低学年の子に読み聞かせしたい絵本&児童書5選!ワクワクと感動をお届け!

更新:2021.12.19

「読み聞かせって何歳まで?」学校司書時代によく保護者から聞かれました。子どもは、いくつになっても、お母さんから読んでもらうのが大好き。できるだけ長く読んであげてください。というわけで低学年に読み聞かせるのにおすすめの本をご紹介。

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親子の愛情がすこやかな絵本

これは、学校司書として、文句なしに大絶賛の一冊です。

ウィリアム・スタイグ作、瀬田貞二訳。ウィリアム・スタイグは、ちょっとユーモラスで独特な癖のあるファンタジー絵本を書く作家で、訳者の瀬田は『幼い子のための文学』(中公新書)という本を著している児童書の大家。質の高い絵本・児童書を日本に紹介することに心を砕いてきた訳し手です。

こんな二人のコンビなのですから、もう間違いなく上質な面白さとなっております。子供のころから本物の文学の素晴らしさに触れさせたいとお考えのお母さんの本棚には必備の一冊ですよ。
 

著者
ウィリアム スタイグ
出版日

いや、これはもう声を大にしていいたいんですが、素晴らしい本に幼いうちから親しむことは、その子の人生を確実に豊かにします。そのためにはどんな本でも良いわけではなくて、やっぱり質の高い本を選ぶことが必要。この『ロバのシルベスターとまほうの小石』は、そんなふうに子供の人生を豊かにすることができる貴重な一冊だと思います。

と、大上段に構えなくても、まあ、この本の面白さといったら!

小石を集めるのが大好きなロバ、シルベスター。彼がある日拾ったすてきな赤い石は、なんとまほうの小石。その小石に触れながら願ったことは、なんでも本当になってしまうのです!

うれしくて有頂天になるシルベスター。ところが、ライオンに出会ったときに、驚きすぎてとっさにうまい願い事ができず、石に変えてくださいとお願いしたものだから、さあたいへん。

家ではお父さんやお母さん、近所の人まで。石になったシルベスターを必死に探しますが、いくら探しても見つかりません。

まほうの小石に触れればもとに戻してもらうこともできるのですが、なまじ石の身ではそれもできず……。

そんなシルベスターを救うのは、両親の愛。お父さんとお母さんがいなくなったシルベスターを想って語り合っているシーンが、もうなんとも言えずにいいんですよね。

ついがみがみ怒ってしまったりもするけれど、本当は「大好きだよ」という気持ちを子どもに伝えたいときにもおすすめの一冊です。
 

教科書にも載っているモンゴルの昔話

『スーホの白い馬』はモンゴルに昔から伝わる伝承に、赤羽末吉が絵をつけた作品。

小学校図書館でも子どもたちから特別に人気のある本のうちの1冊で、白馬がスーホのところまで一生懸命にかえってくるシーンがありますが「がんばれ、がんばれ」と応援してしまったり、「だいじょうぶかな」とハラハラしたり、子供たちもすごく惹き込まれて、息をのんで聞いています。なかには身体全体で前のめりになって食い入るように聞いている子も。

そんなふうに前のめりで聞かせる本って、なかなかないんですよね。この本の持つ力だと思います。

著者
大塚 勇三
出版日
1967-10-01

こちらはモンゴルに昔から伝わる伝承に、赤羽末吉が絵をつけた作品。

これも質の高い良い絵本ですよね。学校司書時代は、こういう本を子どもが借りていってくれると無条件にうれしくなってしまっていました。それくらい、子どもたちに手にとってもらいたい、非常に力のある本なのです。

馬頭琴という楽器がモンゴルにあります。これは、馬の革や骨を使って作られた伝統的な楽器で、騎馬民族であるモンゴルの人たちにとっては非常に身近な楽器なんですね。『スーホの白い馬』は、この楽器がどうやってできたのかを伝えているお話です。

スーホは、白い仔馬を大切に育てています。ある日、とのさまがけいばの大会をひらくといいます。スーホはその大会で優勝するのですが、とのさまは貧乏なスーホに、優勝の景品として約束していた娘をあたえるのが惜しくなり、また、スーホの白い馬がどうしてもほしくなってしまったため、スーホと馬を無理やりに引き離してしまい……。

馬とスーホはあわれなやり方で引き離されてしまうわけなのですが、最後、馬頭琴となって白馬がいつまでもスーホとともに音楽を奏でるというところに、良質な情緒が流れていて、ただ悲しいだけで終わらないところが素晴らしいです。ぜひ読み聞かせのラインナップに加えてみてください。
 

突然の別れが受けいれられないときに

次にご紹介する『おじいちゃんがおばけになったわけ』は、キム・フォップス・オーカソン文、エヴァ・クリソン絵の絵本です。

大好きだったおじいちゃんが突然心臓発作でなくなってしまった男の子、エリックが主人公。

お母さんからは「じいじは天使になるのよ」と言われ、お父さんからは「土になる」と言われるエリックですが、どちらもあまりピンときません。

そんな彼のもとに、おばけになったおじいちゃんが訪ねて来て……。
 

著者
キム・フォップス オーカソン
出版日

大好きなおじいちゃんおばあちゃんが突然の死を迎えたとき、それを子どもに納得させるように説明するのは難しいですよね。

そんなときに、『おじいちゃんがおばけになったわけ』を読むと、子どものほうでも受けいれる準備が整うのではないでしょうか。

おじいちゃんが、思い出を一つ一つ語っていくところでは、大人のほうが思わずしんみりしてしまうかもしれません。ハートウォーミングな一冊です。

食欲を刺激される一冊

次にご紹介したいのは、ジュディス・カーの手による『おちゃのじかんにきたとら』。

ソフィーのお家に突然訪ねてきたのは、なんととら。「ごめんなさい。ぼくとてもおなかがすいているんです。おちゃのじかんに、ごいっしょさせてもらえませんか?」と入ってきた彼は、お皿の上のパンやサンドイッチを全部平らげてしまうだけでなく、台所のなかを見渡して目につくもの全部食べてしまう勢いで……。

著者
ジュディス カー
出版日

いやはや、このとらの食欲の旺盛なこと。

勝手に人のお家のお台所をあさって、すすめられてもいない食べ物を頂いていいんですか、と突っ込みたくなりますが、それはさておき、このとらの食べっぷりを見ていると、なんだか口さびしくなってくるんですよね。自然と食欲が刺激されるというか。

お子さんの食が細いとお嘆きのお母さんにおすすめしたい一冊です。
 

長く読み継がれている一冊

この本は『ロボットカミィ』などの作品を手掛けた古田足日によるもの。絵はところどころありますが、ページ数は166ページですので、絵本というより児童書というほうがふさわしいですね。

1970年に初版されてから、2000年に200刷を重ねているロングセラーです。
 

著者
古田 足日
出版日
1970-03-01

身長の高い1年生であるまさやと、それよりずっと小さいのに2年生のあきよ。物語はこの2人を中心に展開します。学校生活を通じて、2人が精神的に成長していく様子が描かれているこの作品。主人公2人と同じ学年である1年生や2年生の子どもには、特に共感しやすいものがあるのではないでしょうか。

ページ数が多いので、お母さんが読んであげる場合は無理して一度に読むのではなく、毎日数ページずつに分けて読んであげるのがおすすめです。

低学年に読み聞かせしたいおすすめ絵本5選、いかがだったでしょうか?お子さんの心の琴線に触れる一冊と出会いがありますように。

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