人が何かに打ち込むひたむきな姿は美しいもの。それがスポーツなら、躍動感溢れる姿に尚更感動が呼び起こされます。今回は可憐な乙女が額に汗を流す、スポーツ女子の登場する漫画5作品をご紹介したいと思います。
卓球好きの木ノ崎絵夢(きのさきえむ)は藤第一高校の2年生。2人しかいない卓球部部長ですが、腕前の方はまったくありません。たった1人の部員、1年生の矢島恵澄(やじまえすみ)はある日、壁打ち練習をする絵夢の姿を見て感動し、入部を決意しました。
実はこの恵澄、中学時代には卓球全国3位の実力者でした。部活動ではド下手の絵夢をからかって弄びます。彼女が絵夢に感動したのは、そのあまりにもとろくさい姿にドS心を刺激されたためでした……。
- 著者
- 高橋 真弥
- 出版日
- 2013-07-12
やる気はあっても卓球ド下手の絵夢と、やる気はないが卓球の天才恵澄。絵夢は小柄童顔で豊満……というか、ややぽっちゃり。恵澄は美人系で背も高くスレンダー。天然で騙されやすくちょっとお馬鹿に対して、理知的で計算高い策略家。名前は読んで字の如くMの絵夢と、Sの恵澄。何から何まで対照的な凸凹コンビです。
タイトル通り、部長の絵夢には威厳の欠片もありません。年下で狡猾な恵澄にひたすらいじられます。しかし、それでも絵夢はなんとか部長の尊厳を取り返そうと、毎回出来る限り恵澄に対抗を試みるのです。そしてだいたい失敗します。努力しても報われないあたりに、恵澄ではなくともサドッ気がくすぐられることでしょう。
脱衣を強要されたり、水着で走らされたり、不名誉なイタズラ書きをされたり、絶叫マシンに乗せられたり……。
メインは2人以外にも、クラスメイトの結城奈々、部員でないのに卓球部に入り浸る上牧みろく、みろくに付き合いで顔を出す水無瀬五十鈴など、魅力的な女の子が満載。
基本的にはコメディ展開が中心ですが、毎回何かしら卓球要素が絡んできます。卓球好きの絵夢が頑張る姿は微笑ましいです。最終的に絵夢が泣き顔を晒す結果に終わるのもお約束。
卓球をテーマにした萌え要素ありスポコン要素ありの作品を探しているという方におすすめの作品が『灼熱の卓球娘』。中学校の卓球界を舞台にした『灼熱の卓球娘』については<漫画『灼熱の卓球娘』が面白い!結末までの見所をネタバレ紹介!>の記事で紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。
高校2年生の大空遙が、いとこを頼って沖縄に転校してきました。彼女はいとこで同級生となる比嘉かなたの家に居候することになります。
比嘉家の前には沖縄の海がありました。遙は引っ越しの荷解きもそこそこに、浜へ繰り出していきます。そこでは同じ女子高生の2人組がビーチバレーの練習をしていました。ひょんなことから、かなたも交えて4人で試合をすることになります。
2人組の立花彩紗と遠井成美はビーチバレーのチャンピオンでした。当然、負けてしまう遙とかなた。初心者の遙は、これがきっかけでビーチバレーの面白さに目覚め、2人にリベンジを誓います。そしてビーチバレーには思うところのあったかなたも、遙に感化されて徐々に変化して……。
- 著者
- 如意自在
- 出版日
- 2016-03-12
実家では高身長がコンプレックスになっていた遙ですが、ビーチバレーではその高さが武器になります。楽しさに目覚めた遙はどんどんビーチバレーの虜に。
遙とは逆に、あまり乗り気でなかったかなた。実は彼女は元々ビーチバレーの選手だったのですが、身長が伸び悩んだために競技続行を断念した過去がありました。そんなかなたも、明るく伸びやかに楽しむ遙に影響され、遙とコンビを組んで再びビーチへ戻っていきます。
ビーチバレー自体が日本であまりメジャーではないせいか、それを題材にしたスポーツ漫画というとさらに珍しい存在です。個人競技でもない、団体競技と言うほど大人数でもない、しかし燦々と降り注ぐ陽光の下で繰り広げられる熱いスポーツ。バレーボールとの細かな相違点についても解説されます。
ビーチバレーでは、屋外の砂浜が舞台というのが一番大きなポイント。天候に左右されやすく、逆にそれを活かすプレーが求められます。
そしてなんと言っても水着。ビーチバレーというと派手な水着姿が印象的ですが、これにもちゃんとした理由が語られます。競技スポーツながらビーチバレーにはユニフォームが存在せず、普通の水着をアレンジするそうです。砂場で激しく動く関係上、砂の侵入を防ぐために布地は小さく、体に密着するように際どい角度になるのだとか。
そういう事情を免罪符に、女の子が高い露出度で激しく動く姿が、本作では余すところなく描かれます。
三久高校1年生男子の大宮は、入学早々ホームルームに遅刻してしまいます。陸上部顧問の担任教師は、大宮に遅刻の反省文を免除する代わりに、入部希望者の少なかった陸上部への体験入部を課します。
運動嫌いの大宮は適当に済ませようと考えていましたが、放課後のグラウンドで思わぬ人物を目にしました。クラスで1番の美少女と目する結崎なずなが、偶然にも陸上部だったのです。俄然やる気の出てくる大宮。そんな大宮の見ている前でなずなが取り組んでいた競技は……なんと砲丸投げでした。
- 著者
- 鏡 ユーマ
- 出版日
- 2017-01-19
陸上競技の中でも、短距離~長距離走、マラソンなどのトラック競技を題材にした漫画は数あれど、砲丸投げにスポットを当てた珍しい漫画です。
とはいえ、基本的には陸上部を舞台にした学園コメディ。大宮少年のやや不純な視点で、砲丸投げに夢中ななずなの姿が描写されます。
クラスでのなずなは物静かな美少女で、およそ運動とは縁がないようなクールビューティ然としています。そんな少女が頬を赤らめ、息を弾ませる様子は客観的には青春ですが、大宮少年の視線フィルターを通すとややエロティック。ただ、ランニングシャツと短パンという服装がフェティシズムを喚起させるのもまた事実ではあります。
こと砲丸投げのこととなると、人が変わるなずな。女子用の4kg砲丸に飽き足らず、男子用の6kg砲丸に挑戦するほどのはまりっぷり。持ち上げ、構え、足を開いて一気に投擲! 記録を出して喜ぶところなど、投げるのが楽しくてたまらないのが伝わって来ます。砲丸に頬ずりするところも見られるので、もしかすると単に彼女の性癖なのかも知れませんが……。
なずな目当てで陸上部に入った大宮も、徐々に馴染んでいきます。他の部員との交流を図りますが、目当てのなずなは砲丸一筋。それでも仲間として少しずつ認識はしてくれているようで……。陸上活動、学校生活の中で、大宮はなずなの色々な表情を見かけるようになります。
浜路洋平(通称ハマジ)は旧都高校に入学したものの目標もなく、無気力に過ごす1年生です。することと言えば、女子のパンチラを拝むぐらい。ある日、そんなハマジの噂を聞きつけた2年生の中島が、彼を水球部に勧誘してきます。
「女子と組んず解れつ!! 触り放題揉み放題!!」(『ハンツー×トラッシュ』より引用)
そんな甘い言葉と、水球部2年女子エースの萩原千聖を目当てに、ハマジはマイナースポーツ水球の世界に飛び込むのでした。
- 著者
- こばやし ひよこ
- 出版日
- 2013-01-04
水球部を舞台にしたラブコメ漫画です。青年誌連載だけあって、過激な描写も多数見られます。
水球とは、プールで行うサッカーやハンドボールに近い競技です。ただしプールの水深は2メートルを越え、足を着くことは出来ません。立ち泳ぎするのが基本。感覚的にはシクロナイズドスイミングをイメージした方がわかりやすいかも知れません。
作中ではこばやしひよこの得意とする、グラマラスで柔らかそうな美少女が、あられもない姿で登場します。ハマジをはじめとする男子は邪な視線で見ますが、千聖達の水球に賭ける情熱は本物。エロ目的には憤慨することも。
「水上の格闘技」とも呼ばれるだけあって、水球の試合は激しいものです。審判の死角や水面下の攻防では、ポロリなどちょっとしたアクシデントが付きもの。そうでなくとも、基本の立ち泳ぎ「巻き足」もかなり扇情的。青い男子には興味を持つなというのが無理な話でしょう。
当初、不純な動機で水球部に入ったハマジでしたが、千聖達女子の練習試合を観戦し、その熱が伝染します。水球で戦いたい、水球で勝ちたい、そして出来れば千聖と付き合いたい! やっぱり少し不純な情熱で、ハマジは水球にのめり込んでいくことになります。
小さな頃、「ヨミちゃん」は「タマちゃん」相手にオモチャのボールで「魔球」を投げていました。2人は無邪気に、大人になっても野球をしようと誓い合います。
高校に入学した武田詠深(たけだよみ)。中学3年間続けた野球で挫折を味わった彼女は、野球とは距離を置こうと考えていました。野球好きのクラスメイト川口芳乃(よしの)、息吹(いぶき)と出会い、そして転校して離ればなれになっていた山崎珠姫(たまき)と再会します。
再会を祝した投球練習で、詠深はあの「魔球」を投げて見せました。オモチャではなく硬球で。それは中学の部活では、部員に忌み嫌われて封印していた投球でした。野球の楽しさを思い出した詠深は、4人で再起を誓います。
- 著者
- マウンテンプクイチ
- 出版日
- 2016-11-11
女子野球というあまり見かけない題材の漫画です。
女子野球というと、どうしても軟式ボールを用いたソフトボールをイメージしがち。現実にも女子硬式野球は存在しますが、あまり知られてはいません。しかし、本作の世界では女子野球はメジャーなスポーツ。現実とは異なる部分もありますが、そこはご愛敬です。
女子野球がメジャーなだけあって、本作には男子部員は登場しません。そもそも、彼女達の高校にあった野球部は、不祥事沙汰を起こして活動停止中、事実上の廃部状態でした。物語は詠深、珠姫、芳乃、息吹の4人を中心に再始動するところから始まります。
いきなり「魔球」が必殺技として飛び出してくるように、本作はやや荒唐無稽です。しかし、それ以外は真面目そのもの。女子野球がすでに若干のファンタジーですが、登場する少女達の野球に注ぐ情熱は本物です。魔球についても、その正体はストレートが平凡な詠深が、中学時代に血の滲むような努力の果てに会得した変化球。
扱うボールが硬球なのに、見た目のキャッチーさを優先した結果か、試合中のユニフォームは半袖短パン。危なっかしさがありますが、女の子のしなやかな四肢が見られるのは利点でもあります。
女の子は基本的に柔らかそう描かれますが、いざ野球の試合ともなると、振りかぶったポーズなどにしっかり筋肉の描写が見て取れます。こういった、普段のほのぼのした雰囲気とのギャップも見所でしょう。
そうした漫画的な嘘に紛れて、リアリティのある野球がきっちり展開されていきます。女子高校野球の頂点を目指した戦いが、ここから始まります。
いかがでしたか? メジャースポーツを女子に置き換えたものから、あまり目にしないマイナースポーツまで。少女達が活発に活動する姿勢を読めば、あなたも思わず運動したくなること請け合いです。