赤ちゃんのファーストブックとしても、とても人気の高い三浦太郎の可愛らしい絵本。読むほどに赤ちゃんの笑顔を引き出してくれる魔法がたくさんちりばめられています。絵本に初めて触れる赤ちゃんにとって、大切な宝物になるおすすめの絵本をご紹介します。
三浦太郎は1968年に愛知県に生まれた絵本作家であり、イラストレーターです。大学在学中から日本国内でのイラストレーションやグラフィックでの受賞歴を持つ三浦は、卒業後はイラストレーターとして活躍します。絵本をつくるきっかけとなったのは、イタリア・ボローニャ国際絵本原画展。描きためた作品の発表の場として出品したその原画展で入選を重ねたことにより、スイスで絵本作家デビューをします。娘とのエピソードがもととなった『くっついた』が日本での絵本デビュー作となりました。
三浦太郎の作品と言えば、とにかくシンプルであること。余計なもののないシンプルなイラストの中でも、絵本の中に出てくるぞうさんやおさるさん、ぼくやきんぎょさんがふんわりと笑ったり、泣いたり、手を取り合ったりしていることがしっかりと伝わってきます。
三浦太郎は、自身の娘の反応を見ながら絵本を作り上げています。実際に子育てをしながら、娘とのふれあいの中で生まれる絵本だからこそ、子供の好きや関心がぎゅっと詰まった作品になっているのでしょう。
『くっついた』は赤ちゃんのためのファーストブックとしても人気の高い絵本です。
きんぎょさんときんぎょさんのお口がくっついたり、あひるさんとあひるさんのくちばしがくっついたり。そうさんやおさるさんなど、可愛い動物さん同士がくっついてしまうお話です。
くっついた後には動物さんたちもにっこり。くっついた!というリズミカルな繰り返しに赤ちゃんも夢中になって、自然と笑顔を引き出してくれる不思議な絵本です。
- 著者
- 三浦 太郎
- 出版日
絵本の最後では「おかあさん」と「わたし」がくっつきます。「わたし」のお顔はにっこり笑顔になりましたよ。その後「おとうさん」ともくっついて、「わたし」の笑顔は最高潮の弾ける笑顔になりました!
赤ちゃんはお母さんやお父さんが大好き。大好きな人たちとこんなに近くでくっついてしまったら、誰だって笑顔になりますよね。この絵本は、読みながらぜひ赤ちゃんにくっついて欲しいです。もしかしたら、赤ちゃんの方からくっついてきてくれるかもしれませんね。
赤ちゃんはまだ言葉が通じない分、ふれあいがとても大切です。ほっぺとほっぺをくっつけてみるだけで、きっとこの絵本のわたしのように、にっこりと笑ってくれると思います。
ぞうちゃんシリーズのうちの一つ『ぞうちゃんとねずみちゃん』は、仲良しのぞうちゃんとねずみちゃんのちょっとしたいつもの風景を描いている作品です。大きい赤ちゃんのぞうちゃんは、大きくても小さい絵を上手に描きます。小さい赤ちゃんのねずみちゃんは、小さくても大きな絵を上手に描きます。
ぞうちゃんとねずみちゃん、二人の大きさは全く違うけれども、いつも一緒にのんびりと大きくなっていっています。
- 著者
- 三浦 太郎
- 出版日
- 2016-04-14
大きなぞうちゃん、小さなねずみちゃん、大きいと小さいの対比が面白いこちらの作品では、大きくても小さいものが好きなぞうちゃんと、小さくても大きなものが好きなねずみちゃんとのやり取りが描かれています。
赤ちゃんはこの絵本を通じて、優しい絵の中から「大きい」や「小さい」を学ぶことができるかも知れませんね。けれども、この作品では、大きいぞうちゃんがそのまま大きいものを好きというわけでは無いのです。大きくても小さいものが好きでも良いし、小さくても大きいものが好きでも良い。もう少し成長してからこの作品を読んであげると、こどもはまた違った目線で読んでくれるかもしれません。
身体の大きさや、何かができるようになる速度だって、赤ちゃんはそれぞれの個性で成長していきます。大人目線ではいろいろと比較したり考え込んだりしてしまうことでも、こども目線ではなんてことない、みんな一緒、みんな仲良し。ぞうちゃんとねずみちゃんは、自分たちの違いを感じることもなくのびのびと成長をしていくのです。こどもは考えにフィルターを持っていない、そういったことをふんわりと思い出させてくれる絵本です。
最後に描かれている大きなコップと小さなコップ。それぞれどちらのコップなのでしょう。自由な発想が自由な意識を生む、シンプルながら奥の深い作品です。
ページをめくると現れる、ぞうさんの大きなおしり。おさるさんのおしりは、赤いおしり。ぞうさんやおさるさん、ぶたさん、あひるさん、可愛い動物さんたちのおしりの後には、どこかで見覚えのあるキュートな「わたし」のおしりが登場です。
可愛いおしりが大集合、みんなにっこり笑顔で自慢のおしりをご披露してくれます。絵だと分かっていても、なぜか触れてみたくなる、可愛らしい絵本です。
- 著者
- 三浦 太郎
- 出版日
- 2008-05-10
絵本にどーんと描かれるおしりに赤ちゃんも大喜びのこちらの絵本。次に出てくるおしりに期待感が膨らんで、赤ちゃんもきっとワクワクしてくれますよ。
ちょうど見開き部分におしりがくるので、やっぱりおしりって丸いんだなということが味わえる可愛らしい絵本です。コロンと丸いフォルムのおしりがくっきりとしたイラストで描かれていて、それぞれのおしりはとてもキュート。みんなが笑顔でおしりを見せてくれる、おしりの存在感がたっぷりの作品です。
赤ちゃんが生まれると、おしりという言葉はとっても身近なものになります。毎日おしりをきれいに拭いたり、おしりをちょこんと床に下ろすなんとも可愛い仕草が見られたり。きっと、子育て中のほんの少しの時間だけが、これほどまでにおしりが身近で愛おしい存在になるのでしょう。そんな愛すべきおしりが存分に楽しめる絵本です。
しっぽのあるバス停にやってきたのは小さくて可愛い「ねずみさんのバス」。ねずみさんたち、ちゅーちゅー楽しそうです。おみみのついたバス停にやってきたのは、大きなおみみのある「うさぎさんのバス」。
たてがみのあるバス停についたバスは、がおーとかっこ良い「らいおんさんのにかいだてバス」。「ぞうさんのバス」はお鼻からでる蒸気が機関車みたいですね。
さて、「わたし」の待つバス停には、どんなバスがやってくるのでしょうか?
- 著者
- 三浦 太郎
- 出版日
- 2007-10-20
可愛らしいバス停に次々とやってくる素敵なバスたち。赤ちゃんも、次にどんなバスがやってくるのか、ワクワクしながらページが開くのを待っちゃいます。
たくさんの動物さんたち、それぞれのバスはとっても個性的です。「ねずみさんのバス」はスピード感があって軽やか。「らいおんさんのバス」は勢いにあふれてとっても勇ましい!イラストで描かれたバスの大きさやバスの周りの空気感がそれぞれの動物たちのイメージにぴったりです。素敵なイラストの中に、動物さんたちの個性がきらりと光る作品です。
「わたし」の待つバス停に来てくれるのは、やっぱりお父さんとお母さん。大好きなお父さんがバスを運転して、お母さんを乗せて「わたし」をお迎えに来てくれます。お父さんとお母さんのバスがお迎えに来たときに、赤ちゃんがにっこりと笑う姿はとっても愛らしいものですね。世界で一番大切な人がそばにいてくれる安心感を、心から味わえる優しい絵本です。
小さいポケットから、少しだけ姿を見せてくれているのは誰でしょう?「こんにちは」と元気にご挨拶してくれたのはひよこさんです。大きなポケットには、ぞうさんが入っていましたよ。ボタンのついているポケットや、温かいポケットには何が入っているのでしょうか?
赤ちゃんにとってポケットの中はワクワクでいっぱいです。ちらりと見えている姿から、何が出てくるか想像しながら読み進めていくのが楽しい絵本です。
- 著者
- 三浦 太郎
- 出版日
- 2010-11-30
ポケットからちらりと見える「おはな」や「おみみ」から、次のページでお顔を出してくれる動物さんを考えるのも楽しいこちらの作品。覚えたての言葉で動物さんの名前を答えてくれるかもしれませんね。
さて、温かいポケットに入っていたのは、お母さんの宝物。そう、カンガルーの赤ちゃんです!
こどもにとってポケットはワクワクがつまった素敵なアイテム。大切な宝物が見つかると、何でもしまっておきたくなるようです。お散歩中に見かけた可愛い花びらや、素敵な落ち葉も、ポケットに入れてお家に帰る道すがらも楽しいですね。カンガルーのお母さんのように、大切な宝物をポケットにしまっているのかもしれません。
この絵本を読んであげると、自分のポケットの中をのぞく可愛らしい仕草が見られることも。読む前に赤ちゃんの大好きなぬいぐるみをお父さんやお母さんのポケットの中に忍ばせて、最後に「こんにちは!」と言って出してあげると、赤ちゃんはきっと大喜びするでしょう!赤ちゃんのピュアな心をじっくりと感じられる、素敵な瞬間になると思います。
読み聞かせをきっかけに、赤ちゃんの感じるワクワクをうんと引き出して欲しい、そんな絵本です。
三浦太郎の絵本を読むと最後、赤ちゃんを抱きしめたくなります。赤ちゃんもきっとそのふれあいを期待して待っています。慣れない育児の間にはどうしてもイライラしたり笑顔が無くなりがちになりますね。そんな時には、ぜひご紹介した絵本を手に取ってみてください。くっついて、おしりに触れて、一緒にバスに乗っているようにお膝にだっこしてみてください。親子で幸せになる時間が、ふんわりと訪れるはずです。