おもちゃ箱をエイッ!とひっくり返したかのようなページに、ついジッと見入ってしまいます。軽い気持ちで読み始めたらアウトです。あなたは「ミッケ!」の世界からもう抜け出せないでしょう。子供は夢中に、大人はムキになる「ミッケ!」の世界を紹介します。
『ミッケ!』は、文章が指しているもの(設問)が色んなもので隠れていて、そこから見つけ出すという‟視覚探索絵本”です。例えば、ページいっぱいにネジや、鍵、ボタンなどの無数のガラクタが散らばっています。その中から「小さなおもちゃの馬」や「可愛い金の指輪」、「ジグソーパズルのピース」などを探し出していくのです。
探すところがガラクタの中だけではなくて、砂浜の中から探すものや、掲示板の中から探すもの、女の子が好きそうなパーティーグッズから探すものなどあって、ページによって隠れているものも様々あります。
- 著者
- ["ジーン・マルゾーロ", "ウォルター・ウィック"]
- 出版日
また、各ページの写真がとても美しく、まるで‟おもちゃの世界”にいるようです。散りばめられた雑貨類の中には、可愛らしいものや夢のあるものがたくさんあります。隠れているものを探すのも楽しいですが、雑貨類を見ているだけでも親子の会話に花が咲くことでしょう。
探す対象はものだけではなく、「あかちゃんのあしあと」などもあります。本を少し離してよく見ると、大きな白い鳥が現れるページもあって、各ページに色んな工夫が施されているのです。親子でも、お友達同士でも楽しめる1冊ですよ。
『チャレンジミッケ!1おもちゃばこ』は、「ミッケ!」シリーズより設問数が少し増えています。設問の内容もただ隠れているのではなくて、少しひねった設問になっているためスムーズに次のページには進ませてくれません。
例えば、ただ単に「ハート」を探すのではなくて、‟ひもの内側にあるハート”と条件づけられてあったり、隠れているものを探す上に、トランプの絵の中にある‟間違い探し”も設問として組み込まれてあったりします。しかも、間違いは1つだけではなく複数探さなければいけません。
- 著者
- ウォルター・ウィック
- 出版日
- 2005-12-21
「だんだん慣れてきたよね?」とか「いそがなくてもいいんだよ。」と合間合間に読者に話しかけてくれるのですが、優しかったのは束の間、設問はさらに難しくなってきます。
「難しい」というより「緻密」と言ったほうが正しいのかもしれません。とにかく隠れている場所、隠れているものが「ミッケ!」シリーズより細かくなっているのです。‟ロボットがつくれるかな?”というタイトルでは、ロボットを作るための部品を11個探さなければいけないのですが、本当に目を凝らして部品を探さないと他の部品たちも細かいのでわからなくなります。
「チャレンジミッケ!」シリーズ、親子でも、大人同士ででも楽しめるゲーム感覚の一冊です。
『ちっちゃなミッケ!』はまだ小さなお子さん向けの絵本です。とてもコンパクトで可愛らしいサイズなので、鞄の中にスッポリ入ります。しっかりとした厚紙で作られているので、鞄の中でページが折れ曲がったり破れてしまったりの心配はありません。小さなお子さんとの外出先で、お子さんが退屈になったらサッとすぐに差し出せるので、非常に便利です。
小さなお子さん向けということで、とても優しい内容になっています。設問の数も1ページにつき2問程度で、これまでの『ミッケ!』は設問が‟文字”で提示されてきましたが、『ちっちゃなミッケ!』では‟文字と写真”で設問が提示されています。そのためとても分かりやすく、お子さんも上機嫌で絵本に夢中になることでしょう。
- 著者
- ジーン マルゾーロ
- 出版日
- 2009-12-04
また、‟文字と写真”による設問のため、「これがハサミなんだよ」とか「これがシャベルなんだよ」とお子さんに物の名前を教えることも出来て、いい勉強にもなります。
『ちっちゃなミッケ!』は答えが明快なので、大人が読んでもちょっとした息抜きになるでしょう。頭で考えることなく目で追いかけていけるので、目の体操にもなるかもしれません。難易度を求めないリラックス派には良いかもしれません。会社でのお昼休みでも活用できる便利で可愛い1冊です。
『スペシャルな チャレンジ ミッケ! お~い シーモア!』では「チャレンジミッケ!」シリーズでおなじみのシーモア君が登場します(表紙右上の赤い体をした男の子)。シーモア君の‟シーモア”とは、‟see more”を意味します。つまり、「もっとよく見て」と読者に訴えかけているのです。作者による面白い計らいですね。そしてシーモア君のお隣にいるのが犬のボタン君。彼はシーモア君のよきパートナーなのです。
この仲良しコンビが繰り広げる冒険の面白さは、どこか遠い国へ行って冒険するわけではなく、近所にあるガラクタや身近にあるおもちゃや雑貨などを利用して冒険の世界を作り上げ、楽しんでしまうところにあるでしょう。
ページをめくると、ボタンや小物がどっさり入ったケースが3段に積み重なっています。シーモア君は紐を使って一番上にある3段目のケースによじ登ろうとしているところ。ケースの中にはボタン君も入っています。
- 著者
- ウォルター ウィック
- 出版日
- 2015-08-05
ところが見開きのページをめくってみると……「ガラガラ ガッシャーン!」、音を立ててすべてのケースが倒れてしまいました!紐でよじ登ろうとしたせいでしょう。シーモア君の手からは紐が放れ、ケースに入っていたボタン君も投げ出されてしまいました。
当然投げ出されたのはボタン君だけでありません。ケースに入っていた小物類たちもページいっぱいに散らばってしまいました。そこで、いつもの隠れ物を探すゲームが始まるのです。
冒険の舞台は、宇宙船やツリーハウスなどもあり、身近なもので作られた世界とは言えども精巧に作られてあります。どのページも目を見張るものばかりで、まさしく‟夢の国”へ冒険をしに行ってるかのようです。シーモア君とボタン君の冒険を一緒になって楽しめる魅力ある絵本です。
「チャレンジミッケ!」シリーズは全部で9冊ありますが、『チャレンジミッケ! ミッケがだいすき 1』はこれまでの9冊の中から作者ウォルター・ウィックのお気に入りの写真を集めた作品集になります。作者にとってもミッケ!ファンにとってもメモリアル的な1冊です。
これまでの作品を通して見たことのある写真ばかりですので、「これ見たことある!」と思い出したりするかもしれません。しかし、設問が新しくなっているため、また新たに頭をひねらせてくれることでしょう。
- 著者
- ウォルター ウィック
- 出版日
- 2016-11-16
とは言っても、「チャレンジミッケ!」シリーズの集大成とでも言える作品なので、ミッケ!ファンには優しく、そして設問数もこれまでと比べると若干少ないです。左側のページに設問が、右側のページに写真が来ていますので全体を通して非常に見やすくなっています。つまり、どこに何が隠れているのかわかりやすくなっているので、「チャレンジミッケ!」シリーズを初めて読む人にも入りやすい作品となっています。
視覚探索絵本には、『ミッケ!』以外でも『ウォーリーを探せ!』などがありますね。『ミッケ!』の特徴はやはり立体的に訴えかけてくる写真の美しさだと思います。精巧に作られた世界は男の子が喜びそうなものや、女の子が喜びそうなものまで様々です。子供だけではなく大人までもがその夢ある世界に魅了されるでしょう。また、『ミッケ!』は、お年寄りの‟脳トレ”にもなりそうですよね。お孫さんと一緒に『ミッケ!』の世界を冒険されるのも楽しいのではないでしょうか。
「ミッケ!」のように親子で楽しめる絵本をもっと探したい方は、選書サービス「ブックカルテ」を利用してみてはいかがでしょうか。
いくつかの質問に答えると、絵本の専門家がお子さんにあった作品を選書してくれます。お子さんが絵本に夢中になってくれる作品を選んでくれますよ。