生き物の絵本おすすめ5選!児童向けから大人にこそ読んでほしい本まで

更新:2021.12.20

生き物の絵本は自然界に興味を持つきっかけになります。小さな子どもでも親しめる優しい内容の図鑑から、親子で読みたい絵本まで、生き物や自然に関する興味を深められる、おすすめの絵本を紹介します。

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仕掛けで楽しむ海の生き物『はっけんずかん うみ』

全編ひらがなで書かれた『はっけんずかん うみ』は、ひらがなを覚え始めた子どもにぜひプレゼントしてあげたい一冊です。

海の深さや場所によって生息する生き物が違うことが分かったり、生き物の体をめくると骨や内臓が透けて見えたり、海の生き物それぞれの特徴が詳しく説明されています。捕食者の近くには餌となる生き物が描かれているので、食物連鎖についての勉強にもなります。

この絵本を通して魚の体の不思議を知ることができたら、次は人間の体のしくみにも興味が湧いたり、植物や建造物の構造にまでも想像力が膨らんだりするかもしれません。

著者
出版日

海に潜ったことのない子どもにとっては、未知の世界を覗くことができ、そこから興味を引き出すことができるでしょう。お店で切り身になった魚しか見たことがない子どもにとっても、学習意欲をくすぐる内容になっています。食卓にあがる魚料理を見せて、図鑑に載っているか調べてみるのも楽しいですね。

地上ではありえないほど巨大な体をもつクジラや、深海を生きる生き物たちの環境に対応するための不思議な体の形、さらに深海の土から噴き出す溶岩のけむりなども扉をめくると詳しく説明されています。勉強するつもりがなくても、いつの間にか多くの知識が子どもの頭にすんなり入っていく、そんな絵本です。

土とは何かの疑問に答える『土をつくる生きものたち 雑木林の絵本』

人間が作った花壇に、人間が選んだ土と肥料を入れ、種を植える。そうして出来上がった花壇には、この絵本ほど多くの虫や生き物はいないかもしれません。この本は雑木林の草が肥料もないのになぜ育つのか、土はどう作られているのかをとても分かりやすく説明してくれている絵本です。

カブトムシやダンゴムシにミミズ。子どもたちにも馴染みのある虫が土の中で何をしているのかが、絵とわかりやすい文章で説明されているので、子どもだけでなく大人にとっても読み応えがあります。

著者
谷本 雄治
出版日
2005-10-14

雑木林の落ち葉や動物の亡骸がどうやって土に変わっていくのか、自然がどのように巡っていくのか、普段はなかなか考えることのない事柄に、考えを巡らせるきっかけにもなるでしょう。

絵本を読む前と読んだ後では、雑木林や登山の楽しみ方が変わってくるかもしれません。虫たちがどんなパワーを持っているか知ることができれば、虫が苦手だった子どもも大人も、今までに見ていた世界が少し変わるのではないでしょうか。

『セミたちの夏』生き物の命の尊さを知る

『セミたちの夏』は、セミの一生を美しい写真と文章で綴った1冊です。セミは6年間を土の中で成長し、外に出る時を待ちますが、ひとたび外に出てしまうと、2週間ほどでその命は尽きてしまいます。

夏の間力強く鳴き、命を燃やし続けるセミ。その誕生の瞬間は、まるで宝石のように美しく透き通った体をしています。木の幹を伝うしずくを吸って小さな命が生まれると、そのセミの幼虫は長い眠りで大人になるため、土の中へ潜っていくのです。セミの幼虫は誰に教えられるでもなく皆一様に土の中に向かいます。

セミの一夏の命を通して、生命の神秘を感じられる絵本です。

著者
筒井 学
出版日
2012-07-11

6年もの歳月を経て地上に顔を出したセミは、木に登っていき、脱皮します。脱皮した直後のセミは羽も体も真っ白で、この本の中には神々しいその瞬間が美しい写真となって収録されています。

セミの抜け殻や、夏にせわしなく鳴くセミの姿は容易に目にすることができますが、生まれたての幼虫や、脱皮直後のセミの写真はとても貴重なもの。虫好きの子どもにおすすめしたい1冊です。

大人におすすめ『いのちのつながり』

『いのちのつながり』は分子生物学者によって描かれた、遺伝子や生命の由来に関する絵本です。内容は少し難しいので、1人で読むなら小学校高学年以上からがおすすめです。

この絵本には多くの動物や植物が登場し、地球の歴史を遡っていくにつれ恐竜も現れます。この地球上に存在するとてつもなく膨大な種類の生き物は、大元をたどっていくと一つの生き物にたどり着くという驚きの内容がわかりやすく描かれています。

著者
中村 運
出版日
1991-04-25

遺伝子や細胞という言葉を子どもに読み聞かせるのは難しいかもしれませんが、語り口がとてもシンプルなので、読み手の頭に言葉がスッと入ってくることでしょう。

この絵本の中には多種多様な動植物が登場します。地球の誕生までさかのぼっていくと、子どもたちが見たこともない生き物を見つけることでしょう。小さな子どもの頃にこの絵本を見せてあげれば、将来生物や地学の勉強をした時、この絵本の事を思い出すかもしれませんね。

食物連鎖のお話『たべることは つながること』

『たべることは つながること』は、食物連鎖についてわかりやすく描かれた絵本です。いもむしがリンゴの葉っぱを食べるところから始まり、ミソサザイ(鳥類)、鷹と食物連鎖が続きます。

どんぐりの木からも、どんぐりを食べるリスたちや、木の幹をかじる虫たちなど、多くの生き物がつながっていることがわかりやすく丁寧に描かれています。リスはどんぐりの実を食べるだけでなく、サクランボや木の芽、昆虫にかたつむりなども食べるのです。

学校で習う食物連鎖の勉強に似た内容も見られる絵本ですが、それだけではなく自然が作り上げたその連鎖を人間が乱すと何が起きるかについても触れられています。

著者
パトリシア ローバー
出版日
2009-05-30

海の食物連鎖として紹介されているのは、ケルプ(海藻)→ウニ→ラッコのつながり。一例として挙げられているのは、アメリカ西海岸の海の生態系を、人間がラッコを捕獲したことで乱してしまったことです。その結果、ラッコが捕食して一定の数を保っていたウニは捕食者がいない状態になり、ケルプを食べつくしてしまいました。

ケルプが日の光を受けて二酸化炭素を吸収している光合成の威力はすさまじいと言います。そのケルプがなくなってしまえば、環境は大きく変わってしまいますね。人間がラッコの毛皮を手に入れるために乱獲した結果、人間自身を取り巻く環境を悪化させている。皮肉な現状を子どもにもわかりやすく伝えてくれる絵本です。

生き物や自然に関する絵本は、地球を取り巻く環境問題を学ぶ足がかりになるような深い内容のものもありました。生まれたてのセミの宝石のような美しい姿や、地球上のありとあらゆる生き物たちがどんな場所でどのように生きているのか、子どもだけでなく大人まで知識欲を刺激されます。虫や魚が苦手だという子どもが、それらの生き物を身近に感じられるようになるためにも、たくさんの絵本に触れさせてあげたいものですね。

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