葉祥明の美しい絵本おすすめ5選!贈り物にも喜ばれる大人向けの作品

更新:2021.12.19

繊細で柔らかなタッチのイラストと、穏やかで優しい言葉選びがふんだんに施された作品を多く発表する葉祥明の作品をご紹介します。

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優しい言葉選びと透明感のある美しい絵を描く作家、葉祥明とは

葉祥明(よう しょうめい)は1946年に熊本で生まれ、実兄は建築家、実弟は作家・写真家になるといった創作への意欲が強い兄弟に囲まれ育ちました。絵に関わる職業を夢見ていた彼は、東京の大学へ進学します。ある時、絵本作家・谷内こうたの作品と出会ったことをきっかけに、絵本作家への道に歩みだすのです。

葉祥明は、やなせたかしに見出され、“メルヘン作家”としてポストカードやレターセットなどの文房具、さらには食器といった生活用品のデザインイラストを手がけていきました。その美しい風景画は、海外出版されている絵本を通じて世界中で高い評価を受けています。

近年では、穏やかで優しい言葉選びとゆったりとしたテンポの詩も注目を集めています。詩と絵のコラボレーションが人々の疲れた心を癒してくれるのです。

大切な存在の死後の悲しみをどう乗り越えるか教えてくれる、葉祥明の絵本

著者
葉 祥明・絵
出版日
2007-06-30

『虹の橋』は、インターネット上で発表されている作者不明の散文詩を基に描かれた作品です。この作品を通して、ペットの死の悲しみから励まされた読者は数多くいます。

前述のとおり、作者不明の作品ですがペットを亡くした愛好家たちによって世界中に広まったお話。ペットたちの魂は死後、虹の橋のたもとに広がる草原で元の飼い主を待っているのです。飼い主が世を去ったのち、その草原で彼らは再会し虹の橋を渡って天国へと旅立ちます……。

葉祥明はこの作品を絵本として発表した作家のひとりです。翻訳から作画まで全て手がけました。ページをめくるごとに美しい風景と、飼い主とペットという家族の光景は涙を浮かべずに見ていられないものばかりです。

『虹の橋』として発表された作品は数多くありますが、ここまで飼い主の気持ちに寄り添って描いた作品はありません。“家族”であるペットを失った悲しみを少しずつ和らげてくれる作品です。

誰だって生まれてくることを望まれているのです

著者
葉 祥明
出版日

『おなかの赤ちゃんとお話ししようよ』は妊娠中のすべての女性に向けて作られた作品といえます。おなかの赤ちゃんからの手紙といっても良いでしょう。

おなかの赤ちゃんから、両親へのメッセージが英訳と一緒にポツリポツリと語られています。それと合わせて描かれているイラストは赤ちゃんの願いや希望をイメージさせるものばかりです。国を問わず、赤ちゃんは望まれているはずだということを分からせてくれますね。

途中にあるお母さんの言葉は、赤ちゃんとの対面を一身に願う気持ちが込められています。どんな女性でも、おなかの中にいる赤ちゃんの存在を感じている間はこのメッセージたちに強い共感を覚えるのではないでしょうか。大切なわが子への想いに、思わず涙を流す読者もいるはずです。

数々の風景画は穏やかな時間を過ごす家族のイラストばかり。そこには家族の理想像ともいえる場面が数多く描かれています。おなかの赤ちゃんをより愛おしく、家族の尊さを感じる作品です。妊婦さんはもちろん、大人になったわが子へのプレゼントにもいかがでしょうか?

定義は人それぞれ。だけどその違いを楽しむことが大事

著者
葉 祥明
出版日
2001-12-01

ジェイク・シリーズは葉祥明の作品の中でも随一の人気を誇っています。今回はその中でも優しさにあふれた作品をご紹介します。

主人公のジェイクは、友人たちに“しあわせ”について尋ねます。「君のしあわせってなあに?」「君のしあわせはどんな時に感じるの?」友人たちの答えは様々です。彼らの答えに思わず微笑んでしまうでしょう。

友人たちの答えはとても身近なものばかりでした。好きなことをするのが幸せだったり、自分らしく過ごすことが幸せだったり……。幸せというのは人それぞれですが、身近にあって普段なかなか有難さに気づかないものも、大切にしたいと思わせてくれるでしょう。

ジェイク達は“しあわせ”をしっかりと感じています。そしてそれを欲張らず、その時その時で一生懸命感じることを楽しんでいるのです。誰もが高望みしてしまう“しあわせ”というのは欲張らず、高望みせず、あるものをそのまま受け入れ楽しむことだと教えてくれるでしょう。少しだけ疲れたとき、または“しあわせ”を感じたいときにおすすめの作品です。
 

愛する者の死は確かに悲しい。けれどきっと託されたものがあるはずです

著者
葉 祥明
出版日

『ひかりの世界』は天国へと旅立った幼い命からのメッセージをつづった作品です。メッセージ性の高い絵本としても、人生の指針本としても読むことできます。

病気だったのか、幼い命は天国へと旅立ちました。その命は天国から両親に様々なことを語りかけます。天国についたら病気が治ったこと、両親が悲しんでいてそのことがとても心配なこと、お別れが早かったこと、でもそのお別れを後悔していないこと……。伝えたいことはたくさんあるのに、直接言うことはかなわないのです。

この幼い命は両親に伝えたいことがたくさんあったのでしょう。とても懸命に両親やその家族に訴えかけています。自分を大切にしてくれたことも、両親の愛を感じられた時間があったこともとても幸せだと伝えているのです。その必死さに、わが子の姿を思い浮かべる読者も多いでしょう。

親子の関係というのは両親から一方的に注ぐ愛情だけではないのです。子どもは、両親から注いでもらった愛と幸せをより多くの人に分け与える使命を与えられています。愛情と使命を再確認するためにも、新しい命を授かった大人たちに読んでほしい一冊です。

迷っていたっていいんだ。葉祥明が癒しの言葉をお届け

著者
葉 祥明
出版日
2004-02-01

ヒーリング・キャットとは、誰しも心の中に飼っているもう一人の自分。彼の言葉は読者を前向きにしてくれるものばかりなのです。

表紙の三日月に猫が座っているイラストが幻想的な印象を醸し出しています。ファンタジーな作品かと思いきや、内容は優しく、しっとりと癒しのメッセージをくれるスピリチュアルな内容です。

表紙の猫は読者の心の中のもう一人の自分を表しています。猫は読者に様々なことを語りかけてきます。読者はその言葉に少しずつ考えを示していくでしょう。それは同時に、自分を見つめなおすことにもなっているのです。

繊細なタッチで描かれたイラストで心が休まり、ほぐれるような言葉たちで癒しを与えてくれるこの作品は大人にこそ読んでほしい絵本といえます。自分を見つめなおすことの大切さ、そして自分を守ってくれるものは多いのだと気付かせてくれるでしょう。

葉祥明の作品は人間の心理の奥底に、愛のある言葉を優しく訴えかけてくるものが多いです。だからこそ心に染み入るようで、確実に頭と心に響いています。頑張りすぎな大人たちへ、励ましてあげたい誰かへ、直接言葉ではなく本を通して伝えてあげるのも良いかもしれません。イラストも目を引くものばかりのなか、何度見ても疲れないものばかりなのでおすすめです。

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