ムーミン谷のキャラクターは人間にも動物にも妖怪などの何者にも分類できなさそうな不思議な存在。けれども、人間よりも人間らしい魅力に溢れています。あなたが気になるキャラはあなた自身を映す鏡かもしれません!
『ようこそ!ムーミン谷へ』は100ページにもわたる、ムーミン作品の事典、とも言えるような珠玉の一冊です。
作者トーベ・ヤンソンの生い立ちと幼少期からの写真、ムーミン作品の挿絵の変遷、そしてムーミン作品ほぼ全てのあらすじと解説が約70ページにも渡ってわかりやすく書かれています。そして残り30ページは、ムーミンに関わる作品のコレクション写真と、解説が詳細に載っています。
ムーミン屋敷のミニチュアハウスは特に必見!ママの寝室、貯蔵室、パパの操舵室、台所、とミニチュアの部屋がズームアップされた写真を見ていると、本物の屋敷に迷い込んだようです。制作過程や材料なども細かに知ることができます。
ムーミンファンとしては蔵書として手元に置きたい一冊です。
- 著者
- ミルヤ キヴィ
- 出版日
- 2005-07-08
ムーミン谷の地図の20年の歴史では、南国風の木から針葉樹林に変わったとか、挿絵の歴史ではムーミントロールの容貌が尖った感じからまあるい感じになった、など楽しく比べながら読み進めることができます。実際に作品の表紙裏の地図同士を比べてみたら、まだ何か新しい発見ができるかもとワクワクするでしょう!
また、ムーミントロールがストーブの後ろに住んでいて人の首筋に冷たい息をふきかける、というくだりは、つまみ食いをする子供の頃のトーベを脅すためのおじさんの言葉からだった、なんて秘話も散りばめられていて、100ページなんてあっという間に読み終えてしまうほどの面白さです。
作品紹介の中では、捨て子ホームから逃げ出し小説家になったムーミンパパ、ショックを受けると青くなるスノーク族、所有欲のないさすらいの旅人スナフキン、何も感じることができず自分のことだけを気にしているニョロニョロ、などそれぞれの特徴と魅力がわかりやすく解説されています。
また、世界が滅びても平常心を失わないのに、恥ずかしい姿を見られることには耐えられないじゃこうねずみ、いつも別の人になりたがっているミーサ、自分のことを怖がってくれないことに傷ついている竜、などメイン以外のたくさんのキャラクターを知ることができ、かなり読み応えがある一冊です。
みなさんはどのキャラクターに惹かれるでしょうか?もしかしたら、自分を映す鏡かも!なんてドキドキしてしまいます。
気になるキャラクターが出て来る作品をまだ読んだことがないのなら、トーベ・ヤンソンの新たな作品に出会うチャンスとなる本でもある一冊です!
ムーミンはとても社交的で、ムーミン屋敷はいつもたくさんのお客さんで賑わっています。ここでは誰もが自由に行動できて、悲しんだり悩んだりする暇はありません!
『ムーミン谷へ ようこそ』は、そんなムーミンとムーミン谷の住人たちを紹介している手のひらサイズのちいさなパノラマ絵本。専用のケースに入っていて、特別感満載です。
本はジャバラ形式に折り曲げられていて、ムーミンの家やパパが釣りをする池など、めくる度に新しい景色が現れて、ドキドキします。しかも、本を広げると、一つの絵巻物のよう!ムーミン谷の地図の上を探検できて、すごく楽しい一冊です!
- 著者
- トーベ ヤンソン
- 出版日
- 2014-08-08
ムーミン谷のみんなの個性がわかりやすく、またムーミンがみんなに愛されていることがよく感じられる温かい作品になっています。
本を読むだけでなく、広げて立たせることも出来るので、玄関や窓際、お客様をお招きした時のテーブル・コーディネートとして飾ったりもできそう。小さなお子さんだけでなく、大人の友人へのちょっとしたプレゼントにも喜ばれそうなかわいい一冊です!
スナフキンはさすらいの自由人です。11月になるといつも南へ旅立ちます。禁止という立て札が大嫌い。全財産は背負っているリュックの中身だけ。
『ムーミンのともだち』は、そんなスナフキンの魅力を最大限に伝えている一冊ではないでしょうか。
秋になり、スナフキンはまた旅の準備を始めます。準備が忙しいからと遊んでもらえないムーミンは、寂しさから抜け出せません。旅とは素晴らしいものなのだから、見送るときは笑顔で、とパパからアドバイスをもらうものの……。
そんな時、ムーミンのガールフレンドであるスノークのおじょうさんが花飾りを失くし、ムーミンは、一緒に探しに出ることになりました。
原っぱでは、葉っぱだけになったたんぽぽが冬に深く根をはって春の準備をしていることを、ヘムレンさんから教わります。
森では、雪をかぶったさなぎが可哀想だから家に連れ帰ろうとして、ムーミン屋敷に住んでいるリトルミイに叱られてしまうのです。そんなことしたら強い蝶になれないどころか死んでしまうじゃないの、と。
家の庭では、ママがチューリップの球根を冷たい土の中に植えていました。寒い冬を越すことで、春にきれいな花を咲かせるのよ、と楽しみにしているママ。
- 著者
- 松田 素子
- 出版日
- 2008-08-12
そしてムーミンは気付くのです。春を待つためには冬というものが必要なことを。
ムーミンはもう寂しくなんかありませんでした。スナフキンは春になったら必ず帰ってくるんだもの、と冬眠準備です。
あれあれ?ムーミン、冬眠しちゃうのね。スナフキンの方こそ、寂しいんじゃないかしら?だから毎年冬に旅に出るのかしら?とちょっと笑っちゃうようなオチですが、おかげでスナフキンの魅力がますます輝きます。
スナフキンはムーミンに何も言わず、ただ自分のすべきことを淡々とこなし、最後の日に一緒に歌うのみ。
「ほくの ともだち すてきな ともだち
いつも いっしょじゃ ないけれど あわないときが あるけれど
そんなときこそ おもいだす とおいときこそ ちかくなる
ひとりで いるから わかるんだ」(『ムーミンのともだち』より)
言い古されてきたようなストーリーですが、スナフキンにかかると、こんなにも自然にさらりと伝わるんですね。
ママやお友達と一緒じゃないと不安、という頃のお子さんは、ムーミンの心の成長に勇気づけられるはずです。毎朝子どもに泣かれて切ないわ、というお母さん方は、スナフキンに共感するかもしれません。
是非大切な誰かと一緒に読んでみてくださいね。
ムーミンパパは、子どものころ捨て子ホームから抜け出し、大海原で大冒険をします。後に、辛かった思い出と向き合うように、その体験を本にしました。ムーミン一家の長としての責任と冒険に出たいという思いの板挟みを超えて悟りに至ります。
『ムーミンパパの名言集』は、その題の通り、ムーミンパパの魅力あふれる名言を集めたものです。
名言集というよりは、パパのつぶやきを集めている、という感じの肩の凝らない作り。トーベの挿絵もふんだんに使われており、どこのページからでも読むことができます。
パパの哲学がどこからやってくるのかを垣間見れるような感慨深い一冊です。
- 著者
- トーベ・ヤンソン
- 出版日
- 2010-09-18
パパはニョロニョロと旅に出てしまったことを後悔はしていても、このまま平凡にすごしていてはニョロニョロたちに「ただのベランダ・パパ」だと思われてしまう、とぼやいたり、こんなに長く一緒にいるのだから少しはパパのことをわかってくれたっていいのに、と感じたりします。
階段の修理なんかよりもっと壮大なもの作りをしたいのに、パパでいるとはやっかいなことだ、なんて思うのです。男のロマンと、よきパパでいることの葛藤から逃げずに向き合っているところが、パパの最大の魅力であり、パパの哲学の源であるのでしょう。
このパパの葛藤はその後どうなるのでしょうか?なんとパパはついに悟るのです!
ほぼ手のひらサイズなので、ベッド脇に置いて一日を振り返るためパパの哲学をひとつ読んでから眠りにつく、なんていう使い方もできる一冊。
是非パパと一緒に哲学し、パパの悟りに触れてみてくださいね。
ムーミンママは、いつも穏やか。持ち歩いているハンドバックには必要なものが必ず入っていていつも頼りになります。家庭菜園で野菜たちがすくすく育つ姿を考えるのが好き。いつかりんごの木を植えたいというのがひそかな夢。
『ムーミンのたからもの』は、まさに理想の母というべきママの魅力がじーんと胸に迫ってくるお話です。
自分だけが宝物を持っていないと思うムーミン。
ママはハンドバッグ、パパは帽子、スナフキンはハーモニカ、自分のまわりのみんなは素敵な宝物を持っているのに、自分にはなーんにもありません。何ももっていないリトルミイですら、なんでも遊び道具にしちゃうなんていう才能をもっているのに……。
- 著者
- 松田 素子
- 出版日
- 2005-08-11
そこでムーミンは、一人で宝物を探す旅に出るのです。
ママの花壇の飾りにぴったりな貝殻、スノークのおじょうさんが喜びそうな綺麗なお花、スナフキンの帽子に似合いそうな鳥の羽……結局は宝物ではなく、両手いっぱいに持てないほどのお土産を手にして家に帰ります。
お土産をもらってみんなは大喜びですが、ムーミンは自分の宝物は見つからなかったとがっかりです。ママはムーミンを抱きしめて言います。あなたは目に見えないけど、とても素敵なたからものを持っているわよ、って。
その宝物とは?
お友達との違いがだんだんわかってきて、自分に自信が持てなくなっている時期のお子さんと一緒に、宝探しをしてみてくださいね。
リトルミイは、マグカップに登るのにクシのはしごを使わなければいけないくらい小さな女の子。思ったことは正直に言葉にしてしまうタイプ。体は小さいけど態度はデカイ。でも彼女の意見はごもっともなことばかりなのです。
『それから どうなるの?』はそんなリトルミイの強さの魅力が際立つ一冊です。
ムーミンは牛乳を買いに行き、帰り道の森のなかで数々の冒険をします。仕掛け絵本になっていて、ページの仕掛け窓から次のページの一部が覗けるように、穴が空けられています。
「それからどうなるの?」という決まり文句でページをめくると、思っていたものと違う風景が現れて、びっくり!
- 著者
- トーベ・ヤンソン
- 出版日
- 1991-05-10
リトルミイがいなくなった、と泣いているミムラねえさん。ムーミンは一緒にリトルミイを探します。缶の中かしら?洞窟の中かしら?ヘムレンさんの掃除機の中かしら?仕掛け穴を覗いても、どこにもいません。反対にムーミンたちが掃除機に吸い込まれ、助けるはずだったリトルミイに自分たちが助けられることになるのです。
そして三人でムーミンの家を目指します。暗い森はまだまだ続き、様々な困難が立ちふさがりますが、リトルミイだけは、いつも前向き発言、へっちゃらです。体は小さいけれど、度胸は無限大!
仕掛けの楽しさと、リトルミイの強さに元気をもらえる、ほぼA4サイズの大きめ絵本。遠くからも見えやすいので学校の読み聞かせにもピッタリです。