日本の有名な童話おすすめ6選!子どもにも読ませたい懐かしの名作絵本

更新:2017.5.4

昔から語り継がれている童話は、大人にとってどこか懐かしさを感じさせてくれるものです。また子どもたちにとっても、さまざまな教訓や昔の生活を教えてくれるものでもあります。今回は、誰でも1度は読んだことがある名作を6作紹介します。

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力を合わせて猿をこらしめる!有名な童話『さるかに』

『さるかに合戦』として知っている人の方が多いかもしれません。

おにぎりを拾ったカニに、猿が言葉巧みに自分が持っている柿の種と取り替えさせます。カニが植えた柿の種は大きく育ってたくさんの実を実らせますが、木に登れないカニは柿を食べることができません。

そこにやってきた猿が柿の実を横取りし、さらにカニに青い柿の実を当てたことで、カニは死んでしまいます。カニから生まれた子ガニたちが母ガニを殺してしまった猿に復讐するべく、臼や蜂、栗と協力してこらしめるのです。カニたちが力を合わせて悪い猿をやっつけるこのシーンは痛快ですよ。

著者
いもと ようこ
出版日
2000-09-01

いもとようこの、可愛らしくて鮮やかな挿絵が目を惹きます。柿の実を採れなくて困っているカニや、何か悪だくみをしている猿、母ガニが死んでしまって泣いている子ガニたち。それぞれの表情が、とても豊かに描かれています。

言葉も現代風で、とても読みやすいです。猿をこらしめるシーンを表す言葉も印象に残るでしょう。栗がはじける「ぱち~ん!」という音や、蜂が猿の顔を刺す「ちくり!」という効果音は大きな文字で書かれていて、いかにも痛そうなのです。そして最後に臼が落ちてくる「どすーん!」という音は、一際大きく太い字で書かれていて、猿にとどめをさしてやったぞ、という気持ちが伝わります。

また「はじめてのめいさくえほん」シリーズとなっている通り、初めて昔話に触れる子どもたちが飽きないようにか、少しお話が省かれているところがあるようです。そして、大きさが小さくてページも厚くなっているため、小さな子どもの手でもめくりやすいようになっています。

一番最後のページには、「さるかに合戦」の歌が載っています。5番までありますが、この歌では、カニは死なないようです。お子さんと歌ってみるのも楽しいかもしれません。

一本のわらしべがお屋敷と田んぼに!『わらしべちょうじゃ』

とても貧乏な男が、ある日観音さまにおすがりします。観音さまからいただいたのは「つかんだものははなすな」というお告げ。このお告げにしたがって、男は最初につかんだ藁しべからアブ、ミカン、美しい布、馬と次第に持ち物が変わっていき、最後には立派なお屋敷と田んぼを手に入れてしまうのです。

著者
西郷 竹彦
出版日

色鮮やかに描かれていて、どこか懐かしくなるような挿絵です。現代風のポップな絵柄ではないですが、日本の昔話によく似合っています。男の表情や指の節など、細かいところまで丁寧に描かれているのです。

ところでこのお話、観音さまのお告げを守っているのは転んだときにつかんだ藁しべと、その後のアブくらいではないでしょうか。その後はミカンや布など、道行く人に交換してくれるようお願いされ、その度に物々交換をして歩いていきます。アブが欲しい、という男の子に言われて藁しべに括り付けていたアブをあげるシーンや、今にも息絶えそうな馬を引き取り、代わりに欲しがっている布を手渡すシーンは、男の優しさがあふれています。

あとがきによれば、このお話をモノが主人公のお話としたかったそう。確かに、男が新しい物を手に入れたシーンでは、その物が紙面いっぱいに大きく描かれていて、そこもまた印象的です。

子どもと一緒に歌いたい童話『おむすびころりん』

ある日おじいさんが、おにぎりを穴の中へ落としてしまいます。すると聞こえてきたのは「♪おむすびころりん すっとんとん♪」というかわいらしい歌。楽しくなったおじいさんが自分も穴に落ちてしまうと、そこはねずみたちが暮らす国でした。ねずみたちにもらった小さなつづら(ツルでできた籠)を開けると、大判や小判がたくさん出てきます。

それを聞いた隣のおじいさんは、自分もおにぎりを落としてねずみの国へ行きます。そして、2つのつづらを持って帰ろうと欲張ったために帰れなくなり、そのままもぐらになってしまったというお話です。

隣のおじいさんがもぐらになるのではなく、持って帰った大きなつづらから恐ろしいものが出てきたり、ねずみの国へ行くのがおばあさんになっていたりする本もあるようです。

著者
いもと ようこ
出版日

『さるかに』と同じいもとようこの「はじめてのめいさくえほん」シリーズであり、かわいらしい絵柄や言葉遣いの読みやすさが魅力的です。

誰もが一度は口ずさんだことのあるであろう「♪おむすびころりん すっとんとん♪」は、子どもと一緒に節をつけながら読むのも楽しいでしょう。

印象的なのは、隣のおじいさんの様子です。主人公のおじいさんとは異なる服の色や柄、おとぎ話の魔女のようなかぎ鼻など、悪い人という印象が強く残ります。さらに、穴に落とすおにぎりが小さいこと、「おじいさん」ではなく「じいさん」と書かれていることからも、悪い人というイメージを抱くことができます。小さな子どもにとっても、とても分かりやすいのではないでしょうか。

最後に隣のおじいさんがもぐらになってしまうシーンは、単純ではありますが、欲張ってはいけないという教訓を子どもたちに分かりやすく教えてくれます。

素朴な言葉が印象的な童話『かさじぞう』

町に笠を売りにいったおじいさんが、売れなかった笠を帰り道にあるお地蔵さまにかぶせていったところ、そのお地蔵さまたちが夜中にお礼の品物をたくさん持ってくるというお話です。

こちらも誰もが知っている有名なお話ですが、松谷みよ子の紡ぐ文と黒井健が描く独特のやわらかい絵が、このお話の魅力をさらに強めています。

著者
松谷 みよ子
出版日
2006-12-10

文は、どことなく懐かしさを感じるような方言で書かれています。また、松谷みよ子が選ぶ言葉遣いが日本の昔話独特の、どこかのんびりとした素朴な印象を感じさせてくれるでしょう。特に印象的なのは雪が降る様子を表す「ほたほた」、笠が売れなかったおじいさんが帰っていく足どりを表す「とぼりとぼり」です。実際にどのように雪が降っているのか、笠が売れなかったおじいさんの残念さを表す気持ちが存分に表現されています。

また、黒井健の絵が加わることでこのお話の優しさがさらに強く印象づけられているのです。

お地蔵さまは六地蔵様といって、6人いらっしゃいます。この数はおじいさんとおばあさんの間に生まれて亡くなってしまった子どもの数と重なるのです。そんなことからも、雪をかぶったお地蔵さまたちをおじいさんはそのままにすることができなかったのでしょう。

二人の青年紳士が入ったのは変わった料理店『注文の多い料理店』

山奥の不思議な料理店について書かれているのが『注文の多い料理店』です。こちらも童話となっていますが、宮沢賢治の作品の中でも珍しく、すこし恐怖を感じる作品です。

山に猟に入った二人の青年紳士だが獲物が思うようにとれずにいました。いつのまにか案内人は姿を消し、連れていた犬は山の恐ろしい雰囲気に泡を吐いて死んでしまいます。犬が死んでも金銭的損害ばかり気にする二人でしたが、山の雰囲気はより異様さを増していきます。途方に暮れた二人の前に「西洋料理店 山猫軒」と書かれた西洋風の一軒家が現れました。二人は喜んで中に入るのですが、「当軒は注文の多い料理店ですからどうかそこはご承知ください」と注意書きが書かれています。気にせず扉を開けていくと次々とおかしな注文がかかれているのでした……。

著者
["宮沢 賢治", "佐藤 国男"]
出版日
2010-03-03

二人の紳士が山奥の料理店を訪れ、店から出される注文を自分たちの都合のいいように解釈していき、最後にはピンチに陥ってしまうのです。この紳士たちは犬が死んでも金銭的損害しか気にかけないというような傲慢な人物として描かれており、卑しく傲慢な人物が翻弄される様子が皮肉たっぷりに描かれています。

『注文の多い料理店』と聞くと「繁盛している店」を連想してしまいそうなものですが、それを逆手に取り傲慢さと卑しさを表現した宮沢賢治の発想の素晴らしさが現れた作品です。

童謡でも有名な日本の昔話『うらしまたろう』

うらしまたろうが助けた亀は、実は竜宮城の乙姫でした。助けたお礼に、と竜宮城へ迎えられてさまざまなおもてなしを受けながら、楽しく暮らすうちに、突然たろうは村が恋しくなります。

決して開けてはいけない、と言われた玉手箱を持って帰ったたろうを待ち受けていたのは、300年後の世界でした。もちろん、誰一人として知り合いはいません。ショックを受けたたろうは玉手箱を開けてしまい、あっという間におじいさんになってしまいます。

著者
松谷 みよ子
出版日

このお話は日本各地で様々な説話が残されています。古くは、なんと『万葉集』に記述があるそうです。

文を書いたのは『かさじぞう』と同じ松谷みよ子。やはり「しらしらと、なみをわけて」など、独特の言葉遣いが目で読んでも耳で聞いても印象に残ります。

そして絵は、きっとファンの方も多い絵本作家・いわさきちひろが担当。特に色遣いが印象的です。竜宮城のシーンでは赤や黄色を背景に、色とりどりの服をまとった踊り子たちや魚が描かれ、豪華できらびやかな様子が強められます。また、対してたろうが村のことを思い出すときは背景が白に近い色となっているのです。これによって、たろうが竜宮城で楽しく暮らしている様子、村でのことを思い出して寂しく思っている様子をより印象づけています。

大人になってから改めて読むと、誰も知らない人ばかりの村に帰ってきたたろうの気持ちや、漁に出たまま帰ってこなかったたろうを待ち続けた母親の気持ちを考え、胸がしめつけられます。

日本の昔話はこのほかにもたくさんあり、そして1つのお話が複数出版されていることが多いです。同じお話を読み比べてみるのもおもしろいかもしれません。また、たくさんの絵本が出版され、ベストセラーが生まれていく中で、今でも愛され続けている素敵なお話たちばかりです。子どもたちと一緒に、日本の昔話の世界へ旅をしてみてはどうでしょうか。