小学校低学年の男の子におすすめの本!わくわくして惹き込まれる5冊

更新:2021.12.20

小学校低学年の男の子に読書の習慣をつけるのに手こずっているお母さんは少なくないでしょう。まずは、お子さんに本に興味をもってもらう事が大事です。今回は、そんな低学年の男子がわくわくするような読み物を5冊選んでみました。

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本当に「ほしいもの」「大切なもの」は何だろう?

お子さんに「一番大事な物って何?」と聞いてみたら何と答えるでしょう。ゲーム、おもちゃ、ぬいぐるみ……。一番といわれて悩む子もいるかもしれません。

『なんでももってる(?)男の子』はそんな疑問に一石を投じる作品です。初版は2010年と比較的新しい本。登場人物は「なんでも持ってる」大金持ちの一人息子とその遊び相手に選ばれた普通の男の子。金持ちの息子の退屈しのぎに普通の男の子が遊び相手に選ばれますが……。

著者
イアン・ホワイブラウ
出版日
2010-04-16

タイトル『なんでももってる(?)男の子』の「(?)」が気になりますよね。確かに金持ちの男の子は両親がなんでも買ってくれます。おもちゃだけではなく、自分だけのサファリパークまであるのです。ですが、どれだけ物に囲まれていても男の子の物欲は満たされません。実は、本当に満たされていないのは「心」だったのです。「(?)」の持つ意味は重いですよね。

両親は仕事や自分の用事で忙しく、息子の誕生日がきても3分の電話しかしなく、男の子の世話は執事に任せきりなのです。金持ちの男の子は寂しい気持ちを紛らわせようと普通の男の子を呼び(連れ去り?)自分の持っているものを見せびらかし羨ましがらせようと企みます。

しかし、羨ましがられようと思っていた相手は、自分にないものを持っていると知り、金持ちの男の子は逆に羨ましくなってしまいます。しかもそれはいくらお金を積まれても譲れないもの。世界にはそんなものがあるという事に気が付きますが……それは一体なんでしょう?

この作品は大人が読むと少々身につまされるものがあります。ぜひ保護者の方も読んでいただきたい一冊です。

ほねほねザウルスが食玩の世界から飛び出してきた!

お菓子メーカーのカバヤが食玩(おまけのついたお菓子や飲み物)として発売している「ほねほねザウルス」が楽しい物語になりました!ここでご紹介する『ほねほねザウルス (1) ティラノ・ベビーのぼうけん 』はその第一作として2008年に初版発行され、その後シリーズ化されている作品です。

お菓子と物語のコラボという、ありそうでなかった楽しい作品としておすすめです!

著者
ぐるーぷ アンモナイツ
出版日
2008-04-24

低学年の男子は冒険が大好きですよね。まして、大人気食玩の「ほねほねザウルス」が冒険する物語なのですから、子どもの興味をひくことは間違いありません。中を開くと、漫画風のイラスト、そして文章がバランスよくレイアウトされていますから、ちょっぴり本が苦手な子でも読みやすい作品です。

ティラノ・ベビーがきらきら光る不思議な赤い石を拾い、その謎を解くために友達のトップスとゴンちゃんと冒険の旅に出ます。

食玩でおなじみのほねほねザウルスのキャラクターがたくさん登場しますし、もともとのほねほねザウルスの特徴もよく表現されています。たとえば「暗くなると光る」「オリジナルのモデルが作れる」など……。ですから、子どもたちも読んでいてぐいぐいと物語の世界に入り込んでいきますよ。

ストーリーとしては冒険物の超定番ですが、ここに描かれてる「友情・正義・努力」は子どもたちとってはシンプルではありますが、だからこそ忘れてはならないことですよね。お話を楽しみながら、お子さんの心も成長していくことでしょう!

知らない世界を手さぐりで進むまるで夢の中のよう……。

「ガラス」と聞いて、どんなイメージを思い浮かべますか?綺麗、冷たい、もろい……。タイトルにもなっている、このお話に登場する「ガラスのうま」は主人公・すぐり君の憧れの存在。すぐり君がこのガラスのうまを手にした時から、不思議な冒険の旅が始まります。

初版は2001年。林明子の挿絵がとてもお話にマッチしています。林は作者の征矢清の他の作品にも挿絵を描いていますよ。
 

著者
征矢 清
出版日

『ガラスのうま』を手に取ると、他の本とちょっと違うところに気が付くでしょう。「そで」と呼ばれる表紙カバーの折り返しには、普通はその本の内容や作者の紹介が書かれていますが、『ガラスのうま』にはそれがありません。折り返しは空白なのです。

折り返しの文を読む事でその作品のイメージを掴む方も多いでしょう。しかし、ここが空白ですから、読者も予備知識ゼロの状態でドキドキしながら本を読むことになります。それはまるで不思議な世界に紛れ込んだすぐり君の心のようです。

そして、この作品は読み進めていくと、まるですぐり君の夢の中にいるような気持ちになります。まさしくファンタジー作品なのです。ファンタジーと言っても、ドキドキする心の葛藤ありハラハラするアクションもありで、低学年の男の子にも楽しめる要素も充分詰まっています。

少し長めのお話ですが、だからこそ読み終わった後に達成感を覚えるでしょう。お子さんがこの作品を読破したら、ぜひ褒めてあげてくださいね。その大人の姿は、ラストのお母さんのシーンとシンクロするかもしれませんよ。

挿絵もすみずみまで見てみよう!一度きりではもったいない!

ミステリーや推理ものは大人にはもちろん人気がありますが、小学生も大好きです。中学年以上になるとホームズやルパンシリーズを読み始める子も多いのですが、低学年はその下地として楽しく読める『もしかしたら名探偵』をおすすめします。

『もしかしたら名探偵』は1992年初版。以降「あなたも名探偵」シリーズとして16作が刊行されている人気作品です。

著者
杉山 亮
出版日

四半世紀以上前の作品だけあって、挿絵は少々時代を感じます。「オーディオテープ」を売っていたり、ミルキー杉山が「ワープロほしいなあ」とつぶやいていたり……(挿絵に描き文字です)。でも、もしお子さんが疑問を持ったら保護者の方が説明してあげるといいかもしれませんね。

『もしかしたら名探偵』は「謎解きと犯人探し」「一人多役」「暗号解読」と3つの短編でできています。それぞれが「事件編」と「解答編」に別れているので自力で解決したい子なら事件編を何度も読み返すかもしれません。

最後の最後に読者向けに暗号が出てきます。これの解答はどこにもありませんが、ヒントがあるのですぐわかります。ぜひ挑戦してくださいね。

それにしても挿絵がとても面白いです。事件解決の手掛かりはもちろんのこと、細かいネタが満載です。大人が見てもクスッとしてしまいますよ。

大人気シリーズの第一作!キミの近くにもこんな子いないかな?

「1ねん1くみ」シリーズは1984年11月にが初版発行され、現在まで19作が刊行されています。今回は第一作の『1ねん1くみ1ばんワル』をご紹介します。

登場人物は、読者と等身大の一年生の「ぼく」と「くろさわくん」。この2人を中心とした大騒ぎが軽快なテンポで描かれています。ぶつかり合いながらも成長していく姿に、読者は知らず知らずのうちに共感を覚えることでしょう。

著者
後藤 竜二
出版日

物語は「くろさわくん」の紹介から始まります。くろさわくんはなんだか「わけあり」そうな子。やることなすこと型破りで、大人も手を焼くいわゆる「困ったちゃん」ですが、「ぼく」との交流や担任の先生のフォローで少しずつクラスに溶け込んでいきます。

「ぼく」はくろさわくんの破天荒な行動に迷惑がりつつも、ちょっとだけ憧れている様子もうかがえます。低学年の男子は多かれ少なかれ、「ぼく」のような気持になることはあるでしょう。つまり、子どもなりのカタルシスを感じる作品でもあるのです。実際にくろさわくんのようなことはできないけれど、読むだけで胸がすーっとするはずです。

文字も大きく、1ページあたりの行数も最大で10行。低学年のお子さんに読みやすい作品です。次から次にシリーズ作品を読みたくなりますよ!

余談ですが、この挿絵の中にくろさわくんのテストの答案用紙が登場しますが、そこに書かれてあるくろさわくんのフルネームにも注目していただきたいのです。「くろさわじゅん」。著者の後藤竜二には「3年1組シリーズ」もありますが、そこに登場するのは「ジュン先生」。もしかして成長したくろさわくんかしら?と想像がふくらみます。

今回は、発行年月日は比較的新しいものの、低学年の男の子がワクワクするような読み物をご紹介しました。どの作品も魅力的で、お伝えしたいことはまだまだたくさんあるのですが、続きはぜひ、作品を手に取ってお話の世界をお楽しみください。そしてこれらの本をきっかけに、お子さんが本好きになってくれたらいいなと願っています。

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