角野栄子のおすすめ絵本&児童書5選!『魔女の宅急便』の作者

更新:2017.5.13

ジブリ映画の大ヒット作のひとつ『魔女の宅急便』の原作者である角野栄子。児童文学賞を多数受賞し常に第一線で活躍している彼女の作品は、こどもだけにとどまらずおとなにも愛され続けています。何度も読み返したくなる珠玉の作品たちをご紹介します。

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読者の心をつかんではなさない!豊かな作品世界を織りなす児童文学作家・角野栄子

ジブリの大ヒットアニメ映画『魔女の宅急便』の原作者である角野栄子。数多くの絵本や児童文学作品を手掛け、各種文学賞も多数受賞しています。また、グリム童話などの訳者としての仕事もしており、その活動は幅広いです。

大学を出て出版社に就職しますが、作家としてのデビューは意外に遅めで35歳になってからでした。ノンフィクションの処女作を発表後、またしばらくの年月を経てから童話作家として本格的に活動をスタートさせました。

『魔女の宅急便』を執筆後、魔女の研究がライフワークとなり、作家活動の傍ら、魔女の取材のためヨーロッパを訪れることも。とにかく書くことが好きだという角野の作品には、親から子へと読み継がれている作品も多く、世代を超えて愛され続けています。
 

角野栄子ワールドの最高傑作・心温まるファンタジー作品

このタイトルを知らない人はいないと言っていいほど有名な『魔女の宅急便』。角野の名を世に知らしめた作品と言っていいでしょう。

1989年にジブリの宮崎駿によりアニメ映画化された本作ですが、1985年に野間児童文芸賞を受賞しており、既に評価されていました。

13歳になった魔女の少女・キキが掟に従いひとり立ちし、知らない町で荷物を届ける「魔女の宅急便」の仕事をしながら成長していく姿を描いた物語です。

著者
角野 栄子
出版日
2002-06-20

町では様々な出会いがあり、それに伴う経験を重ねることでだんだんと一人前の魔女に近づいていくキキ。同年代の少女が読者であれば、彼女に自分を投影しながら読み進めることができるでしょう。キキの相棒である黒猫のジジの存在も、物語に花を添えます。

林明子の挿絵も秀逸です。キキの視点で俯瞰された町の様子など、読み手もキキと一緒に空を飛んでいるような気持ちになります。

なお、この作品はシリーズ化されており、その後の物語も読むことができます。合わせて楽しんでみてくださいね。

ちいさなおばけが大奮闘!幸せな気持ちになれる児童書入門作品

小さなこどもたちに大人気の「ちいさなおばけシリーズ」のひとつ『スパゲッティがたべたいよう』。

レストランの屋根裏に住んでいる食いしん坊のちいさなおばけ・アッチが、レストランで働く女の子・エッちゃんのつくったスパゲッティをどうにかして食べようとするという楽しいお話です。

本作ではアッチとエッちゃんの出会いの経緯が明かされていることもあり、シリーズの中でも特に人気の一冊です。

著者
角野 栄子
出版日

80ページ弱で絵本としてはやや長めですが、挿絵もたくさんあって飽きさせないので、読み聞かせにも最適。漢字にはすべてフリガナがふってあり、ひとりで本を読めるようになったばかりのお子さんにも、楽しく読めるでしょう。

「アッチはどうすれば食べられると思う?」など、お子さんに問いかけながら読み聞かせしてもいいと思います。アッチの奮闘する様子から素直な心が育まれることでしょう。ママがこどもの時に読んだ思い出の本で、自分のこどもにも読ませたい、という方も少なくありません。

佐々木洋子の挿絵も愛らしく、登場人物たちがとても魅力的に描かれています。

なんと主人公は「家」!奇想天外な物語

家が主人公のお話といえば、アメリカの絵本『ちいさいおうち』を思い出す人も多いのでは?『イエコさん』の主人公も家なのですが、アプローチはだいぶ違います。家だからイエコさん、というネーミングは単純ながらも親しみを感じますよね。

イエコさんは空き家です。だからとても自由。実は手足があって、まつげパッチリの大きな目もついていて……という奇想天外さはインパクト大です。

イエコさんのもとに様々なお客が訪れるのですが、イエコさんは彼らにどんな対応をするのか。あっと驚く展開に読者は否が応でも引き込まれます。

著者
角野 栄子
出版日

代表作『ぶた』など数々の受賞作があるフィンランドの絵本作家・ユリア・ヴォリが挿絵を担当。繊細なタッチでスタイリッシュな画風は、イエコさんの世界に絶妙にマッチしています。本作は世界的に活躍している作家ふたりの夢の競演が実現した奇跡の一冊でもあります。

少々奇抜な内容で好みが分かれるかもしれませんが、エンターテインメント性も感じられる、楽しい作品です。

闇から抜け出した時……生きる勇気をもらえる自伝的小説

角野栄子の実体験をもとに描かれた『トンネルの森 1945』は、主人公であるイコが孤独と闘いながらも強く時代を生きる姿を描く自伝的小説です。

第二次世界大戦中のいよいよ戦火が激しくなってきた頃、5歳の時に母を亡くした小学4年生のイコは、父の再婚相手・幼い弟と共に千葉の田舎に疎開します。複雑な家族環境に加えて初めての田舎暮らしを強いられたイコの視点で描かれる戦争。戦時中だからこそ起こり得る様々なエピソードが淡々と綴られていますが、その時々のイコの心の描写がとてもリアルです。
 

著者
角野 栄子
出版日
2015-07-17

戦争の語り部が少なくなっている昨今ですが、戦争とは何か?ということを家族で話すきっかけにこの本を読んでみるのもおすすめです。適宜ルビがふってあるので、小学生でも読めます。ファンタジックな作品が多い印象の角野ですが、この作品から彼女の守備範囲の広さを感じるでしょう。

テーマはシリアスで決して明るいものではないのに、文章はとてもリズミカルで読み易く、小気味良ささえおぼえます。ラストも爽やかで救われます。
 

家族で一緒に読みたい、心も体もあったまる一冊

おばあさんに先立たれ、たったひとりで暮らしているおじいさんのお話です。タイトルでもある『おだんごスープ』はおばあさんがよくつくってくれた思い出の味なのです。

何もする気が起きずに一日中座って過ごしていたおじいさんでしたが、ある朝ふと「おばあさんがつくってくれたおだんごスープをのみたい」と思い、自分でおだんごスープを作ろうと一念発起。物語が動きだします。

寂しい毎日を送っていたおじいさんが、おだんごスープがきっかけで元気を取り戻していく過程がなんともユーモラスに描かれており、読み手を引き込む工夫が文章の随所にちりばめられています。

著者
角野 栄子
出版日

おだんごスープはおじいさんとおばあさん・ふたりの大切な思い出であり、おじいさんがこれからの日々に希望を見出すツールでもあることが大変興味深いところです。

市川里美の挿絵も、優しいタッチで登場人物の表情など細部まで丁寧に描かれており、物語にぴったり。見ていて和みます。

裏表紙には「おじいさんのスープのつくりかた」として、おばあさんのうたの歌詞でもあるおだんごスープのレシピも掲載されています。物語を楽しんだ後、こどもと一緒につくってみるのもおすすめです。

「おじいさんのスープ、こんな味だったんだね、美味しいね」なんて、家族で本の感想を話しながらスープを味わうなんて、素敵ですよね。

角野栄子ワールド、いかがでしたか?

彼女の作品はどれも個性的ではありますが、共通しているのは軽妙なタッチの文体であり、そこが彼女の持ち味でもあります。読み手を物語に引き込むテンポの良さが、ファンが多い理由のひとつと言えるでしょう。

おとなもこどもも楽しめる作品ばかりです。ぜひご家族で読んでみてくださいね。

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