな力学が極めてシンプルに、伝わりやすく書かれています。最近たまたま、まわりで読んでいる人が多かったのですが、読み終えた人たちがみんな良くなっているように感じます。読みやすさや最初の一冊としてもベストだと思います。名著です。2位です。

1位 自分の小さな「箱」から脱出する方法

著者
アービンジャー インスティチュート 金森 重樹 冨永 星
出版日
2006-10-19
人間関係について、事細かに研究された「箱」シリーズの代表作です。

本書の凄まじさは一言に尽きます。
実際に読んで、理解して、実践すれば一撃で人間関係が変わるところです。

僕はいろいろなシーンで本書を紹介しているのですが、その理由はこの本を読む以前と以後で、僕の人生が急変しているからでしょう。この本が誰に対しても効果を発揮するかは分かりませんが、僕を大きく前進させてくれたことは事実です。

本書に出会ってから定期的に読み直していますが、もし出会えていないと思うとゾッとします。それぐらいこれを読んでいる自分と、読んでいない自分では明確な差があります。首位です。

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    バンドマンやソロ・アーティスト、民族楽器奏者や音楽雑誌編集者など音楽に関連するひとびとが、本好きのコンシェルジュとして、おすすめの本を紹介します。小説に漫画、写真集にビジネス書、自然科学書やスピリチュアル本も。幅広い本と出会えます。インタビューも。

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