「ロッタちゃん」シリーズの4冊をご紹介!海外の名作児童書

更新:2021.12.20

ロッタちゃんは3人兄弟の末っ子で、可愛くてわがままで、ちょっと生意気な女の子です。やろうと思ったことをすぐに実行し、失敗してもなんのその。力強くて頼もしいロッタちゃんが大活躍するシリーズを紹介します。

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ロッタちゃん、ちょっとわがまま?

ロッタちゃんが隣の家の物置を、自分の部屋に作り替えていくお話です。いやな夢を見て目が覚めた彼女。お母さんは気持ちをわかってくれないし、こんな家は出ていく! と息巻いて、ロッタちゃんは本当に出て行ってしまうのです。

親の目線から見るととてもわがままな子どもに映るかもしれません。でも、本の中に登場する反面教師と思うことも出来ますね。読み聞かせながら、「こんなことを大人に言ったら、大人はどう思うかな?」と子どもに問いかけてみるのもいいかもしれません。

意志が強く、自分の欲しいものが何かわかっているロッタちゃん。周りの大人たちは彼女にどう接するのかというと、ひどく叱りつけたりはしないのです。隣の家の人はとても優しいし、お父さんやお母さんの優しさも心温まるものです。

著者
アストリッド=リンドグレーン
出版日
1966-12-01

表紙を見るからに、かんしゃくを起していそうな女の子ですね。育児を経験している大人なら、こんなかんしゃく起こされたら大変と思うかも知れませんが、ロッタちゃんはそんな事お構いなし。自分の思う道を突き進んでいきます。

ぼろぼろで、ガラクタだらけだった物置をあてがわれたロッタちゃんは、その物置を自分の好きなもので埋め尽くしていきます。自由な空間を手に入れて大満足でしたが、やはり夜になると心細くなってしまうんですね。

ロッタちゃんの反抗的で大人びた態度も、なぜか憎めません。大人が読んだら忘れかけていた子どもの頃の記憶を思い出せるのではないでしょうか。

絵本にしては長いかも

ロッタちゃんがとんでもない事をしでかしてしまう物語です。絵本ではありますがその内容はかなり長く、寝る前に読むならば、30分くらいの余裕をもって読み始めることをおすすめします。

誕生日祝いにはどうしても自転車を買ってほしいと思っていたロッタちゃん。しかし、まだ体の大きさが合わないからと買ってもらえなかった彼女はなんと、大人の自転車を盗んでしまうのです!

活発で元気でちょっと生意気なロッタちゃん。自分には大きすぎる自転車で走り出すと、危なっかしくて見ていられません。結局ロッタちゃんは豪快に転んでしまいます。

著者
アストリッド=リンドグレーン
出版日

自信満々のロッタちゃんが、大人にダメだと言われてもめげない姿は頼もしく見えます。子どもらしい子どもの姿がそこにはあるのです。ロッタちゃんの無鉄砲な行動を見て眉間にしわを寄せる人もいるかもしれません。でも、お兄さんやお姉さんの姿を見てうらやましくて我慢できなくなる、そんな気持ちに共感できる人も多いのではないでしょうか。

ロッタちゃんはちょっとしたことでくるくると気分が変わり、表情も変わっていきます。ムスっとしたり、得意げだったり、大きな声を上げて泣いたり。自分自身や、自分の知っている誰かをロッタちゃんに重ねてみても楽しいですね。

なんでもできるロッタちゃん

ロッタちゃんがクリスマスイブの前日に大活躍するお話です。彼女は3人兄弟の末っ子。お兄さんとお姉さんがいます。家族はその年、クリスマスツリーにするためのモミの木を手に入れることが出来ずにいました。

お兄さんたちが泣いているのをしり目に、ロッタちゃんは雪の中を駆け出していきます。落ち込んでなどいません。彼女の口癖は「あたいやろうとさえすれば、なんだってできるのよ」。なんと頼もしい言葉でしょうか。

著者
アストリッド=リンドグレーン
出版日

表紙のロッタちゃんはそりにモミの木を乗せ、得意げに引っ張っています。こんな妹がいたら、毎日楽しそうですが、お母さんたちはさぞかし大変でしょうね。

北国で過ごす子どもたちの日常を垣間見ることが出来るこの絵本。ソリやスキーが身近で、冬の装いもかわいらしく、読む人をロッタちゃんのいる世界に引き込んでくれます。泣いて怒って一生懸命な彼女は、ご近所のおばさんが病気で寝込んでいると甲斐甲斐しく看病する面倒見のよい姿も見せてくれます。

わがままで負けん気が強いだけじゃないロッタちゃんの強い心と優しさも見る事が出来て、読んでいる人の誰もが好きにならずにはいられないのではないでしょうか。

3歳のロッタちゃん

この絵本はロッタちゃんのお姉さんであるマリアの目線で描かれています。とっても小さいのに、お姉さんやお兄さんの姿を見て自分も同じように出来ると思い込んでいるロッタちゃん。末っ子らしい姿がところどころで読み手のほほえみを誘います。

どう見ても小さい子どもなのに、一人前のような顔をするロッタちゃん。お兄ちゃんやお姉ちゃんのようにふるまって見せるわりに、豚のぬいぐるみをいつも大事に抱えているところがとても可愛らしいです。

著者
アストリッド=リンドグレーン
出版日
1985-12-01

パンケーキを木の上で食べる時、ロッタちゃんはなんと木の枝でパンケーキを刺してしまいます。クリスマス前にみんなで食べるはずだったクッキーをロッタちゃんは全部ひとりで食べてしまいます。やりたい放題ですね。

ロッタちゃんを取り巻く大人達がとても魅力的です。どんなにわがままを言っても、いたずらをしても、彼女を叱りながらも優しく受け入れてくれます。読み手が大人なら、こんな風におおらかに子どもを見守れているか自分を振り返るかもしれません。

子どもが子どもらしくふるまい、大人の世界をめちゃくちゃに乱していく。そんなハプニングだらけの「ロッタちゃん」シリーズ。このシリーズは国境を越えて世界中で愛され、1993年には映画化もされています。

ロッタちゃんのおしゃべりは大人びていてどこか生意気で、当然欠点もありますが、常に前向きで自分の力を信じる強さは大人でも見習いたいところです。チクチクするセーターがイヤだと言ってハサミで切ってしまうのはさすがにやりすぎだと思いますが、子どもというのはこういうものだと思い知らされる物語でもあります。

大人の自転車を盗んで暴走し、派手に転んで傷だらけになってしまうのも予想通りながら目を覆いたくなる大失敗です。たくさんの失敗を経験して糧にして、すくすくと成長していくロッタちゃんを、いつの間にか応援したくなる素敵な物語です。

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