中川李枝子のおすすめ本5選!名作絵本『ぐりとぐら』から童話まで

更新:2021.12.19

絵本「ぐりとぐら」シリーズでお馴染みの作家中川李枝子。実の妹の山脇百合子とのコンビで、子供たちを魅了する絵本をたくさん残しています。楽しい作品の中から、特に子供たちに人気の絵本と童話を選んでみました。

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保育士さん目線で子供の世界を描く作家、中川李枝子

中川李枝子は、1935年北海道札幌市生まれの絵本作家、児童文学作家です。本の挿絵を手掛ける山脇百合子は、1941年生まれ。二人は実の姉妹です。

中川李枝子は、保育園で保育士として17年間働きながら、2人の息子を育て、児童文学作家としても執筆活動をしてきました。1966年に出版した『いやいやえん』で厚生大臣賞を受賞。その後も、妹の山脇百合子とのコンビで、「ぐりとぐら」シリーズなど多くの作品を発表します。

スタジオジブリの宮崎駿監督が、中川の作品『いやいやえん』や『ぐりとぐら』に衝撃を受けたと語るほど、子供そのものを描く技量に定評がある、日本を代表する絵本作家です。

日本が世界に誇る名作絵本『ぐりとぐら』

野ねずみのぐりとぐら。2人は大きなかごを持って森の奥へ出かけます。

「このよで いちばん すきなのは おりょうりすること たべること ぐり ぐら ぐり ぐら」(『ぐりとぐら』から引用)

お料理好きのぐりとぐらが、森の奥で見つけたものは、見たこともないほど大きなたまご!早速、この大きなたまごを使い、どんなお料理を作るのか相談します。

大きなカステラを作ることに決めたぐりとぐらが、大きすぎる卵に苦戦しながらもおいしそうなカステラを作るお話です。
 

著者
なかがわ りえこ
出版日
1967-01-20

1967年に発表されて以来、世界10か国以上で翻訳され430万部を売り上げた世界的な絵本『ぐりとぐら』。日本が世界に誇る名作絵本となりました。

ぐりとぐらは、おそろいのつなぎのズボンを履いた、仲良しな双子です。大きなたまごと格闘し、お料理する姿はとても楽しそうに感じられます。

そして、完成したカステラの美味しそうなこと。絵本からは、熱々のカステラの様子が伝わってきて、湯気が出ているような臨場感も感じます。

カステラを作り終わった後の大きな卵の殻の利用法など、子供たちがワクワクする要素がたくさん詰まっています。読み聞かせをした時の子供たちの人気は高く、他の絵本とはかなり差がつくほどの夢中ぶり。子供心に真っすぐ入ってくる、正真正銘の子供のための絵本といえる名作です。

いやいやばかり言う子はいやいや園にいらっしゃい!

「ちゅーりっぷ保育園」「くじらとり」「ちこちゃん」「山のこぐちゃん」「おおかみ」「やまのぼり」「いやいやえん」という7つの短編童話が収録されている童話集『いやいやえん』。

ちゅーりっぷ保育園に通う30人の子供たちと、子供を温かく見守る二人の先生、はるのはるこ先生と、なつのなつこ先生のお話です。

保育士をしていた中川李枝子のならではの目線が、作品全体を温かく包んでいる童話集となっています。
 

著者
中川 李枝子
出版日
1962-12-25

子供たちは、森や山の動物たちとも仲良く遊びます。時にはわがままを言い、言うことを聞かない子供達が、のびのびと自由に過ごしている姿が愛おしくて、たまらなくなるお話ばかり。

タイトルの「いやいやえん」は、ちゅーりっぷ幼稚園に通うしげるくんのお話。いやだいやだとばかり言っているしげるくんは、いやいや園に行くことになってしまいます。

筋金入りのいやいや児ばかりの園に驚いてしまうしげるくん。やりたい放題の子たちに囲まれ、やっぱりちゅーりっぷ保育園の方がいいやと、家に帰る時に思うお話です。

そのほかにも、短編集の中の「くじらとり」というお話は、三鷹の森ジブリ美術館で短編映画化もされています。宮崎駿監督が初めて『いやいやえん』を読んだときに、「くじらとり」をアニメーション化したいと思ったそうです。

宮崎監督にも影響を与えた、子供の専門家である中川李枝子ならではの目線が、作品全体を温かく包んでいます。
 

人のものを欲しくなってしまうきつねのおはなし『そらいろのたね』

ゆうじが野原で模型飛行機を飛ばして遊んでいると、きつねがやってきます。きつねは、ゆうじの飛行機が欲しくてたまらなくなってしまうのです。きつねの宝物であるそらいろのたねと、ゆうじの宝物の模型飛行機を、物々交換することにしました。

ゆうじがそらいろのたねを地面にまくと、種からは空色の小さな家が生えてきます。たのしい空色の家に集まる森の仲間たち。お城のように大きくなった空色の家に入り仲良く遊びます。

交換したそらいろのたねから空色の家が生えてきたことを知り、その素晴らしさに交換したことが惜しくなってしまったきつねは、みんなに怒鳴り始めるのです。

「おーい このうちは ぼくのうちだからね。だまってはいらないでよー みんな でていっておくれー」(『そらいろのたね』から引用)。
 

著者
なかがわ りえこ
出版日
1967-01-20

まずは、そらいろのたねをまくと、空色の家が生えてくるという発想力の豊かさに驚かされます。水をあげると家がどんどん大きくなるというファンタジー感も心地よい作品です。

山脇百合子(旧姓大村)の優しい絵で描かれた空色の家の中に森の動物たちが遊びに来るシーンは、子供でなくともワクワクする小気味よさ。まるで、動物たちと一緒に遊んでいるかのような楽しさを感じられます。動物たちの中には、ぐりとぐらが混ざっているので、ぜひ探してみて下さいね。

他人が持っているものが欲しくなってしまうきつね。空色の家を取り返したきつねが最後どうなってしまうのか……?子供も大人も納得のラストを読み、笑顔になってしまう絵本です。
 

絵本『おはよう』を読んで元気をチャージしちゃおう!

『おはよう』の主人公は、おひさま。

おひさまは朝目を覚まして、歯磨きをして、顔を洗って身支度を整えます。おひさまが、おひさまの仕事を始めると、私たちの一日も始まるのです。

日の出を見に行ったことがありますか?暗闇から太陽が少しでも顔を出すと、パアッと体に太陽光が降り注ぎ、温かいと感じます。そんな、朝日を浴びたときに感じるような温かさを感じる絵本です。

著者
中川 李枝子
出版日

朝が来たことを知らせるおひさまにも朝が来て、身支度を整えるという発想がとっても新鮮。子供たちが朝の身支度を楽しく覚えるには最適の絵本です。

0才から読み聞かせのできる絵本でもあり、毎日読めば「おはよう」という言葉を覚えてくれるかもしれません。

人間だけではなく、おひさまにも、動物たちにも、草や花々たちにも新しい朝がやってきます。「おはよう」という言葉は、一日を始めるという重みのある言葉なんだなぁ、と改めて気付かされます。ちょっと元気がない時にこの絵本を読めば、大人もエナジーチャージできてしまいそうです。『おはよう』を読んで元気をもらい、明るく挨拶できる毎日を過ごしてみませんか。
 

『おひさまはらっぱ』はどんぐり町にあるよ!

どんぐり町にあるちゅーりっぷ保育園(『いやいやえん』に出てくる保育園)に通う子供たちと、おひさまはらっぱに住む動物たちのお話です。『いやいやえん』に出てくる子供たちの続編ともいえる作品になっています。

「さちこちゃん」「月曜日のひみつ」「おひさまこうえん」「とってもいいなわ」「ゆきだるま」「ぐりとぐらの大そうじ」「もんたのなつやすみ」「くまのたんじょう日」「三つ子のぶた」という9編のお話が収録されている童話集です。

さちこやゆうじといった保育園の子供たちと、ウサギのギックや子猫のタマ、くまのくますけなど、愛すべき登場人物たちが、楽しく遊ぶ様子が愉快なお話となっています。
 

著者
中川 李枝子
出版日
1977-05-25

幼稚園に行きたくないと言っている子には、ぜひ読んでもらいたいお話ばかり。自分と同じくらいの年齢の子供たちがのびのびと遊ぶ姿を見れば、すんなりと物語の世界に入っていけるはず。

「おひさまこうえん」という短編では、『そらいろのたね』に出てきたゆうじと、おひさま原っぱに住むうさぎのギックの、ファンタジーあふれる遊び方にドキドキします。ゆうじとギックは仲良しで、「ゆきだるま」のお話でも元気良く遊んでいるのです。

ぐりとぐらのエピソードもあり、中川李枝子の物語の楽しさがギッシリと詰まった童話集です。『いやいやえん』を気に入った子だったら、小学校低学年になっても十分に楽しめるので、長く愛される一冊になることでしょう。

中川李枝子が妹の山脇百合子と作った絵本たち。どの作品も子供の本質を捉え、見事に描写しています。子供らしい子供の姿を温かく見守る中川の目線は、子育ての参考になるのではないでしょうか。

自由にのびのびと過ごすことができるのは、子供時代だからこそです。勉強や教訓などは抜きにして、絵本を単純に楽しむということも、大切な子供との思い出の時間になると教えてくれる作品をご紹介しました。ぜひ手に取ってみてください!

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