スポーツを題材にした作品というと、スポ根ものを想像する方が多いかもしれません。しかし、単なる根性論や成長譚という言葉ではくくれない作品も多いのです。深みがあり、読後は爽やかな気分にさせてくれる作品をお届けします。
あさのあつこはこの作品について「少年の成長物語などと言わせるものか。友情物語などに貶めたりしない」と述べています。その言葉の通り、『バッテリー』は単なるビルドゥイングスロマンではありません。
- 著者
- あさの あつこ
- 出版日
- 2003-12-25
走ることに青春をかけた高校生たちの物語です。健一と連という2人の天才が近くにいながら、努力を重ねることのできる新二が眩しいです。そして、そんな新二の力を認め、ここぞというところで必要なアドバイスをくれる三輪先生の存在にも心が温まります。
- 著者
- 佐藤 多佳子
- 出版日
- 2009-07-15
指導は厳しいが結果を出してきた満田先生が異動し、新しい顧問は陸上とは縁のない美術教師の上原先生です。ただ参加するだけではなく、勝って上の大会に出場したい柳井は、頼りない顧問と寄せ集めのチームで願いをかなえることができるのでしょうか。
- 著者
- 瀬尾 まいこ
- 出版日
- 2015-03-28
ドラマのような導入にパッと心を掴まれます。恵まれた運動神経を持ち、ボクシング以外のスポーツも器用にこなせる鏑矢と、友人で彼に憧れて強くなろうとする優等生の木樽。天才型と努力型という対照的な2人はどんな道をたどるのでしょうか。そして2人は立ちはだかるライト級のモンスター、稲村を倒すことができるのでしょうか。
- 著者
- 百田 尚樹
- 出版日
- 2013-04-12
成績は残していないものの、夏陽子に「ダイヤモンドの瞳を持っている」と言わしめる知季の他に、富士谷コーチの息子でサラブレットといわれる要一、荒削りだが才能を感じさせる飛沫の3人の姿が描かれていきます。「海でしか飛びたくない」という飛沫を動かした夏陽子の策略とはなんだったのか、誰がオリンピック代表枠に残るのか、夏陽子が知季にマスターさせようとする無謀ともいえる技は成功するのか、ミズキダイビングクラブの存続は?など読みどころ満載です。
- 著者
- 森 絵都
- 出版日
- 2006-05-25
幼馴染である昇平と草太、2人の成長と友情を描いた物語です。幼い頃昇平は、自転車のスピードを出し過ぎてしまい、草太の家の庭へ突っ込んでしまいます。それが2人の出会いでした。
自転車と向き合い、一緒に成長していく2人の青春物語です。
- 著者
- 竹内 真
- 出版日
- 2006-10-30
昇平と草太が自転車に触れながら、成長していく青春小説で、テレビドラマ化もされ、竹内の代表作となっています。
2人が出会うのは、まだ幼い3歳の時です。そこから月日が流れ2人が30歳になるまでの、自転車と向き合っていく様子を描いています。その間、友達関係の悩みやそれぞれの彼女への悩み、大人になっていく悩みと、たくさんの山場を自転車と共に乗り越えていくのです。
最初は数メートルだった距離がどんどん長くなっていき、最終的には日本縦断に挑戦します。自分のためや人のために、長い距離を自転車で駆け抜ける2人の姿はとてもすがすがしいものです。
作品を読み進めていくと、昇平と草太の青春が自分のものと重なってくることを感じます。自転車に乗って恋人に会いに行ったり、友達と出かけたり、レースをしてみたり……。
自転車を本格的に趣味にしている人はもちろん、学生以来乗っていない方にももちろんおすすめです。青春の傍にはいつも自転車があった、ということに、気づくかもしれません。
スポーツを題材にした青春小説をお届けしましたが、いかがでしたか?部活動を義務付けている中学が多く、そのうち7割近くの生徒が運動部という日本。かなりの人がスポーツ経験者なのです。スポーツ大好きな方も、ちょっと苦手という方も、青春真っ只中の人もそうでない人も、是非この世界に浸ってみてください。