『ねずみくんのチョッキ』は名作!おすすめシリーズ絵本5選

更新:2021.12.19

「ねずみくんのチョッキ」シリーズは長年多くの子どもたちに愛されています。シンプルだからこそ引き立つキャラクターの表情や体つきの柔らかさは、今にも絵本から飛び出してきそうなほど!今回はシリーズのなかでもおすすめの5冊を紹介します。

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何度も読み返したくなる『ねずみくんのチョッキ』

『ねずみくんのチョッキ』は、ねずみくんがお母さんに編んでもらった赤いチョッキを自慢するところから始まります。ねずみくんのチョッキがあまりに素敵なので、見ていたアヒルが貸してほしくなり、ねずみくんは渋ることなく貸してあげるのです。そのチョッキがどうなるかも知らずに……。

アヒルがねずみくんのチョッキを着てみると、サイズが合いません。でもアヒルは、ねずみくんがかっこよくそれを着こなす姿を見ているので、きつくても無理をして袖を通してしまいます。すると案の定、ねずみくんのお母さんが編んでくれたチョッキは伸びてしまいます。

著者
なかえ よしを
出版日
2004-03-01

アヒルの姿を見たサルは、自分もそのチョッキを着てみたくなるのです。ねずみくんのチョッキはそうしてアヒルからサルへ、サルからアザラシへ、徐々に大きな動物に着せ替えられていき、ついには大きなゾウが無理をしてチョッキに袖を通してしまいます!

そこへ戻ってきたねずみくんは大慌てです。お母さんが編んでくれたチョッキが、ブランコみたいに伸びてしまいました。

それほどまでに多くの動物をひきつけたチョッキは、さぞかし素敵なチョッキなんでしょうね。動物たちが無理をしてまで自分に似合うと思い込もうとするその表情もとっても面白くて、何度でも読み返したくなる絵本です。

今度は大丈夫?『また!ねずみくんのチョッキ』

『また!ねずみくんのチョッキ』は、先ほどの『ねずみくんのチョッキ』の続編です。背景が明るい桃色になり、ねずみくんも新しいチョッキでご機嫌な様子から始まります。今回のお話では突然ゾウがねずみくんのチョッキを貸してほしいと言い出しますが、ねずみくんはそれを断ります。前回大変な目にあったのだから、当然ですね。

すると、かわいいねずみのお友達、ねみちゃんがねずみくんに会いに来ます。さすがのねずみくんも、大好きなねみちゃんにチョッキを貸してと言われると断れません。

ねみちゃんがねずみくんのチョッキを着てみるととてもよく似合います。ねずみくんはそれを見てさらに嬉しそうになります。しかし……。

著者
なかえ よしを
出版日

チョッキを借りたねみちゃんは、アヒルに話しかけられます。

「いいチョッキだね ちょっときせてよ」(『また!ねずみくんのチョッキ』からの引用)

ねみちゃんがアヒルにチョッキを貸してあげると、アヒルはチョッキを着たままなんと水の中へ!

ねみちゃんがねずみくんに借りたチョッキは、アヒルのせいで水に浸かって大きく伸びてしまいます。アヒルがどうしようかと困っていると、アザラシがそのチョッキをちょうどいいと言って着てみるのです。水のなかで伸びたチョッキは大きな体のアザラシにぴったり。

それからは徐々に大きい動物へとねずみくんのチョッキが渡っていくことの繰り返しです。面白いのは、最後にねずみくんが、ぞうの着ているチョッキを自分のものと知らずに誉めるシーンです。ぞうが自分に似合うチョッキを見つけたことを一緒に喜んであげるねずみくん。そのチョッキが本当は自分のものだとは気づいていません……。

『りんごがたべたいねずみくん』どうすれば手に入る?

表紙のねずみくん。物欲しげにりんごの木を見上げていますね。ねずみくんはりんごが食べたいのに、高い所にあるので届きません。りんごを見上げるねずみくんの前に、いろんな動物が現れます。

さるは木によじ登ってりんごを取っていき、ぞうは長い鼻を使って上手にりんごを取っていきます。きりんが現れてりんごを取っていくと、ねずみくんは自分以外の動物をうらやましいと思い始めるのです。もっと自分が大きければ、ジャンプ力があれば、つばさがあれば……。

著者
なかえ よしを
出版日
2004-03-01

自分にない力をうらやむことは、人間でも誰もが一度はあることですね。ねずみくんは目の前でりんごを手に入れていく動物たちを見て、しょんぼりしてしまいます。

気を落としたねずみくんの前に最後に現れたのはアザラシでした。あざらしの特技は何でしょう?アザラシの特技を使ってりんごを手に入れるには、ねずみくんの力も必要なのです。

それぞれの個性が光っていて、たくさんの生き物もでてくるので、動物好きな子どもは大喜びです。最後はみんながりんごを手に入れることができて、幸せな気分で本を閉じることができますよ。

オチが笑えます『ねみちゃんとねずみくん 』

ねみちゃんがなにやら編み物をしている姿を見たねずみくんは、想像を膨らませていきます。ねみちゃんの編んでいるものはチョッキで、出来上がったらねずみくんにプレゼントしてくれるのではないかと思い始めます。

出来上がったチョッキを着たら、ねみちゃんは褒めてくれるかも。そしたら2人で手をつないで、ブランコに乗って、ドライブをして……ついには想像の中でねみちゃんと結婚式を挙げたねずみくん。都合のいい想像をしているねずみくんの表情はとても微笑ましいものです。

著者
なかえ よしを
出版日
2004-03-01

想像のなかではねみちゃんにチョッキをプレゼントしてもらい、とっても仲良しになって結婚式も挙げたねずみくん。ねみちゃんとねずみくんの可愛い子どもたちも想像の世界いっぱいに登場し、ねずみくんはとっても幸せそうです。

想像が膨らんで幸せいっぱいのねずみくんの前に、ねみちゃんが登場します。顔を真っ赤に染めるねずみくんもとても可愛らしいですね。ねみちゃんは編み上がったチョッキをねずみくんにプレゼントしてくれます。ここまではねずみくんの想像の通りですが、その後ねみちゃんは笑顔であっさりと帰ってしまいます。ねずみくんにはかわいそうですが、笑ってしまいますね。

ともだちあつまれ!『ねずみくんとシーソー』

ちいさなねずみくんがシーソーをするなら、相手は小さな動物じゃないと釣り合いませんね。でもこの絵本の最初に登場するのは、シーソーに乗って相手を待つ大きなゾウさんです。ゾウさんはシーソーのところにやってきたねずみくんを見て「ぼくとはシーソーできないね」と言います。

でもねずみくんには考えがありました。体が大きくて重いゾウさんと釣り合うように、反対側はねずみくんの友達をたくさん呼べばいいと思っていたのです。それからねずみくんの呼び声をきいたお友達がぞくぞくとシーソーに集まってきます。

著者
なかえ よしを
出版日
2006-09-01

ゾウさんの向かい側にはねずみくんの友達がたくさん。ブタ、サル、タヌキ、パンダなど何匹もの動物がゾウさんと釣り合うよう集まって、シーソーはぎゅうぎゅう詰めになってしまいます。

ついにはクマがやってきて、やっとシーソーが動くかと思いきや、ゾウさんの重みとはまだ釣り合いません。諦めたねずみくんがもう友達がいないとつぶやくと、ゾウさんは悲しくなってしまうんですね。ぼくもねずみくんの友達だよ。ぞうさんがそう言って少し動くと、シーソーは突然動き出し、大勢の友達がみんな楽しく遊ぶことができました。

友達が力を合わせると素敵なことが起きる。そんな当たり前のことを改めて教えてくれるこの絵本。動物たちの表情がページごとに変わるので、相手の気持ちを思いやる心も育まれるのではないでしょうか。

ほのぼのとした世界感で、読む人を笑顔に変えてくれる絵本ばかりでした。登場する動物たちがどれも個性的で、表情も豊かなのがこのシリーズの魅力ですね。文章量も多くはないので、子どもが初めてひらがなを覚えるための教科書替わりにいかがでしょうか。

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