子どもにだけでなく大人にも愛される元祖ゆるキャラ・リラックマ。その生みの親であるコンドウアキが手掛けた、みんなどこかリラックマ的要素をもった絵本からエッセイまで、脱力した魅力満載作品の中から選りすぐりの5作品をご紹介します。
イラストレーター・キャラクターデザイナーであるコンドウアキ。代表作である癒し系キャラのリラックマは、彼女がキャラクターの版権販売管理を行う企業のデザイン部在籍時に生み出されました。
2003年に独立し、女子美術大学で教鞭をとりながらフリーのイラストレーターとして活動しています。キャラクターの発案から商品企画に携わる一方で、絵本やエッセイなどの執筆も行っています。
SNSではペンギンなど動物の顔をデザインした手作りクッキーの画像投稿が話題になりました。彼女の作り出すキャラクターたちは、かわいいけれど、どこか力が抜けていて独特の魅力があります。
夫もイラストレーター(夫婦の共著作もあり)で、娘2人を育てる母です。
現代はストレス社会と言われて久しく、ストレスを感じずに過ごしている人の方が少ないくらいですよね。そのストレス、これを読めば少しは軽減されるのではないでしょうか?
『リラックマ生活―だらだらまいにちのススメ』は、「リラックマ的」に毎日を過ごしましょう、頑張り過ぎないでね!というメッセージが込められた本です。頑張り過ぎないための指南書と言ってもいいでしょう。
リラックマは、その名のとおり、いつもリラックス、と言えば聞こえが良いのですが、基本的にだらだらしています。でも、それだけじゃない。ちゃんと「リラックマ的」な考えのもとにだらだらしているのです。
- 著者
- コンドウアキ
- 出版日
まだ起こっていないことなのに、それが「起こってしまったらどうしよう?」と頭を悩ませているくらいなら「その時はその時」と開き直っていればいいというのがリラックマ的スタンスです。たとえ失敗してしまっても「失敗は人生のスパイス」と言ってのけて動じないリラックマ。本書を読み進めていく内に、不思議と「リラックマってなんて偉大なんだ!」と思えてくるでしょう。
リラックマのようにリラックス、時にだらだらした毎日が送れることができれば、悩みがあっても逆にそれをはねのける力がわいてきそうです。「上司に叱られた」「人間関係に悩むのに疲れた」など、落ち込んだ時に読むのがおすすめ。いつも頑張っているお友達や後輩へのプレゼントにもいいですね。
ワタ畑で暮らす白うさぎの女の子『うさぎのモフィ』。NHKでテレビ放映されたコットンで作った人形のコマ撮りアニメーションでモフィを知った人も少なくないでしょう。テレビアニメは、モフィがお友達とほのぼの・穏やかに過ごす日常を綴ったものですが、この絵本はかわいらしい絵の雰囲気よりも少し内容は大人びているかもしれません。
テーマはズバリ「自分探し」。モフィはワタの中で暮らしていますが、そこは安全なところで特に不満があるわけでもなく毎日幸せ。だけど、刺激的ではない。モフィは新しい出会いや発見を求めて旅に出ます。初めて触れる外の世界でどんな経験をするのでしょうか。
- 著者
- ["コンドウ アキ", "相澤 タロウイチ"]
- 出版日
大人への階段を上る途中で、誰しもがモフィのように外へ出たい欲求にかられるものですよね。大人は過去の自分にモフィの姿を重ね合わせながら、子どもはモフィの冒険の行方がどうなるのかドキドキワクワクしながら読み進められます。
ところで、モフィの耳の中と鼻の周りのピンクの部分がハート型になっていることにお気付きでしょうか?シンプルですが「カワイイ」ポイントがちゃんと盛り込まれているところが、コンドウアキのキャラクターデザイン術の真骨頂と言えるかもしれませんね。
うさぎのふわふわの毛並みのように、思わず触ってみたくなるような優しいタッチの絵も魅力の一冊です。
リラックマに次ぐ人気のコンドウアキ作キャラクターは、なんと果物のみかん。『木からおりたミカン―みかんぼうや』は、温州みかんの男の子である「みかんぼうや」が主人公の絵本です。
本作はシリーズ作品の最初の一冊で、夢に向かって頑張るみかんぼうやとその仲間たちとの物語。みかんぼうやの夢は「冷凍みかんになること」。なのに、とても寒がり。失敗ばかりでくじけそうになりながらも、夢を叶えるために一生懸命なみかんぼうやの姿は健気で可愛らしくて、きゅんと胸が熱くなります。
- 著者
- コンドウ アキ
- 出版日
単純なカタチだけど、愛嬌たっぷりのみかんぼうや。クールな性格でしっかりもののすだちちゃんや、ぼうやと共にすだちちゃんの家に居候しているお風呂好きのゆずちゃんなど柑橘系の仲間キャラクターたちもそれぞれ個性的で存在感があり、しっかりと脇を支えます。
果たして、みかんぼうやの健気な努力は実を結ぶのか?みかんの甘酸っぱさと相まって、感動を呼ぶ名作です。みかんぼうやはとにかく可愛らしく、子どもにはもちろん、大人にも勇気をくれることでしょう!
『いっしょにあそぼう おめめ おはな おくち』は、赤ちゃんの絵本デビューにおすすめしたい本です。
ページをめくると画面いっぱいに描かれた「あーちゃん」のお顔。ふんわりと柔らかなタッチの絵は、見ているだけで心が和みます。
「あーちゃんのおめめ、まぁるいねぇ。じゃあ、○○ちゃんのおめめはどこかな?」そんな感じで、ページごとにお子さんに話しかけるなど、一緒に遊びながら読める本です。
ページをめくりながら手遊びと組み合わせて遊んでいく内に、目・鼻・口といった顔の部位の名称も自然に覚えられるでしょう。
- 著者
- コンドウ アキ
- 出版日
- 2010-11-20
特に、初めての子育てで、赤ちゃんとのコミュニケーションをどうしていいかわからない、という新米ママにおすすめです。まだ言葉が上手に話せない赤ちゃんとも、この本を読み聞かせすることで自然にやり取りを楽しめるようになるでしょう。
ママ・パパと赤ちゃんだけでなく、おじいちゃん・おばあちゃんとお孫さんでも一緒に読めて、赤ちゃんとのふれあいを楽しめる本なので、出産祝いなどにもおすすめです。
コンドウアキらしさ炸裂の、これまたゆるくて可愛いキャラクターをもうひとつご紹介します。甘くて美味しそうな『あまぐりちゃん。』。表紙に「あまぐりちゃんのひみつえほん」とあるとおり、本書は中国・天津生まれの甘栗である「あまぐりちゃん」の秘密を一挙公開している本です。
大人にも子どもにも人気の天津甘栗。皮が剥いてある甘栗がヒットして久しいですが、あまぐりちゃんは、その頃生まれたキャラクターでした。まずは、あまぐりちゃんのキャラクター商品が先行して販売され、人気となった後に満を持して出版された本なのです。
- 著者
- コンドウアキ
- 出版日
あまぐりを美味しく食べるには?あまぐりちゃんはどんな一日の過ごし方をしているのか?など、ファンの知りたいことが満載の内容です。4コマ漫画がたくさん挿入してある構成なので、絵本というよりはコミックという方がよいかもしれません。
言うまでもなく、あまぐりちゃんは甘栗なので、一人ではなくたくさんいます。そして、当然ながら「むきぐりちゃん」も。食べられる際は皮が剥かれるため、あまぐりちゃんがむきぐりちゃんに変身しますが、この過程もなんだかシュール。一筋縄ではいかない、これぞコンドウアキ作品と言えるでしょう。
ゆるりとした気分の時、気軽に読んでくださいね。
いかがでしたか?コンドウアキの生み出すキャラクターたちに共通するのは、みんなどこか脱力している感があることではないでしょうか。
リラックス&脱力感。このリラックマ・マジックにかかれば気ぜわしい日常も穏やかになるような気がします。子どもだけでなく、むしろ大人の方にこそコンドウアキの世界に触れてほしいです。