まだお話ができない年齢から、好奇心が芽生える年齢まで、幅広い年齢のお子さんにぴったりの魅力的な絵本を紹介します。お母さんの語り口調にのせて、言語能力、絵による情操などを育んでくれるでしょう。
『おにぎり』は、 1ページ毎に丁寧に短い文で、おにぎりを作る工程が描かれています。身近な食べ物やご飯の絵本は、言葉がおぼつかない赤ちゃんでも楽しめるのでおすすめです。
おにぎりって、案外お子さんには難しいのですよね。3歳児なら、もうおにぎりが作れるかもしれません。
実は、この絵本にはおにぎりを上手く作るコツが書かれているページがあるのです。本作を読んだ後は、この本を脇において一緒におにぎりを作ってみましょう。
- 著者
- 平山 英三
- 出版日
- 1992-09-15
平山和子の絵は、線がほそく、淡い色遣いで、小さい子に安心感を与えるタッチです。また、おにぎりを握る手が優しく描かれているので安心感があります。
お母さんの優しい手で作られた、愛情いっぱいのおにぎりのふんわりした食感を容易に想像することができる、心温まる絵本です。
ぜひ、お子さんと絵本をみながら真似をして、そして本物のおにぎりを作って楽しんでみて下さい。
『かくしたの だあれ』は、言葉が話せないお子さんでも、指さしによってお母さんに答えることができるので、年齢問わず読んであげられる絵本です。
原色やパステルカラーとは違う、ほっとする色彩とタッチで描かれる五味太郎の絵が特徴的。各ページで、子どもたちは絵だけを楽しみながら、答えるための「間違いさがし」をすることになるでしょう。
この年齢には、まだ違いを見つけることが難しいページも少しだけあります。そんなページもあるこの絵本は、一度で飽きることなく、繰り返し挑戦したくなるのです。
- 著者
- 五味 太郎
- 出版日
- 1977-06-20
てぶくろかくしたのだあれ?という質問が左ページにあり、右ページには、体にてぶくろを隠した2羽のおんどりが描かれています。
だんだん動物の数が増えていくので、どの動物に隠れているか、だんだんと時間がかかるようになっています。これが、子どもたちのチャレンジ精神を育んでくれるでしょう。また、各ページで動物の数を数えることもできるので、数の勉強にもなりますよ。
子どもの発達特徴を理解して作られているので、この絵本はおすすめですよ。
『おふとん かけたら』は、たこ、ソフトクリーム、豆などに、おふとんをかけてあげていく絵本です。それぞれにおふとんをかけたら、どうなるかな?とページをめくりながら、親子の会話が弾みます。
かがくいひろしの絵は、影が上手に描かれているので、やわらかな形、丸み、厚みなど、ものの形が現実味をおびています。大人までふわふわした気持ちになることでしょう。
おふとんかけたら……大人でさえ、次はどうなるのかな?と先が気になってしまう、面白い展開の仕方が魅力の絵本です。
- 著者
- かがくい ひろし
- 出版日
ぜひこれは、寝る前に読んであげてほしいです。そして絵本が終わった最後には、ぜひお子さんに、「○○ちゃん、おふとんかけたら?」と聞いてあげてください。
この絵本は小さいお子さん向けですが、とても豊かな発想で書かれているので、子どもからどんな答えが返ってくるか楽しみながら読めますよ。きっと、お子さんの無限大の発想力に驚かされるでしょう。
『こぶたほいくえん』は、『ぐりとぐら』でも知られる、なかがわりえこがやわらかなタッチで描いた絵本です。
「こぶた」という響きは、小さな子にすんなり入っていく言葉でしょう。子ども目線で書かれたタイトルと内容は、どんなお子さんも引き込まれていきます。
これから保育園や幼稚園に入園する前の年代の子どもたちが対象ですから、絵本自体に親近感が湧くでしょうし、この本は、純粋に保育園や幼稚園の楽しさを感じさせることができる内容です。
- 著者
- 中川 李枝子
- 出版日
- 2001-03-15
3びきのこぶたは、いたずらっこ。ある日、おかあさんが保育園に行かせてみることをおとうさんに提案します。
ところが、保育園に行ったものの、お母さんを探してしまう3びきのこぶたたち。そこで、かけっこをすることにした先生。並び方は、こぶたのお友達がやさしく教えてくれます。
多くの子が体験する園の初日のできごとに、子どもたちは少し不安になるかもしれません。でも「ほいくえんだいすき」というこぶたたちの言葉に、「3びきのこぶたちゃんたちもそうだったけど、最後は楽しかったよね。」という声かけもできるのがこの本の隠れた魅力です。
そしてお家までの帰り道、保育園で楽しんだかけっこをして帰るこぶたたちは、もう少しで園に入るお子さんたちの、未来の姿のようで、お母さん方にも勇気を与えてくれることでしょう。
楽しい園生活が送れるよう、その準備としてもおすすめしたい絵本です。
『すっぽんぽんのすけ』は、3歳くらいまでの男の子が大喜びする内容です。
最初から、子どもの共感をさそうシーンから始まります。
「はやくパンツをはきなさーい」
「こらまて。まちなさーい」
「やーだよ」(『すっぽんぽんのすけ』より引用)
こんなやりとり、小さいお子さんとの日常に、必ずあるのではないでしょうか?さて、この後一体何が起こるのでしょう。
- 著者
- もとした いづみ
- 出版日
まず「すっぽんぽんのすけ」という忍者や侍に似た、子どもにとってはヒーロー的な強い響き。そして、実際も、すっぽんぽんのすけの手柄が、まさに英雄のようで素晴らしいのです。
この本の魅力は、圧倒的に男の子の支持を集められるところ。さらに、男の子が大好きな、裸ん坊なのです。
パンツも履かないすっぽんぽんのすけを、怪しい!と言ってきた忍者を退治すると、お店のおじさんがジュースをくれる人気者ぶり。
そしてメインは、ねこのおかあさんの、大事なみいちゃんを救い出す手柄。とにかく、最後まですっぽんぽんのすけは、かっこいいのです。
『ちっちゃなほわほわかぞく』は、ほわほわした毛皮をもつ、くまの家族のお話。
こちらは谷川俊太郎の、「~したってさ」「~してやった」と、登場人物になりきって語りかけるような翻訳がすばらしいのです。
ほわほわかあさんが、くまの子をお風呂に入れるところから始まります。外国の習慣である、朝にシャワーをする文化を描いたページから1日が始まるところも、面白いかもしれませんね。
- 著者
- マーガレット・ワイズ ブラウン
- 出版日
くまの子は森に遊びにいきます。
魚をつかまえて、ほわほわかどうか観察をした後に、川に戻しました。飛んでいる虫を捕まえて、毛皮をきているかどうか観察した後、空に放します。次に、小さな友達を見つけて、毛皮をきていたので、その鼻にキスをして、草むらにやさしく戻すのです。
3~5歳の子供たちの、興味関心、好奇心は目を見張るものがありますよね。本作には、子どもたちが共感できる場面がたくさんでてきます。そしてきっと、みんな同じことをしたことがあるでしょうから、くまの子の気持ちがよく分かることでしょう。
くまの子の行動も、終始ほわほわしているのがこの絵本の魅力です。
『ロージーのおさんぽ』は、イギリスの絵本です。黄色とオレンジ系のみで描かれているのが、パット=ハッチンスの絵本の特徴です。
絵に出てくる動物たちや道具や風景が、外国にあるものを描いているため、大人も子どもと一緒に日本との違いを楽しむことができます。子どもたちは、絵本を通して自然に、多様性を身につけることができるでしょう。
文字がとても少ないので、絵をじっくり見ながら、日本と外国の違いに集中していろいろな発見をすることができる絵本です。
- 著者
- パット=ハッチンス
- 出版日
めんどりのロージーが、お散歩にでかけます。
そのあとを1匹のきつねがついていきました。このきつねの名前は最後まででてきません。なぜついてくるのかな?何が起こるのかな?と考えながらページをめくることになりますが、実はロージーには最後まで何も起こりません。でもきつねはというと、ページをめくる毎にひどい目にあっていきます。
きつねさんは何をしたかったのかな?というお母さんの質問に答えられるのが、3〜4歳の時期の子どもたち。ロージーが食べられずにほっとすることで、やさしい気持ちも育むことができるでしょう。
珍しい木の絵から始まり、ほしぐさ、こなひきごや、蜂のすばこ、という言葉も出てきます。絵本を通して、遠い外国の様子もお子さんと楽しんでみて下さい。
『ちいさなヒッポ』のヒッポとは、カバの子の名前です。ヒッポは甘えん坊で、今までお母さんから離れたことがありません。
そんなヒッポも、お母さんと一緒にいることで、たくさんのことを学びます。4~5歳の子供たちと共通する部分があるでしょう。離れたくないけど、冒険してみたい。お母さんをみて学んだことを一人で試してみたい。そんな年頃のお子さんが共感できる内容なので、おすすめです。
最後のシーンで、ヒッポは「おこごと」をもらってしまいます。さて、ヒッポの身に何が起こってしまうのでしょうか。
- 著者
- マーシャ=ブラウン
- 出版日
- 1984-01-01
最初の数ページを読んでいると、ヒッポとお母さんの日常なのですが、実はカバの生態を知ることもできます。
ヒッポはまず言葉を覚えます。お母さんの真似をして、言葉を言えるよう練習するところは人間社会と同じですね。ヒッポのお母さんは、まず助けを求める時の大事な言葉である「グァオ」と教えるのです。人間の子どもたちも、このお母さんの指導にきっと愛を感じることでしょう。
そんな甘えん坊で、お母さんといつも一緒にいたいヒッポは、だんだん周りの動物に声をかけるようになっていきます。
そしてとうとう、大人のカバたちが寝ている間に、冒険にでてしまうのです。その瞬間「グァオ」を発する間もなく、ワニにしっぽをくわえられてしまうのです。
その後は読んでからのお楽しみ。ぜひお子さんと一緒によみながら、子どもたちが冒険するときに覚えておいてほしい、人間界の言葉を教えてあげて下さいね。
『なんだってしてあげるよ』も、かわいいくまさんが印象的な、イギリスの絵本です。
なんだってしてあげるよ、というタイトルは、表紙だけでは想像できませんが、実はちびくまのセリフなのです。
お子さまからの愛を再認識させられて、心が温かくなることでしょう。ぜひお父さんに読み聞かせしてもらいたい絵本です。
- 著者
- ジョン ウォレス
- 出版日
この絵本の特徴は、夕方のシーンから始まるところです。一日中お父さんのお手伝いをたくさんしたのに上手くできなかったという、少し悲しい気持ちから始まるのです。
また、最初のページからお父さんのことを、ジンジャーと名前で呼んでいます。外国ではお母さんやお父さんのことを、名前で呼ぶこともよくあるそう。最初に「ジンジャーはお父さんだね」と説明してあげて、外国では名前で呼ぶということを教えてあげるのにも、良いかもしれませんね。
お手伝いが上手くできなかったチャーリーに、途中から、お父さんがお願いをしていく展開になっていて、「なんだってしてあげるよ」といいながらチャーリーは、次々と自分のことをしていくように。チャーリーが自信をつけながらいろいろなことを成し遂げていく様子が、子どもに勇気を与えてくれます。
子どもが失敗した時に親はどう接して自尊心をもたせていくか、見本のような絵本です。
『どんぐりぼうやのぼうけん』は、スウェーデンの作家、エルサ・ベスコフの絵本で、秋にぴったりの絵本です。
北欧らしく、主人公のどんぐりぼうやたちは高い柏の木の上のツリーハウスに住む妖精です。葉っぱに乗り込んだどんぐりぼうやのオッケとピレリルは、もみの木に落ちてしまいます。そこで洗濯をしていた4人の小人のおばあさんに、森中に洗濯ものを運ばされることになってしまうのです。
家ではお母さんが帰らない2人を心配し、リスのスバンスと、ハシバミのヌッタが、森に探しに行ってくれるのですが、さてどうなるのでしょう。
- 著者
- エルサ・ベスコフ
- 出版日
- 1997-10-13
2人を探していたヌッタは、森で怖いトロルに出会います。同じくどんぐりぼうやたちも、危険な森で冒険をしていましたが、3人はそんな恐怖の中、奇跡的に出会うことができました。
この絵本には、木や葉で作ったいかだや、木の実で作ったブランコなどが出てきます。昔と違って、子どもたちが野原や隠れ家のあるような公園で遊ぶことができなくなっている今の時代。きっとお子さんたちは、このファンタジックな世界にのめりこむことでしょう。
そして、自然豊かな場所を訪れたとき、この絵本を思い出して自然を遊び道具にすることがあるかもしれません。最後のお家でのパーティーのシーンも、自然の中で遊ぶことの楽しさを教えてくれます。
現代の子どもたちが忘れかけている冒険心をくすぐる絵本です。