落合恵子が翻訳するおすすめ絵本5選!絵本専門店クレヨンハウスの代表

更新:2021.12.20

落合恵子が翻訳する絵本は、やさしい語り口で、命の大切さや愛する幸せを届けてくれます。キャラクターどうしのふれあいが丁寧に描かれていて、温かみも感じられるでしょう。落合恵子の作品の中でも特におすすめの絵本5冊、ご紹介します。

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絵本専門店代表、そして作家「落合恵子」

落合恵子は1945年に栃木県宇都宮市で生まれ、絵本専門店の代表であり作家です。

明治大学文学部英文学科を卒業後、1967年文化放送にアナウンサーとして入社。彼女の、やわらかく優しい話し方は、幅広い年齢層から愛されています。一時期は歌手活動もして、エネルギッシュで多才な彼女は、次第に絵本の世界に足を踏み入れていきました。

1974年に文化放送を退職し、作家活動に。さらに作家活動の傍ら、1976年に絵本専門店クレヨンハウスを開き、代表をつとめています。

彼女の作品には、小さなものの声に耳をすませて大きな愛で包み込むような、愛情たっぷりのものが多いのです。一見すると単純なようでいて、実は奥深くて、何度も何度も繰り返し読んでしまう、そんな落合恵子が翻訳する魅力の詰まった海外絵本を、紹介していきます。

みんなの幸せな時間は『キスの時間』

『キスの時間』は、フランスのイラストレーターであり絵本作家のアントワーヌ・ギロペ作、落合恵子訳の2010年に発行された作品です。

この絵本には、たくさんの動物たちのキスシーンが描かれています。みずうみのほとりでキスする白鳥とカエル、ゆれる葉っぱの上でテントウムシとテントウムシがキス……様々な場所や状況でのやさしいキスに、子どもだけでなく大人も思わずほほをゆるめてしまうでしょう。

悲しみに寄り添うキス、特別な愛情を伝えるキス、誕生を祝福するキスなど、幸福な時間が落合恵子のやさしい語り口で語られ、読む人の心をつかんで離さない、そんな魅力的な絵本です。

著者
アントワーヌ・ギロペ
出版日
2010-12-06

この絵本を読んでいると、可愛い動物たちにキスをされているかのような、くすぐったいような幸せな時間が流れていきます。地球上にすむ生き物みんなが、種類に関わらず、いっぱいキスをしたらその時間は愛にあふれる平和で幸せな時間になるのではないでしょうか。

ぎゅっと心も体もあったまる『ハグくまさん』

『ハグくまさん』は、カナダの商業デザイナーのニコラス・オールドランドが初めて作った絵本であり、落合恵子の翻訳で2011年に発行されました。

この絵本は、抱きしめるのが大好きなクマのハグくまさんが、いろいろなものを抱きしめるお話です。

ハグくまさんは、なんでも抱きしめるけれど、特別に大好きなのは森の木を抱きしめること。

しかしある日、人間の男が森にやってきて、オノでハグくまさんお気に入りの森の木を切り倒そうとします。困ったハグくまさんが男に対してとった行動は……ハグ!

ハグくまさんは、心優しく、穏やかで愛らしいクマ。攻撃を受けても、攻撃で返すのではなく、愛情で包み込むおおらかな平和主義者です。

著者
ニコラス・オールドランド
出版日
2011-12-05

この絵本を読んで、ハグくまさんのように公園の木に抱きついてみると、ふわりと木の香りがして癒されました。自然の大切さと抱きしめる喜びを教えてくれる、そんなお話です。

落合恵子は、この絵本の最後をこんな言葉で訳しました。

「こころをこめて おおきな きを
だきしめることでした。

もちろん きも しあわせでした。」(『ハグくまさん』より)

抱きしめることは、ハグくまさんにとっても木にとっても、お互いにしあわせな気持ちになれることだということが、伝わってくるのではないでしょうか。 

枕元にはこの一冊『おやすみ、ぼく』

『おやすみ、ぼく』は、オーストラリアの作家アンドリュー・ダット作、イギリスの絵本作家のエマ・クエイ絵、落合恵子訳の2009年発行の作品です。

眠りに落ちるぎりぎりまで、おかあさんにそばにいてほしいと、まどろみながらせがむ甘えん坊のぼくは、とてもかわいいさる。夜、ベッドにもぐり眠りに落ちるまで、自分のからだを一つ一つ「ありがとう」とねぎらうお話です。

著者
アンドリュー ダッド
出版日
2009-04-20

自分のことをないがしろにせず、自分のからだを大切に思うことは、自分の心を癒すことになるのではないでしょうか。自分を大切にできれば、相手のこともまた大切にできるのでは、と感じます。

からだをいつくしむことで心もほぐれ、1日の疲れが吹き飛ばされる、おやすみ前にぴったりのリラックス絵本。まるで子守歌を聞いているかのような、あたたかくてやさしい気持ちになれる、癒し効果抜群です。

友だちって愉快だな『あたまのうえにとりがいますよ』

『あたまのうえにとりがいますよ』は、アメリカの絵本作家でありテレビ番組「セサミ・ストリート」の放送作家モー・ウィレムズ作、落合恵子訳の2013年発行の作品です。

まじめなぞうのジェラルドと、楽天家なぶたのピギーのかけあいが漫才のようでとっても楽しい愉快なお話。ふたりは、性格も見た目も全然違うけれど、とても仲のよい友達です。

ある日、ジェラルドとピギーがのんびりうたたねをしていたら、ジェラルドの頭の上にとりがやってきます。次第にとりが増え、頭の上に巣をつくり、そしてヒナが生まれました。困ったジェラルドに、ピギーは「どこかにいってと頼むといいよ」とアドバイスします。すると、ジェラルドの頭からとりは移動し、ジェラルドはピギーに大喜びで感謝するのです。

しかし、ピギーは浮かない顔で、「どういたしまして。」なぜなら、なんと今度はピギーの頭の上にとりたちがいるのです。

著者
モー・ウィレムズ
出版日
2013-09-02

思わずくすりと笑ってしまう、ほほえましい話です。友達といっしょにいると、相手が抱える問題に巻き込まれてしまったりすることもあるけれど、一緒に解決しようと考えたり笑いあえたりすることっていいですね。

キャラクターの言葉づかいや表情も、シンプルながら表現豊かで活き活きとしています。読者はすぐにジェラルドとピギーと友達になって、楽しく読み進めていけるでしょう。

戦争と子どもを描く『かあさんはどこ? 』

『かあさんはどこ?』はベルギーの絵本作家、クロード・K・デュボワ作、落合恵子訳の2013年発行の作品です。

ある日突然、戦争によって、家族と離れ離れになり、ひとりぼっちになってしまった子どもを描いた絵本です。

スケッチ風のモノクロームに近いタッチで描かれたこの絵本は、これまで紹介した明るい色彩の4作品とは方向性が変わり、読む人に、戦争に巻き込まれて大切な家族と離れてしまった子どものさみしい気持ちを訴えています。

著者
クロード・K. デュボワ
出版日

この絵本から、社会的に弱い立場の小さな声に耳を傾けることは大切だと気づかされます。戦争の悲惨さを知り、平和を願う心をはぐくむことは、とても意味のあることなのではないでしょうか。

落合恵子の翻訳する海外絵本、5冊ご紹介させて頂きました。ぜひ、気になったものは、お手に取ってみてはいかがでしょうか?きっと、満足される心温まる作品です。子供はもちろん、大人にとっても読んでいて心に響くのではないでしょうか。落合恵子のやさしくてあたたかみのある言葉にひたって、幸せな時間を過ごしていただけたらと思います。

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