おしゃれなパリの街で楽しく過ごすリサとガスパール。犬なのかウサギなのかわからないけど、日本でもなじみのある2人です。2人の出会いに始まり、仲良くなって、いたずらがエスカレートしていき、ついつい笑ってしまうような作品をいくつか紹介します。
ガスパールの目線で描かれたこの物語は、ガスパールの通う学校にリサが転校してくるところから始まります。それまで人間の子どもたちに交じって生活していたガスパールが、自分にそっくりなリサに出会い、少し嫌な気持ちになってしまうのです。
周りの友達は皆「リサはガスパールに似てる」と言い出すので、ガスパールはさらに嫌な気持ちになってしまいます。同じクラスのいたずらっこたちは、黒板に二人の絵を描き冷やかしたり、給食のおばさんはリサをガスパールの妹だと勘違いしたり。ガスパールはリサから離れていましたが、あることがきっかけでリサとの距離が縮んでいきます。
- 著者
- アン グットマン
- 出版日
ガスパールが嫌な気持ちを抱えているのに、それに気づかない先生がたたみかけるように「リサとガスパールは兄妹みたいだ」と言うと、ガスパールの心のモヤモヤは爆発してしまいます。
ガスパールの一言で、2人は取っ組み合いの喧嘩に。でもその後に、みんなで追いかけっこをして遊んでいると、リサが大活躍して2人は大の仲良しになるのです。
ガスパールの心の変化をたどると、多くの人が共感できるのではないでしょうか。可愛らしい2人も魅力的ですが、フランスの街並みも見どころになっています。
『リサ ひこうきにのる』は、ちいさなちいさなリサが、ニューヨークに住むおじさんに会いに、なんと一人で飛行機に乗るというおはなしです。
子どもが1人で飛行機に乗るというのは一大イベントですね。ベルトを締めると飛行機が上昇して、飛行機が飛んでいる時にその中では何が起きているのか、子ども達の好奇心をくすぐるのではないでしょうか。機内食を出されたリサは、ヘッドホンから流れてくる映画の音が気になり、ずっと前の席の方にある画面を見たくて、ジュースのコップによじ登って見ようとします。
となりにお母さんがいたらすぐに叱られてしまいそうなシチュエーションですね。でも今回のリサは一人旅なので、読者の予想する通りに大失敗してしまいます。
- 著者
- アン グットマン
- 出版日
ちいさなリサが、大人一人分の座席にちょこんと座る姿がとてもかわいらしいこの絵本。ジュースによじ登って映画を見ようとしたら、案の定グラグラとコップが揺れて、ジュースを豪快にこぼしてしまいます!
リサの少し生意気な喋り方が可愛らしいのです。また、普段見ることができないコックピットの中のパイロットを見れるのもこの絵本の魅力。これから初めて飛行機に乗るという子どもには、乗る前のお勉強として読み聞かせてあげたいものですね。
『ガスパール うみへいく』は、ガスパールがウィンドサーフィンをしに海へ行くお話です。海に向かう列車のなかで、ビクトールという男の子とバランティーヌという女の子と仲良しになります。ウィンドサーフィンは初めてだと言う友達の話を聞いてガスパールは一安心です。
ガスパールが電車の旅に疲れて眠ると、夢のなかにリサが出てきます。夢のなかではリサを乗せてウィンドサーフィンを楽しめたガスパールでしたが、実際にはなかなか難しいものです。実際に海に入ってみると深いし、波もあるし、泳げないから落ちたらどうしようと怖くなってしまいます。
- 著者
- アン・グットマン
- 出版日
- 2003-05-16
海に踏み出せずに砂浜でじっとしていたガスパール。ガスパールと同じ悩みを持つ友達が数人いて、砂浜で指導していた先生に泳げないと告白します。すると先生は泳ぎの特訓をしてくれて、海に入る時には特別な浮き輪をくれるのです。
ガスパールがもらった浮き輪は、サメの形をしていました。泳ぎの得意な友達はその浮き輪を見てとってもうらやましがります。泳げない子どもも、練習すれば泳げるようになると言う先生の言葉がいいですね。
ピクニックと聞くとどんなイメージを持つでしょうか? お母さんが作ったお弁当とレジャーシートを持って、温かい日差しの中で散歩をして、木陰でお弁当を食べ……とても楽しそうですね。でも、リサとガスパールにかかるとそんなピクニックも大変なことになってしまうのです。
ハトを追いかけたり、噴水でお弁当を台無しにしてしまったり、2人の両親がとっても大変だろうな、と思う出来事が次から次へと起こります。
- 著者
- アン グットマン
- 出版日
パリの公園はとても広くて、ヨーロッパの雰囲気を味わうことができます。イラストの美しさも魅力ですが、調子のいいリサと、水に落ちてしまうガスパールのやり取りは、子どもたちの笑いを誘うことでしょう。
2人のいたずらがエスカレートしていき、大人は目を覆いたくなるかもしれませんが、子どもたちは大喜びでしょう。最後には、雨が降り出してしまってピクニックは中止に。でも、レストランでご飯を食べられることになったリサとガスパールは、悪びれることもなくとっても楽しそうです。
母の日を前に、リサは一生懸命学校でお皿を作ります。大好きなママにプレゼントするためです。でも、リサは先生の言うことを聞かずに作業をしていたため、お皿を壊してしまいました。
焼く前のお皿をガスパールに見せようとして、ピザ生地みたいにグニャグニャにしてしまう様子は、せっかく作ったのにかわいそうだけど面白いですね。リサとガスパールはお皿をあきらめて、スーパーでプレゼントを探します。2人が見つけたカフェオレボウルを手に取ろうとしたら……棚から次々に落ちてきて、全部粉々に!
- 著者
- アン グットマン
- 出版日
お店の人は2人をカートに乗せて社長さんの所に連れて行きます。2人は怖くなり、リサはずっと泣き続けていました。ガスパールが社長さんに一生懸命説明してくれるけど、リサは何も言えずに泣いてしまいます。ガスパールのようなしっかりした友達がいてくれるととても心強いですね。
社長さんは事情を聴くと、2人の気持ちをわかってくれました。しかも、それだけでなく、おおきなTシャツと、割れてしまったカフェオレボウルの破片を袋に入れてプレゼントしてくれるのです。
リサのママは割れたカフェオレボウルの破片を使ってパズルをして遊びます。叱ることだけが子どもを成長させる行為ではないことを、この絵本は読者にも教えてくれるのです。
やんちゃなリサと、相棒のガスパールが繰り広げる楽しい世界がぎっしり詰まっていましたね!作者のアン・グッドマンとゲオルク・ハレンスレーベンは夫婦で、長年このシリーズを生み出し続けています。白い体に赤いマフラーがポイントのリサは、作者であるアン・グッドマンの幼少期がモデルになっていて、黒い体のガスパールはアンの2歳年下の弟がモデルになっています。
いたずらっこのリサに振り回されるガスパール、2人のやり取りが面白おかしく描かれていて、子どもたちから人気がある理由がよくわかる絵本ばかりでした。絵本を読み聞かせながら、自分の子どもや知り合いの子どもに、リサやガスパールに似た子がいないか想像を巡らせるのも楽しいですね。