「このマンガがすごい!2017」2位にランクインした『私の少年』。おねショタ漫画ですが、苦手な方でも気にならない程度で、むしろそれがいい味を出す不思議な魅力のある作品です。今回は本作の各巻名シーンをご紹介!ネタバレありなのでご注意ください。
通勤のためのバス乗り場でいつもサッカーの練習をしている子を見て、「上達しないなァ」と思っていた聡子、30歳。ひょんなことからその12歳の少年・真修にサッカーを教えることになり、彼の造形的な美しさや素直さに惹かれていきます。
徐々に顔見知りから前進し、深く関わっていくようになるふたり。果たしてこの気持ちは母性なのか、それとも……。ふたりの危うい関係と気持ちに心がざわめく作品です。
元彼の結婚報告会に参加し、自分が思っていたよりもショックを受ける聡子。その帰り道に危ないからひとりはだめだと注意していたのに、夜の公園にぽつんとたたずむ真修を見つけました。
所属するサッカーチームのレギュラーに入れなかったことで落ち込み、才能がないからやめたほうがいいんだと静かに語る彼を、聡子はまじまじと見つめます。
夜にひとりでいても何も言われないこと、伸びすぎた髪の毛、年齢に見合わない幼い服装、空気の抜けたサッカーボール、言い聞かせるような冷めた言葉。真修の親になにか不穏なものを感じていた聡子は彼を自分の家に連れていき、お風呂に入れてあげることに。
- 著者
- 高野 ひと深
- 出版日
- 2016-06-11
真修がお風呂に入っている間に聡子はうたた寝してしまい、真修に起こされます。彼女は寝起きでぼんやりとした心のまま先ほどまで話していた元彼を思い出し、つい泣いてしまいました。それを見て、真修はそっと彼女を抱きよせるのです。
「お母さんが 悲しい時は人の胸の音を聴くといいって」
それを聞いた聡子は真修の優しさに癒されます。そして元彼がきっかけで始めた習慣をやめられずにいる自分にも言い聞かせるように、彼にこう返すのです。
「…はじまりは色んなものがきっかけだったよね
でも ここまで続けてきたのはあなたよ
終わらせるのもあなたでいいの」
それを聞いて気が緩み、本当はやめたくないと泣き出す真修。30歳と12歳、不思議な関係ですが、このふたりの間には今はただ優しさだけがあり、そのシンプルで強い気持ちが読んでいる者の心にも沁みてきます。
聡子といた時間に弟が行方不明になってしまい、それが親に伝わってしまった真修。その時何をしていたんだと問い詰められ、サッカーの練習をしていたと嘘をつきます。それを聞いた聡子は自分が彼の嘘の原因になったことを後悔し、毎週金曜日、ふたりで練習していた日時に違うクラブに通うよう真修に勧めるのです。
- 著者
- 高野 ひと深
- 出版日
- 2016-12-12
自分の技術でサッカーを教えていても上達しないから、もっと指導力もあるところで練習したほうが結果を出せるから、お父さんも説得すべきだから、そして説得できないのであれば学校の先生にも相談できるよ、と聡子は本心ではない言葉で真修と自分を引き離そうとするのです。
それを聞いて真修は肩を震わせながら出ていこうとします。聡子はその様子を見て、きっとサッカーを続けられるから大丈夫だよ、と励ますのですが、真修はこう答えるのです。
「ありがとうございます
でも 俺ずっと 練習続けてたの
会いたかったからです
聡子さんに」
真修のところどころ詰まりながら出てくる言葉を聞き、ついそのまま彼を抱きよせてしまう聡子。自分でも不快感を感じる大人の言い訳をした聡子ですが、真修の幼いまっすぐな言葉に、彼との関係が自分にとってとても大事なものだと気づかされるのです。
上記までが2巻の内容ですが、まだまだ心に沁みてくる名シーンはたくさんあります。
また、今回はおねショタ漫画に止まらない魅力をお伝えしましたが、もちろん、ショタっ子好きな人にもたまらない作品です。定番のショートパンツに、ついさわりたくなってしまうほっぺた、水着姿、そして無垢な笑顔と、ショタっ子の魅力が繊細な絵で語られています。
ストーリーとしても骨太で、設定を活かしたショタシーンも楽しめるおすすめ漫画、『私の少年』。今回お伝えしきれなかった名シーンはぜひ作品でお楽しみください。