かこさとしの名作絵本『からすのパンやさん』とシリーズ作品をご紹介!

更新:2021.12.19

かこさとしの絵本『からすのパンやさん』を知っていますか?カラスの住む町の小さなパン屋さんが困難を乗り越え、生まれた4羽の赤ちゃんガラスがお店のために大活躍するお話です。40年の時を経て成長した子ガラスの物語もとても素敵なお話ですよ。

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『からすのパンやさん』パンがたくさん出てきておなかが減るかも?

いずみがもりでパン屋さんをしているカラスの夫婦。彼らに、可愛らしいカラスの赤ちゃんが4羽生まれました。お仕事と赤ちゃんのお世話の両立が難しく、お店がきちんとまわらなくなってしまうと、お客さんがどんどん減って行ってしまうのです。でも、一生懸命子どもたちを育てていたパン屋さんに、意外なことがきっかけで大勢のお客さんが訪れるようになりました。

4羽の子ガラスたちは貧乏ながらも仲良くたくましく成長しました。子ガラスたちのおやつは、売れ残りのパンや焦げてしまったパンです。子ガラスたちが美味しそうに食べるおやつパンを見て、友達のカラスがそのパンに興味を持ちます。

著者
加古 里子
出版日

子ガラスから友達の話を聞いたお父さんとお母さんは、家族全員で協力してたくさんのパンを焼きました。次の日にはお客さんが大勢来てくれて、カラスのパン屋は大忙しです。

家族全員で力を合わせると、面白くて美味しいたくさんのパンが焼きあがります。きつねパン・こいぬパン・ヘリコプターパン・いちごパンなど様々。噂を聞きつけた、いずみがもりのカラスたちは群れをなしてパン屋に殺到します。噂には尾ひれがついて、最後には大変なことに!

家族が力を合わせてつくったたくさんの種類のパンは圧巻です。パン好きもそうでない人も、見ているだけでパンが食べたくなってしまうかも知れませんよ。

子どもたちが成長して……『からすのおかしやさん』

『からすのおかしやさん』は、『からすのパンやさん』の物語の中で生まれた4羽のカラスの子どもたちが立派な若者に成長して再登場します。たくましく成長したオスのチョコくんとオモチくん。美しく成長したリンゴちゃんとレモンちゃん。黒くないカラスというだけでもなんだかワクワクしますね。

お父さんとお母さんが親戚のおじさんのお見舞いに出かけてしまうと、4羽の兄弟は力を合わせてお店を切り盛りします。番長のチョコくんがパン作りを始めると、なぜかクッキーが出来上がってしまって困り顔に。

著者
かこ さとし
出版日
2013-04-17

クッキーがズラリと並んだお店に現れたのは、しいのきばやしの元気なミミちゃん。チョコくんたちはクッキーの作り方をミミちゃんに教えてもらうことになりました。

カラスのパン屋さんには、ミミちゃんの助けもあって美味しいクッキーがたくさん並ぶようになりました。その次の日にはケーキも並ぶようになります。何も知らずに帰ってきたお父さんとお母さんは事情を聞き、パン屋の隣にはケーキ屋さんをオープンさせてくれます。

一つの家族の歴史を見ることができるので、『からすのパンやさん』を読んでからこの絵本を読むとより楽しめるかもしれませんね。

『からすのやおやさん』困難を乗り越えて商売繁盛!

『からすのやおやさん』は、『からすのパンやさん』の物語で赤ちゃんだったリンゴちゃんの物語です。きれいなメスのカラスに成長したリンゴちゃん。お友達と遊んでいたリンゴちゃんは、汗水たらして働くシンちゃんとばったり出会います。

この絵本は、恋物語でもあるんです。シンちゃんは亡くなったお父さんの代わりに一生懸命働いている青年。リンゴちゃんや友達のイソちゃんはシンちゃんが遠くまで行かずに済むように、協力して近くでお店を始めます。

著者
かこ さとし
出版日
2013-04-17

町まで行かないと、お客さんは来ないだろう。そう諦めるシンちゃんを勇気づけ、リンゴちゃんと友達はその場でお店を始めます。呼び込みをすると、物珍しさにお客さんが集まってきてくれますが、次の日は同じようにはいかないのです。

そんなわけで、シンちゃんとリンゴちゃんは仲間と一緒にどうやったらお客さんが来てくれるかを話し合います。試行錯誤して、その結果お客さんの心をつかむことに成功したリンゴちゃん。この絵本は、仲間とアイデアを出し合う大切さや商売の面白みも教えてくれます。

助け合うことの大切さを教えてくれる『からすのてんぷらやさん』

『からすのてんぷらやさん』は、火事で燃えてしまった天ぷら屋さんを、皆で力を合わせて立て直す所から始まります。

天ぷら屋さんの跡継ぎのイワくんは目をケガしてしまい、おかみさんは行方知れずに。そんなわけでボロボロになってしまったてんぷら屋さん。肩を落とすおじさんを元気づけるため、『からすのパンやさん』に登場するレモンちゃんとオモチくんが奮闘します!

著者
かこ さとし
出版日
2013-05-14

『からすのぱんやさん』から40年以上の時を経て紡がれるこの物語は、結婚観や家族に対する見方に時代を感じる人もいるかもしれません。

でも、そんな時代にはみんな力を合わせて生きていたということを思い出せる絵本でもあります。天災や火事で大変な目に合うと、人は生きる気力を無くしてしまう時があります。そんな時、生きる気力をなくした人を救うには、何をするべきか。人を助けるということの尊さを小さな子どもにも伝える事の出来る一冊です。

オモチくんはどうなった?『からすのそばやさん』

『からすのそばやさん』は、『からすのパンやさん』で生まれたカラスの赤ちゃんのうちの、白くて小さいオモチくんの物語です。

小さかったオモチくんも立派な若者に成長し、ある時畑いっぱいに咲き誇る真っ白なそばの花に出会います。その畑はリンゴちゃんのお友達のイソちゃんのおうちで作るそばの畑だったのです。おそば屋さんのおじさんにそばの作り方を丁寧に教えてもらい、オモチくんはそば屋の店主になります。

オモチくんが作ったそば、なんだかおいしそうですね。

著者
かこ さとし
出版日
2013-05-14

シリーズの他の作品同様、この絵本にも多くの美味しそうな食べ物が登場します。読んでいるだけでおなかが鳴ってしまいそうな数々のそばやスパゲッティを、是非食べてみたいものですね。

ありとあらゆる美味しそうな麺類が登場し、読み手の想像力を刺激してくれます。月見うどんがあれば、雪見うどんや夕焼けうどんがあってもおかしくないですね。家族で力を合わせてお店を切り盛りしていく姿を見るのも楽しい絵本です。

いかがでしたか?1973年に作られた名作『からすのパンやさん』が長年にわたって多くの読者に愛され、40年の時を経ておなじみのキャラクターが成長した姿を見せてくれるシリーズは、親子代々親しむことのできる素敵な物語です。小さくか弱く、頼りなかった赤ちゃんカラスたちがたくましく成長する姿を、あなたは誰に重ねて読みますか?

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