可愛らしい犬のハリーがいろんな表情を見せてくれるこのシリーズ。犬好きも、猫好きも、誰もがハリーを大好きになってしまう楽しいストーリーが盛りだくさんです!長年多くの人に愛されるハリーを描いた絵本を4冊紹介します。
お風呂が嫌いな犬のハリーは、お風呂にお湯を入れる音を聞きつけると、体を洗うブラシを持って家から飛び出してしまいます。それからどうするのかというと、大嫌いなお風呂に入らなくても済むようにとブラシを庭に掘った穴の中に隠してしまうのです。
家を飛び出して外で遊んでいたハリーは、道路工事の泥にダイビングしたり、鉄道の橋の上で煙を浴びてすすまみれになったり、白に黒のブチ模様だったハリーの姿は、元気に遊びまわるうちに真っ黒に汚れてしまいます。どれくらい真っ黒になってしまったのかというと、家に帰ってきたハリーを見ても、家族がハリーだと気づかないほどなのです。
- 著者
- ジーン・ジオン
- 出版日
- 1964-03-15
表紙の絵のハリーの表情がとても可愛らしいですね。やんちゃで、やりたい放題のハリーですが、可愛いところもあります。おなかが減って家に帰ると、家族はハリーを見ても、ハリーだと気づいてくれません。ハリーは家族に自分がハリーだと気づかせるためにいつも披露している芸当を見せていきます。宙返り・死んだふり・ダンスや歌。それでもハリーに気づいてくれない家族を見て、ガッカリしたハリーはあることに気づきました。
自分で庭の穴に隠したブラシです!ハリーはブラシを持って湯船が張られたお風呂に飛び込みます。ハリーの表情がとても豊かで、読んでいるうちハリーが大好きになることでしょう。犬が好きな子どもにはたまらない可愛さの詰まった絵本です。
この物語では、海辺で暑さにだらけていたハリーが、大波に飲まれて海藻まみれになってしまいます!それを見た周りの人たちはハリーを海の怪物だと思い込んでしまい、大変なことになりました。
ハリーは人間たちが自分を見て怪物だと勘違いしているのもお構いなし。砂のお城を壊してしまったり、人の後を追いかけて嫌がられてしまったり……。ちょっとかわいそうだな、と思う頃にはハリーを大切に思っている家族が現れて彼を見つけてくれます。迷子になってしまう怖さと、家族の温かみを感じられる物語です。
- 著者
- ジーン・ジオン
- 出版日
- 1967-06-01
ハリーを見つけた家族は、もうこれ以上ハリーが迷子にならないようにと大きめで目立つパラソルに変えました。怪物呼ばわりされて追いかけられてしまうのはとても可哀そうですが、家族に守られて愛されている姿は見ている人の心を温めてくれることでしょう。
どのページにも強い日差しで照り付ける太陽の絵があり、登場する人達は皆水着や涼し気な服装をしています。波打ち際や砂浜もあまり多くの色は使われていませんが、登場人物たちの生き生きした表情が引き立って見え、海が恋しくなるかもしれません。
ハリーが海藻をスルリと脱ぎ捨てて飛び上がるシーンの表情はとても可愛らしいものです。こんな風に自分の飼い犬が飛び出して来たら、ついぎゅっと抱きしめたくなることでしょう。
おばあちゃんが編んだバラ柄のセーターを着せられたハリーは、そのセーターをちっとも気に入りません。そのセーターを着せられて家族でお出かけをすると、ハリーの姿を見た町の人が笑ったりするのです。ハリーはそんなセーターはいらないと思い、捨てようとします。でも、周りの人はハリーの気持ちを知らないで、捨てようとしたセーターを拾ってきてはハリーに着せてしまうんですね。
せっかくおばあちゃんが編んでくれたセーターを捨てようとするなんて、ひどいじゃないかと思う人もいるかもしれませんが、ハリーはそのセーターを思いもよらず、鳥にプレゼントすることになるのです。
- 著者
- ジーン・ジオン
- 出版日
- 1983-05-20
セーターから一本の毛糸が出ていることに気づいたハリー。毛糸を引っ張ってみると、スルスルとセーターがほどけて行ってしまいます。少しずつセーターをほどいているハリーの表情は驚きから喜びに変わっていくのです。ハリーの様子を上から見ていた鳥は、シュっと急降下して、毛糸をくわえて飛んで行ってしまいます。鳥が遠くに飛び去ると、ハリーが着ていたセーターはどんどん小さくなり、ついにはなくなってしまいました!
ハリーが鳥にお礼を言って見送ると、おばあちゃんがハリーに会いに来ます。みんなでお散歩に出かけると不思議な事に、鳥がセーターをほどいた毛糸を編み直して作った素敵な巣に出会うのです。
物語のラストでは、おばあちゃんから再びセーターをプレゼントされたハリーが、嬉しそうにそれを着て見せる可愛らしい姿も楽しめます。ハリーがとっても気に入ったセーターの柄は、ハリーの毛皮と同じ白と黒のブチなのです。
白に黒いブチ模様のある犬のハリーは、ご近所さんたちが大好きでしたが、一人だけ苦手な人がいました。人間でも似たようなもので、好きな人もいれば、苦手な人もいますよね。ハリーが苦手だというその人は、ハリーも耳をふさぎたくなるほど甲高い声で歌うお隣さんです。
その歌声がどれほど甲高いかと言うと、ピーナッツ売りのおじさんがやってきて鳴らす汽笛の音よりも甲高くて大きいのだそうです。ハリーが不憫ですね。でも、黙って我慢しているハリーではありません。あの手この手を使ってうるさい歌をやめさせようと走り回ります。
- 著者
- ジーン ジオン
- 出版日
低くて優しい音が好きなハリーは、牛や音楽隊を歌うお隣さんの近くに連れて行ってお隣さんに音を聞かせますが……全く効果はなし。一喜一憂するハリーの姿がとても愛らしく描かれています。
犬にも心があることは誰もが知っていることですが、犬のハリーが考え実行する姿は、人間の子どもを見ているような気分にさせられます。最後には歌うお隣さんが歌のコンテストに優勝して、遠い外国に旅立つことになって一件落着。ハリーの行動力にも、お隣さんの図太さにも脱帽させられる一冊です。
目まぐるしく表情を変える愛らしいハリーのシリーズ絵本を紹介しました。どろんこになったり、海藻にまみれてしまったり、大変な目に合ってしまうハリーですが、その姿は身近に感じられる小さな子どものようでもあります。
子どもたちはハリーの事を深く知るにつれ、犬を飼いたいと思うかも知れません。動物に興味がなかった子どもでも、動物を慈しむ心が育まれるかもしれません。自分の思いにまっすぐで、元気なハリー。子どもの頃に読んだ事を思い出して再びこのシリーズを手にする大人も、これからハリーを知るという子どもも、お気に入りの一冊を見つけられるといいですね。