鈴木のりたけのおすすめ作品5選!子どもが面白い!と思うツボを押す絵本作家

更新:2021.12.19

絵本から学習本まで幅広く活躍する鈴木のりたけの作品を紹介します。子ども向けのイラストながら、内容は大人も楽しめるものも多いです。

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発想力と想像力の天才・鈴木のりたけ

会社員からグラフィックデザイナー、そして絵本作家となかなか異色の経歴を経てきた鈴木のりたけですが、彼の作品は発想力と想像力を鍛えるには最高といえるものばかりです。イラストは比較的しっかりとした塗りをするものが多いため、色使いや輪郭がはっきり描かれます。また、色使いも明暗が丁寧に描かれるので大きいサイズの絵本では、細部までしっかり見て楽しむことができます。

鈴木のりたけの作品はどれも読み手の発想力と想像力を刺激してくれるものばかりです。そんな中、徹底した研究や取材を基にした図鑑本などもあるため、魅力がつきません。今回はその作品たちの中の代表格といえる作品を紹介します。

仕事ってなんだろう?子どものための職業図鑑!

著者
鈴木 のりたけ
出版日
『しごとば』シリーズはタイトル通り、様々な職業を紹介する絵本。図鑑のように具体的な内容が描かれていて大人も楽しめる作品です。

多くの職業を紹介しているシリーズになるので、子どもにとっては自分の両親の職業を知るきっかけにもなるのではないでしょうか。どの職業も徹底した取材に基づいたものになっているので、具体的な仕事内容から“あるある話”まで楽しく面白く紹介しています。

注目すべきはその細かさです。とある現場風景のイラストに描かれている人物の職業、使っている道具に全て職業名や名前がふられています。おそらく本当にこの現場で仕事をしているのだろう、というリアリティがあります。しかしその文字がイラストの邪魔をすることもなく、しっかり好奇心に応えられるようイラストを見ることができる構成になっているのです。

有名な職業だけでなく、“あえてこの仕事を紹介している”というようなマニアックな職業まで丁寧な解説とはっきりとしたイラストで紹介されているので、親子で楽しめる絵本となっています。お仕事を意識し始めたお子様に読んでほしいシリーズです。

トイレの絵本というより、発想の絵本

著者
鈴木 のりたけ
出版日
2011-08-02
『ぼくのトイレ』は、トイレに慣れるための絵本でもトイレの練習の絵本でもないまったく新しいトイレの絵本です。

家のトイレで用を足そうとしている男の子は、“トイレにも色々あればよいのに”という発想から様々なトイレを思いつきます。そして自分の思いついたトイレを使ってみようとするのですが、そのトイレが盗まれてしまいます。男の子はトイレの世界を冒険し、トイレを取り戻す旅に出るのです。

どのページを見てもトイレをしている子どもがいるので、思わずぷっと笑ってしまいます。男の子の思いつくトイレは遊び心が強いものばかりで、発想力に驚かされもします。しかしどのイラストもそれをおかしいと思わせません。タッチと色使いが明るく、子どもたちの表情にも暗いものを感じさせないため楽しく読み進めることができるのです。

男の子が考え出したトイレの中には、現実に商品化して世の中に出ているものもあります。柔軟な発想力は子どもの頃からつちかわれることが分かる一冊です。読めば好奇心を刺激してくれる作品となるでしょう。

誰にだって苦労していることはある。きっと子どもにだってあるはず

著者
鈴木 のりたけ
出版日
2016-03-05
『とんでもない』は視点を変えて物事をとらえることの大切さを、子ども向けに訴えた作品です。大人が読んでも思わず“はっ”としてしまうのではないでしょうか。

ある男の子が「ぼくはどこにでもいるふつうの子」と自分には特徴がないことを嘆きます。そして鎧といわれる分厚い皮を持つサイに憧れます。しかしサイからは「とんでもない!」と意外な言葉を言われてしまいます。彼なりに悩みがあり、それは実はほかの動物にも当てはまることでした……。

自分のことを「何にも特徴のない平凡な人間」であることを嘆くのは大人のほうが多いかもしれませんね。しかしこの作品は特徴がある人にはその人なりの悩みがあることを忘れてはいけないことを思い出させてくれます。

また、深いテーマに対して、描かれているイラストがコミカルと哀愁が共存している面白さがあります。悩みを持つ動物たちの顔は本当に困ったように描かれているのですが、そこに漂うのは哀愁ばかりではありません。どこかクスリと笑ってしまうようなキャラクター性を感じます。悩みの割に悲壮感が漂わないのは、鈴木のりたけのイラストのおかげといえるでしょう。

相手が動物だろうと人間だろうと何かしら悩みや不安の種を抱えて生きているものです。その不安を受け止めていく強さを持つこと、その不安を他人に押し付けないことをうたった作品といえるでしょう。大人になる前に、子どもに伝えたいことの一つがつまった作品です。

クイズ、回文、早口言葉。何でもありの遊び絵本!

著者
鈴木 のりたけ
出版日
2015-06-06
『たべもんどう』は野菜を登場人物にした遊び絵本です。

表紙からしてジャガイモのキャラクター性が強いですね。野菜たちの出題するクイズや回文は答えもしっかりついていて子どももしっかり楽しめます。早口言葉は親子で勝負してみるなど、コミュニケーションのツールとして一役買うこと間違いなし!と言えるでしょう。

コミカルに描かれている野菜たちのキャラクターの濃さも必見です。キュウリやまいたけ、ほうれん草など身近な野菜たちが読者に遊びを投げかけてきます。その様子はあまりににぎやかなので、思わず笑顔になる子どもも多いでしょう。

子どもの遊び心をくすぐりながら、しっかり読み進めることができます。言葉遊びによるものが多いので、知識の吸収が始まる小学生向きの絵本といえるでしょう。

仕事とは、役割とは。シュールな登場人物に心奪われる

著者
鈴木 のりたけ
出版日
2015-11-12
『ケチャップマン』は絵本というには重いテーマをシュールな表現で訴えた作品だといえるのではないでしょうか。子どもと言わず、大人にも読んでほしい絵本です。

主人公のケチャップマンは押せば中身が出てくるケチャップの容器です。彼は「自分にしかできないこと」を探して仕事を探し回ります。そして見つかったのはフライドポテト専門店でした。働いているうちにとある人物がケチャップマンを訪ねてくるのです……。

表紙はケチャップの容器に手足が生えた生き物(?)が買い物をしている場面ですが、あまりのインパクトの大きさに驚く読者も多いのではないでしょうか。実は最初から最後まで、各ページのインパクトが強いので内容がなかなか入ってこないかもしれません。ですがそのインパクトがクセになるので2度3度と読んでも飽きが来ない作品となっています。

この作品に掲げられるテーマは“仕事とは何か”“自分にできることとは何か”といったところでしょうか。ケチャップマンの仕事探しに始まり、仕事中の様子で哀愁が漂うさまは現代の働き盛りの大人たちの胸をえぐるようです。それでも懸命に働き自分を見つめるケチャップマンに感情移入してしまうのは仕方ないのかもしれません。

この絵本を読むことによって、自分というものを見つめなおす機会になるでしょう。それは大人も子どもも関係なく、また遅いも早いもありません。改めて“自分”というものを考えたくなる一冊です。

鈴木のりたけの作品の中でも珠玉の作品をご紹介しました。大人になると忘れてしまいがちな“童心”や“少年の心”をいつまでも大切にしていたくなる作品ばかりだったのではないでしょうか?また、それを子どものうちから少しずつ感じていってほしいなと思う作品だったかと思います。学校や幼稚園といった広い環境に慣れてきたころの子どもにおすすめしてみてください。

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